2010年08月15日

ダンテ「学園都市か」2(本編 対魔帝編)

263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 00:52:40.55 ID:05pn8HxA0

―――

ダンテは暗い路地にいた。

足元には切断された黒い左腕。

赤い毛が生え、指先には鋭い爪。

先ほどダンテが切り落とした、『ゴートリング』と呼ばれる高等悪魔の左腕である。
その悪魔自体は逃がしてしまった。

逃げられる事自体は特に珍しくない。
ダンテ自身が結構うっかり者なのでその隙を付けられることがあるし、
それに逃げる悪魔は別に追おうとは思わない。

だがこの時は少し違っていた。

戦闘中に突然別の感覚が彼の体を走ったのである。
その瞬間彼の体が反応し、無意識のうちに一瞬魔人化した。

ダンテ「…まさかな…」

その感覚には覚えがある。
スパーダの血の叫び。
魂の共鳴。

同じ血族の者の気配がどこからかする。

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 00:54:00.22 ID:05pn8HxA0

ダンテ「ネロか…?」

この感覚を引き起こす原因の者は三人知っている。
その内二人はもういない。
そして残るはネロ。

そうネロしかありえない。
ネロは今ボルヴェルクを追っている。
そのボルヴェルクも学園都市に来る魔帝軍に加わっていればネロが来てる可能性もある。
それしかない。

―――と、半年前のダンテならこう納得しただろう。

今は違う。

思い当たる人物がもう一人いる。


268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 00:55:23.47 ID:05pn8HxA0

半年ほど前のある日、ネロが突然事務所に電話をしてきた。

『閻魔刀』が突然『出てこなくなった』と。

その時は無くしたのかと思いネロをぶっ飛ばしてやろうかと思ったが、
詳しく話を聞くとどうやら普通に無くした訳ではなかったらしい。

『閻魔刀』が無いのにもかかわらずその力自体は失っていない。
なんかおかしい。
存在を感じるのに引き出せない。とネロは困惑していた。

ダンテにはわかった。

ネロに教える。

それは『閻魔刀』が別の者に召還された。と。

たまにダンテも『リベリオン』を召還することがあるからわかる。
魔剣は主に呼ばれると、どれ程距離があろうと一瞬で手元にやってくる。

そして続けて説明する。

存在を感じるのはお前がその召還した者と魂が繋がっているからだ。
いま残っている力は『閻魔刀』のじゃなく、もともとのお前の力だ。と。


271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 00:57:26.56 ID:05pn8HxA0

ネロは聞き返す。
『閻魔刀』を俺よりも強く呼んで召還できるやつなんているのかと。

ダンテは返す。

ああ、いる。
真の持ち主だ。バージル。
俺の兄貴だ。と。

ネロは再び困惑する。
死んだんじゃなかったのか?と。

ダンテは返す。
現にお前の話を聞くかぎりじゃあ復活したのは確実だろ。と

そう言いながらダンテ自身も己の言葉を反芻する。

復活。
今、バージルが生きている。

ニヤリと薄く笑う。

ネロは魂が繋がっているという点には特に疑問を持たなかったらしい。
それがスパーダの血族特有の物だと思っている。

ダンテは、
魂が繋がるなんて兄弟ですらおこらない。
もっと近しい関係じゃないとおこらない事 というのは伝えなかった。


275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 00:58:58.75 ID:05pn8HxA0

ネロは どうすればいい?探して取り戻したほうが良いのか?と聞く。

ダンテは
ひとまず様子見だ と返す。

バージルを探し出し『閻魔刀』を奪いネロの手に戻すのは非常に難しい。

バージルははっきり言うとダンテより強い。

バージルを最終的に殺したのはダンテだ。
だがその時のバージルは自我を失っていたし、力も不完全で『閻魔刀』も無かった。
その状態であるにも関らずダンテを追い込んだ。
ダンテはギリギリ勝てたのである。

そんなバージルが復活し今『閻魔刀』を持っている。
困難極まりない。

ネロどころかダンテでさえ返り討ちに合う可能性がある。
それにバージルはそれほど危険人物ではない。

過去に一度人間界を危機に陥れたが、それは間接的な結果だった。
バージルは人間を根絶やしとか征服とかには全く興味が無い男だ。

そしてもう一つ。ダンテが気が進まない点がある。

家族と殺し合いするのはもうごめんだ。と。


280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:00:59.63 ID:05pn8HxA0

ダンテ「…」

路地裏で一人考える。

ダンテ「バージル…」

どこからか気配を感じる。
向こうもダンテを感じている。

既に学園都市にいるのか、
それともどこか別の場所にいるのかはわからない。

だが確実にこちらを意識している。

ダンテ「お前もこのパーティに混ざりたいのか?」

ムンドゥスの復活。
多くの世界・次元を巻き込んだ大イベントだ。

ダンテ「…」

最悪の事態を考える。
それは魔帝の復活ではない。

ダンテ「三度も殺り合うのはカンベンだぜ。バージル」

ポツリと呟き、路地裏をあとにする。


282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:02:17.23 ID:05pn8HxA0

―――


暗い路地裏を人間離れした速度で移動する人影があった。
グレーのスーツに黒い髪の壮年の男。
それだけなら特におかしい点は無い。
事実、先ほどまで普通に路上を歩き、人の流れに身を任せていた。


だが『変装』が解けはじめている今は違う。
大きく開かれた目からは赤い光が漏れている。

そして左腕が無かった。


一歩が20mを越える程の歩幅で、行き先も考えずにただひたすら走る。

先ほどの出来事を思い出す。
突如眼前に現れた赤いコートを羽織った悪魔。


284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:03:33.53 ID:05pn8HxA0

魔界では高名な武人である、高等悪魔の彼ですら恐怖を覚えた。


『悪魔すら泣き出す( DEVIL MAY CRY)』と称される怪物。
スパーダの息子にしてムンドゥスを封印した、紛れも無く神クラスの悪魔。


無論、即座に逃亡した訳ではない。
全ての力を解き放ち、そして挑んだ。

が、次の瞬間には左腕が肩から切り落とされていた。

そのまま死を覚悟したが、突然ピタリと止まったためなんとか逃げることができた。


285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:04:56.04 ID:05pn8HxA0

「(とにかく…今は逃げねば)」

あの強烈な一撃でほとんどの力を削ぎとられ、最早左腕さえ再生できない。
男は走り続ける。

「…」

何かを察知した男は急停止する。
路地の先には仁王立ちする小さな影が二つ。

匂いからして人間。

高等悪魔の彼にしてみれば道端の小石程度の小さな存在だが。
鋭い悪魔の勘が反応する。

男は油断せずにその二つの影を見据える。

―――
288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:08:27.39 ID:05pn8HxA0

―――
上条達と離れた後、御坂美琴はあの銀髪の『ダンテ』という男を探した。
後輩の白井黒子もなにやら心当たりがあるらしく、協力を快諾した。

二人は各地へテレポートしてはレーダー捜査を繰り返した。
そしてテレポート12回目にして遂に高速で移動する反応を捉え、
先回りしたのである。


御坂「…あの人…じゃない?」

黒子「…お、お姉さまッ!!」

御坂「…ッ!!?」

よく見ると男の左腕が無い。
しかしそれ以上に二人を驚かせたのはその男の顔である。
赤く光る瞳。

御坂「どうみても普通じゃないわね…」

黒子「一体何者なんですの…?」

男「人間の娘か…?」

御坂「(雰囲気的に…平和的にいかなさそうね…見るからに敵意むき出しだし)」

御坂の体が緊張する。
すぐにでも電撃を放てるように神経を研ぎ澄ます。
それを察知し、黒子も太ももにある釘を意識する。


289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:09:47.05 ID:05pn8HxA0

御坂は考える。

こんな人間離れした速度で移動する人物が二人同時に現れるか?
学園の能力者ならおかしくない。

だがあの『ダンテ』という男もこの目の前の男も、
どう見ても学園都市の能力開発を受けた世代ではない。

とすると外部の能力者か?
そんなのが二人同時に偶然にも現れるか?

怪しすぎる。

御坂「聞きたいんだけど」

男「…」

御坂「『ダンテ』って銀髪の人知ってる?」

その言葉を聴いた途端男の表情が大きく歪む。

男「貴様…」

御坂「(…なんかキレたっぽい…)」

御坂「黒子」


291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:11:38.47 ID:05pn8HxA0

返事をする間も無く黒子は男を拘束するべく、
黒子は男の真後ろ上の死角へ飛ぶ。


男の後頭部へドロップキックを、渾身の一撃を放つべく。
しかし黒子がテレポート先で見た光景は、予想とは異なっていた。

男の真後ろ上の死角へ飛んだはず。

なのになぜ―――

なぜ男はこちらを見据えて右腕を振り上げている?


ドンッ!!っと巨大な破壊音。
少女の体が大きく後方へ吹き飛ばされた。

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:13:10.22 ID:05pn8HxA0

目を開けると粉塵が舞っている。
パラパラと周りから何かの欠片が落ちる音が聞こえる。

黒子「…ッ!!」

起き上がろうとすると激痛が体を駆け巡った。
しかし痛みの他にもう一つ。
彼女が慣れ親しんだ―――電撃による痺れ。

御坂「黒子ッ!!大丈夫!!?」

黒子「だ、大丈夫ですの…!」

御坂美琴が放った電撃によって彼女の体は弾かれ、男が振り上げた右腕の直撃をすんでの所で免れたのだ。

その痺れの原因を放った少女の声の方へ目をやると、間に立つあの男、そしてその周りの惨状も目に入った。

男の足元のアスファルトがまるで砲弾が炸裂したかのように
直径5m程、深さ1mほど抉れていた。
大穴は両脇のビルへも食い込んでおり、壁が大きく崩れて屋内が見えていた。


あれが直撃していたら―――
黒子の脳裏に僅かな一瞬で枝分かれした別の未来が浮かぶ。
小さな体は原型を留めていなかっただろう。

しかし粉塵が晴れ男の姿が露になった時、その妄想は跡形も無く吹き飛んだ。

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:15:00.34 ID:05pn8HxA0

粉塵の中から現れた、人型の『何か』。

体の表面はゴツゴツしており、筋肉らしきものが大きく浮き出ており、
首から胸元と肘から先が赤い毛で覆われている。

指先には鋭い爪。
山羊の頭に巨大な角。
目から溢れている赤い光。

体の回りを黒い霧のような物がまとわり付いており、
そこから透かして見える奥の風景は絶えず揺らいでいる。

さっきの男と結びつくのは左腕が無いという点のみだった。

異形の化物は数刻前にも見た。
だが目の前の『それ』は明らかに異質だ。

ズゥ!!!っと凄まじい威圧感と恐怖が黒子の体に圧し掛かる。
『それ』を見た黒子は何も考えられず、体も完全に硬直した。
『逃げる』という事すら考え付かなかった。

296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:16:34.81 ID:05pn8HxA0

『ゴートリング』。
十字教では『バフォメット』と呼ばれる大悪魔の種族。
高等悪魔の中でもさらに上位の存在。

黒子の体を固く縛る。
生命としての本能よりもさらに深淵―――魂の恐怖が。

が、突如聞こえた叫びが彼女を深淵の闇から呼び戻す。

「あぁぁあああぁあぁあああぁあああ!!!」

僅かに意識が戻る。
テレポートをしようと思う程の余裕は無かった。
地面を思いっきり蹴り、無我夢中でその場を離れる。


と同時に
バキンッ!!と大気を切り裂く音が響く。

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:26:21.10 ID:05pn8HxA0

『アレ』はヤバイ
何なのかわからないけどとにかくヤバイ

殺らなきゃ 
殺られる

魂の叫びが御坂を突き動かし、防衛本能が爆発する。

「あぁぁあああぁあぁあああぁあああ!!!」

雄叫びを上げながら、
『化物』へ特大の電撃の槍をフルパワーで叩き込む。

「らぁぁあああああああ!!!」

とてつもない威力の電撃を立て続けに何発も叩き込んでいく。
辺りのアスファルトやコンクリートの壁がみるみる形を変えていく。

『化物』はその中を臆することなく猛烈な速度で正面から突進してくる。

真正面。外すことは無い。全弾当たり続ける。
当たるたびに僅かにひるみ、速度が落ちてる事からして効いているようだった。
だが『化物』は止まらなかった。

そして御坂の目の前まで接近してきた。

瞬間、御坂は電磁力を使って後方へ15m程飛ぶ。
とそれと同時に一瞬前まで彼女が居た場所に『化物』の拳が振り下ろされ、
ドンッ!!とアスファルトの地面を大きくめくり上げた。

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:28:26.68 ID:05pn8HxA0

「(近距離はヤバイ!!!!)」

飛び散った破片が彼女の電気シールドに遮られ、
バチンッバチンッと火花を散らす。

御坂は電撃を放ちながら、
そのまま後ろへ高速で下がり30m程距離をあける。


離れる御坂を追わずに、『化物』はその場で腕を畳み姿勢を低し
空手の中段突きのようにグッと構えた。

御坂にもわかる。
恐らく何らかの遠距離攻撃を放つつもりだ。

彼女の予想は当たっていたが、その攻撃の仕方は予想を遥かに超えていた。

『化物』は空へ拳を放つ。
爆発的な衝撃波を伴いながら、黒い『何か』が御坂へ突き進む。

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:30:09.05 ID:05pn8HxA0

『化物』と御坂の距離は30m。

目では確認できない程の速度で何かが接近してくる。
放たれた黒い『何か』を御坂はレーダーで感知し、
体を右に飛ばしてギリギリの所でかわす。

先ほどまで御坂の体があった空間を黒い棒のような物が貫いた。
衝撃波に耐えながら御坂はようやくその黒い棒を目で確認する。

それは『化物』から30m以上も延びている。

「(なッ!!?腕!!?)」


『化物』は腕を伸ばしたのである。

そしてその腕は更なる攻撃を加える為、
ギュンッっと鞭のようにしなりはじめた。

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:31:06.76 ID:05pn8HxA0

長さ30mもの腕が、
まるで怒り狂った大蛇が筒の中で暴れるかのように、狭い路地の中を左右上下に激しくうねる。

ガンッ!!ズンッ!!ドンッ!!っと両脇の壁・地面をえぐり、
巨大な溝を次々と刻んでいく。
一撃でも当たれば即死。

御坂はレーダーと電磁力による移動を駆使してギリギリの所をよけていく。
電撃で応戦する余裕は無い。

地形は縦に伸びる、幅が狭い路地。

『化物』は肉体を駆使して近距離で戦うタイプ。
ならば遠中距離戦を得意とする御坂は一定の距離を保ちつつ、
一つの面のみに弾幕を張れば一方的に攻撃を加えられる。

だがその地形による優勢はいまや崩壊し、逆に仇となっていた。

いつまでもよけてはいられない。
回避の限界点がもう目の前にまで迫っている。


だが彼女はレベル5。
この程度では追い詰められることは無い。

足元の地面が軋み盛り上がる。
それは彼女が仕込んだ、とある策の準備が整った合図。

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:32:56.71 ID:05pn8HxA0

「(もう良いわね)」

「(もうちょっと集めたいけど、そろそろこっちが限界だわ)」

御坂の次の手が発動した。

御坂の足元が大きく盛り上がり、そこから黒い砂のような物が一気に噴出す。
それは彼女が時間をかけ、広範囲の地中から集めた砂鉄。
どこからとも無くマンホールの蓋や、鉄製のガラクタも飛んでくる。

大量に集められた鉄がベキベキベキッと音を立てながら圧縮され、長さ5m太さ60cmはある二本の巨大な柱を形成した。

通常の剣サイズなら彼女は一瞬で精製できる。
だがその程度では、アスファルトをクッキーのように簡単に叩き割る『化物』に
傷をつける事は心もとない。

かといっていつかの時のようにレールがあるわけでもないし、ビルの重量を支える鉄骨を抜き取るわけにも行かない。

だから彼女は時間をかけ、広範囲の地中から大量の砂鉄を集めた。


御坂「(電撃で決定打を与えられないのなら!!)」
御坂「(物理的に叩き潰すまでよ!!)」

315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:34:15.50 ID:05pn8HxA0

能力によって爆発的に加速された二本の鉄槌が、
学園都市のシェルターすらブチ抜く程の破壊力を持って、

うねる『化物』の腕と正面から激突した。

ゴッキィィィインッ!!と金属の衝突音。

衝撃で二本の鉄槌の先端が潰れるが、
『化物』の腕も大きく弾かれ、壁へめり込んだ。


すぐさまその黒い鞭は再び攻撃にうつるもことごとく二本の鉄槌が防ぐ。
激突により二本の鉄槌は潰れ破片が飛び散るも、
能力によって一瞬にして再生する。

そして鞭を避ける必要の無くなった御坂は再び『化物』の本体へ
連続して牽制の電撃を放つ。


御坂が10数回、鉄槌で鞭による攻撃を防いだところで、
『化物』は無駄と判断したのか、腕を縮め元の長さに戻した。

御坂も体制を立て直すため一旦電撃を辞め少し後ろに下がる。

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:37:14.66 ID:05pn8HxA0

数秒間の沈黙。
お互いが睨み合う。


御坂はその間にレーダー・シールド・鉄槌等の演算を最適化し、
再チェックしバグを排除して整える。

「(…いけるッ!!)」

御坂の心には幾分か余裕が生まれていた。

その御坂に呼応するかのように、
『化物』のまわりにまとわりつく黒い揺らぎが濃くなり、
禍々しい威圧感がよりいっそう強くなった。

「(さて…どう切り崩すか…)」

321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:38:27.45 ID:05pn8HxA0

スカートのポケットの中にある小さな金属の円盤を意識する。
彼女の最大の切り札。
ただそれの使用には多くの演算と力が必要になる。
必然的にレーダー・シールド・鉄槌の稼働率が大幅に下がる諸刃の刃。

あの速さで動く相手にそんな大きな隙を見せるわけにはいかない。
となると、どうにかして相手にも大きな隙を作らせ、
それに重ねるしかない。


「(電撃で無理なら)」

コレ
「(鉄槌でぶっ飛ばす)」

攻撃を防げたし、弾けた。
ならば『化物』本体にも効果はあるはず。
そのまま倒せても良し、ひるんでる間に切り札もぶち込める。

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:40:59.75 ID:05pn8HxA0

ではどうやって鉄槌を叩き込む?
加速させ飛ばすか?

一本だけだと確実にかわされる。
当てるなら二本同時に放ち、回避先を押さえるしかない。

だがそれでもかわされる危険性がある。
そして外れた鉄槌をこちらに引き戻す前に距離を詰められてしまう。
それじゃあどのみち追い込まれる。

となると近距離戦。
外れても即座に鉄槌を引き戻せる。

危険性は格段に上がるが、
勝てる可能性も確実に上がる。

御坂は腹を括る。

「おッしゃあああああ!!」

その雄叫びが再開の合図となった。

『化物』と少女はお互いをめがけて一気に飛び出す。

326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:42:50.12 ID:05pn8HxA0

距離は6m。

先に攻撃を放ったのは御坂だった。
鉄槌を加速させ『化物』の頭上へ振り下ろす。

『化物』は右前方へ半歩動きかわす。
ドッゴォアアン!!っと鉄槌が地面に突き刺さる。

『化物』は勢い殺さずそのまま黒い右腕を御坂の顔めがけて振るう。
しかしもう一本の鉄槌が二人の間に割り込む。

ゴッリィィィィィンッ!!と鉄槌に強烈な一撃が食い込み、辺りに鉄の破片が飛び散る。
御坂は散弾となった破片をシールドで防ぎつつ、
『化物』の後ろの地面に刺さってる、先ほどかわされた鉄槌を引き抜く。

そして『化物』の後頭部めがけて飛ばす。

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:44:44.15 ID:05pn8HxA0

が、『化物』は姿勢を低くしそれもかわす。

ゴォンッ!!っと盾にしていた鉄槌に、かわされた鉄槌がぶつかる。

御坂「らぁッ!!」

御坂はとまどうことも無く、かわされた鉄槌を下に居る『化物』へ向かってそのまま落とす。

同時に『化物』は頭部の上へ右手をかざし防御体制をとりながら、
左足で御坂の腹部を蹴り上げようとする。

御坂もそれに反応し、『化物』の上に鉄槌を落としながら、
盾として使っているもう一本の鉄槌も操作して蹴りを防ぐために移動させる。

ゴォンッ!!!と内臓を揺さぶる程重い衝突音が二つかさなる。

328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:47:00.31 ID:05pn8HxA0

高速で落ちてくる鉄槌を防ぎ弾いた『化物』の右手の黒い霧が衝撃で剥げ、
恐らく血であろう赤い液体が飛び散る。

『化物』の蹴りが直撃した盾の鉄槌はおおきく『く』の字に曲がる。
御坂は自ら後ろへ飛びその衝撃を吸収する。

御坂「(なんて蹴りなの…!!)」

繰り出されるのは察知しやすいが、その欠点を簡単に補うほどの圧倒的な威力だった。
あの蹴りが連発されると鉄槌の再生が追いつかず耐えられない。

『化物』は負傷した右腕に見向きもせずそのまま飛び出し、
こんどは右足でとび蹴りを繰り出す。

御坂「…!!」

再生しきってない鉄槌を間に移動させる。

バギイィィィン!!っと轟音が響き、鉄槌が切断された。

『化物』は盾を失った御坂へそのまま右手を繰り出す。
が、ギリギリのところでもう一本の鉄槌が間に入る。

ゴリィンッ!!!と鉄槌に爪痕が刻まれる。

幸いにも『化物』に落とした方の鉄槌は御坂側に弾かれていたため、
すぐに引き戻すことができたのである。

332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:54:41.99 ID:05pn8HxA0

御坂は先ほど二つに折られた鉄槌を繋げないでそのまま使う。

「(なら!これはどうよっ?!)」

一つずつ『化物』の左右に移動させ、そして加速させて放った。

一つ目は右腕で防げる。
だが二つ目は、左腕が無い『化物』は移動してかわさなければならない。
移動するということは蹴りを放つのは難しい。
もし放たれたとしても無理な体勢からでは威力は激減する。

そして御坂は三発目として盾の鉄槌を前に突き出す。
前に出すだけなら、もし反撃されてもそのまま盾として使える。

だが結果は御坂の予想しないものになった。

『化物』は左右からの攻撃を無視したのである。

ゴキベキッ!!っと『化物』の体に鉄槌の欠片が両側からめり込み、赤い液体が辺りに散るが、
かまわず『化物』は前に出て、非の打ち所が無い完璧な蹴りを繰り出した。

バギィィィィィン!!っと今度は一撃で鉄槌が割られる。

御坂「!!!!」

咄嗟に電撃を放ちながら下がる。
その瞬間、御坂がいた空間が『化物』の右腕で
ゴウンッ!!と横になぎ払われた。

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:56:14.75 ID:05pn8HxA0

電撃を叩き込みながら御坂はそのまま後ろへ飛ぶ。

御坂「(マズイ!!どうする!!?)」

だが次の策を考える暇は無かった。

『化物』は真横へ飛んで電撃を避け、
そしてビルの壁面を蹴って一気に距離を詰めてきた。

御坂「ッ!!!」

『化物』は宙で身を捻り足を振り下ろす。

御坂「…ヤバッ……!!!」

御坂は電撃を放つのを辞め、
全ての演算を『跳躍』へ集中させ、おもいっきり後方へ体を飛ばす。

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:58:11.50 ID:05pn8HxA0

先端が音速に達するほどの蹴りが仰け反る御坂の目の前の空間を縦に割った。

その蹴りによって生まれた衝撃波に
髪の一部が巻き込まれ切断された。
僅かに回避が遅れていたら彼女の顔面がそぎ落とされていただろう。


振り落とされた足は地面を叩き割り、大量の破片が飛び散る。
全ての力を回避の跳躍にまわしていた為、
シールドが無い彼女に大量の破片が襲い掛かる。

御坂「あ゛あ゛ッ!!!」

すぐにシールドを復活させたものの防ぎきれなかった破片がわき腹にめり込む。

後方へそのまま吹き飛ばされる。

338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 01:59:23.10 ID:05pn8HxA0

なんとか宙で体制を立て直し、地面に叩きつけられるのを免れる。
一気に嫌な汗が吹き出る。
呼吸に合わせて激痛が体中を跳ね回る。

御坂「あ゛ぁ…はぁ゛ッ…!!」

わき腹に手をやる。
どうやら腹を引き裂かれたわけではないらしい。

だがかなり強くうち付けた。

高速で動き、10億ボルトの電撃を放ち、巨大な鉄槌をあやつる彼女でも、
肉体そのものは普通の女子中学生である。

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:01:30.33 ID:05pn8HxA0

『人間』

エコーのかかったような低い声が脳内に直接響いてきた。
恐らくあの『化物』の声。
だがそれに返答する余裕はなかった。
心臓はマシンガンのように鼓を刻んでいる。

最高出力の電撃を連続で放ち、
最高強度のシールドを張り、
大量の鉄を操作し、
高速で移動し、
通常の感覚はほとんど使わずに能力によるレーダーをフル稼動。

その演算のとてつもない負荷による疲労が、この一撃で一気に溢れ出てきた。
彼女の意識は朦朧としている。

342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:02:34.77 ID:05pn8HxA0

『お前は強い』

頭の中に声が響く。


『名は?』


声を絞り出す。
スカートのポケットへ手を入れながら。

御坂「…御坂…御坂美琴…レベル5第三位…」

『覚えておこう』

御坂「ついでに…もう一つの名前も…」

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:03:53.91 ID:05pn8HxA0

スカートのポケットから手を出す。

御坂「いや…直接その体で体験しなさい」

そしてその手を『化物』へ向ける。
その指先にはゲームセンターのコイン。

化物は油断している。
今なら。

レーダーを照準の為の前面のみに絞り、
他の力はすべて切る。

距離は15m。
外さない。


覚えておきなさい―――


『超電磁砲』よ―――


何かを察知したのか、『化物』はすぐに少女へ正面から突進する。

同時に彼女の手から矢が放たれた―――

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:06:33.64 ID:05pn8HxA0

キュドッ!!!っと彼女の指先から音速の三倍もの速度で光の矢が放たれる。

その衝撃波が激闘で穴だらけになった路地の地面全体を更にえぐる。

そして光の矢は『化物』の胸へ直撃した。

ズッッッドォォアアアアアッ!!!!っと大気が大きく震える。


大量の粉塵が辺りを覆い、視界を遮る。


そして静寂。


御坂「…はぁ…はぁ…はぁ…」

少女の呼吸音のみ。



だが。

349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:08:00.09 ID:05pn8HxA0

だがまだだ。

御坂のレーダーが反応している。

『アレ』があの粉塵の向こうでまだ立っている。

その静寂が切り裂かれる。
粉塵の向こうから。

ヴォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!!!っと
この世のものとは思えない咆哮が響いた。

『化物』が粉塵の中からゆらりと出てくる。

胸にはサッカーボール大の大穴が開き、向こう側が見えていた。
全身も衝撃のせいか、ただれている。

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:09:05.55 ID:05pn8HxA0

御坂「全く…しっぶといわね!…なんで生きてるのよ…!」
わき腹を押さえながら叫ぶ。

この激痛ではさっきまでのような激しい接近戦は耐えられそうもない。

ならばもう一発。
もうかわされる心配などしてる余裕は無い。
奴もかなり負傷している。
きっと当てれる。
そう信じて全てを賭けるしかない。


『…あれは…nkjhhauのkjiiiajhbか…? kaajibxx見せてみろ…』

あの『化物』の声。
先ほどとは違いノイズのようなものが混ざってる。

351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:11:00.31 ID:05pn8HxA0

意味は正確には分からなかったが、拾えたワードのみで勝手に解釈し答える。

御坂「…見せてあげるわよ。…だけど…あと一度しかやらないからね。」

それが合っていたのかはわからない。

だが『化物』はそれに答えるかのように少女へ向かって飛び出す。
その速度は最早先ほどとは比べ物にならないくらい遅く、
目だけでも簡単に補足できた。

進んで来る『化物』へコインをもった手を向ける。
狙いは頭部。
赤い目の間。


限界まで引き寄せる。

御坂「よく見てなさい」

御坂「これが『超電磁砲』よ―――。」

両者の距離が3mになった時。

2発目の破壊の矢が『化物』の額めがけて放たれた。

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:12:21.27 ID:05pn8HxA0

3mという至近距離で、
『化物』の額に音速の三倍でコインが直撃する。

『化物』は後方へ吹き飛ばされながら大きくのけぞり、
仰向けのまま地面へ落下した。

貫通したコインがそのまま突き進み後ろで粉塵を巻き上げた。


そして。


『化物』の頭部が完全に消失していた。
ピクリとも動かない。

御坂「…勝った…?」

するといきなりバキン!と石が割れるような音がした。

御坂「!?」

353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:14:26.78 ID:05pn8HxA0

咄嗟に身構える。
よく見ると『化物』の体が徐々に白くなり、ヒビが入っていった。

御坂「…?」

そしてヒビが全体を覆い、『化物』の体が粉々に砕ける。
さらにその破片も砂になり、どこからとも無く吹いた風に巻かれ消えた。

『化物』の痕跡が完全に消え、徹底的に破壊された路地に御坂一人が取り残された。


御坂「勝った…あたし…勝ったんだ…」


緊張が解け、重要な事を思い出す。


御坂「…そういえば…!!黒子ッ!!?」

356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:16:13.02 ID:05pn8HxA0

御坂「黒子ーッ!!黒子ーッ!!!」
御坂「(ま、まさか巻き込まれてたりしてないでしょうね!!?)」

黒子「お姉さま…?」

ツインテールの少女がひょっこり物陰から出てきた。

御坂「黒子…!黒子!!大丈夫!!!?」

黒子「お、お姉さま…う゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

走りながら号泣し、そのまま御坂の胸へ飛び込んだ。

黒子「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」

御坂「よしよしっ大丈夫だからね…もう終わったからね…」
優しく撫でながら囁き掛ける。

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:28:56.15 ID:05pn8HxA0

>>365小説版だと、4の時点でビアンコアンジェロ一体とほぼ互角

遠くからサイレンの音が聞こえる。
アンチスキルがこちらに急行しているのだろう。

だが今はこの少女を帰し落ち着かせるのが先決だ。
後で自分が出頭すれば良い。

御坂「さっ行きましょ。」
手を繋ぎ、優しく誘導しその場を離れ―――ようとした時―――


路地の向こうに二つの人影が―――

その目の位置に赤い光―――

369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:30:06.71 ID:05pn8HxA0

御坂「!!!?」

黒子「あ…!?」


御坂はグイッと黒子を自分の後に移動させる。
まるで怯えた園児のように黒子が御坂の背中に張り付く。

二つの人影がゆっくりと近づいてくる。
四つの赤い光が不気味に揺らいでいる。
どす黒く重い威圧感。
体の奥底の不快なざわつき。

御坂「(まさか…他にもいたなんて…!!)」

グイっとカーディガンが引っ張られる。
後ろの少女の震えが一段と激しくなった。

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:32:27.18 ID:05pn8HxA0

ウ゛ン!!っと音がし、
二つの人影が形を変えた。

さっきまでいやというほど見ていたシルエット。
二本の大きな角に筋骨隆々の逞しい体。

御坂「掴まってなさい!!!」

叫び、小さな体を一気に抱きかかえ、
電磁力を使い敵と逆の方向へ跳ぶ。


とにかく逃げなければ―――

彼女のレーダーには後方から急速に迫る二つの反応―――

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:37:42.19 ID:05pn8HxA0

ビルの壁面を駆け上がり屋上へ。
屋上から屋上へ飛び移る。

後ろからは依然二つの反応。
距離は離れるどころか徐々に縮む。

このままじゃ追いつかれる。
そしたら確実に負ける。

だがそれは絶対にできない。


黒子を支える手に力が入る。

お姫様抱っこされている黒子は御坂の首へ腕を巻き、
顔をうずめている。
小刻みな振るえが伝わってくる。

なんとしてでも―――

なんとしてでもこの子を守らなければ―――

382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:45:26.56 ID:05pn8HxA0

どうすれば逃げ切れる?
この子の今の精神状態じゃテレポートは到底不可能。

どうすれば―――

御坂の頭に一人の少年の顔が浮かぶ。

あんたなら―――どうするの?

おねがい―――

助けてよ―――



レーダーが急に反応する。
その瞬間今いる屋上が黒く長い棒で叩き割られた。

見たことがある。
あの伸びた腕。

御坂「!!!」

バランスを崩し、再びどこかの路地へ転落した。

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:46:30.86 ID:05pn8HxA0

なんとか体制を建て直し着地したものの、
同時に前後からダンッっと音が聞こえる。

目で確認するまでも無い。
追いつかれた。
そして挟まれた。

そして瞬時に前方の『化物』が両腕を大きくしならせ、
二人の少女へ振るった。

御坂の反応が遅れる。

御坂「(避けられn―――)」


「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」

384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:47:28.16 ID:05pn8HxA0

どこからともなく聞こえた叫びと同時に二人の少女の体へ何かが激突し、横へ大きく吹っ飛ばされた。
その直後にさっきまで二人が居た場所に二本の腕の鞭がドンッと振り下ろされた。

地面に叩きつけられたせいで意識が朦朧とする。

「大丈夫か!!?おい!!」

聞きなれた声。

そして

「おい!!御坂!!白井!!」

一番聞きたかった声。



御坂「…本当に来てくれた……」

385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:48:17.34 ID:05pn8HxA0

上条当麻。

幸か不幸か、
いつも究極のタイミングで登場する男。

黒子「あ、あなたは…」

御坂「はやく…逃げなきゃ…」

上条「大丈夫だ。」

御坂&黒子「…え?」

上条「あの人がいる」


ふとあの『化物』達に目をやる。
『化物』は彼女達を見ていなかった。

その赤い目は壁面の上、
ビルの屋上のへりに立つ赤いコートの男へ注がれていた。

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:49:19.60 ID:05pn8HxA0

御坂「…あの目…!!?」

『化物』と同じように、
赤いコートの男の目には赤い光。
背中には何かを背負っている。


ダンテ「ヘィ!!」

屋上からあのふざけた調子の声が響く。

ダンテ「お姫様たちは無事かい?!」

上条「ああ!!大丈夫だ!!」

ダンテ「オーケィィ じゃあそこで―――じっとしてな。」

その男はビルの壁面をとんでもない速度で駆け下りて、
御坂達の前方にいる『化物』へ突き進んだ。


御坂はその瞬間に見た。
その男の背中。
銀色の不気味に光る、身長ほどもある大剣を。

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:53:59.40 ID:05pn8HxA0

イェェェェアッハァア!!!

いかにも楽しそうな男の声。

ドズンッ!!っと強烈な蹴りの一撃を『化物』の側頭部へお見舞いする。
ベギンッ!!っと角が折れ、そのまま吹き飛ばされ壁に激突、
ドッガァァァァァァァァン!!!と大穴を開ける。

御坂達の後方にいた『化物』が、彼女達を完全に無視してダンテに向かって突進する。

ダンテは笑いながらその両手に持つ、
長さ30cmはある巨大な黒と白の二丁の拳銃を向けた。

そしてドンドンドンドン!!!とその大砲を連射する。
銃口からその破壊力を物語る巨大な砲炎と強烈な衝撃波が噴出す。

更に放たれた銃弾はその見かけを遥かに凌駕した威力を持つ。
ダンテの莫大な魔力が練り込められてる対悪魔用の弾丸。

ドバッ!!ドバッ!!っと『化物』の体に次々と巨大な穴を開けていく。
だが『化物』は止まらない。
フォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!っと咆哮しながら怯むことなく突き進む。


ダンテ「Ha-ha!!C'mon!!!」

391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:55:24.03 ID:05pn8HxA0

ついにダンテの目の前にまで到達した『化物』は、御坂を散々苦しめたその蹴りを放つ。

が、ダンテもホァ!!!っとカンフーのように叫んでそれに蹴りを重ねる。
二体の悪魔の蹴りが交差する。

ゴバァッ!!!っと地面が激突の衝撃で大きく抉れる。


そして『化物』の膝から先が千切とぶ。


ダンテはォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛っと呻く『化物』の腹をそのまま真上へ蹴り上げる。
左足を無くした『化物』は宙を舞う。


その『化物』が最期に見た光景は真下から向けられる巨大な銃口―――

そしてその向こうに見える薄ら笑いの顔―――

パチっと軽くウインク。

ダンテ「"Adios,Amigo"」

次の瞬間、破魔の銃弾の雨を浴びた『化物』は粉々になった。

395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 02:58:55.87 ID:05pn8HxA0

先に蹴り飛ばされた『化物』は再び向き直ると、ダンテへ向けて鞭の腕を放った。

ダンテは右手の銃を腰にしまい、背中の大剣へ手をまわす。
そして迫ってくる腕に向けて下から剣を振り上げた。

ダンテ「Drive!!!」

その瞬間ダンテの剣先から赤い衝撃波のようなものが射出された。

ゾリィィンッ!!と化物の腕が切断される。

赤い衝撃波はそれだけでは止まらず、後方のビルへ食い込み、
ドッゴォォオアアア!!!!と巨大な縦に長い穴を刻んだ。

ダンテ「…huh…」

明らかにちょっと強すぎだ。

ン゛ォ゛ォ゛ォ゛っと腕を切断された『化物』が呻く。

ダンテ「What's up!? Baby!! Ha-ha!!」

屈みながら両手でパンパンと軽く拍手し、まるで子犬を呼んでいるかのように挑発する。
『化物』はもう一方の腕を伸ばし、ダンテへ振るう。

だがダンテは軽く跳躍してそれをかわす。
そしてその腕の上へトンッ着地した。

400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:08:52.98 ID:05pn8HxA0

は? という声が化物から聞こえてきそうだった。

御坂たちにもわかった。
あの『化物』は目の前の光景に驚愕している。

『化物』は振り下ろそうと腕を振り回す。

だがダンテはハッハァ!!ヘィ!!!と何やら喚きながらその腕の上で華麗なステップを刻む。
そしてその腕の上にドサっと寝そべって背伸びをし始めた。

『化物』はその腕を一気に上に振り上げた。

ダンテの体が真上に飛ばされる。
だが焦ることも無くニヤニヤしている。

ダンテは宙で身を捻り再び大剣を手に取る。
そして一気に『化物』の頭へ振り下ろした。

ン゛ン゛ッッッッッッッッハァ!!!

キィィィィィン!!!っと甲高い金属音。
ズバァ!!っと先よりも一段と大きな余波が地面を割った。

頭頂部から股まで綺麗に縦一筋、文字通り『化物』は一刀両断された。
左右均等に割れた体は地面に倒れる前に、ボロボロと割れ粉となって風と消えた。

ダンテは額に指二本を当てて、敬礼のような動作をした。

ダンテ「Good Night Baby」

405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:11:26.33 ID:05pn8HxA0

何?なんなの?何がどうなってるの?―――

御坂は目の前で起こった事が理解できなかった。

あれ程苦戦した『化物』を二体、
あの赤いコートの銀髪の男が瞬く間に倒した。
軽くながすような余裕を持って。

明らかに遊んでいた。

その男は何やら英語でブツブツ良いながらゆっくりとこちらに来る。


御坂は知らず知らずのうちに、隣にいる上条の腕をギュッと掴んでいた。

上条「…大丈夫だ。」

その上条の声と同時に、あの男の目から赤い光が消え、
どす黒い威圧感も嘘のように消えていた。

406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:13:30.85 ID:05pn8HxA0

ダンテ「よう また会ったな」

御坂「…ええ…」

黒子「…あなたは…!」

御坂の背中に張り付きながら黒子が強い口調で言う。


「ダンテェェェ!!とうまぁー!!ここから降ろして欲しいんだよ!!」

ビルの上から声。

上条「あ インデックス」

ダンテ「おー 忘れてた」

407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:15:03.43 ID:05pn8HxA0

御坂「…で、どうやってここが…?」

上条「お前と別れた後、ダンテさんすぐに戻ってきてな。」
上条「んでそのあと三人でしばらくブラブラしてたんだが…」

上条「ダンテさんがいきなり俺ら二人を抱えて跳んだんだ」

禁書「死ぬかと思ったんだよ!!」

先ほどダンテに降ろしてもらったインデックスが喚く。


上条「なんかお前らが危ないって言われてびっくりしたよ。」

上条「そのまますっげえ速さで移動して、どっかの路地にいきなり放り込まれてこの状態にっと」

御坂「そう…な、なんというか…ありがと…」

408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:16:22.72 ID:05pn8HxA0

上条「俺じゃなくてダンテさんに言っt」

ダンテ「痒い」
そう言いながらダンテは肩を竦める。

上条「そうか…ってか白井大丈夫か?」

上条は御坂の後ろの少女に目をやる。
ダンテの姿を見たせいか、いつもの調子に戻りつつあるようだ。

黒子「も、もちろんですの!」

幾分かは落ち着きを取り戻している。
震えも止まっている。

ダンテ「そういえばさすがは3、一人倒したんだな」

御坂「ええ…まあねっ」
御坂「聞いて良いかしら?あの『化物』達はなんなの?」

ダンテ「ああ、あれは『ゴートリング』っていう悪m―――」

途中で上条の視線を感じる。

ダンテ「…まあそういう獣だ。」

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:20:14.76 ID:05pn8HxA0

御坂「ねえ、一体何が起こってるの?」

上条「…いや…もう終わったんだよ。ほ、ほら今ので!もう解決したぜ!」

御坂「本当のこと言ってよ…お願い」

そこで思わぬところから支援が来る。

禁書「とうま、短髪のことをおもうなら教えておいたほうがいいかも。」

ダンテ「一理あるな。お嬢ちゃん達は向こうの奴を一人殺してるんだぜ」
ダンテ「『あの子達は関係ありません』ってつって『はいそうですか』って退くような連中じゃあない」

ダンテ「必ず狙われるぜ」

上条「…!!」


『あの子達』

そのワードが御坂の心に響く。
そう、彼女と後ろにいる小さな少女の二人の事。

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:21:39.05 ID:05pn8HxA0

上条は状況を簡単に説明した。

外部からとんでもない力を持った者たちが学園都市に侵入し、
大量の化物を引き連れてなにやら危険な事をするつもりだと。
それは人類全体の危機に繋がると。

標的がインデックスという事と、
相手が悪魔という事はうまく濁した。

ダンテ「お嬢ちゃんが倒した奴や、さっきの二人は偵察に来た斥候だ」

御坂「まだまだ本番はこれからって事ね…」

ダンテ「イェア。」

御坂「いいわ、あたしも戦うわ」

上条「ダメだ」

御坂「何でよ!?こんな事態なのに黙ってられるわけないでしょ!!大体アンタだけをそんな危k」

上条「御坂」

上条はまくし立てる少女を強い口調で制す。


上条「お前が前に出たら、誰が白井を守るんだ?」

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:23:41.51 ID:05pn8HxA0

御坂「……!」

御坂のカーディガンを掴む、後ろの小さい手の力が強くなった。

上条「御坂。白井を守るんだ。」
上条「心配するな。今回は俺は何もしないさ。」

御坂「…」

上条「ダンテさんがやってくれる」
上条「見ただろ?あの強さ。俺達なんかがいくと逆に足手まといになるぜ。」

上条「上条さんもインデックスを守って大人しく隠れていますよ。」

禁書「とうま…」

御坂「…ええ」

普段の御坂ならその言葉に嫉妬しただろうが、
この時は素直に従う。
あたりまえだ。

黒子を一人にする訳にはいかない。

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:25:12.86 ID:05pn8HxA0

御坂「わかったわ。」
御坂「約束よ。アンタはその子を必ず守り抜く。私は黒子を必ず守り抜く。」

上条「ああ。約束する。」

御坂は知らない。
上条にとってその約束がどれ程困難なものかを。

インデックスを守る。
つまりそれは騒乱の中心、最前線に立つ事。

だが上条は約束を破る気はさらさら無い。

上条「必ず守ってみせる。」

その言葉はむしろ自分自身へ向けて放ったものだった。

416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:26:51.30 ID:05pn8HxA0

ダンテ「…なあ」

他4人「?」

ダンテ「言いにくいがよ、多分すぐ殺されちまうぜ」

上条「…なっ!?」

御坂「…」
御坂は否定しない。
先の『化物』が複数体きたらとてもじゃないが勝てる気がしない。

ダンテ「だがらお嬢ちゃん。こいつを貸してやる」

ダンテは腰から何かを取り出す。

御坂「…!!」

それは先ほどダンテが使っていた巨大な銃の黒い方。

423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:38:20.24 ID:05pn8HxA0

ダンテ「『エボニー』だ。反動はまあ能力で何とかしな」
ダンテ「好きに使え。ちょっとくらい無茶したってビクともしねえ」

禁書「エボニー&アイボリー!!」
禁書「伝説の霊装製作者ニール=ゴールドスタインの遺作にして最高傑作!!」
禁書「ニール=ゴールドスタインは現代火器と魔術の融合霊装製作の第一人者なんだよ!!」

御坂「魔術? れいそう?」

上条「つ、つまりとにかく凄い銃ってことだ」

御坂「そう…よね」

先ほどのダンテの戦いを思い出しながら御坂は答える。

御坂「うん、ありがたくいたd」


御坂は受け取―――ろうとしたが


御坂「重ぉぉぉぉッ!!!何よコレ!?」

427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:42:47.50 ID:05pn8HxA0

両手で何とか支える。
正確には分からないが、
先ほど抱えていた黒子と同じくらいの重量を感じる。

御坂「こ、これ、電子機器とか使ってるッ?」

ダンテ「いんや」

御坂「そう、なら―――」

電磁力を利用して持ち上げる。
フワッと一気に重量感が無くなる。
重すぎず、かつ存在感がある扱いやすい軽さまで調節する。

御坂「っと、大体このくらいね。」

ダンテ「へぇ、便利だなその力」

428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:45:14.37 ID:05pn8HxA0

御坂「…でもあたし銃の使い方とか良くわからないんだけど。」
御坂「反動は能力で銃を抑えればいいけど。(照準もレーダーと組み合わせれば問題ないわね)」

ダンテ「なあに、ただ引き金を引けば良い」

御坂「その…弾とはかはどうするの?切れたらまた入れなおさなきゃダメなんでしょ?」

ダンテ「残弾の心配は無いぜ。自動召喚で勝手に補充される」

禁書「こんなにシンプルかつ高性能の召喚術式は見たこと無いんだよ!!」

御坂「…? まあ弾の心配は無いって事ね」

上条「俺の右手で触らないほう良いっぽいな。」

ダンテ「いんやあ、特に問題ない。その時は普通にマガジンを換えればいい。」
とりあえず持っとけっと三本の弾倉をどこからか取り出し御坂に渡す。

御坂「ありがたく頂いておくわね」

ダンテ「貸すだけだぜ。事が終わったら返してもらうぜ。」

御坂「…わかったわ。」

430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:48:29.82 ID:05pn8HxA0

御坂「じゃあ…あたしは黒子と一緒に戻るわ。」

上条「おう。気をつけろよ」

御坂「アンタもね。それと…頼むわよ」

ダンテ「任せな。」

御坂「さあ、黒子行きましょ」
黒子と手を繋ぐ。

黒子「はいですの」

二人の少女が路地から離れ、雑踏の中へ消えていった。

上条「…」

禁書「とうま?どうしたの?」

上条「確かにダンテさん強いけどさ、一人だとやっぱきつくないか?向こうは大人数なんだろ?」

ダンテ「イギリスから俺達の増援が来るぞ」

上条「イギリスって…もしかして必要悪の教会か?!」

ダンテ「俺の相棒と一緒にな。イギリスは全面的に協力するらしいぜ。聖人のサムライガールや赤毛の坊やも来るそうだ」

上条「神裂…とステイルか…?とにかくいい知らせじゃねえか!!!いつ到着するんだ!?」

ダンテ「あと43分だ」

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:51:04.21 ID:05pn8HxA0

―――
とある空の上の機内

五和「うぅ…」

建宮「これは…こたえるのよな…」

彼らは学園都市へ向かう航空機に乗っている。
7000km/hオーバーというとんでもない速度を誇る学園都市製の超音速旅客機。
乗り心地はお世辞でも良いとはいえない。
慣れない者にしてみればちょっとした拷問だ。

機内に居る天草式の52人それぞれが声にならない呻きを発する。

建宮「あと…どれくらいで到着なんだ?」

インカムで機長に問う。

機長「学園都市到着は40分後です」

建宮「うへぁ」

横の五和は限界点に達したのか、

五和「…おしぼりです…それは…おしぼりです…」

っとなにやらうわ言を呟いている。

436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:53:26.70 ID:05pn8HxA0

超音速旅客機の貨物エリア。

ここに神崎火織、ステイル=マグヌス、シェリー=クロムウェル、そしてトリッシュがいた。


ステイル「これならどうだい?」

ノートに描いた試作の術式を見せる。

シェリー「これじゃ体ごとぶっ飛ぶぞ。もっと抑えなきゃダメだ。ここのルーンどうにかなんないか?…あ゛ぁ〜…」

ステイル「ここのルーンは外せないよ。こっちのなら…」

ステイルは『イフリート』使用の為の術式をシェリーと共に考えている。
ステイルは何度もこの超音速旅客機に乗っている為平然としているが、
慣れていないシェリーは若干顔色が悪い。

トリッシュは小さい輸送用のケースに座り、
その長い足を組みながら寝ている。

その後ろで神裂火織は荷物を漁っていた。

439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 03:56:00.60 ID:05pn8HxA0

戦いへ向けてもう一度七天七刀の手入れをしようと
打ち粉や拭い紙が入っているポーチを探していたのである。

っと、その時あるものを見つける。

ふぎゃぁぁぁぁ!!っと思わず声を上げる。

ステイル「どうしたんだい?」

シェリー「うっせえな。なんだその乳鷲掴みにされた様な声は。」

神裂「…!い、いえ、なんでもありません!」

それは見慣れたダンボール箱。

神裂「(な、なんでこれがここに!!?)」

中を見るまでもない。
何が入っているかは知っている。

―――
441 名前:兄貴の時間[]:2010/02/28(日) 03:59:12.73 ID:05pn8HxA0

―――
とある魔界のどこか


空は完全な漆黒。
だが辺りはぼんやりと明るい。

あたり一面には血のような赤い液体。
深さは10cm程。
ところどころに白亜の瓦礫の山、
そして壊れた柱が立っている。

見渡す限り延々とその光景が続いていた。


柱の一つには男は寄りかかっていた。
目を閉じ、静かに瞑想している。

青いコートを羽織り、銀髪のを後ろになで付けている。
左手には長い日本刀。

『閻魔刀』。

つい最近まで別の者がその『閻魔刀』を所持していたが、
この銀髪の男が復活した際に召喚し、呼び戻したのである。

446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:03:50.39 ID:05pn8HxA0

魔界の深淵。
そこには彼のみ。
周りには誰もいない。

一見すると人間に見える。

魔界では通常見られない姿である。
そしてここは魔界の中でも最深部。

魔界の住人の悪魔でさえ滅多に来る事の無い、
悪魔の亡骸と血が最後に行き着く地獄の釜の底。


魔界の構造は人間界とはかけ離れている。

果ての無い広大な層がいくつも無限に重なっている。
面積を測ることは不可能である。

かつて魔帝ムンドゥスは最上層を自ら『作り』、
そこに玉座を据えて魔界を統べていた。

だがある者が魔帝を引き摺り下ろし、その玉座を破壊した。

ダンテ。

伝説の魔剣士スパーダの息子。

彼の弟。

448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:05:32.53 ID:05pn8HxA0

感覚を研ぎ澄ます。

魔界の動向を意識する。

彼は感じた。

魔帝軍の大量の悪魔達が人間界へ向けて移動を始めた。

「…」

パチっと目を開く。

時間だ。

ズウッ!!と目の前の空間に漆黒の穴が出現した。
青いコートの男はゆっくりと歩きながらその穴へ進む。

穴は人間界、学園都市へ繋がっている。

男はその穴の中へ消えていった。


450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:06:54.82 ID:05pn8HxA0

―――

学園都市 とある路上

通りを杖を突きながら白髪の少年が歩く。
左手にはコンビニの袋。

彼はとある少女と久しぶりに会う為に、とあるマンションへ向かっていた。

「めンどくせェ」

すごく会いたがってる。駄々をこねてヤバイ。さっさと顔を出せ。と、
その少女の面倒を見る黄泉川に催促されて『渋々』(本人はそのつもり)来たのである。

453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:09:49.09 ID:05pn8HxA0

prrrr

マンションの入り口へいざ入ろうとした時、携帯が鳴った。

「あン? なンだ?」

『仕事だぜい』

「チッ」

『今回はかなりの大仕事だ』

「緊急か?」

『そうだ』

「…わァッたよ クソッ」

携帯を耳に当てながら、彼を待っている少女が居るであろう階を見上げる。

『今そっちに向かってる』

「俺もそッちに向かうから途中で拾え」

455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:11:23.92 ID:05pn8HxA0

『…』

「何ダマッてやがンだ?」

『いや。なんでもないにゃー』

携帯をしまい早歩きでマンションの入り口へ向かう。
そして左手に持っていたコンビニの袋を、
とある部屋の番号が刻まれたポストへ乱暴に突っ込んだ。

「ワリィな」

そう呟くと踵を返し、来た道を戻っていった。

ポストに無造作に突っ込まれたコンビニの袋。
その中はいつものコーヒーではなく、子供向けの菓子が入ってあった。


457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:13:55.19 ID:05pn8HxA0

―――


学園都市から少し離れた場所。

とあるビルの屋上に、学園都市を眺めている青年がいた。

銀髪に青いコート、その下には赤いベストを着た、やや幼さが残っている青年の男。
背中には巨大な金属製のケース。
そのケースにはフォルトゥナ魔剣騎士団の赤い紋章が刻まれている。

魔剣騎士、ネロ。

ネロ「はは、随分とでけえお祭りになるみてえだな」

ネロ「…」

青年は自分の右手に目をやる。
どう見ても人間の手ではないそれを。

彼は二年前にダンテから『閻魔刀』を授かり、
この右手に吸収して収納していた。

だが半年前から、その『閻魔刀』が取り出せなくなっていた。

そしてその時から奇妙な感覚がある。

この右手が誰か別の者と繋がっているような。

458 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:15:25.33 ID:05pn8HxA0

その繋がっている『向こう側』の誰かが勝手に『閻魔刀』を引き出して使っている。

今までの彼なら普通にブチきれているだろう。
彼と彼の最愛の女性の恩人であるダンテから預かった大事な物を、
勝手に使われるとなっちゃ黙っていられるわけが無い。

だがなぜか悪い気がしない。

むしろ妙に懐かしくて穏やかな気分だ。

ネロ「…」

ダンテとの話し合いでその件は様子見することになった。
少し彼は嬉しかった。
このぬくもりは悪くない。

それに今は別にやる事がある。

459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 04:16:39.99 ID:05pn8HxA0

『ボルヴェルク』。

やはり奴は学園都市へ来る魔帝軍に加わっているらしい。

彼の最愛の女性を危険に晒した悪魔。

奴をぶっ殺す。
奴の頭をこの右手で握りつぶす。

ネロ「待ってなクソ野郎」

そう呟くと、
青年はビルを飛び降り学園都市へ向かって歩を進めた。


―――

第一章 おわり

496 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 11:56:31.06 ID:05pn8HxA0

―――

ダンテ「で、そっちはどうだ?」

トリッシュ『順調よ』

ダンテ「…」

トリッシュ『なに?なんかあるの?』

ダンテ「ガキのお守りは飽きた」

トリッシュ『イギリス清教がくるまで我慢しなさい』

ダンテ「わぁったよ」

トリッシュ『あとネロも来るみたい』

ダンテ「つーことは『ボルヴェルク』の野郎、やっぱり来やがるのか」

499 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 11:58:42.65 ID:05pn8HxA0

トリッシュ『それともう一人』

ダンテ「まだなんか来るのか?」

トリッシュ『わかるでしょ』

ダンテ「あ〜…」

トリッシュ『バージル』
トリッシュ『やっぱりあなたも感づいてたわね。どう思う?』

ダンテ「さあ。確かなのは観光目的じゃねえって事だな」

トリッシュ『彼が狙いそうなのはいくつかあるけど』
トリッシュ『禁書目録の中にあるフォルトゥナの術式とか、あと今私のところにある「スパーダ」とか』

500 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:00:45.16 ID:05pn8HxA0

ダンテ「…」

トリッシュ『もしかしたらあなたに会いに来たのかもね』

ダンテ「ハッ」

トリッシュ『あなた、人の家庭事情に首突っ込むなってよく言うでしょ?』
トリッシュ『だからなんかあったらよろしくね。バージルの事。任せるわよ』
トリッシュ『もし戦り合うことになったら、まともにアレと戦えるのあなたしかいないからね』

ダンテ「へいへい」

やはりバージルも来る。
少し嫌だ。

会話を終わらせ、黒い石を乱暴にポケットに放り込む。
そして少年と少女を待たせているファミレスへ向かう。

―――
501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:02:52.20 ID:05pn8HxA0

―――

上条・インデックス、そして戻ってきたダンテはとあるファミレスにいた。


禁書「まだかな♪まだかな♪」

彼ら三人は先ほどLサイズのピザ三枚頼んだ。

上条「ダンテさん、さっきもピザ食べてなかったか?」

ダンテ「まあな」

上条「ピザ好きなのか?」

       
ダンテ「ああ」

ダンテ「ピザとストロベリーサンデーと酒が無い世界は地獄だ」

上条「(…なんかどっかで聞いたことのあるようなフレーズだな)」

503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:05:19.59 ID:05pn8HxA0

上条「ダンテさん…聞いていいか?」

ダンテ「なんだ?」

上条「ダンテさんが使ってた剣、…普通の剣じゃないよな?」

今、ダンテはギターケースに剣を入れている。
抜き身のまま背負うわけにもいかない。

ダンテ「まあな」

上条「もしかして…それも『魔剣』ってやつか?」

ダンテ「ああ」

禁書「『リベリオン』。かつてスパーダが作り出した『魔剣』の一つだよ」
禁書「『スパーダ』、『閻魔刀』とこの『リベリオン』が魔剣の中でも最強の三本なんだよ」

上条「そんなすげえ物なのか…俺が右手で触ったら…やっぱやばいよな?壊れたりするんだろ?」

禁書「壊れないし、別に力を失ったりもしないよ」

上条「そうなのか?」

禁書「『魔剣』っていうのは意思と魂を持つ生命体の一つだから」

504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:06:50.63 ID:05pn8HxA0

上条「せ、生命体?つまり生きてるのか?」

禁書「うーん、まずとうまには霊装と魔具の違いから説明するんだよ」
禁書「霊装は、形を神聖なものに似せたり術式を組み込んだりした物で、
禁書「霊装その物の材質は人間界のただの金属や材木なの」

上条「だから俺の右手で触れば術式とかが効果を無くしてただのガラクタになるんだよな」

禁書「そう。でも魔具は違うの。魔具にも色々種類があるんだけど、」
禁書「基本的に全て魔界で精製、もしくは魔界のもので作られてるの」
禁書「例えば悪魔が姿を変えて武器になったりとか、」
禁書「そうでないものも魔界の金属生命体が材料になってたりするの」

上条「それで『生きている』ってことなのか」

禁書「そう。とうまの右手でも魂は消せないし、その生き物が持つ本来の力は消せないでしょ」
禁書「例えば聖人の力とかも」

上条「なんとなく…わかってきたぞ…」


506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:09:32.39 ID:05pn8HxA0

禁書「魔具が作り出した間接的な攻撃、例えば火とかは魔力を使う魔術の一種だからとうまの右手で消せるけど、」
禁書「魔具のもつ直接の破壊力は無効化できないんだよ」

上条「なるほど…火を纏ったチェーンソウってところかな?」
上条「火は消せてもチェーンソウ自体は止められないっていう」

禁書「そう。これは魔具だけじゃなく、通常の悪魔の攻撃にもいえることだよ」
禁書「さっきダンテや短髪が戦った悪魔は、肉体を駆使した直接的な攻撃をするタイプだから、」
禁書「とうまの右手は一切効き目が無いよ」

上条「そういえば…あいつら普通に腕でコンクリぶち割ってたしな…」

禁書「他にも魔具には恐ろしい点があるの」

上条「まだあるのか?」

禁書「霊装も術式とかで魔術的な力で攻撃するけど、基本的に結局は物理ダメージでしょ?」
禁書「でも魔具にはそれとは別に、魂へもダメージを加えるの」

上条「魂のダメージ?※」

※魂のダメージ=DMCのゲーム内でのライフ。体力。

508 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:11:17.13 ID:05pn8HxA0

禁書「魔具のもつ魂の力を使って、相手の魂を削るの」
禁書「これは悪魔の攻撃にもあるんだよ」
禁書「魔界特有の攻撃方法なんだよ」

上条「…良くわかりません…」

禁書「例えば物理的な破壊力が低くても、その魂への攻撃が強ければ相手を傷一つ負わせずに殺せるの」

上条「つまり…その魂への攻撃が強ければ指先で突っついただけで殺せるのか?」

禁書「理論上ではね。基本的にそれに比例して物理的な破壊力も高くなるけど」

上条「それじゃあ無駄なんじゃないか?物理的な破壊力だけで充分じゃないのか?」

禁書「普通の悪魔の戦いなら特に必要ないんだけどね」
禁書「下等の悪魔なら、肉体の損壊に耐えられずにそのまま死んじゃうけど、」
禁書「大悪魔となると別なの。魂の力が莫大だから体をいくら破壊してもほとんど効果が無いんだよ」
禁書「だから魂を直接削る攻撃が必要なの」

上条「そういえばさっきダンテさんも頭半分なくなったのにピンピンしてたのも…」

禁書「普通の武器じゃ大悪魔にダメージを与えるのは不可能なんだよ」

509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:15:33.73 ID:05pn8HxA0

上条「…そうか…」

禁書「ところでとうま」

上条「なんだ?」

禁書「まだこないんだよ…ピザ…」

上条「…はあ…お前って奴は…待ってなよ。そろそろ来ると思うから」

ダンテ「ああ、来たぜ」

上条「?」
上条は店内を見渡すが、ピザを持っている店員はいない。

上条「?来てないみたいだぞ?」

ダンテ「いんや」

さっきまで空腹でしきりに体をもぞもぞさせていたインデックスが急に固まる。

禁書「…き、来たかも…」

ダンテ「そーら、『お客さん』だぜ」

その時、辺りが急に暗くなった。


511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:17:45.07 ID:05pn8HxA0

―――

窓の無いビル

アレイスター「(はじまったか…予定よりも3時間以上はやいな)」

アレイスター「(イギリス清教の増援も未到着)」

アレイスター「(例の件の準備も整って無い)」

アレイスター「…」

prrrr
ガチャ

『お呼びでしょうか?』

アレイスター「第一級警報発令。」

アレイスター「状態はデフコン1、市民の避難を開始。」
アレイスター「それと、至急ラストオーダーを保護しろ。」

『了解』ブツッ

アレイスター「…少々…まずいな…」

―――

512 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:19:25.21 ID:05pn8HxA0

時刻は昼の二時。
天気は快晴だった。

一分前までは。

今は辺りが薄闇につつまれている。

その暗さは何かがおかしい。

店内に置かれているメニューの字は簡単に読めるのに、
まるで完全な暗闇にいるような感覚。

上条「な、なんなんだ!?」

ダンテ「奴らさ。学園都市に魔界を『重ね』やがった。」

突如、
ウウウウウウウウウウウウウウ!!!っとけたたましくサイレンが鳴り響いた。

513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:21:13.89 ID:05pn8HxA0

街頭のスピーカーから機械的な声がしている。


第一級警報及び第一級戦時態勢が発令されました―――

市民の皆さんはアンチスキル及びジャッジメントの指示に従い―――

最寄のシェルターへ迅速に避難してください―――


上条「や、やばいんじゃねえのか?!」

店内の客が半ばパニックになりかけながら出口へ殺到している。

ダンテ「まあな」

禁書「とうま…」

上条「ど、どうする?!俺達もシェルターに避難したほういいのか?!」

ダンテ「奴らにとっちゃシェルターなんぞダンボール箱と同じさ。」

上条「じゃ、じゃあどうするんだ!?」

ダンテ「もう少しここにいようぜ」

―――

520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:37:34.88 ID:05pn8HxA0

―――

学園都市 とある路上

打ち止めと芳川は、シェルターへ向かう人の流れに身を任せていた。

アンチスキルやジャッジメントの的確な指示のおかげか、
市民は比較的落ち着いている。

黄泉川は先ほど緊急に召集された。
今頃どこかで市民を誘導しているだろう。

打ち止めは一方通行が置いていった、
菓子が詰まったコンビニの袋を大事そうに胸に抱いている。

打ち止め「あの人どこいっちゃったのかな?ってミサカはミサカは心配で心を痛めてみる…」

芳川「大丈夫、彼もきっとどこかに避難してるわよ」

その言葉は気休めにもならない根拠の無い言葉だということを芳川は自覚していた。

一方通行はマンションの入り口まで来たにもかかわらず、結局顔を見せなかった。
そしてこの事態。

関係ないわけが無い。
彼女もかつて学園都市の闇にいたからわかる。
あの少年は学園都市側の最大戦力の一人である。

恐らく動員されたのであろう。

521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:42:40.16 ID:05pn8HxA0

その時、後ろから芳川に声がかかった。

「芳川桔梗か?」

振り向くとそこには黒いスーツを着た屈強な男が三人。
一目でわかる。
一般市民じゃない。

「ラストオーダーを保護する」

芳川はああっと納得する。
重要な個体だけもっと安全な場所に移すのだろう。

「ラストオーダーは『どこ』だ?」

芳川「?」

『どこ』?彼らは打ち止めがどのような姿なのかを知らないのか?

芳川「打ち止めならこk―――」

横にいる少女に目をやるが

芳川「!!!?」

いなかった。


辺りを見回すが、見慣れたアホ毛の少女の姿はどこにもなかった。
―――

524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:44:46.77 ID:05pn8HxA0

とある路上に停められた、バンの中


バンの中に『グループ』の四人がいた。

結標「…信じられない話ね」

土御門「でもそれが現実に起ころうとしてるんだにゃー」

海原「しょうがないですよ。魔術師の僕でさえ信じられないような話ですからね」

土御門「とにかくだ、奴らを止めないと人類の危機ってことだぜよ」

一方通行はそのやりとりを黙って聞いていた。
学園都市に悪魔の大軍が侵入。
魔帝とやらの復活。

それはあの少女の『世界』が破壊されるということ。
そしてその子本人にも危険が及ぶということ。

一方通行「(ふざけンな)」

525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:47:24.38 ID:05pn8HxA0

一方通行「悪魔だがなンだが知ったこッちゃねェ。皆殺しだ」

土御門「当然だ」

結標「ええ」

海原「もちろんです」

四人それぞれに守らなければいけないものがある。
例え自らの命を失ってでも。

土御門「じゃあ、行くぜよ」

結標「…あなたは残ったほうがいいんじゃない?」

土御門「…それ、俺が使えないって意味か?」

一方通行「テメェは残れ。情報を集めて全体の状況を把握しろ」

土御門「…わかったぜよ。じゃあほら、お前らはさっさと行け」」

三人がバンから離れ、薄闇の街へ消えていった。

土御門「(確かに…さすがの俺でも今回はきついにゃー)」

prrrrr

土御門「お」

528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:50:53.36 ID:05pn8HxA0

プツッ

土御門「なんだ?」

『土御門』

土御門「…アレイスター?わざわざ電話とは珍しいぜよ」

『ラストオーダーと第一位を連れてこい』

土御門「……はい?」

『急げ。この二人が学園都市側の要になる』

土御門「ま、まて、話が良くわからないんだが?」

『策があるということだ。それにはあの二人が必要なのだ。最優先で探せ』ブツッ



土御門「…なんか面倒なことになりそうだにゃ…」

―――
529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:54:05.04 ID:05pn8HxA0

―――

上条達三人はとあるファミレスにいた。

店内はもちろん、通りも無人だ。
辺りは夜の様に暗くなっており、しんと静まり返っている。

禁書「……」

上条「…で、どうするんだ?」

ダンテ「いくつか選択肢があるぜ」

上条「?」

ダンテ「一つ目」

ダンテ「俺が魔帝軍を狩りに行く」

上条「…それは…!?」

ダンテ「そうだ。お前らが無防備になっちまう」

530 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:55:17.25 ID:05pn8HxA0

ダンテ「二つ目」

ダンテは腰から巨大な白い銃を取り出し、

ダンテ「これは一番簡単な解決方法だぜ。」

銃口をインデックスに向け―――

ダンテ「そのおチビちゃんのキュートな頭をブチ抜く―――」




上条&禁書「へ?」


引き金を引いた―――

531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 12:57:14.95 ID:05pn8HxA0

ドンッ!!っと鼓膜が破れそうな大音響。
上条は反射的に目を瞑ってしまう。

上条「インデックス!!!!?」

禁書「ほぁ…あ…」

インデックスは固まっているが生きている。
どうやら銃弾は当たっていないらしい。

上条「お、おぃ!!!何を―――」

バリィィィィン!!ドダン!!っと上条の後ろでガラスが割れるような音がし、それに続いて何か重い物が落ちる音。

上条が驚き振り向くと、そこには巨大なトカゲのような化物が悶えながら倒れていた。
腕には何かの結晶でできたような巨大な爪が生えていた。

『フロスト』と呼ばれる魔帝軍の精兵である。
氷を操る悪魔。

ダンテ「で、これが三つ目だ―――」

ダンテ「交代が来るまでガキのお守りをする―――」

534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:10:42.09 ID:05pn8HxA0

ダンテ「伏せてな」
その声を聞いて上条とインデックスは咄嗟に机の下に潜る。

バキィィィン!!とガラスを割るような音とともに何体もフロストが店内に現れる。

ダンテ「Ha!!!!! Let's party!!!!」

その声を合図に、周りのフロスト達が一斉にダンテへ飛び掛った。

後方の一体がその長い氷の爪をダンテの頭へ突き立てる。
ダンテは頭を僅かに傾けただけでそれをかわし、右手でカウンターを叩き込んだ。

ドギン!!!っと鈍い轟音と共にフロストが大きく吹っ飛ばされる。

左右から一体ずつフロストが接近する。

ダンテ「Ha!!」

足を大きく開き、左右二体の顔面に同時に蹴りを加える。
ゴギン!!!と二重に音が響き、左の一体は大きく吹っ飛ばされた。
だが右の一体は顔をわざと仰け反らせて衝撃を緩和し、そのまま至近距離から再度爪を振るってきた。

ダンテ「(相変わらず芸がこまけえぜ!)」

ダンテはその爪を右手でいなし、左手の白い銃『アイボリー』を至近距離からフロストの顔面めがけてぶっ放した。

535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:12:23.21 ID:05pn8HxA0

バキィィィン!!!っと氷でできた兜のようなものに直撃する。
そのままフロストは後方に吹っ飛ばされたが、空中でするりと体勢を立て直して着地した。

ダンテの放った銃弾によって氷の防具は割れていたものの、すぐにパキパキ音を立てながら再生していった。

ダンテ「(やっぱしぶといなこいつら)」


ダンテはふとフロストの攻撃をいなした右手を見る。
パリッっと見事に凍っていた。

ダンテ「hmmm.....」

まじまじと眺める。
そして何やら閃いたようにニヤリと笑う。

ダンテ「いいねぇ。氷対決としゃれこもうじゃねえか」


ダンテ「CERBERUS!!!!!」


その叫びと同時に、
どこからともなく青いヌンチャクが飛んできてダンテの足元の床に突き刺さった。

547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:43:16.26 ID:05pn8HxA0

そのヌンチャクはケルベロス。
ダンテの使い魔の一つ。

ダンテはそのヌンチャクを足に引っ掛け、蹴り上げて床から引き抜き宙に放り上げる。

右手でキャッチし、そのままぶん回す。
左手に持ちかえて、そして足に引っ掛けて更に振り回す。
一通りの演舞を終えて最後に決めのポーズをする。

ダンテ「さぁて!ワンちゃん!久々にパーっとやろうぜ!!!」

フロスト達が四方から一斉に飛び掛る。

HoooooAAA!!!!

ダンテはその場でケルベロスを右手、左手と交互に持ち変えながら凄まじい速度でぶん回した。

ガギギギギギギン!!!っと衝突音と共にフロスト達の氷の甲冑がはげる。

ダンテ「Chew on this!!!」

そう叫びダンテはケルベロスを地面に突き刺す。

それと同時に前方のを割って巨大な氷柱が突き出てくる。

バギィィィィン!!!っと前方の二体のフロストが下から突き上げられ、
店内の天井をブチ破って階上へ叩き込まれた。

549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:46:43.28 ID:05pn8HxA0

そして今度は左側のフロストへ向くと、凄まじい速度でヌンチャクの乱撃を加える。

HA! Huh! HoAAAAAA!!!

最後に軽く飛び上がり、空中で体を駒のように回転させる。
ジャリィィィィ!!!!っとヌンチャクが3m近くまで伸び、そのままダンテの回転に合わせて風車のように周囲をなぎ払った。

店内の床、天井が紙細工のように破壊されていく。

そして着地と同時に思いっきり伸びたヌンチャクを叩き付けた。
その乱撃を食らったフロストはそのまま悶えながら倒れ、溶けるように消滅した。

ダンテ「Ha! Too easy!」

これで店内にいるフロストは全部片付けた。
ふと外に目をやると、薄闇の中に10体ほど見える。

ダンテ「ハッハ〜♪」

心底嬉しそうな顔をしながら、店のドアを蹴破って外に飛び出していった。

―――
551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:52:00.71 ID:05pn8HxA0

―――
上条はテーブルの下に潜りインデックスを抱えている。

ダンテは先ほど ここから動くな と言うと、
どこからとも無く現れ店内に侵入してきたトカゲのような悪魔達と戦い始めた。

ダンテの掛け声、銃声、悪魔の叫び声が連続して聞こえる。

戦いの場は外に移ったようだが、ドン!!!ガン!!!っととてつもない衝撃がこの店を地震のように揺らしていた。

天井や壁の破片が落ちてくる音が絶え間なく続く。

インデックスは上条の服をギュッと握り締め、彼の胸に顔をうずめている。

上条「大丈夫だ…大丈夫」

「Freeeeeeze!!!!!」

一際大きいダンテの叫びが聞こえそれと同時に今まで以上の轟音と振動が彼らを襲った。

鼓膜が破れそうになる。

店が崩れそうだった。
いや、厳密に言うと既に半壊しているのだが。

上条「…」

そうしている内に店内は静かになった。

552 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:53:59.45 ID:05pn8HxA0

上条「…ダンテさん?」

テーブルの下から動かずに呟く。
耳をすませる。

上条「誰も…いない?」

とその時
ドンッ!!と巨大なトカゲのような足が目の前に着地した。
衝撃でタイルが割れ、三本の爪が床にめり込んでいる。

上条「…!!!」

禁書「と、とう…!!」

バッとインデックスの口を手で覆う。
彼らはテーブルの下にいるため、
そのトカゲのような悪魔の脛から下しか見えない。

フーッ、フーッと呼吸音であろう音が聞こえる。

553 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:55:44.22 ID:05pn8HxA0

その足は向きをかえ、ドンッドンッと地響きを立てながら店の奥へ向かっていった。

上条「(…!俺達を探しているのか…?!)」

上条「(ま、まさか、ダンテさんやられたのか…?!)」

上条「(ど、どうする…?!)」

抱えているインデックスの方を見る。
インデックスは心配そうな瞳で上条を見つめている。

上条「(とにかくこのままじゃ見つかる!!!)」

上条「(隙を見つけて逃げるしかない!!)」

上条は ここにいろ とインデックスに手で伝えると、
ゆっくりとテーブルの下から顔を出す。

上条「(いない…な)」
恐る恐る見渡す。

テーブルの下で縮こまってるインデックスを呼ぼうとした時

ガリっと真上から音がした。
ゆっくりと上を見上げると。

天井にあのトカゲの悪魔が張り付き、赤い瞳で彼を真っ直ぐ見ていた。

555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 13:58:26.49 ID:05pn8HxA0

ズンッ!!っと上条が動く間もなくその悪魔は彼の目の前に着地した。
その衝撃で上条は尻餅をつく。

禁書「とうまぁ!!!」

上条「来るなインデックス!!!」

やばい―――やばい―――

トカゲの悪魔はググっと上条の顔を覗き込んだ。
虚ろな二つの赤い目が彼を見つめている。

禁書「とうまぁ!!とうまぁああ!!」

後ろから少女の叫び声が聞こえる。

上条「おぁああああああ!!」
渾身の力を込めて、目の前の悪魔の顔面を蹴り上げる。

ゴッ!!と鈍い音がする。

556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:00:41.39 ID:05pn8HxA0

上条「痛ッ…!!!」

まるで鉄の塊を蹴ったような感触。
そして足が焼けるような痛み。

靴の裏がその一瞬の接触だけで白く凍っていた。

悪魔は微動だにしていない。
体表なのか防具かわからない甲羅上のものの隙間から赤い目が彼を睨む。

禁書「と、とうま!!」
インデックスは上条へ向けて駆け出す。

上条「バカッ…!!来るn―――」

その時だった。

ギャリィィイン!!っとその悪魔の頭を後ろから何かが貫いた。

558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:02:28.38 ID:05pn8HxA0

上条「…!!?」

それは銀色に輝く剣。

「動くなと言っただろう」

低い声が続く。

「聞き分けの悪い子は―――」

「たっぷりとお仕置きだぜ―――」

上条「ダンテさん!!」

禁書「ダンテェ!!」

562 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:08:14.24 ID:05pn8HxA0

頭を貫かれ、悪魔はギギ…と呻く。
ダンテはそのまま剣で2m以上あろう悪魔の巨体をぶん回し、
床に叩き付けた。

ゴバン!!!っとめり込む。
顔面を貫いていた剣はその衝撃で、悪魔の頭を真っ二つに裂いていた。

しかしその状態でもまだ生きており、起き上がろうと腕を動かしている。

が、ダンテは悪魔の体を踏みつけて押さえ、

ダンテ「おねんねしな」

というとドンドンドン!!っと至近距離から銃を撃ち込んだ。
ビチャビチャと辺りに白い液体と悪魔の肉片が飛び散った。

563 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:09:18.69 ID:05pn8HxA0

上条「ダンテさん!!良かった!!」

禁書「どこいってたの?!遅いんだよ!」

ダンテ「ここを離れるぞ」

ダンテ「ついてきな」


三人は店の外に出る。
上条は外の惨状に驚愕した。

何もかもが破壊されていた。

周囲のビルは崩れ、道路は抉れ、辺り一帯を氷が覆っていた。
そして一際目立つのは直径30m程のクレーター。
その表面も氷で覆われている。

そのクレーターはダンテの大技、ケルベロスの『Ice Age』によるものだった。

この街の破壊は9割方ダンテのせいだ。

566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:11:09.17 ID:05pn8HxA0

耳を澄ますと、既に無人の街の静寂は壊されていた。
どこか遠くから銃声と何かの破壊音、
そして人ならざる者の咆哮が聞こえる。

上条「街中に…あのトカゲの悪魔が現れてるのか?」

ダンテ「かもな」

禁書「あれは『フロスト』。かつて魔帝が人間界侵攻の為に創造した精鋭の兵士達なんだよ」

ダンテ「普通の人間にとっちゃ結構キツイだろうがな」

上条「…なんとかして止めないと…!」

ダンテ「止めるさ。だがまずイギリス清教の連中と合流してからだ」

上条「どうやって合流するんだ?」

ダンテ「向こうがこっちに来るさ」

―――
568 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:13:23.19 ID:05pn8HxA0

―――


神裂を先頭にステイル、シェリー、そして天草式の52人が無人となった街を突き進む。

彼らは23区の空港に到着した途端、
機体の壁を内側から破壊しそのまま飛び降りて上条らの下へ向かっていた。

トリッシュはその時に別れを言うことも無くいつの間にか姿を消していた。

どうやらトリッシュが渡してくれた黒い石には対称の追跡能力もあるらしく、
ステイルのポケットの中で、ググッと動いて方角を示してくれる。

彼らは先ほど第七区に入った。

ステイル「このまま真っ直ぐ!!」

辺りにはバラバラになった学園都市最新の駆動鎧があちこちに転がっていた。
駆動鎧の残骸の割れ目から赤い液体がドロドロと溢れている。

むせかえるような血の匂い。

570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:14:39.17 ID:05pn8HxA0

五和「これは…アビニョンに現れた…」

走りながら呟く。

ステイル「学園都市の兵だね。ここの部隊は全滅したようだ」

神裂「…」

建宮「ま、前!!」

その言葉と同時に、彼らの前方の地面に複数の黒い円が浮かび上がった。

神裂「このまま突破します!!」

ヴンッ!!とその円の中から2mはあろうトカゲのような悪魔達が姿を現した。

571 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:16:07.30 ID:05pn8HxA0

トカゲのような悪魔は氷でできた鎧で急所を守っている。
そして手の先には氷でできた巨大な爪。

悪魔の一体がその氷の爪を猛烈な速さで飛ばして来た。

神裂「ッ!」

持っていた七天七刀で弾く。

ガギィン!!!ッと神裂の手に予想外の感覚と衝撃が走る。

神裂「(固ッ…!!)」

まるで金属の塊のような感触。
弾かれたその氷の爪は砕けることなくアスファルトの地面に深く刺さっていた。

神裂「(普通の氷では無いみたいですね。それとも魔界の氷は鋼鉄並みの強度が当たり前なのでしょうか)」

573 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:17:35.24 ID:05pn8HxA0

神裂「天草式!!3人一組で戦いなさい!!」
体格、そして先の攻撃から判断し指示を出す。

そして神裂は前方の悪魔達へ突撃する

向こうからも悪魔の一体が彼女へ突進してくる。
悪魔は右手を振り上げ、その結晶のような巨大な爪を彼女へ振るう。

遅い―――!

確かに相手は強大な力を持った人外の魔物だったが、
今の彼女の敵では無かった。

彼女はその攻撃を難なくかわし、
すれ違いざまに聖人の力を解放し神速の居合『唯閃』を放つ。

574 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:21:27.51 ID:05pn8HxA0

キン―――

一瞬で悪魔の上半身と下半身が切り離される。
どう見てもオーバーキルである。

そのまま悪魔の群れの中へ飛び込み、次々とすれ違いざまに切り伏せていく。

ステイル「このまま突破するぞ!!」
ステイルが炎剣で悪魔達をなぎ払いながら続く。
どうやら彼の炎の攻撃はあのトカゲの悪魔には効果抜群らしい。

死神のような悪魔達が絶え間なくあちこちから湧き出てきた。
左右のビルの壁面、時には空中がガラスのように割れその中から飛び出してくる。

577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:30:49.40 ID:05pn8HxA0

前方の悪魔の群れはどんどん厚くなり、
左右後方からも悪魔の壁が押し寄せてくる。

神裂「あの死神もどきは雑魚です!!!トカゲの悪魔に注意してください!!!」

建宮「しかしキリがないのよな!!」

戦いの中で負傷したのか、額から血を流す建宮が叫ぶ。

ステイル「止まるな!!とにかく進むんだ!!」

その時、左側の悪魔の群れが一斉に距離を詰めてきた。

大半があの雑魚の死神もどきとはいえ、数が多すぎる。

神裂「…!!」

579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:32:16.93 ID:05pn8HxA0

ここで掴まり止ってしまうと完全に包囲される。
いや、すぐにでも全周防御陣形に移行しないと乱戦になり確実に死人が出る。
だがこんなところで時間を潰すわけにも行かない。

任務の為、仲間の屍の上を進むという手段もある。
だが彼ら魔術師は『軍隊』ではない。
戦闘能力は高いものの、その戦いは私情に溢れている『素人』なのである。

神裂「(どうする…!?)」

任務の遂行と仲間の命。
どちらの決意も固い。

だからなおさら天草式の指揮官は迷う。

そうしている内に左側から悪魔の津波が押し寄せてくる。
神裂は決める。

神裂「天草式!!全周防g―――!」

その時だった。

ドガガガッ!!!と目前まで迫っていた悪魔の群れが
巨大な黒い何かになぎ払われた。

585 名前:さるさん大激怒[]:2010/02/28(日) 14:54:54.88 ID:05pn8HxA0

神裂はその黒い何かを確認する。
それは7メートルは越えている巨大な悪魔。
体の左右には巨大なハンマーのような腕。

その足元にシェリーが立っていた。
右手には白のオイルパステル。

シェリー「てめえらはさっさと行け!!」

神裂「…な?!」

神裂が悪魔と思ったその巨人は、シェリーの魔術によって作り出されたゴーレムだった。
そのゴーレムの体を構成しているのは

悪魔達の死体―――

587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 14:56:44.78 ID:05pn8HxA0

シェリー「ここは任せな!!」

神裂「…で、でも…?!」

シェリー「うるせえ!!てめえら邪魔なんだよ!!巻き添えくうぞ!!」
そう言ってる間もゴーレムを操り、悪魔を群れごとなぎ払い叩き潰す。


神裂「…わかりました…!!」

神裂「…絶対死なないで下さい!!」

シェリー「いいからはやく行け!!」

神崎ら54人がその場を離れる。

悪魔の群れの一部が神崎らを追う。

シェリー「チッ!やっぱり全部引き止めることはできねえか…」

だが、彼女がここで悪魔を殺せば殺すほど神崎らを追跡する連中の数が減る。
実際にその場にいた悪魔の内七割がここに残っている。


590 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:00:30.79 ID:05pn8HxA0

悪魔達は一旦攻撃をやめ、彼女とゴーレムの包囲を固めている。
両脇のビルの壁面、屋上にも大量の悪魔。
ざっと100体はいるだろうか。
無数のおぞましい視線を感じる。

シェリー「最高だろ?『エリス』」

傍らに立つゴーレムへ語りかける。

今までのよりも一回りも二回りも体が大きい。
そして力は何十倍にも増していた。

悪魔の血、悪魔の怨念、悪魔の魂、悪魔の亡骸で作られたゴーレム=エリスは、
今や真の『魔像』となっていた。

592 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:03:23.96 ID:05pn8HxA0

>>589すまん にゃんこは今のところ未定


莫大な魔力がゴーレムに蓄えられる。

ゴギゴギッ!とゴーレム=エリスの背中からもう一対の腕が生える。
そしてその計四本の腕が更に巨大化する。

シェリー「てめえらが死ねば死ぬほど、『エリス』は強くなる」

シェリー「オラ、さっさと来いよ。何ボケッとしてやがる。居眠りでもしてんのか?」


シェリー「なんなら―――」

シェリーの声にあわせ、ゴーレム=エリスがその巨大な腕を振り上げる。

シェリー「叩き起こしてやるよ―――!!」

―――


ダンテ「学園都市か」3(本編 対魔帝編)





posted by JOY at 14:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 禁書クロスSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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