2010年08月15日

ダンテ「学園都市か」3(本編 対魔帝編)

593 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:05:05.41 ID:05pn8HxA0

―――

ドンドンドン!!!と黒い巨大な銃が火を噴く。

死神もどきの悪魔達が一発でバラバラになる。

御坂「(とんでもないわね!!この銃!!)」

御坂は周囲へ電気を帯びた破魔の弾丸をばら撒く。

別の方向では、
ゾンッ!!!と悪魔の頭が消滅し、バスケットボール大の瓦礫と入れ替わる。

黒子「さすがお姉さまですわ!!」

御坂「黒子もやるじゃないの!さっきとは大違いね!」

黒子「舐めてもらっては困りますの!!」
黒子も吹っ切れたようで、この緊張感をどこか楽しんでいる節がある。

594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:07:02.11 ID:05pn8HxA0

御坂「…大体こんなもんね」

辺りを見回す。動く者の気配は無い。

黒子「もうこの辺りにはいないようですの」

御坂「移動しましょ。まだまだやり足り無いわ」

黒子「…お姉さまがどんどんダークサイドに堕ちていく気がしますの」

御坂「アンタも充分ダークサイドに堕ちてると思うけど」

黒子「この白井黒子!!お姉さまとならどこまでもご一緒しますのよォォォォ!!」

いきなり黒子はとびつく。

御坂「ちょっと…!!離れなさい!!!」

黒子「お姉さまぁあぁぁぁ!!!うへへぅ゛ぐふぁああう゛へえ゛え゛へへへへ!!!」

その時、後ろから急に声がかかった。
「お姉様?、ってミサカはミサカはお姉様に変な趣味が無いかちょっと心配しながら声をかけるの!」

御坂「え?」

黒子「へべ?」

595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:10:43.50 ID:05pn8HxA0

黒子「ほぉぉ、ほぉおああ、ほぉぉぉぉぉぉぉぉああああああああ!まぁまぁまぁ!!!まぁまぁまぁまぁ!!!まぁまぁまぁ!!!」
黒子「なぁぁぁぁんて可愛らしい子ですの!!!!まるで小さなお姉様ッ!!!!」

我を忘れて黒子はその小さな少女に飛び付こうとしたが御坂に羽交い絞めにされる。
打ち止めは突然の状況に顔を引きつらせる。

御坂「落ち着きなさい!!!落ち着けぇええ!!!」
そのまま電気を流し込んだ。

黒子「う゛へぁっ!!!」

御坂「あたしの妹よ」

髪が少し縮れている黒子に説明する。

黒子「なるほど…妹さまがいらしたのですね…それにしてもやはりお姉さまの血族」
黒子「その遺伝子の素晴らしさが体中から溢れ出ておりますの…」

打ち止め「いたらぬお姉様がお世話になってます!!、ってミサカはミサカはペコリと礼をしてみたり!」

黒子「ほあああ!!!黒子は!黒子はぁぁぁぁ!!!」

御坂「黒子それ以上近づいたらアフロにするわよ」

黒子「…御意ですの」

596 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:12:03.72 ID:05pn8HxA0

御坂「で、あなたはこんな所で何してるのよ!?」

打ち止め「あの人を探してるの!来るはずだったのにまたどこかに行っちゃったの…、ってミサカはミサカはあの人の心配してうな垂れるの」

御坂「あの人…?まあつまり迷子になって逃げ遅れたってわけね」
御坂「黒子。ここから一番近いシェルターは?」

黒子「第七区14番シェルターですわ」

御坂「黒子、この子をそこに放り込むわよ」

黒子「そうですわね。こんな危険な状況で連れて歩くわけにもいきませんし」

打ち止め「それはダメなの!!、ってミサカはミサカは首をふりながら断固拒否するの!!」

598 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:14:32.02 ID:05pn8HxA0

御坂「アンタ状況わかってるの?そんn」

打ち止め「あの人が危ないの!!あの人が『また』ミサカを守ろうとして戦おうとしてるの!」
打ち止め「、ってミサカはミサカは信号を確認しながら叫ぶの!」

御坂「『あの人』…?また『守る』…ってまさかアンタの探してる人って…!?」

御坂の脳裏にツンツン頭の少年の姿が浮かぶ。
打ち止めの言っている『あの人』とはその少年とは別人なのだが。

打ち止め「このままじゃあの人が死んじゃうの!!ってミサカはミサカはネットワークで手に入れた情報を確認しながら足をばたつかせるの!!」

御坂「…!いいわ、あたし達がアイツを助けるから、」

打ち止め「…始まっちゃったの…!!ってミサカはミサカはあの人の戦闘信号を確認したの!!!」

御坂「アンタはシェルターへ…ってちょっと待ちなさい!!」

打ち止めは御坂の話を聞き終わる前にどこかへ向かって駆け出した。

600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:15:59.59 ID:05pn8HxA0

御坂「黒子ォ!!!」

黒子「はいですの!!!」

黒子がテレポートし、少女の小さな体へ覆いかぶさろうとした時、

黒子「へぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

黒子の体がブスブス音を立てながら崩れ落ちた。

御坂「な、なにやってんのよ!!」

黒子「妹さまも…『電気使い』…なのですね…」

御坂「全く…!!!止まりなさい!!!こらァ!!!」

―――
602 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:19:10.20 ID:05pn8HxA0

―――

一方通行「弱ェな。悪魔ってこンなモンなのかァ?」
足元に転がったトカゲの悪魔の死体を蹴る。

当たり一帯に無数の悪魔の死体が転がっている。

海原「さあ。僕も本物を見るのは初めてですし」

結標「油断しない方良いんじゃないかしら?こいつらどう見ても雑兵っぽいし」

一方通行「チッ! さっさとでてこィやァ親玉さンよォ!!!」

海原「随分とイラついてますね」

一方通行「るせェ。テメェらが使えねェからだ」

結標「本当の事とはいえそう言われるとムカつくわね」

一方通行「ムカついてンのはこっちだ!!俺はさっさと終わらせてェんだよ!」

その時、前方に複数の赤い目が現れた。

603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 15:20:25.43 ID:05pn8HxA0

結標「さっきのよりは強そうね。」

現れたのは山羊の頭をした悪魔『ゴートリング』
四体いる。

海原「(山羊の頭…!)」

結標「先頭は私が貰うわよ」

一方通行「勝手にしな」

結標が前に出る。

結標「そうね…この車のドアなんかお似合いじゃない?」
そういうと、そばにあった壊れた車のドアが消え、
悪魔の体内に飛んで、その体を真っ二つに裂いた―――

はずだった。

611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:00:20.95 ID:05pn8HxA0

あれっ打ち止め12巻で面識なかったっけ?
『小さな打ち止めの姿を見て不機嫌になった御坂は』うんぬんってあったような気がしてた

結標「!!」

悪魔達はとんでもない速度でいきなり彼女へ向かってきたのである。
車のドアは悪魔のはるか後方に現れ音を立てて地に落ちた。

結標「(速すぎる!!座標の補足ができない!!!)」

海原「下がれ結標!!」

瞬間、悪魔の拳が振り下ろされ、地面に巨大な穴が空く。

海原「結標!!」

すると海原の背後から声がした。

結標「うっさいわね…」
彼女は悪魔の拳が直撃する寸前に飛んだのである。

一方通行「チッ やっぱ使えねェなテメエらは」

612 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:02:33.10 ID:05pn8HxA0

一方通行「さァ! きな!!」

一方通行目がけて悪魔の一体が突撃して来た。

ゴアンッ!!!っと悪魔の強烈な蹴りが直撃する。
何もかもを粉砕する破壊力をもった蹴り。

だが粉砕されたのは。
悪魔の足だった。

一方通行「ハッ!!すっげェ蹴りだなオィ!!」

ヴォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!!
っと悪魔の叫びが響く。

一方通行「次ァこっちの番だ」

一方通行は悪魔の首を掴む。
ベクトル操作により、彼の左手が万力のように悪魔の首を締め上げる。

そして右足で蹴りあげる。
バヅンッ!!!っと悪魔の腹がその衝撃で裂ける。

一方通行「なンだ、案外脆いじゃねェか」

613 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:06:41.47 ID:05pn8HxA0

残りの三体が一斉に向かってきた。

一方通行「ザコにァ用はねェンだよッ!!!」

そばに停めてあった業務用のトラックを標的へ飛ばす。
瞬間的に音速の数倍まで加速されたトラックが摩擦熱で火の玉となって、

ドッズンンンンッ!!!と悪魔の三体をまとめて叩き潰し大爆発を起こした。

結標「もう少し丁寧にできないの?いつもはもっとおとなしいじゃない」

一方通行「うるせェ。俺は今最高に機嫌ワリィんだ。」

海原「まあ良いんじゃないんですか?人間にやるような攻撃じゃびくともしなさそうでしたし」
その時、海原は脇に下げている魔道書の原典に何か違和感を感じた。

海原「(…ッ!これは…!?)」

一方通行「海原ァ。テメェも気付いたか?」

海原「…はい」

結標「何?どうしたのよ?」

614 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:09:32.30 ID:05pn8HxA0

海原の緊張を察知し、結標も辺りを見回す。

結標「…はは…私もなんとなくわかってきたわ…」

最初は特に気にするレベルではなかったし、実際彼女も気付かなかった。
だがそれは徐々に強くなり、いまは彼女の体に重く圧し掛かっている。
得体の知れない強烈な悪寒、ジリッと皮膚が焼け付くような感覚。

一方通行「はははは!!!」
一方通行「やっと来やがったみてェだなァッ!!!」

一方通行の視線を海原と結標が追う。

先ほどの一方通行の攻撃で崩れたビルの瓦礫の上に人影があった。
銀髪を後ろになで付けている。
赤い目に。青いコート。左手には日本刀。

海原「あ、あれは…!」

結標「な…な…!」

二人はその赤い瞳を見た途端、まるで心臓を手で鷲掴みにされた感覚に陥った。

一方通行「待ちくたびれたぜェ!!!」

海原「結標!!(『アレ』は次元が違う…!!)」

海原は呆然としている結標の手を強引に引き、その場を離れた。

617 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:13:09.23 ID:05pn8HxA0

一方通行は瓦礫の上の人影を睨んでいた。

一方通行は知る由はないが、この銀髪の青いコートの男の名はバージル。
ダンテの兄であり彼と双璧を成す史上最強の悪魔の一人。

一方通行「おィ!!!テメェがこのゲテモノ共の親玉か!!?」

バージル「…」

一方通行「あン?まさかそんだけ殺気撒いときながら味方ですとか言ゥんじゃねェだろうなァ!?」

バージル「…」

一方通行「聞こえなィんですかァ?!!!」

その言葉と同時に、ドッガァァァァァァッ!!!!と瓦礫の山もろともバージルを吹き飛ばす。

一方通行「あン?」

620 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:15:22.08 ID:05pn8HxA0

瓦礫の雨がやみ、爆心地が見える。
中心にバージルが先ほどと変わらずに平然と立っていた。

一方通行「(コイツ、俺みてェな自動防御でもあンのか…?)」

トンッと地面を軽く蹴る。
その瞬間周囲の無数の瓦礫がその男目がけて飛ぶ。
小石サイズから車サイズ程もある瓦礫が、急激な加速を受け摩擦熱で発光する。

ドドドドドドドドッ!!!!!と無数の光の矢の雨が男に降り注ぐ。

一方通行「チッ!」

だがその猛攻を浴びても尚、男は変わらずに平然と立っていた。
ただ黙って一方通行を鋭く冷たい目で見ている。

バージル「…」

一方通行「ハッ!!!クールなことで!!!なンならこいつはどうだァ!!?」

ベクトルを利用し体を一気に加速させバージルへ突進する。
そして左手に大気を収束させる。
空気が圧縮され発生したプラズマが彼の左手を覆う。

その左手をバージルの顔面へ叩き込む。
バヂィィィィィィィン!!!!っと炸裂し、周囲の瓦礫がプラズマの温度で形を変える。

だが。
男は素手で一方通行のその突きを正面から掴んでいた。

622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:21:43.88 ID:05pn8HxA0

一方通行「(ンだとッ!!?)」

バージルはそのまま一方通行の腹めがけて蹴りを繰り出してきた。
バギィイイン!!!っとその蹴りが自動で反射される。

一方通行「!!!?」

一方通行の能力がその蹴りのとんでもない威力を検知した。
だが彼をそれ以上に驚かせたのは。

一方通行「なンでだ…!??」

確かに驚異的な威力だったが、難なく反射した。
それなのに何故。
   
一方通行「(なンで傷一つ負ってねェ…!?)」

一方通行は悪寒を感じ、一旦後ろへ飛び距離を空ける。

623 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:26:52.40 ID:05pn8HxA0

バージルは一方通行を蹴った自分の足を見ていた。
そしてフンと鼻で笑った。

バージル「…面白いな」

一方通行「ハッ!!喋れるじゃねェか!!!」

バージル「そいつで―――これは防げるか?」

バージルは刀に手をかけた―――

一方通行の今までの実戦で培った感が叫ぶ―――
あれは避けろと―――

キィィィィンッ!!!と地面に細い線が走る。

反射的に一方通行は瞬時に横へ体を飛ばす。
僅かな時間差で彼がいた空間が縦に切り裂かれた。

625 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:30:04.42 ID:05pn8HxA0

一方通行「…な…!!」

一見、威力はそれ程でもないように見える。
だが彼はその飛んできた斬撃がどれほど異常なものかがわかった。

一方通行「(…なンなんだよこりゃァ…!!!!)」

何もエネルギーを感知できなかったのである。
大気が、地面が切断されたという痕跡のみで、
それを引き起こしたエネルギーそのものは全く感知できなかった。

いや、これは切断されたと言うより、空間自体がパカッと自然に割れたと言った方が正しいかもしれない。

かつて垣根帝督も未知の攻撃を使ってきたが、あれは未知とはいえ認識でき、最終的に演算できた。

だがこれは違う。

全く認識できない。

反射どころではない。
演算すらできない。

626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:33:27.05 ID:05pn8HxA0

一方通行「(…だが…避けられるッてンならなンとかなる!)」

そう、彼にとって反射は単なる手段の一つだ。
それが封じられたからといって彼が無力になるわけではない。
それに状況が違うとはいえ、反射が無効化される事態は経験済みだ。

彼は慌てずに反撃の手段を探す。

一方通行「(奴は恐ろしくタフだ)」

一方通行「(なら―――耐えられねェくれェの力をぶつければ良い―――)」

能力が地球の自転ベクトル捕え、彼の手へ収束させる。

一方通行「ハァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!!!!」

そしてその莫大な力が大気を押し出し―――

バージルへ向かう―――

629 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:44:00.51 ID:cn1++C2L0

帝督戦のダメージは一方さんが無意識に受け入れてるベクトルに未元物質を混ぜて偽装したからで
偽装していないただの未知の物質自体は解析とか無しで普通に反射してるから
次元斬も11次元の演算とか把握してるから反射しそう気もするが
エイワスの例もあるしどうなんだろ

634 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 16:59:52.45 ID:05pn8HxA0

>>629バージル・ダンテクラスのマジの魔剣攻撃はエイワスのと似たようなイメージ。
一見地味で小規模だけど実はとんでもなくヤバイ、ということにして下さい。
バージルの『閻魔刀』もかつて魔界の封印に使われたという、よくよく考えるとマジキチレベルの代物だし。


圧倒的な衝撃波が周囲全てをなぎ払う。ビルが吹き飛ぶ。
凄まじいエネルギーの束がバージルへ突き進む。

バージルの目つきが変わる。
先ほどとは違い、今度はしっかりと構える。

腰を低くする。
そして足を前に踏み出すと同時に

バージル「ハァッ!!!」

神速で抜刀した―――

一方通行が地球全土の『3分』を犠牲にしてまで放った攻撃が、
キンッッッ!!!!!と甲高い金属音と共に真っ二つに裂かれ、そのままかき消された。

一方通行「ウソ―――だろ―――おィ―――」

そしてその斬撃の余波が―――

一方通行の左腕を切り落とした―――

638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:03:59.44 ID:05pn8HxA0

一方通行「がァァァァァァァァァ!!!!」

切り落とされた傷口から血が噴出す。
激痛が走る。

瞬時に血管を塞ぎ痛みの信号を遮断するも、
その僅かな時間に失った血の量はかなりのものだった。

一方通行「…クソがァァァァァァァァ!!!」

無駄とわかっていながらも周囲の瓦礫を飛ばす。
当然、全く効果が無い。

タンッとバージルが軽く、かつ猛烈な速さで向かってきた。

一方通行「おァ゛ァ゛ァ゛!!!」

一方通行も向かう。

白髪の少年は周囲のあらゆるベクトルを右手に収束させ繰り出す。
がバージルはそれを難なくかわし、
すれ違いざまに抜刀し一方通行の左脇へ振るった。

再び甲高い金属音が響く。


639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:08:49.93 ID:05pn8HxA0

一方通行「ぐ…ァあ…」

物理的な部分は反射した。
だが認識できなかった刃が彼の左脇を裂いた。
肋骨は寸断され、傷は肺にも届いていた。

ベクトル操作をし、傷口から内臓が飛び出すのを防ぐ。
かわりに器官や肺、体内に溢れた血を傷口から排出する。

一方通行は膝から崩れ落ちた。
最早戦う力は残っていなかった。

一方通行「(くっそッ……なンなンだよこれァ…ふざけンな…)」

その時だった。

少し離れた前方からジャリッジャリッと何者か歩いてきた。
バージルでは無い。奴は後ろにいる。

641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:11:13.47 ID:05pn8HxA0

一方通行は顔を上げ、その第三者の姿を確認した。

一方通行「おィ…!!?」

一方通行「なンで…!!?なンでだァッ!!!?」

脇の傷など忘れその新たな来訪者へ叫ぶ。

一方通行「なンでテメエがここにいるンだァァッ!!!??」


なンで―――

なンでこのガキが―――?


一方通行「ラストオーダァアアアアア!!!!」

―――
644 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:22:05.58 ID:05pn8HxA0

―――

打ち止め「あ…あ…ミサカは…ミサカは…」

今にも泣きそうな顔で打ち止めは小刻みに震えながら近づいてくる。
手には見覚えのあるコンビニの袋をギュッと握り締めている。

一方通行「オィ!!逃げろ!!!さっさと行け!!!」

打ち止め「…あなたの傍に…いたいの…ってミサカは…ミサカは…」

一方通行「来るンじゃねェェェェェェ!!!!!」

その小さな少女の体を後ろへ吹っ飛ばした。
避けたコンビニの袋から菓子が散る。
彼が操作したため、地面へ叩きつけられること無く穏やかに着地した。

その時、別の方向で
ドンッ!!と閃光が瞬く。

電気を帯びた破魔の銃弾がバージルへ向かってきたが彼は難なくかわす。

ゴバン!!と外れた弾丸が地面を抉った。

閃光が瞬いた方向から一人の少女が飛び出してきた。
打ち止めを成長させたような顔の少女。

一方通行「(なンでテメエも―――!!?)」

647 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:27:55.08 ID:05pn8HxA0

打ち止めが今度は走りながら一方通行に駆け寄ってくる。

御坂「止まりなさい!!!!止まれぇええ!!!!!!」
御坂が叫びながら打ち止めへ向かう。

そしてバージルも動いた。

マズイ―――

このままだと打ち止めをあの刀の衝撃波が襲う。

くっそォォォォォォォォ―――!!

キィン!!!とバージルの冷酷無比な刃が振られた。

御坂と打ち止めは何かに弾き飛ばされた。
その瞬間、さっきまでいた場所の地面がスパァアン!!!と割れた。

御坂「な…!!?」

すぐに打ち止めの姿を確認する。
やや強く地面に叩きつけられたものの、ケガは擦り傷程度だった。

そしてもう一人。白髪の少年方へ目をやった。

御坂「―――!!」

白髪の少年は胸から大量の鮮血を噴き上げていた。
そしてうつ伏せに地面へ倒れこんだ。

650 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:30:49.22 ID:05pn8HxA0

血の海に横たわる一方通行を見て打ち止めが叫ぶ。

打ち止め「…いや…いやだ…!!!…いやだ…ってミサカは!!!…ミサカはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

御坂は、一方通行へ向かおうとする打ち止めの体を押さえ込む。
そして震える手でダンテから預かった銃をバージルへ向け、
絶叫しながら引き金を引いた。

御坂「ぁああああああぁぁぁああああッ!!!!」
ドンドンドンッ!!と無我夢中で連射する。

が全て軽くいなされる。

バージル「その銃…」

バージルは御坂の持っている銃を見るや、ゆっくりと近付いてきた。

651 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:33:16.88 ID:05pn8HxA0

御坂はコインを持っている左手をバージルへ向ける。

御坂「うあぁぁぁぁぁぁぁあああッ!!!」

音速の三倍で放たれたコインがバージルへ向かう。

だがその彼女の切り札も
バキィィン!!!と刀で弾かれた。

いや弾かれたというのは正確ではない。
厳密にいうと、刀でキャッチしたのである。

バージルの刀の先に、コインと先ほど放った銃弾が綺麗に並んで載っていた。
切っ先のコインと銃弾を少し見つめた後、バージルは刀を返してそれらを地面に落とした。

御坂「…そんな…」

バージルは何事も無かったようにそのまま歩いてくる。

662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:41:44.71 ID:05pn8HxA0

その時、地獄の底から響くような低い声が。

「…ン…じゃねェ…」

バージルが血溜りに突っ伏している一方通行へ目を向ける。

一方通行「…近付くンじゃねェ…」

彼は残った右手を地に突き、起き上がろうとする。

一方通行「近付くンじゃねェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!」

咆哮と共に少年の背中から黒い何かが噴出し、束となってバージルへ向かった。
バージルは瞬時に抜刀すると
バキィィィィンン!!!!とその黒い噴射物を弾いた。

バージル「…硬いな」

ジッとその黒い噴射物を見つめる。
バージルは切断しようとしたのだが、その黒い噴射物は予想以上に硬かったようだ。

バージル「…」

先とは比べ物にならない程にバージルの目が赤く輝きはじめる。
バージルの体が青く光り始める。

672 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 17:54:32.10 ID:05pn8HxA0

一方通行「オ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!」

一方通行の背から生える黒い噴射物の塊が更に巨大化し、
腰を低くして構えているバージルへ突き進む。

その速度は音速の数十倍に達する。

一方通行の正真正銘の切り札、彼の最強の攻撃。

その攻撃が当たる直前。
バージルの体が青い太陽の様に輝き、体の形がかわる。

そして真の力を解き放った。

『ハァァッッ!!!!』

エコーのかかったバージルの掛け声が響く。

その次の瞬間、青白い光の線が何重にも走った。
黒い噴射物の塊は格子状に寸断された。

バージルはすぐに魔人化を解いため、その姿を一方通行達が見ることは無かった。。

一方通行の黒い羽はザァッと消滅する。
最早一方通行には何も残っていなかった。

それでもその目はバージルを睨み、
打ち止めと御坂の方へ行かせまいと仁王立ちしている。

678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:01:32.93 ID:05pn8HxA0

バージルは余韻に浸るかのようにゆっくりと納刀し、その少年の目を見つめる。
バージルは少し驚いていた。まさか人間の子供相手に魔人化させられるとは思ってもいなかった。

とはいえ、魔人化してかなり軽く振っただけなのだが。

バージル「心配するな」

バージル「あのガキ共を殺すつもりは無い」


彼らにはそんなことはわかるわけも無いだろうが、
バージルは彼女の持つ銃に興味を持っただけで、別段殺すつもりは無かった。


それ以前に、この戦いは先に一方通行が吹っかけたもので、バージルは別に戦うつもりはなかった。

バージル「おい」

御坂を見ながら言う。

バージル「その銃、どうした?」

御坂「…あ…な…!?」
御坂「し、知り合いに貸してもらったのよ!!」

バージル「…そうか」

そっけな言葉を返すとバージルは踵を返し、破壊された街の中へ消えて言った。

680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:03:56.73 ID:05pn8HxA0

御坂「…なんなのよ…一…体…」

一気に体の力が抜け、緊張の糸が切れる。
打ち止めがゆるんだ拘束を抜け出し、依然仁王立ちしている一方通行のもとへ駆け出す。

打ち止め「もう大丈夫だよ…ね?…ってミサカはミサカはなだめてみるの」

一方通行の前へ立ち彼の右手を取る。

一方通行「…ラスト…オーダー…」

途切れ途切れの声。

一方通行「クソ…ガキ…が…」

その言葉を最後に一方通行はドッと倒れた。

御坂「ちょっと!!!」

薄れていた意識を奮い起こし、彼女も一方通行のもとへ駆け寄る。

681 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:06:59.85 ID:05pn8HxA0

一方通行は完全に意識を失っていた。

御坂「起きなさいよ!!!」

打ち止め「眠っちゃだめ!!眠っちゃだめだよ!!!ってミサカはミサカはぁぁぁぁ!!!」

御坂「起きろっつてんだよぉぉぉぉッ!!!!!」

その時二つの人影が突然目の前に現れた。

土御門、結標だ。

土御門「ッ!!!クソッタレ!!!!」

土御門はすぐに一方通行の傍へ駆け寄り、息や脈、傷を確かめる。

682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:08:50.78 ID:05pn8HxA0

御坂はそれぞれ彼らと面識があり、
なぜこの場にその二人が揃って現れたか甚だ疑問だがそんな突っ込みを入れてる場合じゃなかった。

御坂「ど、どうなのよ!!!?」

土御門「まだ生きてる!!!結標!!!」

結標「ええ!!!」

土御門は近くに落ちていた一方通行の左腕を拾い上げる。

土御門「ラストオーダー!!お前も来い!!」

打ち止め「うん!!!ってミサカはミサカは当たり前の返事をするのッ!!!」

御坂「どうなのよ!!助かるのコイツ!!?」

土御門「死なせはしねえぜよ!!!こいつにはまだやってもらんなくちゃなんねえ事があるんぜよ!!!」

そして彼らは一方通行と打ち止めを連れて、現れた時と同じようにどこかへテレポートしていった。

684 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:10:26.39 ID:05pn8HxA0

一人になった御坂は思いを巡らす。

なんで一方通行が己の身を挺してでも彼女達を守ろうとしたのか―――

御坂「いつかちゃんと訳を聞かせてもらうわよ」
御坂「もし死んだら」

一人呟く。

御坂「一万回ぶっ殺してやる。一方通行」

しばらくして彼女のルームメイトが目の前に現れた。

白井「お姉さま!!!こんな所に!!!探しましたのよ!!!」
白井「妹さまはいずこへ!??」

御坂「遅いのよ黒子ォ!!!」

御坂はそのツインテールの頭を引っ叩いた。

―――

697 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:34:13.52 ID:05pn8HxA0

飯食い終わってしまったから書き溜めしつつ復習。

ダンテ→イギリス清教が来るまでインデックス護衛。
バージル→目的は不明。魔帝軍とは一切関係なく、単独で行動中。
魔帝ムンドゥス→部下がインデックスを使って封印を解いてくれるのを待っている。
魔帝軍→インデックスを奪う為奮闘中。また敵対勢力へ妨害中。
ネロ→『ボルヴェルク』を殺すため学園都市入り。
神裂達→上条達のもとへ急行中。


702 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:42:54.53 ID:05pn8HxA0

―――

上条「おい、さっきのは一体…!?」

1kmほど離れたところからだろうか、先ほど立て続けに巨大な粉塵があがり、地響きが起こったのである。
今はそれが嘘のように不気味な静寂。

ダンテ「…」

上条「!?も、もしかして神裂達が…?!」

ダンテ「…まあ…直接聞きな」

上条「?」

ダンテ「あっちだ」
ダンテが指差した方向に人影があった。

禁書「…!!」

上条「…なッ!!!?」

その30m程のところに立っている男を見て上条達は言葉を失った。
青いコートに銀髪、左手には長い日本刀。
そしてその男の顔はダンテと瓜二つだった。

上条「な…えッ…?」

上条は傍らにいる男と、正面にいる男の顔を交互に見る。状況が全くわからない。

704 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:44:48.08 ID:05pn8HxA0

ダンテ「…よう」

バージル「…」

ダンテ「久しぶりじゃねえか」

バージル「…そうだな」

ダンテ「元気そうでなによりだ」

バージル「…」

ダンテ「復活した気分はどうだ?」

バージル「悪くは無い」

上条はダンテの横顔を見てふと気がつく。
そのいつもふざけていた顔が僅かに歪んでいた。
嬉しさと悲しさが複雑に混じった感情がかすかに見える。

上条「(…?)」

706 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:46:17.38 ID:05pn8HxA0

ダンテ「で?何しに来た?」

バージル「…」

ダンテ「あれか?俺のこと怒ってるのか?」
ダンテ「なんなら謝るぜ。」

バージル「…」

ダンテ「どうやら仲直りに来た訳でもなさそうだな」


バージル「失せろ」

バージル「禁書目録を渡せ」


ビクッとインデックスが反応し、彼女をかばうように上条が身構える。



ダンテ「…へえ…お前もか…」

707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:47:40.15 ID:05pn8HxA0

ダンテ「で、禁書目録で何するんだ?」

バージル「貴様と戦うつもりはない。失せろ」

ダンテ「おいおい訳ぐらい教えてくれたっていいだろ」

バージル「三度は言わない」

ダンテ「…断る」

バージル「…そうか…」



数十秒間の沈黙。

ダンテが背中の剣へ手をかけながら、
上条とインデックスへ向けて言う。

ダンテ「おい。ここから動くな。」

次の瞬間、二人の史上最強の魔剣士が激突した。

712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:51:45.35 ID:05pn8HxA0

神速で繰り出される刃と刃の衝突音がまるでマシンガンのように続く。

その衝撃波で地面が瞬く間に寸断され粉砕される。

周囲のビルがその嵐に耐えられずに爆散し倒壊する。
その瓦礫の雨が地に着く前にまた新たな衝撃波で弾き飛ばされる。

車ほどの、崩れたビルのパーツが辺りを舞う。

上条とインデックスは一歩も動くことすらできずにその場でただ身を丸めていた。
あたりに巨大な瓦礫の塊が降り注ぐものの、彼らの上には落ちてこなかった。

ダンテが戦いながら、銃で上条達へ向かう瓦礫を撃ち落していたからである。

オァァッ!!
ハァァッ!!!
セイヤァッ!!!!

二人の魔剣士の掛け声が交互に聞こえる。

714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:55:25.91 ID:05pn8HxA0

上条達にはそれは『戦い』には見えなかった。

赤と青の光が残像を引きながらまるでダンスをしているかのように交わり、絡まり、衝突している。
そのたびに眩い光を伴った爆風が周囲を破壊する。

上条は超人達の戦いに何度も身を投じたことがある。
聖人同士の戦いも目の当たりにしたことがある。
だがこの『破壊の嵐』は完全に次元が違った。

上条は身をうずめ、傍らの小さな温もりを抱きしめながら見てるしかなかった。

小さき人間が火山の大噴火を成す統べなくただただ眺めている様な状態だった。

突如、一際大きな衝撃波が発生し、
ゴバァァァァ!!!っと巨大なクレーターを作った。

ようやく上条はその赤と青の光の正体を捉える。

その爆心地で二人の魔剣士が鍔迫り合いをしていた。
ヂリリリリリリリリ!!!っと刃と刃が交わる点から巨大な火花が散る。

オァァッ!!!

掛け声同時に
バギィン!!っと二人の魔剣士がお互いを弾き飛ばした。

716 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:57:24.79 ID:05pn8HxA0

ダンテは空中で体勢を立て直し、上条達から5m程の所に着地する。
ダンッ!!とアスファルトが衝撃で割れる。

上条「ダ、ダンテ!!」

見ると、ダンテの頬が大きく裂けて赤い液体が溢れている。
コートの袖からも赤い液体が滴っている。

ダンテ「あん?」

上条「だ、大丈夫なのか!!?」
上条「き、傷は?!」

ダンテ「ああ、それなら心配すんな」

そう言っている間にダンテの頬の傷がみるみる塞がっていく。

718 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:58:56.92 ID:05pn8HxA0

ダンテ「おい!バージル!!」

お互いが弾かれ後ろへ跳んだため、二人の魔剣士の距離は100m程ある。

ダンテ「ハッハァ!!すげえじゃねえか!前よりだいぶ強くなってるな!!」

バージルは歩きながらゆっくり近づいてくる。

バージル「当然だ。貴様が人間界で呆けている間、俺はずっと戦い続けていた」

ダンテ「そう言うなよ。こっちでも色々あったんだぜ」

バージル「知っている。全て、な。」

ダンテ「…『閻魔刀』の『前の所持者』のこともか?」

バージル「ああ」

ダンテ「…へえ」

719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 18:59:57.49 ID:05pn8HxA0

ダンテが剣を地面に突き立て、駒のように回転させている。
チリリリン、チリリリン、とアスファルトと剣先がこすれる音。

ダンテ「で、次の出し物は何かな?そのまま第二ラウンドか?」

バージル「…」

バージル「いや」

ダンテ「へぇ。じゃあ何すんだ?ポーカーでもやるか?つまんねえのは願い下げだぜ」

バージルが鞘から刀を抜く。
それに応じてダンテも肩へ剣を乗せる。

バージル「警告はした」

ダンテ「ああ聞いたぜ」

バージル「…」

721 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:02:00.37 ID:05pn8HxA0

バージルはいきなり自分の腕へ刀を突き刺した。
ビチャ!!っと鮮血が足元の地面へ飛び散る。

ダンテ「おいおい。とうとう狂っちまったか?」

バージルは答えずに刀を腕から引き抜き、
次は足元の血溜りへ刀を突き立てた。
その瞬間血溜りが沸騰したように蠢いた。


ダンテ「おいバージル…そいつぁ…」
ダンテの表情から余裕が消える。

禁書「まさか…ダンテ!!」

バージルの狙いがわかったインデックスも叫ぶ。

ダンテ「最高に―――」

ダンテ「つまんねえじゃねえか―――」

その瞬間ダンテの足元の地面に
ズアァァァ!!と黒い円が浮かび上がった。

722 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:03:41.29 ID:05pn8HxA0

黒い円の直径は5m程。
その中心にダンテが立っていた。

黒い円から無数の赤い半透明のツタのようなものが飛び出し、
あっという間にダンテの体へ巻きつく。

上条「ダンテさん!!!」

ダンテは振りほどこうと身をよじるが、抜け出せない。
知っている。
ダンテは過去に何度もこれに道を塞がれた経験がある。
封印術の一種。

空間ごと断絶させるため、ダンテでさえなかなか突破できない。

だが使用には莫大な力が必要なため、
大悪魔でさえ壁や扉にしかかけれない術だ。

そんな術をバージルは標的へ直に、このダンテに直接かけたのである。

ダンテ「あー、くそったれ」

バージル「隙だらけだ。相変わらず大雑把過ぎる。少し学べ」

ダンテ「ハッ!!その俺に何回負けたか覚えてんのかお前は?」

赤い半透明のツタがどんどん巻きついていく。

724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:08:16.65 ID:05pn8HxA0

※赤いツタ=DMCで強制戦闘の時に扉とか塞いで近付くと手が生えてくるやつ

上条「ダンテさん!!大丈夫か!!」
上条「おいインデックス!!あれ何なんだ!?」

禁書「ふ、封印術の一種だと思うんだよ!!」

上条「封印術!?魔術か!?なら俺の右手で壊せるんだな!!?」

禁書「た、たぶんできるよ!!」

上条「なら―――!!」

っと上条がダンテの下へ駆け出そうとしたとき。
ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!と目の前に何かが飛び降りてきた。

上条「…ッ!!!」

それは『ゴートリング』。
あの御坂ですら一体倒すのが限界だった大悪魔。
それが三体、上条の前に立ちふさがっていた。

ドンドンドンドン!!っと更に周囲に何体も現れ、
そしてどこからともなくあのトカゲの悪魔も大量に集ってきた。

728 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:11:03.76 ID:05pn8HxA0

悪魔達が一斉にバージルへ飛び掛る。

だがキンッ!!!という音と同時にその悪魔達の体がバラバラになる。
そして浅葱色の剣が十数本、バージルの周りに現れる。

『幻影剣』

彼の魔力によって精製された剣。

その剣はそれぞれが意思があるかのように飛び交い、周囲の魔帝軍の悪魔達を次々と切断していく。

上条「くそ…!!!」

上条の前にいる悪魔がじわりじわりと近づいてくる。
インデックスが近くにいるせいか、どうやら破壊的な手段はあまり取れないらしい。

上条が一人でダンテ向かって特攻すれば、インデックスから離れた彼を悪魔達は一瞬でミンチにするだろう。
だがインデックスを担いでこの悪魔達の壁を突破するわけにもいかない。

ダンテ「おい!!坊や!!」

赤い半透明のツタに埋もれたダンテから声がする。
もう体のほとんどが覆われている。

ダンテ「アホな事考えんな!おチビちゃんを連れてさっさと行け!」

731 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:18:35.89 ID:05pn8HxA0

上条「…で、でも…!」

ダンテ「イギリス清教が近くに来てる!さっさと合流しろ!」

上条「わ、わかった!!」

バッとインデックスを抱き上げ、ダンテと反対の方へ駆け出した。

それを周囲の悪魔達が追―――

―――おうとしたが、耳をつんざく甲高い音と共に一瞬でバラバラになる。

上条「うぉぉぉぉぉ!!!」

寸断された悪魔のパーツがドサドサと落ちて来る。
悪魔達の血が雨のように降り注ぐ。

上条は無我夢中でその場を離れた。

732 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:21:15.48 ID:05pn8HxA0

ダンテ「追わねえのか?」
ダンテ「魔帝軍に取られても知らねえぜ」

バージル「奪い返せば良い」

ダンテ「余裕だな。さっさといかねえとあのガキ達も仲間と合流しちまうぜ?」

バージル「それがどうした?」

ダンテ「眼中にねえってか」

バージル「…」

ダンテ「一つ忠告しといてやる」

ズォア!!っと、ダンテの足元から赤い半透明の巨大な手が現れた。
ダンテを魔界の深淵に引きずり込む為に。

ダンテ「甘く見ねえ方がいい」

734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:24:32.32 ID:05pn8HxA0

>>733 スマン、スーパーダンテが大暴れするのはもう少し後なんだ

その巨大な手はツタに埋もれたダンテを鷲掴みにし、

ダンテ「覚えとけ」

地面の黒い円の中へ引きずり込みはじめた。
ダンテはバージルへ向けて右手を突き出し、
中指を立てる。

ダンテ「人間は強いぜ、兄貴」

ズズズズ!!っとツタに絡まれた男は中指を立てたまま沈んでいった。
そして黒い円も完全に消え、地面は破壊されたアスファルトに戻った。
最早その言葉を向ける相手はいないが、彼はバージルは口を開いた。

バージル「何をいまさら。それくらい―――」

バージルの脳裏に一人の女性の姿が浮かぶ。
かつて幼い頃の彼とその弟を身を挺して守り、命を落とした人間の女性。

バージル「知ってる」

彼は上条達が逃げた方向へゆっくりと歩いていった。

737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:30:08.16 ID:05pn8HxA0

上条は走る。
胸が裂けそうなくらいに心臓が暴れている。

上条「ハァッ…ハァッ…」

辺りを見回すも何も動く気配が無い。

禁書「とうま…」

上条「大丈夫だ…大丈夫だインデックス…何も心配するな…」

どこに向かえばいいか分からない。
インデックスを抱いたまま、ただ走る。

上条「ステイルッ!!!神裂ッ!!!」

来ているであろう友人の名を呼ぶも、
その声は無人の街でむなしく反響する。

上条「くそッ!!どこにいる!?」

その時、ジリッと背中が焼けるような感覚。

上条「…くそ…」

見なくてもわかる。追いつかれた。

738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:32:56.43 ID:05pn8HxA0

インデックスを降ろし、手でかばいながらゆっくりと振り向く。

20m程の所に青いコートの男。
ゆっくりと歩きながら近づいてくる。

バージル「諦めろ」

上条「ふざけんじゃねえ!!!」

バージルは上条の目を見つめる。
『命に代えてでも守る』という強い意志がこもった瞳。

この目を見るのは今日二度目だ。

バージル「どうするつもりだ?」

上条「…ッ?」

上条は拍子抜けした。覚悟を決めていただけにだ。
てっきりすぐに切りかかってくると思っていたのである。

740 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:39:15.49 ID:05pn8HxA0

時間稼ぎできればイギリス清教の皆が来てくれるかもしれない。
そう思い、上条はバージルの問いかけに答える。

上条「イ、インデックスは渡さねえ!!」

上条「魔帝軍にも!!」

上条「てめえにもな!!!」

バージル「そうか」

その瞬間、
ドンッ!!と強烈な衝撃が上条の体全身を襲った。

上条「がぁぁぁぁぁぁ!!」

何が起こったのかわからない。
後ろへ大きく吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。



とうまああああ!!!―――

742 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:40:56.58 ID:05pn8HxA0

バージルはインデックスの隣に立って、腕を掴んでいた。
インデックスは吹き飛ばされた上条のもとへ向かおうと、その手をどうにかして振りほどこうと暴れている。

上条「てめぇぇぇぇ!!!」

上条「インデックスを離せ!!離せっつてんだよぉぉぉお!!!」
痛みを無視して跳ね起きバージルへ突進する。

が、次の瞬間上条の左肩を何かが貫いた。

上条「ごぁぁぁッ!!!」

そのまま後ろに飛ばされ、ビルの壁面に叩きつけられる。
だが地面には落ちなかった。左肩に突き刺さった何かで磔にされたのである。

禁書「とうまぁああああ!!!」

ミシッ!!っと解放された体重がその左肩に集中する。

上条「がぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ッ!!!」

上条は左肩を貫いているそれを見た。浅葱色の、ガラスのような剣。

咄嗟に右腕をかざすと、その剣は簡単に砕け散った。
ドザッ!!と上条は地に落ちる。

746 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:44:53.00 ID:05pn8HxA0

バージル「…その右手」

ぱっくり開いた左肩からおびただしい量の血が溢れている。意識が朦朧としてくる。

上条「おぁ…あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

それでも上条は立ち上がり、再びバージルへ向かった。

だがドンッ!!と猛烈な衝撃が再び胸から腹にかけて襲う。
ベキベキッ!!と体の中から湿った不気味な音。

上条「ご…ぁ…」

上条はその場に崩れ落ちる。倒れる中、上条の耳に少女の絶叫が聞こえた。

禁書「いやぁあああああ!!!とうまぁあああああ!!!!」

上条は地面に仰向けに倒れた。
胴体は真っ赤に染まり、胸から皮膚とシャツを突き抜け2本の折れた肋骨が飛び出していた。

最早上条にインデックスを連れて逃げる力が無いと確信したバージルはインデックスの手を離した。

禁書「とうまぁ!!とうまぁ!!」

インデックスはすぐに倒れている上条へ駆け寄ると、上条の胸や腹の傷を塞ごうと手を押さえつける。
だがその小さな手をむなしくすりぬけた大量の血が彼女の修道服を真っ赤に染め上げていった。

禁書「とうま…。とうま…。」
上条にはまだ息がある。ヒューッヒューッと呼吸音がしている。

754 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:52:20.21 ID:05pn8HxA0

禁書「もうやめてぇ!!…お願い!!!…なんでもするからぁぁぁ!!!」
小さな少女が泣きながら叫ぶ。

バージル「…」

禁書「お願い…殺さないで…」

バージルはその死にかけの少年と傍らの少女の姿を見つめる。

その光景が再び過去の記憶と重なる。
死にかけの母に寄り添う、二人の幼い銀髪の少年。

忘れたと思っていた感情。
より人間の血が濃いネロと魂が繋がっているせいなのか、その感情が僅かにこみ上げてくる。

バージルは鼻で軽く笑った。
少し滑稽だった。

己の心がこんな感情に揺さぶられるなど。
だが別段それ程悪い気もしない。

上条「イン……デ…」

かすかに喋った。
虚ろな目が彼女の顔を見つめている。

禁書「とうま…喋っちゃだめ…」

758 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:56:00.74 ID:05pn8HxA0

バージルはぬらりと刀を抜いた。

禁書「…!!」
インデックスが上条を守ろうと覆いかぶさる。
バージルは刀で地面のアスファルトに何やら文字のようなものを刻み始めた。

バージル「これで我慢しろ」

禁書「…あ…」
インデックスはその文字の意味がわかった。

バージル「行くぞ」

禁書「とうま…」
インデックスは上条を見つめる。

バージル「さっさとしろ。コレを消すぞ。」
文字が刻まれた地面を鞘で軽く叩く。

禁書「…!!わかったんだよ…」

上条は薄れ行く意識の中、遠ざかる青いコートの男と、
赤と白のまだら模様の修道服の少女を見ていた。


762 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 19:58:10.58 ID:05pn8HxA0

―――

神裂「か、上条当麻ッ―――!!??」

神裂達が彼を見つけたのはそのわずか数分後だった。
五和の悲鳴が響く。

天草式の医療メンバーが手当てにあたる。

神裂「上条当麻ッ!!聞こえますか!!」

ステイル「勝手に死ぬのは許さんぞ!!!おい!!」

五和「離してください!!!離して!!!離せッつってんだよぉおおお!!!」
パニックに陥った五和は無駄ということもわすれて回復魔術を施そうとし、他の天草式メンバーに取り押さえられている。

765 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:01:00.29 ID:05pn8HxA0

「……」
手当てしていた天草式の医療メンバーが顔を上げる

ステイル「…何やってる!!」

「…亡くなりました」

―――

完全な沈黙が一瞬辺りを包んだ。
その後方々から言葉にならない声が漏れる。

死ん…だ…?
そんな…

ステイルは静かに立ち上がり、その輪から離れた。

輪の中からは
…ふざけるな!!
俺がやる!!
諦めるな…まだだ!いける!!
と声が聞こえる。

768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:04:14.49 ID:05pn8HxA0

ステイル「…」

手が震えている。
上条当麻のことは別段好きじゃない。
むしろ気に入らない。

だが共に何度も死線をくぐり、お互いを助け合った。
戦友という言葉がしっくりくる。
心にぽっかり穴が空いた気がする。

ステイルは14才ながら、壮絶な人生を送ってきた。
多くの殺し合いに参加し、数々の同胞が斃れていった。

それ故、この喪失感も何度も味わった。だがやはりいつまで経っても慣れない。

ステイル「…全く…またあの子に嫌われそうだよ…僕…」

上条を慕っていた少女の顔を思い出す。
その少女の笑顔が守れるならばなんだってする。

だが、これを知った少女の顔からは笑顔が消えるだろう。

770 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:09:33.22 ID:05pn8HxA0

ステイル「(…トリッシュに報告するか…)」
だが今は任務がある。悔やみ悲しむ暇は無い。トリッシュから渡された黒い石を握り、彼女の名前を呼ぶ。

トリッシュ『何?』

脳内に直接声が響いてきた。

ステイル「禁書目録が奪われた」

トリッシュ『相手の姿を見た者はいる?』
ステイルはその言葉になぜか引っかかった。

ステイル「いるが。どうした?」

トリッシュ『話を聞きたいの。ちょっとした確認よ』

ステイル「それは、『誰』が禁書目録を奪ったかが知りたいという意味か?」

なぜインデックスをさらった人物を確認する必要がある?さらうとすれば魔帝軍一つしかないのではないか?
トリッシュは第三勢力がいると考えているのか?

トリッシュ『そう』

ステイル「隠している事があるだろう?」

トリッシュ『話すわ。その前にその目撃者とかわって』

ステイル「生憎だが。直接聞きに行けばいい。彼はかわれないよ」
ステイル「死んだのだから」

777 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:14:58.26 ID:05pn8HxA0

トリッシュ『…わかったわ。行くわよ』

ステイル「…は?」
彼女の声調を聞く限りじゃ冗談に聞こえない。ステイルは皮肉のつもりで喋ったのだが。
その時、目の前の地面に黒い円が浮かび上がった。

さっき腐るほど見た光景だ。悪魔が現れる穴だ。

ステイル「(まずい…!!!)」

他の者達は気付いていない。
彼が叫ぼうとした時、その黒い円の中からトリッシュが現れた。

ステイル「へ?」

トリッシュ「で、どこ?」

ステイル「…向こうだ」

トリッシュ「…?」

その時、トリッシュの目が少し離れた地面に止まった。
そこには魔界の字で文が刻まれていた。

トリッシュ「…へえ」

782 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:20:45.93 ID:05pn8HxA0

トリッシュは上条の遺体を眺めていた。左肩の傷口を見る。

トリッシュ「(これは…幻影剣ね…相手はやっぱりバージルか…)」
トリッシュ「この子が今の禁書目録の管理者って訳ね。確か幻想殺しっていう力を持つ手があるって聞いてたけど、どっち?」

神裂「…右手です…」

トリッシュ「こっちね」
すっと上条の右手をとってみる。まだ暖かい。トリッシュは試しに電気を流してみる。
周りの神裂とステイル以外の者は知らないが、彼女の正体は実は悪魔だ。
そして彼女は電気を操ることができる。

トリッシュ「(なるほどね…)」
彼女の流した電気が打ち消された。右手はまだ生きている。

トリッシュ「(まだ完全には魂が抜け切ってないわね)」
トリッシュ「なるほどね。ちょっと待っててね」

そう言うと彼女はそこから少し離れた。きょとんとしている皆を尻目に彼女はその場に魔方陣を描き始めた。

そしてある物を召喚した。
ヴン!!と魔方陣が輝き、中央にゴドンっと何かが現れた。

かなりの重さがあるのか、アスファルトにヒビが入っている。
それは銀色の篭手と脛当て。

魔具『ベオウルフ』。

トリッシュ「何ボケッとしてんのよ。そっちにこれ運ぶの手伝いなさい」

786 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:24:00.73 ID:05pn8HxA0

「こ、これどうすれば?!」
『ベオウルフ』を運ぶ天草式の者たちが彼女へ聞く。

トリッシュ「この子の左手と両足に装着して」
そういうとトリッシュは傷にお構いなしに少年の心臓がある部分にナイフを突き立てた。

ステイル「な、何をしてるんだ!?」

トリッシュ「この子の体に悪魔を『流し込む』の」

少年の右手が邪魔して、魔術はうまく動かない。
だが実際に生命体として存在している悪魔なら。
悪魔の力を、魂を直接移植すれば。

地面には只一言こう刻まれていた。

『悪魔に転生させろ』と。


792 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:25:59.98 ID:05pn8HxA0

―――


「(ここは―――?)」

上条はどこかの荒野に立っていた。
草木が一切無く、灰色の砂と瓦礫のみ。
空は真っ黒。

「(ああ、そういえば…)」

記憶を探る。

「(俺死んだのか…)」

「(ここは…天国じゃあなさそうだな…)」

「(悪魔に殺されたんだもんなあ…)」

「(インデックス…)」

「(すまん…)」

その時、後ろから急に激痛が襲ってきた。

803 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:29:47.56 ID:05pn8HxA0

「(ぐぉおお!!!)」
「(なんだ?!体がうごかねえ!!)」

「スパーダァアアア!!!」

いきなり口が勝手に開き叫んだ。

「(なんだ!?体が勝手に…スパーダ?)」

体が後ろを向く。
そこには全身が黒い悪魔が立っていた。
右手には巨大な赤い剣。

「貴様!我らを!我が主を裏切るのか!!?」

上条の体が勝手にその黒い悪魔へ飛び掛っていく。

「(おい!どうなってるんだこれ!)」

左目に激痛が走る。

「『ぐぁああああああ!!!!』」

相手の悪魔に左目を切られたのである。
上条の叫びと体の叫びが重なる。視野の左側が真っ黒になる。

上条が見ているその光景は『ベオウルフ』と言う名の大悪魔の記憶。

806 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:34:33.53 ID:05pn8HxA0

その後も彼は長い長い記憶を見続けた。

復讐する為、己の誇りを守る為に幾千もの時間をかけ力を蓄えるベオウルフ。

だがその全てを捧げた力さえ、二人の怪物に簡単に砕かれる。

ダンテには右目を切られ、バージルによって頭部を切断され、そして武器に姿を変え使役される。

バージルと融合しダンテと戦い、
次はダンテと融合しバージルと戦う。

上条はベオウルフと共にこの兄弟と融合し、彼らの記憶の奥底を垣間見る。

この兄弟を庇って最愛の母が傷を追い、
そして目の前で息絶えた。

絶望の底。

兄は己の弱さを恨み憎み、全てを捨てて力を求めた。
弟は道を失い目的も無く暴力と殺戮の世界へ飛び込んだ。

811 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:37:52.95 ID:05pn8HxA0

そして上条は彼らの魂の叫びを聞いた。

兄と弟が刃を交えた時。
弟は己の進むべく道を見出した。
そしてその道は―――

兄とは決して共に歩めない道―――

弟の叫び―――

『俺達がスパーダの息子なら―――』

『受け継ぐべきなのは力なんかじゃない!』

『もっと大切な―――誇り高き魂だ!』

『その魂が叫んでる』

『あんたを止めろってな!』


そして兄の叫び―――

『悪いが俺の魂はこう言っている』

『―――もっと力を!』


816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:42:16.18 ID:05pn8HxA0

しばらくして視界が急に眩しくなった。
何も見えない。

「(誰だ…?)」

まわりから声が聞こえる。

目を開く。
それと同時に辺りが急に騒がしくなった。
視界が正常に戻っていく。
何かが目の前を覆っている。

「(…?)」

視界がはっきりしてそれの正体がわかった。


上条「い、五和!!?」

817 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:45:24.33 ID:05pn8HxA0

上条の左手と両足へ『ベオウルフ』を装着し終えると、トリッシュは突き立てていたナイフを一気に引き抜いた。
それと同時に上条の体が跳ねる。

トリッシュ「押さえて!!」

実はこの方法は確実ではない。一か八かの賭けだ。『ベオウルフ』が彼を認めなかったら体が爆散する。
また莫大な力に乗っ取られ、理性を無くした怪物になる可能性もある。

トリッシュ「さあ…来るのよ」

体の跳ねがやむ。
トリッシュ「呼んで!彼を呼んで!!」

皆が声を荒げ、上条の名を叫ぶ。
すると上条の目が開いた。
その目を見て皆息を呑んだ。赤い光が瞳に宿っている。

トリッシュ「…」
不足の事態に備え、彼女は腰の銃へ手をかける。
するといきなり五和が飛び込み、上条の上へ覆いかぶさった。

トリッシュ「どきなさい」

五和「嫌です!!私は信じてます!!」
他の天草式の物が五和を引き剥がそうとした時であった。

「い、五和!!?」
それと同時に五和の言葉にならない声が辺りに響き渡った。
先ほどとは違う、喜びと安心感にあふれた声が。

818 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:50:33.01 ID:05pn8HxA0

五和「ふぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!よ゛がっだ!!よ゛がっだでずぅう゛う゛う゛う゛!!」

上条「お、おいいッ…?!」

神裂「上条当麻!!上条当麻!!」

上条「か、神裂ィッ!!?」

ステイル「生き返ったか…やはり君は何から何までふざけているな」

上条「生き返った…てことはやっぱり俺は一回死んだのか?」

トリッシュ「そうよ」
上条はその女性を見た。上条自身は直に会った事は無い。だが記憶の中で会った。

上条「トリッシュ…さんですよね?」

トリッシュ「ああ、『それ』の記憶見たのね」

上条「…?」
トリッシュの指した方向を追うと、左手に大きな銀色の篭手が。両足にも脛当てが装着されていた。

上条「…そうか…『ベオウルフ』…か…」

トリッシュ「仲良くなったみたいで安心したわ。ほら、これ」
そう言いながら皮製の右手用の手袋を差し出してきた。

トリッシュ「あなたの右手が効くかどうかわからないけど、万が一の為よ。『ベオウルフ』を素手で触らないでね」
トリッシュ「実験するわけにもいかないし。それが今のあなたの生命維持装置だから」

820 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:52:26.54 ID:05pn8HxA0

ふと思い出す。
上条「…インデックス!!!」

周りの者達もピタッと静かになった。

上条「ステイル…皆…すまん…」

ステイル「…」

トリッシュ「で、その禁書目録が奪われた時の状況を説明してくれないかしら?」

上条「ああ…」
上条はこと細かく説明した。

神裂「ダンテさんが…ですか…」

トリッシュ「どうせ余裕かましてたところをやらてたんでしょ」

ステイル「でその相手は魔帝軍ではないんだな?」

上条「ああ…それがな…」
上条はあの男を知っている。記憶の夢の中で見た。ちらっとトリッシュの顔を見る。

トリッシュ「どうぞ」
その視線の意味を理解したのか上条に言う。

上条「ダンテの…兄だ…」

829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:54:16.65 ID:05pn8HxA0

神裂「兄…ですか?」

上条「ああ。ダンテと互角以上に強い」

ステイル「くそ…トリッシュ…これを隠していたのか?」

トリッシュ「ごめんなさいね。学園都市に来たのはついさっき知ったばっかりだし、
トリッシュ「まさか禁書目録を狙っていたとは思っていなかったわ」

神裂「それで、目的は何なのでしょう?魔帝軍と敵対しているのならば、ムンドゥスの復活が目的では無いでしょうし」

トリッシュ「その点については、あなたの方が詳しいんじゃない?幻想殺しの坊や」

上条「…確かに俺はあいつの記憶を見たし、考え方も知ってるけど、10年以上前のだぞ?」

ステイル「何も無いよりはマシだろう」

831 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:55:18.73 ID:05pn8HxA0

上条「バージルは力こそが全て、力を得るためなら何だってやるし、何だって犠牲にするってやつだ」

ステイル「つまり、インデックスを使って何かの力を得ると?」

トリッシュ「フォルトゥナの術式には『魔剣精製』があるわ。フォルトゥナでは結局魔力不足で使えなかった代物だけどね」
トリッシュ「まあバージルなら余裕でしょうね」

神裂「上条当麻。どうなのです?その術式を狙いそうですか?」

上条「可能性はあるな…でも確実じゃあないと思う」

トリッシュ「ま、ダンテがいない以上、できることは限られてるわ」
トリッシュ「確実なのは魔帝軍の矛先は全てバージルに向かう」
トリッシュ「その衝突のどさくさに紛れてあなた達が禁書目録を回収、といったところね」

ステイル「『あなた達』?」

トリッシュ「私にはやることがあるの」

837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:58:14.07 ID:05pn8HxA0

ステイル「まだ何か隠してないか?」

トリッシュ「別に。これは私用よ」

ステイル「…」

トリッシュ「心配しないで。途中までついて行ってあげるし、なんかあったら呼んで。いつでも助けてあげるから」

上条「ダンテさん、どうにかできないのか?あの人が居たらかなり有利になるのに」

トリッシュ「さあて、どうしましょうね。」

ステイル「召喚とかはできないのか?」

トリッシュ「あいつを召喚できるくらいの力あったら苦労しないわよ」

840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 20:59:35.64 ID:05pn8HxA0

上条「そういえば…!インデックスが俺の右手であの封印を壊せるって!」

ステイル「本当か?!」

上条「ああ!!こうしてられねえ!はやく―――」

トリッシュ「無駄よ。話を聞く限りじゃ、その封印術は少しの間ダンテの動きを封じる為のものよ。」
トリッシュ「その間に魔界の深淵に落とされちゃったみたいね」

トリッシュ「拘束自体はもう解けてるだろうけど、魔界にいる彼を探し出してる時間はないわよ」

上条「くそ…」

トリッシュ「とりあえず、あなた達は準備しなさい」
トリッシュ「魔帝軍も体勢を整える為にすこし時間がいるでしょうし」

ステイル「僕達もその間に準備を整える か」

トリッシュ「そう」
トリッシュ「赤毛君もまだ『イフリート』の調整終わってないしね」

849 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 21:06:16.82 ID:05pn8HxA0

トリッシュが敵に探知されない為の悪魔祓いの術を辺りに敷き、
各々がそれぞれ傷の手当や武器の点検を行う。

上条はビルの瓦礫の上に座っていた。

上条「(冷たい…な。一回死んでる…か…)」
自分の体を触る。ヒンヤリしていて温もりがない。

トリッシュ曰く、今の上条は半人半魔らしい。
ベオウルフはかなり高位の大悪魔である為、力を大幅にセーブさせているとの事だ。

上条の体に流れている力は本来の10%にも満たないとか。
だがそれでも10mは軽く跳躍できるし、自動車くらいなら持ち上げられるとのことだった。

上条「(ははは…上条さんは人間をやめましたってか…)」

いつもと違う感覚もある。
目で見てなくとも、周囲にいる天草式の皆の動向が手にとるように分かる。

胸と腹の傷も10分もしないうちに綺麗に治っていた。

上条「(これなら…皆と一緒に戦えるかもな…)」

だがやはり右手の傷だけは治っていない。
つまり右手だけがいまだ『人間』なのであろう。

852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 21:09:46.50 ID:05pn8HxA0

トリッシュ「で、どう?調整終わった?」

ステイル「一応ね。」

トリッシュ「そう…まあ自滅しないよう程ほどにね」

ステイル「あの子を救う為なら何回でも自滅してやるさ」

トリッシュ「あらお熱いこと」

ステイル「ふん。で、そっちは?ダンテを戻す件は?」

トリッシュ「あ〜からっきしダメ。ダンテが自力で這い出すのを待つしかないわ」


ステイル「自力…て可能なのか?」

トリッシュ「あいつならなんとかなるわよ。ま、どうにもならない場合は私が手をうつわ」」

857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 21:12:42.60 ID:05pn8HxA0

―――

窓の無いビル

アレイスター「どうなのだ?」

『処置は一通り完了したよ。手術も成功した。容態も安定している。』

アレイスター「そうか。なによりだ」

『あの時の君に比べたらまだマシだよ』

アレイスター「それで―――」

『ああ―――君のその作戦に彼は耐えられないかもしれない』

859 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 21:14:30.84 ID:05pn8HxA0

アレイスター「…君にしては曖昧だな」

『これは未知の領域だ。データも不足すぎる。僕の予想じゃ、成功する確率は五分五分だ』

『そして例え成功しても、その後に命を落とす可能性も高い。』

『一人の医師として言わせてもらおう―――無理だ』

アレイスター「そうか」

『ま、そう言ったところで君は止めないだろうし、僕にそれを止める権限も無い』

アレイスター「…」

『じゃあ』ブツッ

アレイスター「…」

860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 21:15:57.40 ID:05pn8HxA0

―――

一方通行はとある病室で目が覚める

一方通行「ンあ…?」
一方通行「ッ…!!!!」

鈍痛が体中を這い回った。

土御門「起きたかにゃ〜?」

一方通行「テメェか…」

土御門「本来は絶対安静なんだがにゃ、」
土御門「状況がアレなもんだから無理やり起きてもらったにゃ〜」

一方通行は自分の体を見る。
得体の知れない医療機器が部屋中にひしめいており、大量のコードや管が彼の体に繋がっていた。

そして彼の右手を握ったまま、打ち止めがベッドの端に突っ伏していた。

861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 21:16:58.13 ID:05pn8HxA0

土御門「ラストオーダー、泣き疲れて寝ちゃったみたいだぜよ」

一方通行「…うぜェガキだ…」

土御門「…ま、お前もいつも通りの歪んだ愛情表現で良かったにゃ」

一方通行「死ね」

切り落とされた左手はしっかりと繋がったようだ。指先の反応はかなり鈍いがしっかりと動く。

切断された部分はギプスのようなもので覆われている為見えない。
胸にはなにやら防弾チョッキのような物が着せられていた。

先の事を改めて思い出す。

あの銀髪の男。

さすがの一方通行でも己の事を世界最強だとは思っていなかったし、
自分よりも強い存在がいくつかあってもおかしく無いと考えてはいた。

だがあれ程の力の差があったとは。圧倒的な、絶対的な壁。

863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 21:19:08.25 ID:05pn8HxA0

土御門「いや〜死ななくて良かったにゃ〜」

一方通行「…」

土御門「そんなお前にとっておきの切り札があるぜよ」

一方通行「あァ?」

土御門「さあさあ」
土御門が立ち上がると、病室に黒いスーツの男達が入ってきた。
そしてなにやら医療器機を弄り始め、一方通行の体から管やコードを外す。

土御門「移動するぞ。お前とラストオーダーを作業できる場所へ運ぶ」

一方通行「おィ待て!ラストオーダーになンかすンのかァ!!!?」

土御門「心配ない。危険は全く無いぜよ」

一方通行「テメエ、もし騙しやがったら殺してやる!!!」

土御門「はは、怖いにゃ〜」

―――


第二章 おわり

933 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:04:07.46 ID:05pn8HxA0

―――

とあるビルの屋上にバージルとインデックスはいた。

インデックスは地面に座り込んでおり、
向かいの貯水塔の上にバージルが佇んでいた。

周りには他に誰もいない。

インデックスの頭には何やら奇妙な金属の塊がついていた。
それは魔界の金属生命体の一種を改造した機械である。

その機械は彼女の頭の中にあるフォルトゥナの術式を引き出そうとしている。

辺りは静かだ。
インデックスの頭についている機械のギチギチという稼動音のみが聞こえる。

インデックスはこの男を一目見てわかった。
ダンテと瓜二つの顔。左手にある『閻魔刀』。

この組み合わせ、ダンテの兄バージル以外に誰がいる。

禁書「(…なにする気なんだろ…)」

何か腑に落ちない。
彼女の頭の中にある術式が目的というのは当然わかる。
だが、術式を手に入れたいだけなら彼女を連れてさっさと逃走し、邪魔が入らない場所でゆっくりやればいいのではないか?

939 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:06:51.27 ID:05pn8HxA0

禁書「(まさかここで何かの術式を起動させるつもりなのかも…)」

禁書「」ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ
禁書「…あっ…わっ!」

インデックスの胃が鳴く。
脳が活発に活動しているせいで普段よりもさらに空腹だ。

バージル「…」
バージルはいきなりザッと立ち上がるとビルの屋上から飛び降りてどこかへ行ってしまった。

禁書「(…なんか悪いことしちゃったかも…?)」

敵であるはずなのだが、少し申し訳なく思う。
しばらくするとバージルが右手にコンビニのビニール袋を持って戻ってきた。

バージル「食え」

そして無造作にその袋をインデックスの前へ投げた。
地面に落ちた衝撃でその袋からはおにぎりやらパンがこぼれ出た。

禁書「……え?」

恐らく近くのコンビニから持ってきたのだろう。
状況はそれどころではないし、上条の「犯罪行為は許しませんよ!」という言葉が思い出されたが、
目の前の食物を見てインデックスの口の中ではよだれの洪水が発生した。

949 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:12:00.05 ID:05pn8HxA0

禁書「あ、ありがとうなんだよ…じゃ、じゃあいただきます」

おにぎりを一つ手に取り、いそいそと食し始める。

食べながら思う。
インデックスの脳内にあるバージルの記録と、
実際に目の前にいるバージルとでは大分違う。

記録にはこうある。
冷酷無比。僅かでも障害となる者は敵味方悪魔人間の関係無く容赦無く殺す。
無駄を嫌う完璧主義者。
慈悲の欠片もない鉄の男。

ではなぜ上条の止めを刺さずに、更に命を救う手助けをしたのか。

そして今もなんでインデックスの体を気遣っているのか。

今行っている作業だって、
インデックスの生命を無視すればいくらでも効率化できるはずだ。

951 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:15:01.34 ID:05pn8HxA0

禁書「え…?」

その時だった。

禁書「こ、これ…!?」

頭についている機械が目的の術式を発見したようだった。
そしてその術式を、狙い通りに起動させるために修正し書き換えていく。

その術式は彼女が予想していたものでは無かった。

インデックスがバージルがやろうとしてる事に気付く。

禁書「な、なんでこんな事を…!!?」
禁書「どうして…!!?」

なぜそんな事を、何のためにそんな事をするのかがわからない。

バージル「…」
だがバージルは答えなかった。聞こえてないかのように、先ほどとかわらず瞑想を続けていた。


禁書「なんであなたも魔帝の封印を!!!??」

960 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:20:10.22 ID:05pn8HxA0

―――

神裂「天草式、総員準備が整いました」

ステイル「僕もだ」
ステイルの両手に『イフリート』が装着されている。

トリッシュ「あなたは?」
傍の瓦礫に座っている少年に声をかける。

上条「いつでもいいぜ」
ズボンについた塵を手でパンパンとはたきながら少年は立ち上がる。

トリッシュ「バージルはここから1km東にあるビルの屋上よ。そこに禁書目録も」
トリッシュ「魔帝軍もその周囲に集結してるみたい」

ステイル「結局ダンテは戻ってこなかったな」

トリッシュ「大丈夫よ。あいつはなんだかんだできっと戻って来る。いつもギリギリのとんでもないタイミングに現れるのよ」

神裂がその言葉を聞いてチラッと上条を見た。

上条「はいそうです…思い当たる節が俺にも…」
上条がその神裂の視線に同意する。

トリッシュ「さっ、出発よ」

その時だった。
ズンッ!!!と地面が大きく揺れる。

961 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:25:15.25 ID:05pn8HxA0

ステイル「なんだ!!!?」

トリッシュ「あら…」

大地が、大気が激しく振動する。
神裂が叫ぶ。

神裂「み、皆さん!!!あれ!!!」

皆神裂が指差した方向を見る。
1kmほど離れた場所のビルの上の空間に、
ガラスにはいったような、長さ100mはありそうな巨大なヒビが縦に走っていた。

上条「おい!!何がおこってんだよ!!!」

トリッシュ「バージル…」
どんどんヒビが入っていく空間を見る。トリッシュは一目でそれが何の術式かわかった。

トリッシュ「あなたも…それが狙いなの…?」

964 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:28:35.01 ID:05pn8HxA0

―――


禁書「あ…あ…」

インデックスは上を見上げていた。
頭上の空間に巨大な亀裂。
そしてその亀裂はどんどん巨大化していく。

彼女を中心にして、直径10m程の魔方陣が地面に浮かび上がっていた。
バージルの魔力と血が使われているため、淡く青色に光っている。

禁書「なんで…なんでこんなことするの…?」

スパーダがかつて封印した魔帝。
その後一度復活したものの、今度はダンテが魔剣『スパーダ』の力を使ってやっとの事で封印した。

バージル「…」

バージルは相変わらず瞑想している。
目の前で起こっている現象が、まるで己と何も関係ないかのように。

965 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:29:54.53 ID:05pn8HxA0

魔帝の復活。
それがバージルの狙い。だがそれは下準備にすぎない。

本当の目的はそれからだ。

彼にとって、父と弟の行った封印という手段は生ぬるかった。

俺は殺す―――

殺せ―――

2000年に渡る闘争の決着を付けろ―――

生まれついた時から付きまとう影を振り払え―――

スパーダの血族に―――

スパーダの力に喧嘩を売った愚者の首を刎ねろ―――


そしてその首を掲げ証明しろ―――

父を越えたことを―――


己の力が最強だということを―――

973 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:36:16.49 ID:05pn8HxA0

―――

とある施設

一方「ん…ァ…」

土御門「目覚めたかにゃ〜?」

一方「…」

土御門「よう」

一方「…もう終わったのか?」

土御門「準備は整ったぜよ」

一方「…さっきとなンにもかわンねェが」

土御門「チョーカーのスイッチいれて能力を起動すればわかるにゃ」

一方「そうか…」
一方通行はチョーカーへ手を伸ばす。

土御門「おおっと待つぜよ!!!起動するのは外にでてからだにゃ!!!」

一方「あァ?」

982 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:42:26.86 ID:05pn8HxA0

土御門「ここで起動されるとマズイ!!」

一方「チッ…お楽しみは後でッてか。おィ…ラストオーダーはどこだ?」

土御門「隣の部屋にいるぜよ。呼んでくる」

一方「いらねェ」

土御門「そういうな。そうそう、このデータに目を通しておいてくれ」
土御門は一方通行にPDAを渡し、部屋から出て行った。

渡されたPDAに目を通す。

一方「おィ…?」
PDAに表示されているデータ。一方通行はそれを良く知っている。
実際に演算し、処理したこともある。

一方「ハッ!!!あの野郎生きてやがッたか!!!」

土御門達の狙いがわかる。そのデータはとある能力者の資料。脳内の演算構成。
一方通行と同じく、『何か』の壁を越えて更に己の能力の進化に成功した者。

その能力者の脳がミサカネットワークに接続され、その力が一方通行へと集約される。

一方「最高だぜクソ野郎!いいぜェ!!テメェを殺すのは最後にしてやる!!」

その能力者は。

レベル5第二位、『未元物質』。垣根帝督。

985 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:44:10.59 ID:05pn8HxA0

部屋のドアが勢い良く開き、小さな少女が走りこんでくる。
そしてそのまま一方通行の上へ飛び乗った。

一方通行「ぐォッ!」

打ち止め「体の具合は大丈夫!?ってミサカはミサカはあなたの体を気遣ってみるの!」

一方通行「テメェ!!それで気遣ってるつもりかァおィ!!」

一方通行は打ち止めの右耳の上にくっ付いている小さな白い箱を見つけた。

一方通行「…なンだそりゃァ?」

土御門「あ〜外付けの受信機だ。それで第二位の信号を受信・変換してミサカネットワークに接続する」
土御門「脳にプログラムを直接書き込んでも良かったんだがな、外付けの方が作業が楽だったんだぜよ」

一方通行「そういゥことか」

土御門「それにお前もそっちの方がいいだろ?」

一方通行「…チッ」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:55:24.45 ID:05pn8HxA0

土御門「それはさておき…早速動いて欲しい。状況は色々切羽詰ってる」

一方通行はベッドから降り、ゆっっくりと体を動かして手足の動きを確認する。

一方通行「で、誰をぶっ殺せばいィんだ?」

土御門「第一優先は、この女の子だぜよ」
土御門は一枚の写真を渡す。

一方通行「このガキ…!?」

知っている。忘れもしない。
9月30日に会ったあの青い髪の少女。
詳しい事は知らないが、打ち止めを助けてくれたらしい少女。

土御門「覚えてるだろ?名前はインデックス。殺すんじゃなくて保護だぜよ」

一方通行「…そうか」

一方通行は少し安堵する。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/02/28(日) 23:57:31.66 ID:05pn8HxA0

土御門「保護したら『イギリス清教』と名乗る連中に引き渡せ」
土御門「それと雑魚悪魔はその『イギリス清教』に任せて、お前は強そうな奴を片っ端から殺せば良い」

一方通行「あァ…」

土御門「あと銀髪に赤いコートの男と、金髪に黒のチューブトップのエロいネーチャンは無視しろ」
土御門「下手にちょっかいだすとヤバイ。それに一応味方だにゃ」

一方通行「銀髪…?」
銀髪。彼を一方的に叩きのめしたあの男も銀髪だ。その一方通行の表情の微妙な変化に土御門も気付く。

土御門「…その銀髪の青いコートの男、今そいつの手にインデックスがある」

一方通行「ハハッ!!!そいつはいいじゃねェか!!!」
このままでは引き下がってられない。
あの澄ました顔を叩き潰さないと気がすまない。

だが。

土御門「交戦はできるだけ避けろ。インデックスを確保したら即刻離脱しろ」

一方通行「あァ!!?」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/03/01(月) 00:00:05.11 ID:DMFvJb7L0

土御門「これは警告じゃない。命令だぜよ。悪いことは言わない。言う事を聞いてくれ」

打ち止めが心配そうに一方通行を見ている。

一方通行「チッ!!わァったよ!!」
その言葉を聞いてパァァァッと打ち止めの顔が明るくなる。

一方通行「だがあンだけヤバイ相手だ。一切戦わないでガキを確保するなんざ不可能だぜ」

土御門「ああ。『できるだけ』避けてくれればいいぜよ。今のお前なら一瞬で殺される事は無いと思うしな。ほら、さっさと行け」

打ち止め「ねー!ねー!ってミサカはミサカはあなたを呼び止めるの!」

一方通行「なンだ?」

打ち止め「せっかくあなたが買って来てくれたお菓子…あのね…無くしちゃったから…ってミサカはミサカは言いにくそうにモジモジするの」

一方通行「あァ…?」
思い出す。そういえば先ほどの戦いで彼の能力がその菓子を破壊した。

一方通行「…後で買ってやるから我慢しろ」

言葉を言い切る前に彼は前を向き、そのままスタスタと部屋を後にした。
その背中を小さな少女がはち切れんばかりの満面の笑みで見送った。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/03/01(月) 00:05:23.43 ID:DMFvJb7L0

―――

上条達は空に現れた巨大な亀裂の真下、バージルとインデックスがいる所へ向かって進んでいる。
トリッシュは案の定、いつの間にか姿を消していた。

神裂「今は魔帝軍は混乱してるけど、最悪全軍を私達に差し向けるかもしれませんね!!」

ステイル「現時点ではどうやらバージルと魔帝軍の利害は一致しているようだしね」

上条「くっそ!!」

神裂「前!!早速来ましたよ!!」
前方から、あのトカゲの悪魔達がこちらへ真っ直ぐ向かってくる。

神裂「突破します!!」

神裂が先頭、その後ろにステイル、上条、そして天草式の面々が続く。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/03/01(月) 00:09:39.84 ID:DMFvJb7L0

そして魔帝軍の悪魔達と正面から激突した。神裂が七天七刀で瞬く間に悪魔達を切り捨てていく。
両脇のビルの上からも悪魔達が飛び掛ってくる。天草式の面々が応戦する。

神裂「離れないように!!!」
進む速度を落とせばあっという間に包囲される。止まってはならない。

上条「(俺も…今の俺なら…戦える!!)」
上条は飛び掛ってきた悪魔に左手を振るう。

上条「おおおおお!!!」

ゴギン!!!っとベオウルフのストレートが炸裂し、悪魔が吹っ飛ばされる。
少し拳が痛むが充分やれる。

上条「(いける!!)」

別の悪魔が上条の顔目がけて巨大な鋭い爪を振るってきた。上条は僅かに体をひねり軽くかわす。
感覚もいつもよりも遥かに鋭い。高速で動いているはずの悪魔達の動きが手に取るようにわかる。

上条はその悪魔の腹部を思いっきり蹴り上げる。

ドギン!!!っと鈍い音とともに悪魔の巨体が宙を舞う。

28 名前:ST(説教トリガー)www[]:2010/03/01(月) 00:14:03.72 ID:DMFvJb7L0

ステイル「(頼むぞ『イフリート』!!)」

ステイルは炎剣を振るった。
ドォン!!!!っと五、六体まとめて焼き切る。

その『イフリート』装着での初めてということもあってかなりセーブしていたが、
それでも火力は今までの数十倍にも達していた。

ステイル「(す、すごい!!…これなら!!!)」

ステイル「神裂!!下がれ!!!僕がやる!!」
先頭で道を切り開いていた神裂へ叫ぶ。

神裂「!?」

ステイルは『イフリート』から力を引き出し、両手の先へ集約する。

そして両手を前方へ向け、その力を解き放つ。

ドォォォォォォォォオ!!!!っと長さ50m以上もの炎の束が悪魔達の群れを割る。
数十体もの悪魔が一瞬で跡形も無く消え、業火が通った地面のアスファルトは溶けて赤い液体となった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/03/01(月) 00:20:43.84 ID:DMFvJb7L0

突如ドォオオオオオアアアア!!!!!っと上条の前方に巨大な火柱が上がる。
上条「うぉッ!!!!」

上条は咄嗟に右手をかざすが、そのまま炎の渦に飲み込まれる。
右手の効果はある。前方の炎が消滅する。だが左右から押し寄せる炎が容赦なく上条の体を熱する。

上条「ぐぉぉぉぉ!!!」

足に力を篭め、この炎の渦から抜け出すために思いっきり後ろへ跳ねる。
ゴバッ!!っと上条の体が炎の渦から飛び出す。

上条「あっちぃぃぃぃぃぃいい!!!!!」

左手、両足のベオウルフが熱せられて赤くぼんやり輝いている。もし生身の上条だったなら一瞬で灰になっていただろう。
半人半魔の今でさえあれに耐え続けるのは無理だ。

上条「ぐぁ…!!!ステイル!!!俺を殺す気かよ!!!!」
少し離れた場所にいるステイルへ叫ぶ。

ステイル「待て!!!今のは僕じゃない!!!」

上条「はぁ…?!」

それはつまり、別の悪魔によるもの。
ズォォォォォォォオ!!!!っと炎の柱の中に巨大な影が現れた。


ダンテ「学園都市か」4(本編 対魔帝編)



posted by JOY at 15:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 禁書クロスSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
つまらんな。もっとこの説教独善糞雑魚野郎を痛め付けてほしかったのにこの程度で済ませるとは…インデックスの前でなぶり殺しにしてもよかったのにな
Posted by at 2011年10月13日 17:16
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