2010年08月06日

キョン「学園都市?」2

272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 19:01:42.57 ID:MtnwncJS0



 そして放課後。
 あの後、上条さんは思い切りボディブローを食らって吹っ飛んだ。自業自得である。

 結局、姫神さんは協力してくれた。つつがなく長門を連れ出してきて、久々にみんな揃ったところだ。

 しかし姫神さんは、電話で小萌先生に、
『シスターちゃんと結標ちゃんとで鍋パーティをするので姫神ちゃんも来ませんかー?』
 と呼び出され、
「私の出番はもう終わり。ふふふ……。」
 と呟きながら小萌先生の家に向かっていった。

 そしてファミレスで会議、というか情報交換。

 しかし長門の方は情報を得ていなかったらしく、こちらが一方的に情報提供するだけの形となった。

 そこで目下の目的である、長門との直接的なコンタクトなのだが……

長門「各自の携帯端末の情報を操作し、私の脳内に直接情報を送信できるようにした」

 と言われたものの、生憎俺は携帯を壊しちまってる。

 ということで、長門、朝比奈さん、上条さん、俺、古泉のメンバーで携帯ショップへ向かっているところである。


274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 19:12:58.38 ID:MtnwncJS0
キョン「なんだこりゃ……」

 見れば見るほど奇っ怪な機械ども。
 ヘッドセットにしか見えないものや、まるで鉄鋼の塊のようなもの、果てはカエルの形をしたものまである。

 これが携帯電話だというのだから驚きだ。

上条「あー、外の人間には確かに携帯には見えないだろうなあ」

キョン「携帯には見えないというか、携帯に必要のない機能までついてるものもあるぞ」

上条「携帯に詰め込むには技術が余ってる状態だからなー。これなんかシンプルでいいんじゃないか?」

 店の外に陳列されてるモックの一つを手に取る上条さん。

キョン「何々……耐火耐熱耐圧耐水耐衝撃携帯?
    大気圏突破しても平気ですって携帯をそこに持って行って意味あるのか……」

 なんだこの技術の無駄遣いは。誰が欲しがるんだこんなもの。

「なー」

 と、携帯を選んで悩んでる俺たちの、正確には上条さんの足下へ小さな黒猫が擦り寄ってきた。




282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 19:23:47.93 ID:MtnwncJS0
「あれから追いかけて来なくなったなァ」

 傷だらけの少女の身体を降ろして身を隠し、そのまま一晩が明けた。

 今はコンビニで買ってきたコーヒーを順調に消化しているところである。

「しっかし、これだけ騒ぎが起きてるのに警備員や風紀委員どころか一般人すら騒がないのはどういうことだ?」

「箝口令が敷かれているのです、とミサカは説明します」

 もぞり、と少女が動く。

「起きてたのか」

「それに加えて、私からもできる限りの情報を漏らすまい、としているのですから騒がれてもらっては困りますとミサカは追加説明もします」

「混乱が起きてた方が逃げやすいンじゃねェのか?」

「確かにそうかもしれませんが、それでは巻き込まれる人が出てくるのですよとミサカは短絡的な思考に呆れます」

「善人様ですねェ。まァ、カタギのやつらを巻き込むのは俺も本意じゃねェな」

「それに、巻き込みたくない人もいるのですとミサカは本心も言ってみます」




293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 19:36:28.42 ID:MtnwncJS0
「巻き込みたくない人だ?」

「自分の身を顧みず、一度会っただけの他人のためにも全力で命を張るお節介さんが、困ったことにいるのですよとミサカは溜息混じりに話してみます」

「そいつはとンだ善人様だなァ。そいつだけは巻き込みたくないってか」

 そう言うと彼はコーヒーを一気に飲み干す。

「昨日、俺にお前のお姉様とやらと同じ思考って言ったけどな、お前のその思考こそソックリだよ」

「私は素直になれないお姉様とは違いますとミサカは少し憤慨してみます」

「ハッ……本当にソックリだよお前らは」

 すると突然、少女は起き上がった。

「涼宮ハルヒが動きましたとミサカは切迫した状況を伝えます!」

「ついに来やがったか」

 彼はアキカン!を投げ捨てる。廃ビルにカコーン、と静寂には大きな音が響いた。

「彼女が来たのはこちらではありませんとミサカは情報伝達の齟齬を訂正します!」

「チッ……別の『妹達』は『冥土返し』のところにいるンだっけか。そっちを狙われたか」

「違います!」


「彼女が狙ってるのは――クソ上司の方ですとミサカは衝撃の事実を明かします!」


298 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 19:48:19.42 ID:MtnwncJS0



上条「お前は……」

 上条さんが足下に擦り寄ってきた猫を抱き上げる。
 本当に猫に縁のある人だな、いつか猫の地蔵の呪いにでもかかりそうだ。

みくる「上条さんのペットですか?」

上条「いや……こいつはイヌだ」

キョン「いやどう見ても猫だ」

上条「そうじゃなくて、こいつの名前らしきものだよ」

長門「猫なのにイヌ……」

 無表情の長門だが、少し笑ったような気がする。こういうのがツボなのか。

上条「ちゃんとした名前はなんだっけなあ……ともかく、昨日話した御坂美琴の、まあ妹みたいな感じのやつのペットだ」




299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 19:54:45.14 ID:MtnwncJS0
 妹みたいな感じってわけわからん。妹じゃないのか。

上条「とすると……御坂妹のやつが近くにいるのか?」

キョン「いやいや、猫と散歩なんか普通はできないぞ。
    それこそ、何かの呪いにでもかかって猫の言葉がわかるようにならない限りは」

上条「でもこいつは普段アイツの病室にいるしなあ……痛っ」

 いつまでも抱いていた上条さんにイラついたのか噛みつくイヌ(仮)。
 というか病院で猫を飼っていいのか。

「なー」

 とたっと地面に音もなく降り立つと、裏路地の入り口まで走っていき、そこで立ち止まる。

上条「……連いて来い、って言ってるのか?」

 すごいな上条さん。猫の言葉がわかるのか。




304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 20:10:15.58 ID:MtnwncJS0

 上条さんを先頭にイヌ(仮)を追いかけて裏路地を進む俺たち一行。
 イヌ(仮)はすいすいと進んでいき、廃ビルの前でまた立ち止まる。

上条「なるほど、この中か」

 何がなるほどなのか通訳してもらえませんかねえ。

 上条さんの言葉を理解したかのようにイヌ(仮)は廃ビルの中へ突入。
 続いて俺たちも突入しようとする。

 するとそこでカコーン、と音がした。

古泉「……誰かいます、気をつけてください」

 すると古泉が小声で俺たちに言った。
 一同に緊張が走る。

 警戒しながら中へ突入する。

 イヌ(仮)はそんな空気などおかまいなしに、俺たちが連いてきたことを確認すると、さっさと二階に消えてしまった。

 みんなで顔を見合わせて、確認を取る。
 意見は一致、GOだ。




305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 20:15:48.78 ID:MtnwncJS0
 足音を殺して、ゆっくりと二階に上がる。

 階段を上りきると、踊り場から部屋へのドアがなくなっていて、外からの光が薄暗い階段を照らしていた。

 すぐに踊り場に躍り出るようなことはしない。ゆっくりと、慎重に、上条さんが壁を這うようにして進み、部屋の中を覗き込む。

上条「どうした御坂妹!?」

キョン「お、おい!」

 すると上条さんは血相を変えて部屋の中に飛び込んでいった。
 慌てて俺たちも上条さんの後を追う。

 部屋の中には、散乱したガラスと、壊れたペット用のゲージと、イヌ(仮)と、

 ゴーグルをしたまま銃を抱えた、傷だらけの御坂美琴がいた。




307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 20:24:51.22 ID:MtnwncJS0
御坂妹「どうしてここに、とミサカは驚きながら質問します」

 驚いて、銃を降ろす御坂美琴。というかなんだそのウザい喋り方は。

上条「こいつが俺たちを案内してな……というかお前こそどうしたんだよ!」

 上条さんは御坂美琴から離れた位置で毛繕いをしている黒猫を親指で指す。

御坂妹「どうもしてません、とミサカは回答します」

上条「こんな傷だらけでどうもしてないわけないだろ!
   あの医者に確認したらなんともない、って言ってたのに、どうしてこんな……」

御坂妹「……」

 上条さんの言葉を聞くと御坂美琴はばつの悪そうに目を伏せる。

キョン「なあ御坂さん、何があったかくらいは、話してくれないか?」




309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 20:33:57.53 ID:MtnwncJS0

 俺たちは腰を下ろし、長門風に言えば会話モードに移行した。

御坂妹「まず、その人たちは誰ですかとミサカは疑問を投げかけます」

上条「ああ、こいつらはちょっと色々厄介ごとがあってな。協力してなんとかしてるってところだ」

御坂妹「……全然説明になってませんとミサカは貴方の説明力のなさに呆れてみます」

上条「だって、こいつらの言うこと難しくてよくわからないんだもん!」

 同意見だ。

古泉「まあ、まずは自己紹介をしておきましょうか。
   僕は古泉一樹、この街では特に珍しくもない超能力者です」

キョン「それでこいつが長門、まあ、宇宙人だ。まあ俺と朝比奈さんはいいよな」

御坂妹「よくありません、誰ですか、というか宇宙人って意味が分かりませんとミサカは矢継ぎ早に質問をぶつけてみます」

キョン「誰ですか……ってなんか変なやつらから助けてくれたじゃんか」

御坂妹「……お姉様と勘違いしていませんかとミサカは間違いを予想してみます」

キョン「お姉様?」

上条「ああ、言ってなかったな。こいつは御坂妹。
   言うなれば、まあ、御坂美琴の双子の妹だ」

 本当にいたのかよ。




316 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 20:43:17.58 ID:MtnwncJS0

御坂妹「つまりまとめると、超能力者、未来人、宇宙人、そして特に面白味もない普遍的な貧弱一般人が涼宮ハルヒの周りに集まって世界を大いに盛り上げようとしているわけですねとミサカは要約してみます」

キョン「ちょっと待て、なんか物凄く失礼なことを言いやがっただろ」

古泉「それはまあ置いておいて、そんなところですね」

上条「えー、これ一発で信じられるの……?」

 上条さんが少し不気味気な表情をする。

 すると御坂妹さんはふぅ、と軽く息を吐くとこう言いやがった。

御坂妹「出来の悪い三流SFですね。まるでK川辺りが大賞にでも選びそうですとミサカは電撃使いとしての目線から語ります」

 畜生、やっぱり信じてなかったか。

御坂妹「そのSOS団のくだりはどうでもいいですとミサカは話題を変えます」

 しかもどうでもいいと流しやがった。

御坂妹「涼宮ハルヒ、ですか……やはり貴方は関わってしまったのですねとミサカは自分の努力が徒労に終わったことにショックを感じます」


319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 20:49:21.61 ID:MtnwncJS0
>>315
レベル5とルビの振られる超能力者と単に超能力を使う意味での超能力者の二種類が禁書世界には存在するんだぜ
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古泉「……やはり、貴方も涼宮さん絡みですか」

御坂妹「そうですよ。よくもこの人も巻き込んでくださりやがりましたねとミサカは怨念を籠めながら呪詛を呟きます」

 なんだ、みんな上条さん大好きなんだな。

上条「もうここまで来たら俺は引き返せない」

 上条さんの言葉で空気が一変して真剣なものになる。
 何このイケメン。

上条「だから、何があったか、教えてくれるか?」

御坂妹「……仕方ありませんねとミサカは諦めます」




342 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 21:42:55.05 ID:MtnwncJS0



打止「ケーキ♪ ケーキ♪ ってミサカはミサカは即興詩を紡いでみる」

 嬉しそうに炊飯器を眺める10歳ほどの少女。
 説明するまでもなく、炊飯器とは万能調理器具なのである。

黄泉川「そんな眺めてても残り時間は変わらないじゃんよ」

打止「こうやって眺めてるのが幸せなのってミサカはミサカは説明してみたり」

黄泉川「あんまり近づいて火傷したら危ないじゃんよ……」

 そんな保護者の心配を余所に打ち止めは楽しそうに炊飯器の液晶画面を眺め続ける。

 と、そこへピンポーンとインターフォンが鳴った。

黄泉川「お、桔梗のやつ帰ってきたかな」

 そうして黄泉川は何の疑いもなく玄関を開ける。

黄泉川「おかえりじゃん……ってあれ?」

 しかし、そこに予想していた人物はいなかった。
 代わりにいたのは。


ハルヒ「こんにちは。打ち止めって子、いますか?」


345 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 21:53:34.78 ID:MtnwncJS0
打止「フルーツの到着かなってミサカはミサカは楽しみにしてみる」

 黄泉川が来訪者を迎えに行ったのを見て、打ち止めは期待を籠めた視線を玄関の辺りに送ってみる。

 『妹達』は今、危機に瀕してはいるが、その危機が去るのも実は時間の問題なのだ。
 それまで耐え抜けばいいだけで、耐え抜いたら10032号と一緒にいるはずの彼と接触が取れるのだ。

 打ち止めはそれが楽しみで楽しみで仕方がない。

 そして、そのためのケーキなのである。

打止「少し作るのが早すぎたかなってミサカはミサカはちょっと不安になってみる」

 一瞬、不安げな表情をするが、思い直す。

打止「でも、あの人に任せておけば大丈夫だよねってミサカはミサカは再確認してみたり」

 そして、再び笑顔。

打止「え――」

 だが、その笑顔は、次の瞬間に固まる。

 居間まで一直線に吹っ飛んできた緑色のジャージ姿の保護者を見て。




349 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 22:00:30.65 ID:MtnwncJS0
 どがっしゃーん、という凄まじい音を起てて壁に激突する黄泉川。

黄泉川「いきなりやってくれるじゃん……」

 しかし黄泉川は玄関に立てかけてあったはずの警備員用の盾を手にふらふらと立ち上がる。

ハルヒ「そっちこそいきなり強烈に拒否してくれるじゃないですか。
    だから『退いて』もらっただけですよ」

 そこに土足で入り込んできた女子高生。彼女は打ち止めの見たことのない制服を着ていた。

黄泉川「逃げろ打ち止め! なんか知らないがお前を狙ってるみたいじゃん!」

打止「な、なんで――」

 しかし、打ち止めは固まったまま動かない。

 なぜ、彼女はこちらに来たのか、理由がない。

 彼女の能力を以てすれば、上位個体である打ち止めを介さずに、ミサカネットワークを掌握することが可能であり、わざわざ打ち止めを狙う必要がないのだ。




358 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 22:09:33.68 ID:MtnwncJS0
ハルヒ「おいで」

 彼女がそう呟くと、打ち止めは自分の身体が引っ張られるのを感じた。

 次に、打ち止めの小さな身体は宙を浮き、彼女の元へと真っ直ぐに飛んでいく。

打止(いけない! ミサカが捕まったらあの人は――)

 思考は最後まで続かなかった。
 横からの衝撃がそれを中断させたからだ。

黄泉川「逃げろって言ってるじゃんよ!」

 見れば黄泉川が打ち止めの身体を押し倒すようにして守っていた。
 壁からここまで来たのだとしたら物凄い身体能力だなあとか打ち止めはあまりの衝撃で呑気になった思考で考える。

ハルヒ「……すごいですね。
    能力者じゃないのにあそこから盾を持ったまま一瞬でここまで来るなんて」

黄泉川「こちとら体育教師でね。身体を動かすのは得意じゃんよ」

 そう言って黄泉川は身体の後ろに打ち止めを隠す。

ハルヒ「でも、私には勝てませんよ。今の内にその子を渡してくれませんか?」

黄泉川「そんなの……お断りじゃんよ!」




365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 22:17:09.79 ID:MtnwncJS0
 黄泉川は盾を構えて突撃する。
 学園都市の技術で作られた盾はまさに鉄壁であり、例え大能力者の物理攻撃ですらなかなか壊せない硬さを誇る。

 当然、あらゆる技術が駆使されていて、能力を上手く使えないように思考を乱すデザインや、その他諸々の機能があるのだが。

ハルヒ「来ないで」

黄泉川「ッ!?」

 彼女の前では無意味だった。

 彼女がたった一言呟くだけで、黄泉川はまた背中側へと吹き飛ばされる。
 だが、同じ攻撃を二度も受けていては学園都市の警備員は務まらない。

黄泉川「こなくそっ!」

 盾を思い切りフローリングに突き刺し、ブレーキをかける。
 フローリングの床がめきめきと捲れていくが、気にしない。

 さらに足を床に付けて減速、反発させ、停止どころか再び彼女に対して突撃を敢行した。

ハルヒ「なっ!」

 さすがの彼女もこの人間離れした業には驚いたらしく、一瞬思考が止まる。

 そこへ、黄泉川のチャージが襲いかかった。




372 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 22:28:08.75 ID:MtnwncJS0
ハルヒ「に゙ゃっ!」

 彼女が黄泉川と盾の重量に押し潰される。

黄泉川「犯人確保、暴行罪の現行犯で逮捕じゃんよ」

 さらに盾のスキマから電子手錠を彼女の手にかける。

ハルヒ「っ……やってくれるわね……」

黄泉川「どんな能力か知らないが、能力ってのは考えなくちゃ使えないものじゃん。
    だから驚かせて、能力を自由に行使できない状況を作って捕まえる、警備員の基本戦法じゃんよ」

 さらにもう片手も手錠にかける。

黄泉川「このタイプの手錠はあの『原子崩し』でも中々壊せないものだし、観念しな。
    そうすりゃ初犯ってことで見逃してあげないこともないじゃんよ」

 その言葉を聞くと彼女は意外そうな顔をした。
 先生の優しさに驚いちゃったかななんて黄泉川は自惚れたが、そんなことはなかった。

ハルヒ「へぇ……

    第四位くらいでも壊せるんだ」




377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 22:35:57.36 ID:MtnwncJS0

 次の瞬間、黄泉川の意識が一瞬飛んだ。

 何かが光ったのはわかったが、何が起こったのかはわからなかった。

 目を開けてみると、窓ガラスは割れ、部屋は滅茶苦茶になり、手錠も盾も粉々に砕けて散らばっていた惨状が真っ先に視界に入ってきた。

 そして、倒れてる自分と、打ち止め。何事もなかったかのように立っている彼女。

 彼女は無言で打ち止めに近づこうとする。




378 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 22:37:51.94 ID:MtnwncJS0
黄泉川「くそっ……!」

 だがそうはさせまいと、黄泉川がその間に割って入る。
 すると彼女はまた驚いた表情をした。

ハルヒ「あんな至近距離で受けたのにまだ動けるの?」

黄泉川「伊達に鍛えてないじゃんよ……」

ハルヒ「……アンタ、すごいわね。名前なんて言うの?」

黄泉川「……黄泉川愛穂」

 答えると、彼女は笑顔を作った。

ハルヒ「いい名前ね。私がレベル6になったら真っ先に生き返らせてあげるわ」

黄泉川「そりゃ……光栄じゃん……」

 そして彼女は手を振り上げ――

「調子乗ってンじゃねェぞ」

 人の形をした砲弾がベランダから飛び込んで来た。


392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 23:11:25.13 ID:MtnwncJS0



御坂妹「――ということなのですとミサカは大人の事情で説明を簡潔に済ませます」

 御坂妹さんは物凄くわかりやすく教えてくれた。

上条「なんだよそれ……」

キョン「何やってんだよハルヒのやつは……」

みくる「は、廃人って……」

古泉「これは……予想以上に厄介ですね……」

長門「……」

 それに対して俺たちは各々のリアクションを取る。

上条「畜生……こいつらだって生きてるんだ! なのに……人の命をなんだと思ってやがる!」

 しかしやっぱり上条さんのリアクションは大きいな。




402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 23:20:57.11 ID:MtnwncJS0
御坂妹「しかし安心してください、とミサカは追加説明を始めます」

キョン「今の話を聞いておいて安心しろというのは無理があるぞ」

御坂妹「これからの話を聞けば安心しますよとミサカは心配性な貧弱一般人を宥めてあげます」

 こいついい性格してんな。

御坂妹「確かに、私たちは危機的状況ではありますが、実はこれは時間経過と共に解消されるのですとミサカはいつも一つの真実を明かします」

上条「時間経過?」

御坂妹「そうです。考えてもみてください、彼女の力は強大です。
    今現在は、私たちに代理演算させるという方法しか提示されていませんが、これほどの能力なら他にいくらでも方法が考えられるのです
    とミサカは希望の光を示します」

キョン「でも、そんなの誰も探してないかもしれないじゃないか」

御坂妹「いいえ、探している人はいますよ。しかも凄腕の人がとミサカは倒置法でさらなる事実を述べます」

上条「それって……」

御坂妹「そうです、貴方のほとんど主治医になってる人ですとミサカは言葉を継ぎ足します」


413 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 23:30:53.00 ID:MtnwncJS0
>>406
南米の魔術結社と戦争起こしたり学園都市とは別に超能力開発してたよ
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キョン「だがな、その方法が見つかるとも限らんだろ」

御坂妹「それなら問題ありませんよとミサカは一般人らしい杞憂を取り払います。
    なぜならあの人は――」

上条「患者の必要としているものなら何でも用意するから、だろ?」

御坂妹「その通りですとミサカはセリフを奪われて(´・ω・`)とします」

 そんな無茶苦茶な……
 だが、この二人の口ぶりからすると、今までそれを叶えてきていたのだろう。信頼して任せるしかない、のか。

長門「……」

古泉「しかし、その話を聞く限りではおかしいですね」

キョン「何がだ?」

古泉「考えてもみてください、この話を聞く限りでは、まるで涼宮さんの能力に制限があるみたいではないですか」

みくる「確かに、それはおかしいですね……」

古泉「涼宮さんは今まで、様々な物理的制約、常識を越えて能力を発揮していました。
   それなのにこれではまるで涼宮さんにできないことがあるかのようです」

418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 23:38:46.82 ID:MtnwncJS0
上条「いや何事にも限界はあるものだろ?」

 こっち側の常識を知らない上条さんらしい意見だ。

キョン「ハルヒはな、なんでもありなんだよ」

 そんな上条さんに俺は常識を伝えてやる。

上条「そんな無茶苦茶な……」

キョン「その無茶苦茶を体現するのが涼宮ハルヒという人間なんだ」

 ともかく、これでハルヒの狙いも、意図もわかった。
 今度はこちらから先手を打てそうだ。

長門「……」

キョン「ん、どうした長門?」

長門「……なんでもない。情報を送信していただけ」

キョン「そういえば、お前のところの大将はなんて言ってるんだ?」

長門「今は情報を送信したところ。この世界では情報をやりとりするのに時間がかかる模様。
   まだ回答は返ってきていない」

 長門にも制約があるのか。大事に繋がらなきゃいいが。




420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 23:45:37.14 ID:MtnwncJS0
長門「……そろそろ時間」

 そう言って長門は立ち上がる。

キョン「何の時間だ?」

長門「学校の寮に戻らなければならない。門限は厳しい」

キョン「そんなもん無視すりゃいいだろうに」

古泉「そういうわけにもいかないでしょう。長門さんにはいざという時にはいつでも動いてもらえるようにしていただかないと。
   いつでも力押しで無理矢理なんて余計な被害を生むだけですよ?」

 呆れたように言いやがる古泉。

キョン「言ってみただけだ」

長門「……」

 ということで、長門は霧ヶ丘女学院へと帰っていった。




424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/06(日) 23:55:36.62 ID:MtnwncJS0



黄泉川「一方……通行……」

 黄泉川は途切れ途切れに突然舞い降りた白髪の悪党(ヒーロー)の名前を呟きながら見上げる。

一方「よォ。ご自慢の炊飯ジャーは全滅みてェだな」

 一方通行はつまらなそうに部屋を一瞥する。

ハルヒ「へぇ……アンタが『一方通行』だったのね」

 それと対照的にハルヒは面白そうな顔をして一方通行の顔を見る。

一方「何だ、知らなかったのか? 暫定一位の『幻想創造』様も知識には疎いみたいだなァ」

ハルヒ「仕方ないじゃない、こっちの世界に来てから数日も経ってないんだから」

 不機嫌そうにむくれるハルヒ。

一方「こっちの世界? 何わけのわからねェこと言ってやがる」

ハルヒ「アンタには関係ないことよ」

一方「そォかい」

 それだけ言葉を交わすと、二人は黙ったまま見つめ合う。

 マンションは戦場になろうとしていた。




428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 00:05:38.96 ID:IzuBx4dl0
一方「なァ、今、このマンションの住人はどこにいるか知ってるか?」

ハルヒ「はぁ? そんなの知らないわよ」

一方「何でもなァ、爆破テロの可能性があるってされて、住民は全員退避中らしい」

ハルヒ「そうだったの。他の部屋に影響出ないよう、能力調節してたのに意味なかったのね」

一方「そういうことだ。だから、どんなことしても、誰も困りはしねェ」

ハルヒ「それで、全力で戦おう、ってわけ?」

一方「違ェよ」

 ふっと、一方通行が片手を振った。
 すると何らかの力が発生したのか、キッチンがぐしゃりと音を起てて潰れる。

一方「こういうことだ」

 そして、もう片手でいつの間にか持っていた銃の引き金を引く。
 銃弾はしゅーと音を起てながら潰れているキッチンへ。

ハルヒ「アンタ――」

 火花。

 そして爆発。


434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 00:16:19.81 ID:IzuBx4dl0
ハルヒ「きゃあっ!」

 真っ赤な炎が一方通行、打ち止め、黄泉川、そしてハルヒの全員を覆う。

ハルヒ「っ……収まれ!」

 それでも、そんなものでどうこうなるレベル5ではない。
 ハルヒの一言で爆発は瞬時に収まる。

 だが、爆発が収まったそこには――ハルヒ一人しかいなかった。

ハルヒ「アイツ……!」

 そこでハルヒは理解する。
 あの派手な登場も、自分の注意を引きつける挑発も、全ては全員無事に逃げ出すためだったと。

 どんな能力を使ったかは知らないが、おそらく、ダメージを負うようなヘマはしていないだろう。

 まんまと一杯食わされた、というわけだ。

ハルヒ「あったまきた!」

 逃げ道はベランダからしかない。
 だが、相当な速度で逃げていたのだろう。既に視界には映らない。

 それでもハルヒは激情に駆られ、一直線に飛び出した。




440 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 00:25:18.88 ID:IzuBx4dl0

 結論から言うと、一方通行たちは遠くには逃げていなかった。
 いるのは隣の部屋。わざわざマンションを爆破したのは隣の部屋まで破壊し、侵入の痕跡を消すためだ。

黄泉川「げほっげほっ……かなり無茶するじゃん……」

一方「二人も抱えて追いかけっこなンかできるか。戦うのなンざ論外だ」

黄泉川「だからってマンションごと爆破させることはないでしょ。
    桔梗が帰ってきてマンションがなくなってたら驚くじゃんよ」

一方「学園都市のマンションがガス爆発ごときで倒壊するかよ」


一方「さァて、時間切れまでかくれンぼだ。どっちが頭がイイかはっきりさせようじゃねェか」




446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 00:39:46.95 ID:IzuBx4dl0



キョン「それでだ、今後はどうするかについてだが」

古泉「やはり、彼女たちの作戦の効率化を図るために、病院という拠点を構えて籠城戦、でしょうか」

キョン「そうだな。今なら御坂妹さんを病院に送り届けられそうだしな」

上条「それについてなんだけど、俺に一つ提案がある」

 と、そこへ上条さんが自信たっぷりに言い出した。

上条「涼宮ハルヒを先に倒しちまうってのはどうだ?」

キ・古・み・御『…………』

上条「な、なんですかその目は!?
    いやだって、そのハルヒってやつをレベル0の俺が倒せば、一方通行よりも強くて学園最強っていう前提が崩れるんだから、実験潰れるだろ?」

キョン「……あのな、それができたら苦労しないんだよ」

古泉「そもそも、涼宮さんの居場所なんてどうやって調べるんですか」

上条「いや、実験とやらのためにどこか研究所に世話になってるんだろ?」

古泉「だからどうしたって言うんですか。機関の力を以てしても調べることは不可能なんですよ?」


上条「大丈夫だ、俺にもこういう時の切り札がある」


449 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 00:45:06.26 ID:IzuBx4dl0
 prrrrr……

美琴『も、もしもし?』

上条「御坂か? ちょっと頼みたいことがあるんだが……」

美琴『た、頼み事? し、仕方ないわね……』

上条「おお、聞いてくれるのか! ありがとう御坂!」

美琴『べ、別に頼み事を無碍に断るような人間じゃないわよ私は!』

上条「さんきゅー! 後でなんでもお礼するぜ」

美琴『なんでも!?』

上条「ん? どうした御坂」

美琴『ななななんでもないわよ!』

 上条さん、あんたは酷い男だな。


457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 00:54:39.62 ID:IzuBx4dl0

美琴『――うんうん、それで涼宮ハルヒって子の居場所と行動と今後予測されるルートを調べればいいのね?』

上条「ああそうだ、できるか?」

美琴『……アンタ、ストーカー?』

上条「違うわ!」

美琴『やってることはまんまストーカーじゃない』

上条「ただの緊急事態だっての!」

美琴『はぁ……まーた何か変なことに首突っ込んでるんでしょ……そういうのはほどほどにしときなさいよ』

上条「ともかく頼む!」

美琴『仕方ないわね……ちょっと待ってて』

上条「わかっ」

美琴『調べたわよ』

上条「はやっ!?」


古泉「……機関の力を以てしても、一切不明だったのに……」

みくる「恋する女の子は強いんですよ」


533 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 15:59:05.81 ID:IzuBx4dl0
美琴『涼宮ハルヒ……ね。例のレベル5のことだったの』

 上条さんは電話をスピーカーフォンに切り替えて、俺たちにも聞こえるようにしてくれる。
 カリカリとマウスをスクロールさせる音がするので、おそらくもう情報を手に入れて読んでいるところなんだろう。

美琴『それで居場所は……は? これ、どういうこと……?』

上条「どうした?」

美琴『「妹達」の上位個体、20001号最終信号・打ち止めを引き取りに? 新絶対能力進化計画?
   何コレどういうことよ!?』

上条「あ……」

 御坂美琴の声が大きく音割れしながらスピーカーから響く。
 上条さんはしまった、という風な表情。

 ……まさか計画が広まるのは予想だにしてなかった、とかなのか?




534 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 16:09:31.88 ID:IzuBx4dl0
上条「まあ、その、あれだ。それが緊急事態」

 なんとも歯切れの悪い調子で答える上条さん。
 この人はもしかして、相当な馬鹿なんじゃないだろうか。

美琴『冗談じゃないわよ! 私も今からそこに行くわ!』

 がちゃがちゃと何やら慌ただしい音が聞こえる。
 面倒なことになってきたんじゃないか、これは。

上条「待て美琴、大丈夫だから落ち着け! これからそのハルヒってやつをなんとかしに行くから何も問題ないんだってば」

 上条さんは結構無茶苦茶なことを言う。
 まあ、最悪、ハルヒと接触さえできれば長門がどうとでもしてくれるだろうし、なんとかなるだろうけど。

美琴『なんとかするってアンタバカァ!? 相手はレベル5、しかもあの一方通行を飛び越えて暫定一位になるような相手よ!?』

上条「それでも大丈夫だ、俺を信じてくれ」

美琴『うっ……』

 はっきりと言う上条さん。おーおーイケメンですねえ。
 仕方ない、俺も助け船を出してやるか。

キョン「それに、誰かナビゲートしてくれる役のやつがいないとそもそもハルヒの元にまでたどり着けないだろ?
    ハルヒはこっちの身内だ、俺たちに任せてくれ」

美琴『確かに、それはそうだけど……うーん……』




535 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 16:17:07.00 ID:IzuBx4dl0
 なんだか激しく悩んでる様子が電話を通して伝わってくる。
 これだけ思われるなんて上条さんは幸せ者だなあ。

 やがて、小さく溜息を吐く音がスピーカーから聞こえた。

美琴『……わかったわよ。その代わり、無茶するんじゃないわよ?』

上条「スマン御坂、恩に着る」

美琴『どうせ私が何を言ってもアンタは聞かないんでしょ? 長い付き合いなんだからそんなのわかってるわよ』

 うむ、これがツンデレというやつか。ハルヒもこれくらいの可愛げがあればいいんだがなあ。

美琴『ちょっとだけ待ってなさい』

 がちゃりと何かドアを開ける音がし、すたすたと移動しているような足音が聞こえる。
 そしてどすんと座る音がしたと思ったら、ガチャガチャガチャと物凄い打鍵音が聞こえてきた。

上条「何してるんだ?」

美琴『緊急事態なんでしょ? 全力で協力してあげるだけ。すぐにメール送るから確認しなさい』

上条「あ、ああ……?」

美琴『じゃあ一回電話切るわよ』

 一体何をしているのやら。
 よくわからないまま、電話は一度切れた。




538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 16:23:14.28 ID:IzuBx4dl0

古泉「しかし、よかったのですか?」

上条「何がだ?」

古泉「この電話の相手は、あのレベル5の『超電磁砲』なのでしょう?
   彼女は強力な戦力になったのでは」

上条「確かに御坂は強い。だけどな、こんなことに女の子を巻き込めるかよ」

キョン「同意見だ。それに長門がいれば戦力ならどうとでもなるだろ」

古泉「まったく貴方たちは……酷い人たちですね」

キ・上『何がだ?』

 やれやれ、と言った風なポーズの古泉。そりゃこっちのセリフだ。
 お前は中学生まで巻き込もうと思うのか。

 と、そこで上条さんの携帯電話が鳴る。
 知らないアドレスだ。

上条「御坂の、アドレスじゃない?」

 すると今度は古泉の携帯が鳴った。




541 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 16:29:03.51 ID:IzuBx4dl0
古泉「はい、もしもし」

美琴『もしもーし、上条さんと一緒にいる古泉さんの電話ですかー?』

古泉「御坂さん? 確かにそうですが……」

 なんと電話相手はあの御坂美琴のようだ。
 古泉はすぐさまスピーカーフォンに切り替える。

美琴『ごめんなさい、緊急事態だし勝手に調べさせてもらっちゃいました』

古泉「……機関員の個人情報は機密情報なはずですが……」

キョン「まあ、その、元気出せ」

美琴『ってことで、細かい説明省くわ。メール開くと、私がさっき即興で作ったソフトが起動するからそれを使いなさい、以上』

上条「は? えーと……」

 言われて上条さんはさっきのメールを開く。
 するとその瞬間、電源が落ち、すぐに再起動。

 出てきたのは簡素な地図アプリのようなものだった。


545 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 16:36:49.79 ID:IzuBx4dl0
>>539
キョン「部外者で、しかも中学生の女の子をあんまり関わらせるのはダメだろ、常識的に考えて」

-------------------------------------------------------------------------------
美琴『赤い点が涼宮ハルヒの居場所、青い線が予測されるルート、黄色の範囲が涼宮ハルヒの行動可能範囲、そして緑の点が現在位置よ』

 おいおい、こんなソフトを今の一瞬で作り上げたのか?
 長門のようなことをしやがるな……なんて街だ。

上条「これはわかりやすい、サンキュー!」

美琴『どういたしまして。でもそれは私の能力で無理矢理動かしてるようなものだから、早く決着着けないと携帯壊れるわよ?』

上条「……マジですか」

美琴『じゃあ私は情報収集に専念するから頑張りなさい』

 そう言うとまた電話は切れる。

上条「さてと、反撃開始だな」




547 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 16:48:05.77 ID:IzuBx4dl0
キョン「さて、こっちの切り札にも連絡いれるとするか」

 と、そこで俺は気付く。まだ携帯買ってないじゃん。

古泉「はいどうぞ」

 間髪入れず、古泉が携帯を差し出して来やがる。

キョン「だから心を読むな気色悪い」

 だが、背に腹は代えられん。スピーカーフォン設定で長門に電話をかける。

長門『もしもし』

 一切の呼び出し音もせずに長門は電話に出た。さすが直通。

キョン「ハルヒの居場所がわかった、今から突撃するが動けるか?」

長門『……不可能』

キョン「そうかわかった、場所はだなって何!?」

長門『……』

古泉「何か……ありましたか?」




548 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 16:56:21.77 ID:IzuBx4dl0
長門『情報統合思念体からの答えが返ってきた』

 おいおい、何やら嫌な予感がするぞ。

長門『自律進化の可能性のため、情報統合思念体は涼宮ハルヒの新絶対能力進化計画の成功を望んでいる』

上条「なんだと!?」

 上条さんがいきり立って俺から携帯を取り上げた。

上条「その実験成功のために、御坂妹たちがほとんど死んだような状態になってもいいのかよ!」

長門『……』

上条「情報父ちゃんだかなんだか知らないが、そいつに話をさせろ!」

キョン「落ち着け」

 上条さんは拳を強く握りしめている。このままでは携帯が握りつぶされてしまいそうなので宥めてみる。

上条「でもな……!」

キョン「こいつの親玉はそういう簡単な話じゃないんだよ……」

 そう言って俺は携帯を取り返す。

長門『……』




553 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:04:59.58 ID:IzuBx4dl0
キョン「……なあ長門、お前の親玉の方針はわかった。でもな、お前の意思はどうなんだ?」

長門『……私は、応援することしかできない』

 それだけ言うと、電話は切れてしまった。

 ツーツー、とスピーカーからの虚しい音が嫌に耳に響く。

 ……なんてこった。

古泉「これは、困ったことになりましたね」

キョン「まさか唯一の頼りの長門が、か」

古泉「おや、僕も頼りにされていたのでは?」

キョン「うるさい黙れ」

古泉「……酷いです」

 しかし、これは本当にどうしたものか。
 長門の協力がないのはかなり痛いぞ。

上条「いや、いい」

 静かに上条さんは言う。

上条「俺がハルヒを倒せば全部丸く収まることだ」




555 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:08:30.08 ID:IzuBx4dl0
キョン「そんなこと言ってもな、現実的に考えて、どうやって倒す?
    あいつが力を自在に使えるなら、もうそりゃほとんど神様だぞ」

上条「忘れたのか? 俺の右手は神様の奇跡だろうが打ち消す『幻想殺し』だ。
   もし、その神様が無敵だと思ってるならまずはその幻想をぶち殺す」

 ここに来て、完全に俺たちにできることはなくなったのか。


古泉「まあ、なんとかなるでしょう」

キョン「根拠もなく言うな」

古泉「根拠はありますよ。鍵となる、貴方がいるじゃないですか」

 無茶言いやがる。




558 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:15:57.02 ID:IzuBx4dl0



 お姉様の様子がおかしい。昨日から携帯が鳴るとトイレに籠もって行ってしまう。
 今日なんてトイレにノートパソコンを持ち込んで行ってしまった。

 今もそのトイレから大声が聞こえて、トイレから出てきたと思えば、ニヤニヤしながら、猛烈に何かを打ち始めている。

 しかも、あの笑みを貼り付けたままでだ。

 全力で協力って何を協力してるんですかお姉様。黒子は心配です。

美琴「もしもーし、上条さんと一緒にいる古泉さんの電話ですかー?」

 するとお姉様はどこかに電話をかける。

 ん?

 上 条 さ ん ?

 ま た あ の 類 人 猿 で す の !?




562 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:26:43.27 ID:IzuBx4dl0
 というか古泉さんって誰ですの!? 私の知らないところでお姉様にまた変な虫が!?

美琴「ごめんなさい、緊急事態だし勝手に調べさせてもらっちゃいました」

 お姉様に個人情報を調べられた!? 黒子はスリーサイズも調べてもらったことなどないのに!

美琴「ってことで、細かい説明省くわ。メール開くと、私がさっき即興で作ったソフトが起動するからそれを使いなさい、以上」

 即興で作ったソフト!? なんですのソフトって、私はハードもソフトもいけますけど……

美琴「赤い点が涼宮ハルヒの居場所、青い線が予測されるルート、黄色の範囲が涼宮ハルヒの行動可能範囲、そして緑の点が現在位置よ」

 また新しい名前が! しかもなんだかホストにでもいそうな名前ですの!?

美琴「どういたしまして。でもそれは私の能力で無理矢理動かしてるようなものだから、早く決着着けないと携帯壊れるわよ?」

 お姉様の能力で動かしてもらう!? 何をですの何をですの何をですの!?!?

美琴「じゃあ私は情報収集に専念するから頑張りなさい」

 誰の情報なんですのおおおおおおおおおおおおお!?




564 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:28:48.79 ID:IzuBx4dl0

美琴「……何してんのよ黒子」

黒子「はっ! な、なんでもありませんわお姉様」

 ハンカチを囓っていた私をジト目で見つめるお姉様。嗚呼、そういう目で見られるのもいいかも……

美琴「また変なことでも考えてるんじゃないでしょうね……」

黒子「滅相もありません!」

 私はただお姉様の心配をしているだけですもの。

美琴「まあ、いいわ」

 嗚呼、溜息を吐くお姉様もお美しい。

美琴「ちょっと頼みたいけど、いいかしら?」

 なんでも聞きますとも!




566 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:37:42.40 ID:IzuBx4dl0



 ということで、俺たちはハルヒの元へと急行する。

 いくらなんでも楽観的すぎやしないかと少し心配だが、まあ、さすがにハルヒが俺たちに危害を加えるようなことはしないだろう。

 とりあえず御坂妹さんは病院に行ってもらった。
 ハルヒの行動は丸わかりなので、安全に届けるのも簡単だった。

空刃裁断「やっと見つけたさあ!」
遠隔感電「ちょこまかと逃げ回りやがって……」

 そこへいつか見た馬鹿っぽい不良二人が走ってる俺たちの前に立ちはだかりやがった。
 というか逃げた記憶なんかないんだが。

みくる「ふぇええぇ……」

上条「お前らは……」

 おや、上条さんも面識があったのか。そういや朝比奈さんを助けたとかなんとか言ってたな。




567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:44:41.04 ID:IzuBx4dl0
古泉「誰ですか?」

キョン「なんか朝比奈さんに絡んでくるやつらだ。気をつけろ、二人とも能力者だ」

 やれやれ、こんな時に面倒なやつに会ったもんだ。

遠隔感電「ぐへへ……今日という今日はキッチリ落とし前つけてもらうぜぇ」

上条「俺たちは急いでるんだ。退かないなら力尽くでも退いてもらうぞ」

空刃裁断「やれるもんならやってみるさあ」

 ニヤニヤと笑みを貼り付けたままの二人。
 朝比奈さんの話じゃ上条さん一人にやられたはずだが、なんだこの自信は……

古泉「仕方ありませんね……ちゃちゃっと片付けちゃいますか」

上条「そうだな」

 上条さんと古泉が臨戦態勢を取る。

空刃裁断「おおっと待った、戦うのは俺たちじゃないさあ」

上条「はい?」

遠隔感電「ということでアニキ……よろしくお願いします!」




574 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 17:54:29.03 ID:IzuBx4dl0
 それは、ゴツかった。
 筋骨隆々、ラグビー部にでもいそうな大男。殴り合ったら勝てる自信などコンピューター研究部の文句をハルヒが認めるくらいありえない。

 しかし、そいつの顔面は不可思議で、肌は白く、唇は赤かった。
 そして服装はもっと不可思議で、なんとタンクトップにスカートだった。

「私のお友達を可愛がってくれたようじゃなぁい」

 そいつはごついテノール声で喋る。中○譲治のような声をしてやがる。

上条「うげっ……」
みくる「うわあ……」
古泉「ウホッ……」


 ――オカマだった。




576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 18:07:20.64 ID:IzuBx4dl0
空刃裁断「ささ、アニキ、やっちまってくだせえ!」

 不良二人はそのオカマの影に隠れる。
 なんだこのふざけた野郎は。

上条「……あー、あれだな、涼宮ハルヒはこの先だよな」

みくる「はいそうですね、ああ、そこ曲がった方が近道です」

「なぁにスルーしてんのよぉ!」

 すたすたと通り過ぎようとしたところをオカマとその金魚のフンは回り込んできた。
 ……周囲の人々の視線が痛い。

上条「うわああああああああこの人は関係ない人です俺たちは一般人なんです!」

 上条さんが必死に周囲に弁解する。しかし世間様は冷たかった。

「さぁてお楽しみの時間よぉ?」

上条「ああもう上条さんはわかりますよー、なんか色々飛び火してあらぬ誤解に膨らむのが目に見えますよー。
   経験則からそういうことになるって相場が決まってるもん!」

 この世の終わりのように嘆く上条さん。うむ、俺も嘆きたい。




577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 18:13:46.75 ID:IzuBx4dl0
古泉「ふんもっふ!」

 そこへいきなり古泉の赤い球が炸裂した。

空・遠『ぎゃっ!』

 爆発はオカマを飲み込み、金魚のフンを吹き飛ばす。
 そして、きゃーという騒ぎにハッテンした。

キョン「おまっ……何やってんだ!」

古泉「こんなところで油売ってる場合ではないでしょう?」

キョン「確かにそうだが……やりようってのがあるだろ!」

古泉「大丈夫です、威力は抑えてありますから」

 いやそういう意味じゃなくてな。

「いきなりやってくれるじゃなぁい」

 しかし、煙の中から声が響いた。

上条「!?」

 いち早く反応したのは上条さん。
 右手を前にして俺たちの前に躍り出る。




579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 18:24:38.08 ID:IzuBx4dl0
キョン「んな!?」

 そこへ俺たちどころか道路ごと飲み込む勢いの、大火力の炎が襲いかかってきた。
 しかし、上条さんの右手に触れた瞬間、その炎は一瞬にして霧散する。

 その先に見えたのは――無傷のオカマだった。

古泉「手加減したとはいえ……あれが無傷とは……」

 古泉が驚いた風な声をする。

上条「気をつけろ……こいつ、かなりの能力者だぞ……!」

「ウフフ……そりゃぁそうよぉ、私はレベル4の発火能力者だもの」

キョン「レベル4!?」

 レベル4ってかなり頭が良いってことなんじゃ。人は見かけによらないな。

「そしてぇ……人呼んで――『情熱女王』(パイロクイーン)様よぉ!」

 いやお前は女じゃないだろ。


581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 18:37:05.30 ID:IzuBx4dl0
古泉「面倒なことになりましたね……」

 珍しく真剣な目つきの古泉。
 こんな珍事によくそんな目つきできるな。

情熱女王「んふふ……でも安心なさぁい。用があるのは私らに最初に喧嘩を売ったそこの牛女とツンツン頭だけよぉ!」

みくる「ふぇ!?」
上条「俺たち!?」

 情熱女王はビシィっと朝比奈さんと上条さんを指さして指名する。

情熱女王「なぁんか急いでるんでしょう? 私はそれを無碍にする程鬼じゃぁないわよぉ」

 ……なんか意外に優しい人だ。

上条「……くそ、わかった。キョン、古泉、先に行っててくれ」

 そう言って上条さんは携帯電話を手渡そうとする。

キョン「いやしかし、お前がよくても朝比奈さんがな……」

みくる「私のことは気にせず先にお願いします」

 朝比奈さんはきりっと決意を秘めたような表情で言う。

みくる「それに、私が行ってもできることなんてありませんから……」

 だけど次の言葉は申し訳なさそうに。朝比奈さん、貴方の笑顔さえあれば俺は元気が出ますってば。




583 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 18:43:40.57 ID:IzuBx4dl0
古泉「仕方がありません、行きましょう」

キョン「だけどな……」

古泉「ここで時間を食っていたら涼宮さんに追いつけないかもしれません」

みくる「必ず後で追いつきますから」
上条「朝比奈さんは俺が守るから頼む」

 何気にフラグ建てようとするんじゃない。

キョン「仕方ない……朝比奈さんに怪我させたらただじゃおかないぞ」

 二人の決意をくみ取った俺は上条さんから携帯電話を受け取った。

上条「わかってる」

 そう言い残して俺と古泉は先に進むことにした。




584 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 18:45:56.38 ID:IzuBx4dl0


上条「そういえばいいのか? 古泉もお前に攻撃してたみたいだが」

 思い出した風に上条は言う。

情熱女王「あの子はい・い・の。なぁんだか似た匂いを感じるのよねぇ」

上条「……」
みくる「……」




586 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 18:59:40.26 ID:IzuBx4dl0



一方「そういや時間切れはどうやって知るンだ?」

 息絶え絶えの黄泉川の身体を、ベクトル操作とトイレットペーパーで応急処置を終えた一方通行はそこで気がついた。
 考えてみれば、マンションを爆破してしまったせいで、一切の連絡網が途絶してしまったのだ。

打止「その時は他のミサカが教えてくれるから大丈夫ってミサカはミサカは教えてみたり」

 すると、むくりと打ち止めが起き上がった。

一方「お前、あの爆発を食らって起きて大丈夫なのか?」

打止「大丈夫っぽいってミサカはミサカは自分の怪我の状況を確認してみたり。
   なんか私には煤が付いてるだけみたいってミサカはミサカは報告してみる」

一方「あの爆発で無傷だァ?」

 黄泉川が身を挺して守ったのか、と考えたが、警備員といえど黄泉川はあくまで一般人。
 あの爆発でそんなことができるはずもない。

一方(……どういうことだ?)




589 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 19:04:00.88 ID:IzuBx4dl0
 打ち止めは二度も爆発を受けている。
 二度目こそは自分が能力で風のドームを作り、守ったから問題ないのだが、一度目に関しては黄泉川と同じく直撃のはずだ。

打止「そんなことより」

 そんなことを考えていると、打ち止めはとたとたと一方通行に寄ってくる。

打止「お願い、聞いてもらえないかな、ってミサカはミサカは上目遣いで見つめてみる」




631 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:32:00.06 ID:IzuBx4dl0



 走る走る走る。ずっと走ってきたためにそろそろ疲れてきた。

 古泉のやつはまだまだ余裕そうだ。
 鍛え方が違うんだろうが、こちとら一般人だ。少し速度を落として欲しいもんだ。

 ってか、マジでそろそろ限界。

キョン「ぜぇ……ぜぇ……な、なあ古泉、少し休――うおっ!」

 古泉のやつに休憩を提案しようとした瞬間、やつは急に立ち止まりやがった。

 俺は走ったスピードのまま、古泉の背中に突っ込む。
 しかし古泉は鍛えてあるのか、俺のタックルを食らおうがビクともしなかった。

キョン「いきなり止まるな!」

 至極まっとうな文句を言わせてもらう。

古泉「……」

キョン「……?」

 しかしおかしい。いつもならここで何らかのリアクションがあるものだが、古泉のやつは無言で答えない。

キョン「どうした古いず――!?」

 だが、顔を上げた瞬間、俺にもその理由がわかった。




632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:38:45.45 ID:IzuBx4dl0

 それは、自動車だった。

 学園都市らしく、電気がエネルギーのモーター車らしく、俺たちの世界のものとはデザインが明らかに違う。

 だが、それでもわかる。それは自動車だ。

 だからこそ、目の前の光景が俺には信じられなかった。

「超止まってもらいますよ」

 中学生ほどの女の子が、それを持ち上げていたからだ。
 しかも次の瞬間、なんとそれは俺たちに投げつけられた。

古泉「……ッ!」

 それに古泉が反応する。
 手を前にかざすと赤い球が瞬時に形成され、電気自動車へと吸い込まれるように飛んでいく。

 そしてトン単位の質量のある精密機械は派手に爆発した。


640 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:48:16.82 ID:IzuBx4dl0
キョン「うおっ!?」

 あまりの爆風に俺は思わず腕で顔を覆う。

「あれ、超おかしいですね。資料では無能力者の集団とあったのですが」

 しかし、至近距離で爆発を食らったはずの少女は何ともなかったかのように爆発の中から歩いてくる。

 そのギャップに俺はゾッとした。こいつは、真っ当な世界の人間じゃない。

古泉「はっ!」

 それに対して古泉は赤球を数発叩き込むことで答える。
 女の子の小さな身体が爆発に巻き込まれた。

 相手は小さな女の子だった気がするが。

キョン「おいおい、いくらなんでもやりすぎじゃ――」

 だが、俺の心配は最後まで続かない。

「じゃあ、弱そうなこっちから超さっさと終わらせますか」

 その女の子が目の前に無傷で現れたからだ。




644 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/07(月) 23:55:07.77 ID:IzuBx4dl0
 するとその女の子は拳を振り上げる。

古泉「避けてください!」

キョン「がっ!」

 そこで古泉が俺の身体を押し倒しやがった。
 女の子の拳は虚しく空を切る。

キョン「何しやがる!」

古泉「油断しないでください、この子もおそらく能力者です」

 俺は文句を言うが古泉の真剣な表情が目の前にあった。

キョン「というかまず顔を離せ!」

 思わず俺は古泉を押しのける。
 ――と、そこへ女の子の拳が古泉の顔面に突き刺さった。

647 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:05:40.53 ID:IzuBx4dl0
古泉「がぁ――っ!?」

 俺は目の前の光景を再び疑った。

 服の上からでもわかる細腕で、俺が力を入れれば折れてしまいそうなほど華奢な腕で殴られたというのに、
 古泉の身体はまるで玩具の人形のように宙を舞って吹き飛んだ。

キョン「古泉ぃ!?」

 思わず素っ頓狂な声を上げる俺。あんな風に吹っ飛ぶ人間なんて初めて見たぞ。

「おや、超ラッキーですね。厄介そうな方から倒せるなんて」

 それを見ながら女の子は冷静に言いやがる。
 冗談じゃないぞ。

キョン「なんなんだお前……」

 尻餅をついたままの俺に対し、女の子は拳を振り上げる。
 人間を軽々吹っ飛ばす威力を持った凶器の拳を。

絹旗「私は絹旗最愛。今さっき、涼宮ハルヒという人物を護衛するように依頼を受けた超臨時のバイトさんです」

 そこで、拳が振り下ろされる。

 ――南無三!


653 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:19:42.19 ID:YZMUr7p80
>>648
『さいあい』ちゃんだ超馬鹿野郎
-------------------------------------------------------

キョン「がっ――」

 だが、俺の身体を叩いたのはその絹旗の拳ではなかった。

 突然発生した横からの爆風が俺の身体を吹っ飛ばす。お陰で俺の身体がスクラップになることは避けられた。

古泉「そのまま逃げてくださいっ!」

キョン「っ!?」

 どこからか古泉の声が響く。よかった、無事だったのか。

絹旗「逃がすわけ、超ないじゃないですか!」

 そうして安心なんてしてると、古泉の願い虚しく、目の前にまた絹旗が。
 今度は御御足を振り上げてらっしゃる。パンツが見えそうで見えない。

古泉「何をしてるんです!」

 そこへ赤い何かをオーラのように纏った古泉が、明らかに人間の身体能力を超えた動きで現れた。
 古泉は腕をクロスさせて俺たちの間に入ると、絹旗の踵落としを受け止める。
 相当な威力ならしく、古泉の足が固まったコンクリートを砕いて沈むが、なんと古泉はそれを受けきった。




661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:27:47.44 ID:YZMUr7p80
古泉「早く、涼宮さんの元へ!」

キョン「いやしかし――」

 俺だけが行ってどうなる、とまでは言い切れなかった。
 先に古泉が言葉を被せたからだ。

古泉「貴方は鍵です! 最悪、貴方だけでも涼宮さんの元へ行ってくれればいいのですよ!」

 無茶言いやがる、とは言えなかった。

キョン「畜生……わかったよ!」

 俺は爆発で痛めた身体に鞭を打って立ち上がる。

絹旗「行かせると、思いますか?」

 しかし、走りだそうとした瞬間、絹旗が俺の前に回り込んで来やがった。

古泉「僕が行かせますよ、なんとしてもね!」

 だが、その絹旗の腹部に古泉の拳が物凄い勢いで突き刺さった。
 さらに赤い爆発付きだ。

 今度は絹旗の身体が玩具のように吹き飛んでいく。

古泉「今の内に!」




662 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:31:59.05 ID:YZMUr7p80
 相当な力で吹き飛んだにも関わらず、絹旗は足からきちんと着地し、勢いを殺して停止した。

 すぐにでもまた攻撃してきそうだ。迷ってる時間はない。

キョン「ああ!」

 俺は覚悟を決めて、上条さんから受け取った携帯を握りしめながらこの戦場から逃げ出す。

 途中、絹旗が追おうとしていたのが横目に見えたが、古泉がそれを受け止めたようだ。

 古泉に背中を任せて、俺は一直線に走っていった。


667 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 00:44:16.70 ID:YZMUr7p80

絹旗「身体を念動力のような力で超覆って、身体能力を上げるですか……お互い超似たような能力のようですね」

 古泉と絹旗はお互いに腕と腕をつかみ合い、押し合う。
 あまりの力に足場であるコンクリートが耐えられないらしく、どんどんヒビが広がっていく。

古泉「本当はもっと応用が利くんですがね……今は全力が出せないもので、ね!」

 足場が限界であると悟った二人は一度取っ組み合いを解除し、距離を取る。

絹旗「へぇ……本当は超強いんですか」

古泉「それほどでも。これでも七割くらい出せてます」

絹旗「今の約五割増しって超違うじゃないですか。私はレベル4でも超強い方なのに」

古泉「へぇ、貴方もレベル4なんですか」

絹旗「『窒素装甲』(オフェンスアーマー)です。超強いですよ。
   というかその能力は見たことないんですが、超なんなんですか?」

古泉「そうですね……この街の流儀に従うなら――

   『限定能力』(ミラクルギフト)、と言ったところでしょうか?」


697 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:21:42.52 ID:YZMUr7p80
>>675
絹旗「ファミレスで超ご飯食べたりしてる仲の人が一緒に超プール行ったりする仲の人を真っ二つにしたり、女の子の大事なところを焼いたりしようとしたらしいです。超怖いですね」

>>677
御坂妹が(´・ω・`)ってしたら可愛いだろ? そういうことだ
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 とにかく走る。体力の限界はとうに超えてるが、知ったことか。

 俺の手には朝比奈さんと上条さんの決意の入った携帯が。
 俺の身体には古泉の必死の願いのこもった傷が。
 そして携帯の画面には、妹の身を心配する優しい姉の想いが映ってる。

 これを決して無碍にしてなるものか。

 そんなことを考えながら俺は走るが、その足を目の前の光景が止めた。

キョン「お前……」

 よく見知った、同じ世界から来た女の子がそこにいた。

 放課後は部室に集まり、場合によっては休日にも集まり、最近は気心も知れたとも思える仲になってきた仲間がいた。

 だが、そいつのやっている行為を見て、俺は絶句する。

 思わず足を止めて、そいつの表情をじっと見つめてしまう。


 視線が真っ直ぐ、かち合った。




700 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:23:58.46 ID:YZMUr7p80

 ――そいつは両手を広げていた。

 ――そいつはぴくりとも動こうとしなかった。

 ――そいつはまっすぐ俺を見つめたままだった。

 ――そいつは――


キョン「――長門……」


 ――身体を張って通せん坊をしていた。




705 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:30:07.74 ID:YZMUr7p80
キョン「……どういうつもりだ?」

 俺はわかっていながら、そいつに問いかける。

長門「……」

 無機質な真っ直ぐの瞳は何も答えない。

キョン「……俺はこの先に行かなくちゃいけない、わかるな?」

長門「……」

 機械的に閉じられた唇が僅かに震える。

キョン「……これは俺だけじゃない、他のやつらの願いでもあるんだ」

長門「……」

 そいつは何も答えない。

キョン「長門……」

 そこでやっとそいつは口を開いた。

長門「……情報統合思念体は涼宮ハルヒの絶対能力進化を望んでいる。この実験により、涼宮ハルヒの能力のさらなる進化が予想された
   ……貴方の介入はあってはならない」




706 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 01:34:33.61 ID:YZMUr7p80
キョン「そんなことを聞きたいんじゃない」

長門「……今回の実験により、彼女の能力は新たな発見を迎える可能性が高いと判断された」

キョン「そんなことを聞きたいんじゃない!」

長門「……これは自律進化について非常に有益な情報」

キョン「そんなこと、どうでもいいだろ」

長門「……もし、貴方がこの先に進むのなら――」

キョン「なあ、長門……!」


長門「――私は貴方の存在を抹消してでも、止めなければならない」


 ――最悪だ。

キョン「学園都市?」 3


posted by JOY at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 禁書クロスSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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