2010年08月15日

ダンテ「学園都市か」1(上条覚醒編)

396 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 01:53:07.96 ID:wLtBbi20
少し投下

―――
イギリスの事件から三日後。

ロンドン、聖ジョージ大聖堂。
元々は『必要悪の教会』の本部であったが、『必要悪の教会』に権力が集中した事により
現在は実質的なイギリス清教全体の心臓部となっている。

神裂は手にある報告書を見ながら、その聖ジョージ大聖堂の廊下を歩いていた。
すれ違う修道女達が立ち止まり頭を下げる。
それに神裂はお疲れ様と言い軽く頭を下げる。

神裂は日頃から 無視してもいいですよ と言っているのだが、部下達はさすがにそれは無理らしい。
最高指揮官という肩書き、そして人間でありながら天使でもあるのなら当然だろうが。

神裂の腰には包帯のような物が巻かれた七天七刀。
包帯状の羊皮紙に、七天七刀の力を抑えこむ術式を書き、それを巻いているのである。

理由は分からないが、七天七刀は何らかの要因でスパーダの一族の力を浴び、
莫大な力を持つ魔具と化した。

さすがにダンテの持つような悪魔が姿を変えた魔具みたいには喋らないが、確かに意思を感じる。
今のところ神裂は『主』として気に入られているようだった。

この七天七刀の解析もしなければならないのだが、今はそれよりも優先しなければならない事がある。
先日の事件の黒幕を突き止める事だ。

イギリス清教は総力をあげて調査をしているが、いまだその黒幕の手がかりは掴めない。

まだ三日。これから。 と神裂は自分に言い聞かせる。

だが心のどこかでは、結局わからずじまいで再び相手が先に動くのではないかとの思いもあった。

397 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 01:53:59.66 ID:wLtBbi20
報告書に目を通していく。
仕事は山積みだ。

調査と共に、引き続き全土の悪魔討伐の仕事もある。
それにシェリーは先日の戦いで力を使い過ぎ、今も寝込んでいる。

そしてステイルはバッキンガム宮殿の守備に就いている。
(例の事件で上層部の老人達が怯え、無理やりステイルに命令したのだ。ちなみに騎士団長も同じく命令が下った)

現在は神裂一人で、今までの倍はあろうかという業務をこなしていたのだ。


文字通り、神裂一人がイギリス清教・騎士団の全軍指揮権を持っていた。
そして対悪魔戦に動員する表の正規軍の指揮権も暗に委ねられていた。

そんな事もあって、ここ三日間の彼女の睡眠時間の合計は7時間に達していない。

神裂「ふぁ……む!むむむ!!」

欠伸が出そうになったが、今は仕事中! と心の中で自分を叱咤する。 
ちょっと気を抜くと歩きながら寝てしまいそうだ。

398 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 01:55:21.85 ID:wLtBbi20
その時、一人の長身の修道女が前から歩いてきた。
当然の如く、その修道女も立ち止まり頭を下げる。
長身なのでそれでも神裂よりも頭の位置は高かったが。

神裂はいつも通り軽く頭を下げる。

そしてすれ違った―――ところで神裂はふと足を止めた。

神裂「―――」

そして振り返り、先ほどの長身の修道女の背へ声をかける。


神裂「ちょっといいでしょうか」

修道女がゆっくりと振り向いた。

改めてみると背が高い。
それに質素な修道服の上からでもわかる程の、神裂以上のスタイルの持ち主だ。

顔もかなり端正だ。

蝶のような装飾がついている黒縁のメガネをかけている。


そして―――口元のほくろ。

399 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 01:57:16.69 ID:wLtBbi20
「あら、やっぱりバレちゃった?」
その修道女が口を開いた。
まるで誘っているかのような妖艶な声色。

神裂「……」
何者かはわからないが、『悪魔的』な力を神裂は感じたのだ。
これ程の距離にまで近付かないと分からないほどの小さな反応だが、明らかに何か異質だ。
悪魔とも人間とも、天使とも違う。
だがそれでいてそれぞれの『力』の匂いが混ざっている。

神裂「あなたを拘束します。理由はわかりますよね?」

「いいわよ。『できたら』ね」

その侵入者は余裕を崩さない。
相手を神裂と知っていての余裕だろうか。
もしそうだとしたら少々厄介な事になるかもしれない。

「へぇ…面白いわね。本当に綺麗に混ざってるわね」

神裂「…」
神裂の顔を見ながら言い放ったその言葉。
どうやら厄介な事になる可能性があるようだ。

「お邪魔したわね。ちょっと見に来ただけなの。あなたを。」

神裂「…目的は私ですか?」


「下見よ。『おいしく頂ける』かどうか ね?」

400 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 01:59:02.92 ID:wLtBbi20
その言葉で充分だった。この侵入者の目的は神裂。
当然、どう考えても平和的なものではないがわかる。

神裂「そうですか。では」

「Huh. Bring it」
妖艶な笑みを浮かべ手招きする。

神裂の右手が報告書の束を離す。
と同時に床を蹴り一瞬で距離を詰め、そして相手を取り押さえようと手を伸ばし―――

―――たが、その指が掴んだのは修道服のみだった。

肝心の本体がいない。

神裂「―――!」
その瞬間強烈な悪寒が体中を走った。
先とは比べ物にならない『力』が津波のように押し寄せてきた。
そして背後に気配。

神裂「(これは―――!!!!)」
瞬時に振り向きながら鞘に入ったままの七天七刀を振るう。

すると。

「―――Ya!!!!!!」

掛け声と同時に凄まじい衝撃がその七天七刀に襲い掛かった。

神裂「―――ッ!!!」

そのあまりの衝撃に神裂の体が弾かれ、廊下の壁を突き破ってその向こうの広いホールに叩き込まれた。
並んでいた長椅子がバラバラになって飛び散る。
聖堂全体が大きく揺れた。

401 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 02:00:30.40 ID:wLtBbi20
神裂「―――くっ!!!」
壊れた長椅子の間で神裂が立ち上がる。

そして正面、神裂の体がぶち抜いた壁の穴を見る。
そこには。

黒いピチピチのボディスーツ、高く結った長いポニーテール。
黒縁のメガネに口元のほくろ。両手には巨大な拳銃。
そして更にヒールと一体化してるかのように両足に取り付けられている巨大な拳銃。
計四丁の銃を装備した、とてつもなくセクシーで妖艶な女が立っていた。

「いい動きするじゃない。んん、火照ってきちゃったわ」
左手の銃をメガネの淵にコンコンと当てながら、これまた魅惑的な声を放つ。

神裂「…なっ!?」

「あなた―――結構おいしそうね」
首を傾けながら、とろけるような目で神裂を見る。

そしてその女は再び動いた。

今度は正面から来る。
だがあまりに早すぎて神裂でさえ良く見えなかった。
黒い影が凄まじい速度で向かってきた。

神裂は右手を七天七刀の柄に添える。
そして。

神裂「―――シッ!!!!」

―――唯閃

今度は抜刀した。

淡く青く光る刃が解き放たれる。

403 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 02:01:22.02 ID:wLtBbi20
だがその刃は止まった。

衝撃も無くピタリと。

神裂「―――!!!?」
七天七刀を持つ右手、そして彼女の全身を黒い糸のような、『髪の毛』のような物が固く縛っていた。
その大量の繊維は目の前に立っている女の黒いボディスーツから伸びていた。

神裂「(くっ!!!がぁ!!!!)」
体が全く動かない。

「これ…」

女が神裂の青く光る七天七刀をまじまじと見つめる。

神裂「(こうなったら…天使化して抜け出すしか…!)」
真の力を解き放つにはそれ相応の王室との手続きが必要だ。
しかし今はそんな事をしてる場合ではない。

だが。

「今日はこの辺にしとくわ」
軽く鼻で笑いながら女はあっさりと休戦を宣言した。

神裂「……え?」

404 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 02:03:57.78 ID:wLtBbi20
「じゃあね」
踵を返し、まるでモデルのような歩き方で神裂からスタスタと離れていく。

神裂「ま、待て!!!」

女は振り返り銃を持つ手をひらひらと振りながら、
不気味な程にセクシーな笑みを浮かべた。


「『また』 ね」


神裂「ま―――!?」

その瞬間、女の姿が一瞬で消えた。
そして同時に神裂の体を縛っていた黒い繊維も消えた。

神裂「な、な、なあ?!」

壊れたホールの真ん中に神裂は呆然と立ち尽くしていた。

聖堂の奥から、ホールに向ってくる警備の者達の足音が響いていた。

405 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/03/31(水) 02:06:03.04 ID:NFQU74oo
乙!
ついにスタイリッシュ痴女が本文に出てきたww

412 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/03/31(水) 16:45:14.28 ID:rEDiBQSO
ベヨネッタだっけ?体験版やってくる

>>406
舞台を用意する作品側が迎える作品側のパワーにビビる噛ませ役に傾くのは、礼儀というかお約束みたいなものだから仕方ない
仮に上条さんがダンテ側の舞台に行ってたなら、幻想殺しは触れただけで大悪魔やダンテを消し飛ばす仕様だったかもな

417 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:40:43.54 ID:wLtBbi20
―――

神裂が襲撃される数時間前。

ロンドン、バッキンガム宮殿の地下の大ホール。
時刻は午後11時を回ったところだ。

この大ホールで、200人以上の騎士と魔術師達が宴を開いていた。
三日前の件で戦死した仲間を称え、そして実際に戦闘に参加した者達の鬱憤晴らしの為に
女王が特別に計らって開いた宴だ。

当初は亡き者となった仲間の喪失感からか厳かな雰囲気だったが、
時間が経ち酒が回るにつれまるで荒れた議会のように大騒ぎになっていた。

そしてその中でも特に目立っていた者。

上半身が裸になっている銀髪の青年。
そしてその周りにも上半身が裸になっている屈強な騎士達。

ネロ「Yeaaaaaaaaaaaaaaaaaahhhh!!!! Haaaaaaaaaah!!!!!」

一人の大柄な騎士が大きくぶん投げられ、近くのテーブルの上に落ちる。

最初は腕っ節比べの腕相撲大会だったが、いつしかネロ対その他大勢の乱闘大会になっていた。

418 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:41:51.10 ID:wLtBbi20
ネロ「HoooooOOOOOHH!!!!!!!」

ネロが左手のワインボトルをラッパ飲みし、胸を右手で叩き挑発する。
周りの輪の騎士達がワインやウイスキーのボトルを片手にやんややんやと声を挙げる。

今度は俺が相手だ と、複数の騎士達が雄叫びをあげて突進する。

ネロ「Ha-Ha-Ha!!!!!! C'mon!!!! Bitch!!!!!!」

一般の騎士達にとってネロは指揮系統で天の上の存在だったが、今はそんな事はおかまいなしだ。
ベロンベロンに酔ってはっちゃけた戦士達はその溜まりに溜まった鬱憤を野蛮で派手な形で放出していた。

突進した騎士達はあっけなく吹っ飛ばされる。

ネロは一人の騎士へ右手でヘッドロックをかけ、その頭に左手のワインをぶっ掛ける。

ネロ「汗臭えな!洗髪してやるぜ!!!お痒いところはありませんかぁコラァ!!!?」
続けてワインでずぶ濡れになった髪をぐしゃぐしゃとかき回す。

そして拘束を解き後ろに回り。

ネロ「ご来店どーもぉお!!!また来いやクソヤロー!!!」
ケツを蹴り、輪の外へ叩きだした。

周りの騎士達から熱く図太い歓声が、まるで地響きのように上がった。

419 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:44:28.04 ID:wLtBbi20
ネロ「NEXT!!!!!!!!」

ステイル「今度は僕が相手だ」

輪の中から上半身裸の赤毛の男が現れた。
周りからいっそう大きな歓声が上がる。

体つきは決していいとは言えない。むしろガリガリだ。
だがいまや悪魔となっている彼は人間離れした怪力の持ち主だ。

ネロ「いい度胸だぜモヤシ野郎!!!!」

ステイル「はは!!!上等さ!!童顔野郎!!!」
見た目だけで言えばステイルの方が僅かに年上に見える。

ネロ「クソガキが!!!教育してやるぜ!!!!!」
左手のワインボトルをラッパ飲みする。
そして口を拭いながら空になったボトルを乱暴に横にぶん投げた。

更に盛り上がった野蛮なアホ共の輪の中央でゴングが鳴った。

ネロ「来いや!!」

ネロが手を広げ、左手で自分の逞しく割れた腹を軽く叩く。
ここにパンチしてみろと挑発しているのだ。

ステイルが突進する。
だがその手はネロの腹には行かなかった。
両手でネロの頭を挟むように固定し、強烈な頭突きを顔面にぶち込んだ。
人間なら頭がトマトのように叩き潰される程の威力だ。

ネロ「ぉ…!!!」
鼻血を流しながらネロが数歩下がる。

ステイル「ははは!覚えとくんだな!!これがイギリス式ってやつだ!!」

420 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:46:56.80 ID:wLtBbi20
ネロ「効くゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!はっは〜!!!良いねえ!!!たまんねえな!!!」
ネロが鼻血を乱暴に拭いながら笑う。

今度はステイルが両手を広げ挑発する。

ネロ「OK〜!!!こっちの番だぜ!!!」

今度はネロが突進する。

そして足を大きく振り―――

―――ステイルの股間へジャストミート。

鐘が鳴るような効果音が聞こえてきそうなくらい綺麗に決まる。

周りの輪から「Oh......」と笑いを含んだ声。

ステイル「おぉおおおおっ…うぉおおお…うぐう…あが…」
ステイルが力なくうつ伏せに倒れた。

男として耐え難い苦痛に襲われているはずなのだが、
酒のせいかその顔には君が悪い笑みが浮かんでいた。

ネロ「覚えときな!!! これがフォルトゥナ式だぜ!!!」

421 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/03/31(水) 20:47:57.57 ID:rEDiBQSO
何やってんだwwww

422 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:50:05.77 ID:wLtBbi20
ネロは新たに渡されたワインをステイルにぶっかける。

ネロ「種無しは黙ってオネンネしてな!!」

普通なら種無しになる程の強烈な蹴りを受けたステイルはその後、
完全に潰されたイチモツが完全に機能を再生するまで三日を要した。

ネロ「俺は休憩するぜクソ共」

ネロはステイルに背を向け、ワインボトルをラッパ飲みしながら輪から外れた。
今度は別な者同士が試合を始めたらしく、背後の輪から大きな歓声が聞こえた。

ネロはふらつく足取りでテーブルが並ぶ大宴会場と化したホールを歩いていく。

その時、聞きなれた声が耳に入った。
口調はいつもと全く違うが。

「だ〜から!!!上条さんは!!!こんな私なんかうぐあああああ!!!」

ネロ「五和かぁ」

423 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:53:50.65 ID:wLtBbi20
ネロ「どうしたってよ?あぁ?」

ふらふらしながら、焼酎を一気飲みしてる五和の隣に椅子を置き座る。

アニェーゼ「くっだらねえ痴話話ですよ」
同席していたアニェーゼが答える。彼女は酒を飲んでいないようだ。

五和「くだねえだとぉ!?」

建宮「五和…少し休憩するのよな」
どんどん焼酎の瓶を空にしていく五和を促す。
実は五和が飲んでいる焼酎は全て建宮の私物だ。

五和「うるへぇ!!!」
口に焼酎を含みながら建宮へ言い返す。

ネロ「あ〜まだあのガキにアタックしてねえのか。根性ねえな!」

ネロ「バッと襲っちまえよバッてよ。あんぐれぇのガキはイチコロだぜ。間違いねえ」


五和「それができたら楽なんだっつーの!!!」
424 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:55:31.73 ID:wLtBbi20
ネロ「ははぁ〜お前まだ処女だろ?分かるぜ。青臭え匂いがプンプンしてやがる」

五和「んぐ!!!」

ネロ「OK、こう思え。これは戦争だ。戦いだ」

ネロ「勝った方が正義だ。既成事実を作れば勝ちだ」

五和「戦い…?」

ネロ「BATTLEだ。WARだWAR」

五和「そう…これは戦争!!!」

ネロ「いつものように前に出やがれ!『戦い』だぜ!!武器を使え!!!」

ネロ「女の武器をな!!お前はその胸に二つ核兵器ぶらさげてるじゃねえか!!使え!!!」

五和「は、はい!!!使う!!!使います!!!」

建宮「…」

アニェーゼ「(酔っ払い共が)」

425 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 20:57:44.15 ID:wLtBbi20
ネロ「わかってきたみてぇだな!!!OK、次は具体的な戦術だ!!良く聞け!!」

五和「Sir!!!!!」

ネロ「一気に押し倒せ!!んでその胸にぶら下がってる二つの『核』を押し付けろ!!!」

五和「攻勢ですね!!!」

ネロ「だがそこで待て。一旦退け。そして泣きそうな目でこう言え」

ネロ「『ごめんなさい…私なんかじゃダメですよね』  ってなぁあああああああ!!!!」

五和「おおおおおおおおお!!!!」

ネロ「これであのガキは陥落だぜ!!!!男の欲望と良心への同時攻撃だ!!!」

ネロ「Huuuuuhhooooooo!!!!!!」

建宮「…」

アニェーゼ「…」



トリッシュ「…」

426 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/31(水) 21:00:23.39 ID:wLtBbi20
ネロ「…あぁ?」
ネロがその金髪の女性に気付いて振り返る。

トリッシュ「…」

ネロ「…今大事なとこなんだ。何か用か?」

トリッシュ「あなたこんな所にまだいたの?」

ネロ「いちゃ悪いか?」

トリッシュ「ええ。確か仕事があったと思うけど」

ネロ「あ〜」
酒でぼんやりしている頭の中を確認する。そういえば何かあったような気がする。

トリッシュ「学園都市」

ネロ「おお!そうそう!!」
学園都市へ行き、イギリスの事件と同時刻に起こった騒動が関係しているのかどうか
インデックス達と確認する手はずになっている。

出発する予定の時刻はちょうど今だ。

ネロ「わぁったわぁった」

ネロ「アンタはもう帰っていいぜ。ダンテとにゃんにゃんしてろ」
ネロは再びトリッシュに背を向け五和と話し込む体勢に戻った。


次の瞬間、ネロの頭部を電撃の槍が貫いた。

427 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/03/31(水) 21:39:33.08 ID:NFQU74oo
ネロはっちゃけすぎww

434 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/02(金) 23:51:09.28 ID:628VBO.0
―――

バッキンガム宮殿の地下ホール。
ここは相変わらず大騒ぎであった。

トリッシュ「―――て感じで、私が来る前のダンテもかなり苦労したみたいよ」
ワインの入ったグラスを右手に持ったトリッシュ。
その誰しもが見とれてしまうほどの美しい顔がほんのりと赤くなっていた。

ネロをこんがり焼いてから一時間が経過していた。

周りの者達がそれぞれ相槌を打つ。
皆スパーダの一族と、そのまわりの話には興味心身だ。

アニェーゼ「(悪魔にもアルコール効くんですね…これは武器になるかもしれねぇです)」

五和「はぇ〜そう〜なんですかぁ」
飲みすぎて半ば意識を失いかけている五和が何とか相槌を打つ。

ステイル「一つ聞いても?バージルもダンテと似たような人なのか?」
今は種無しになっているステイルが聞く。
まだ痛むのか、その顔は少し引きつっている。

トリッシュ「全然」

ステイル「?」

トリッシュ「無言、真面目、合理主義、完璧主義」

ステイル「正反対じゃないか」

トリッシュ「まぁ、そんな所かしら。だから今でも時々思うの。『アイツ』が本当にバージルの息子なのか?って」
そう言いながら、上半身裸で馬鹿みたいに騒いでいる男集団に目を向ける。

その輪の中心で銀髪の青年、ネロが相変わらずハッスルしていた。

435 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/02(金) 23:54:56.68 ID:628VBO.0
当初ネロは飛行機で学園都市に向かう予定だったが、トリッシュが送れば一瞬ということで、
彼女はもうしばらくここでネロを遊ばせる事にした。

トリッシュ「『アレ』、ダンテの息子って言ったほうが納得するわよね」
そのトリッシュの言葉に一同が同意する。

トリッシュ「だんだんとダンテに似てきてるような気がするし。まあ最初からあんな感じだったんだけどね」

ステイル「そんなに父親に似ていないのか…」

トリッシュ「でも似てるところもあるわよ。頑固なところとか勤勉なところとか」
トリッシュ「ネロ、仕事は真面目にこなすし」

アニェーゼ「確かにですね」

トリッシュ「まあバージルとダンテの性格がバランス良く溶け合わさっている感じかしら。父も叔父も両極端だし」

五和「ひとついいでふか?」
呂律の回っていない五和が声をあげた。

トリッシュ「何?」

五和「ネロはんから聞いたんでふが、トリッシュはんとダンテはんって恋人なんでふよね?」

トリッシュ「………あんのクソガキ」

436 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/02(金) 23:56:43.30 ID:628VBO.0
トリッシュ「違うわよ」
にっこりと不気味な笑みを五和に向ける。

トリッシュ「同居してるけど、そういう関係じゃないの。寝たことも無いわよ」

五和「ね、寝た…」
一部のワードだけを拾って五和が何やらブツブツ呟き始める。

トリッシュ「相棒ってところかしら。パートナーよ」

ステイル「ちょっといいか?悪魔も…その…なんだ…あ〜…」

トリッシュ「SEXしたいのかって?」
そのトリッシュのストレートな言い方に周りが一瞬固まる。

ステイル「お、おお」

トリッシュ「さぁ。それぞれじゃない?『淫魔』はそういうの大好きらしいけど」

トリッシュ「私は別に興味ないわよ。したこともないし」
その意外な答えに周りが再び固まる。

トリッシュ「なによ、ちょっとアンタ達勘違いしてない?私のこの姿は仮のものよ」

トリッシュ「人間で例えれば 自動車同士でSEXしようぜ って言ってるようなもんよ」

トリッシュ「それに生粋の悪魔全員に人間と同じくXXXやXXXがついてるなんて大間違いよ」

トリッシュ「人間と同じやり方で繁殖する訳ないでしょ。全く違う存在なんだし」

ステイル「だ、だが…確かダンテ達の父親は…」

トリッシュ「まぁ、やろうと思えばできるらしいけど」

437 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/02(金) 23:59:58.20 ID:628VBO.0
トリッシュ「いい?悪魔には基本的に寿命が無いの。だから『子孫を残す』というのは本能に組み込まれていないの」

トリッシュ「『永遠の寿命を途絶えさせない為に力を求める』。それが悪魔の本能よ」
トリッシュの講義を聞き、まわりから関心した声があがる。

ステイル「じゃぁ…ダンテとかもそうなのか?バージルは息子を残したが…」

トリッシュ「さすが思春期。興味津々なのね」

ステイル「い、いや、これは悪魔の事を知る重要な…」

トリッシュ「いいわ、答えてあげる。ダンテ、十代の頃はかなり遊んだみたい」
トリッシュ「半人半魔だからね。悪魔の姿も人間の姿もどっちも本物」

トリッシュ「だからXXXも人間と同じく普通に勃つらしいし、欲情もするみたい」
トリッシュ「でも別に無くても良いらしいわよ。やっぱり『戦い』の方が快感だって」

トリッシュ「彼の中での優先順位は『戦い』、『ピザ』、『ストロベリーサンデー』、『ワイン』、その次が『SEX』ね」

ステイル「…ピザのほうが上なのか…」

トリッシュ「バージルなんかはもっとハッキリしてるわよ。『戦い』以外には興味が無いんだから」

ステイル「だがバージルは息子を…」

トリッシュ「そこが私も不思議なのよね。ちょっとした気まぐれだったのか、」
トリッシュ「それとも彼の中に僅かに残っていた人間の部分がある女性を本当に愛してしまったのか」

ステイル「…なるほど…興味深いな」

438 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:02:06.30 ID:0sq3MnM0
トリッシュ「っていうか、今この場所に良い標本があるじゃない」

ステイル「?」

トリッシュ「何すっとぼけてんの。アナタも悪魔でしょ」

ステイル「そ、そうだが、僕は元々人間で…!」

トリッシュ「転生した時点で完全に精神構造も変わるわよ。それでも想い人は変わってないでしょ?」

ステイル「……むむ」

トリッシュ「ほら、人を愛する悪魔じゃないの」

ステイル「…まぁ…」

トリッシュ「禁書目録の事好きなんでしょ?」

ステイル「お、お、そこは言わなくても…!」
五和を省くまわりの者達がニヤニヤする。五和は既にテーブルに突っ伏して寝ていた。

トリッシュ「禁書目録とSEXしたいんでしょ?」

ステイル「まてぇええええええええ!!!!」

トリッシュ「夜な夜な禁書目録を思い浮かべて一人でオn」

ステイル「やめろおおおおおおおお!!!!!」


ネロ「ハハァ!!!!面白そうな話してんじゃねぇか!!!俺も混ぜr」

突如ベロンベロンに酔ったネロが割り込んできたが、
言葉の途中で彼の顔面を電撃の槍が再び貫いた。

439 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:06:48.89 ID:0sq3MnM0
ゴルフボール大の穴が額に開き、ネロはそのまま仰向けに倒れた。

ネロ「へへへへへははぁ!!………って痛ぇなおぃ…」
ぎこちなく起き上がる。額の穴はみるみる塞がっていった。

ネロ「クソ!!何しやがるババア!!!?」

トリッシュ「アンタ、五和ちゃんに吹き込んだでしょ。私とダンテがどうのこうのって」

ゆっくりと椅子から立ち上がり、ネロの前へ向かう。



周りが空気を読んで、二人から離れる。


ネロ「…あ〜…そんな事もあったような無えような」
ネロの目が泳ぐ。

トリッシュ「そろそろ出発の時間だし」

トリッシュ「一回その酒でふやけた体全部丸ごと吹っ飛ばした方良いわね」

トリッシュ「そうすれば一発でアルコール抜けるわよ。良くダンテにやってあげてるの」

ネロ「…そいつは…遠慮させて貰うぜ」

441 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:10:45.86 ID:0sq3MnM0
トリッシュ「全く…本当にダンテに似てきたわね」

ネロ「へっへ、つーことはアンタが俺のお袋ってか?はは、そいつは願い下げだぜッハッハー!!」
ベロンベロンのネロがゲラゲラと下品に笑う。

トリッシュ「…」
トリッシュは無表情。

ネロ「はははははっ!!!!……………悪ぃ…冗談だ」

ネロ「…そう怖い顔すんな。皺が増えちまうぜ。トリッシュお姉さん」

トリッシュ「あら心配してくれてるの?いい子ね。お姉さん気分良くなっちゃった」
トリッシュが背筋が凍るような笑みを浮かべる。
その目が赤く光っていた。

トリッシュ「ご褒美あげちゃう」


ネロ「……あ〜あれだ、若気の至りって事で見逃s」

トリッシュ「死ね」


次の瞬間、雷鳴が轟きネロの全身が消し飛ばされた。

アルコールは完全に抜けた。


442 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:16:06.66 ID:0sq3MnM0
―――

バッキンガム宮殿の地下ホールでネロがトリッシュに全消しされる半日前。
学園都市、深夜。

とあるマンション、「グループ」のアジトの一室に一方通行はいた。
ソファーに座りビールを飲んでいた。目の前のテーブルには大量の空き缶。

そしてピザとこれまた大量のワインボトル。

テーブルを挟んで向かいのソファーにその『客人』がだらしなく座っていた。
赤いコートに銀髪の大男。

ダンテ。

なぜこの最強の男がこんな所にいるのか。

ダンテがこのアジトに現れたのは一時間ほど前だ。
巨大なギターケースを背負い、左手にワインボトルを持って『颯爽』と突入してきた。

そしてこう言い放った。
よう、屋根かせや と。

当然、一方通行は反発した。
だがしばらくして気付くと、こうしてダンテと飲んでいた。
完全に相手の空気に飲まれてしまったのだ。

一方通行は これは自然災害のようなもンだ と諦めた。

444 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:19:31.54 ID:0sq3MnM0
話を聞くと、どうやら探し物があってそれが見つかるまで学園都市に滞在するとの事だ。

無一文かよ と一方通行は聞いたが、今は違う とダンテは返した。
このアジトに来る前に、ダンテは再びアレイスターの所へ行ったのだ。

少し金を貸してくれと。

アレイスターは黒のクレジットカードと連絡用の携帯電話、
そして最高レベルのセキュリティパスをダンテに発行した。

なぜセキュリティパスも発行したかというと、余計な破壊や治安部隊との衝突を防ぐ為だ。

壁に穴を開けたりゲートを破壊したり警備員をぶっ飛ばしたりさせないように。

じゃあなぜこのアジトに来たのか。
ダンテは なんとなくだ と答えた。

それはダンテの本心ではない。

ちゃんとした理由があった。
「強い奴」の周りは争いが起こりやすいからである。
ましてやこの一方通行の影のある雰囲気。明らかに闇の世界の殺し合いで荒んでいる。

ダンテは こいつの近くにいれば何か楽しい事があるかもしれねえ と思ったのである。

445 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:22:26.50 ID:0sq3MnM0
一方通行は煙たがりながらも、まァ良いかも知れねェ とも思っていた。
聞きたい事が山ほどある。

一方通行「…で、テメェと瓜二つのあの日本刀の男はなンなンだ?バージルッつッてたか?」

ダンテ「俺の兄貴だ」
ダンテがピザを食べながらそっけなく答える。
半ば寝そべりながら座っている為、パン生地のカスがボロボロと落ちている。

一方通行「…じゃァあのもう一人の青いコートの野郎は弟か?」

ダンテ「俺の甥だ」

一方通行「ハッ、全く随分と恐ろしい一家だなおィ」

ダンテ「まぁな。そういう『血』だ」

一方通行「つー事は…その強さも生まれつきかァ?」

ダンテ「みたいなもんだ」

一方通行「…」
そこにも興味がある。

一方通行の力は生まれつきでは無く能力開発によるものだが、その発現はかなり幼い頃だった。
突如覚醒したとんでもない力。

そこから地獄が始まったのだ。

その時から彼は血の世界を生きる事になった。

446 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:26:45.41 ID:0sq3MnM0
一方通行「どンな感じだったンだ?」

ダンテ「何が?」

一方通行「その力、嬉しかったか?」
一方通行から見れば、ダンテ達の力は今まで彼が求めていた『絶対の力』だ。
その強大な力を生まれながらにして持つ宿命を背負わされた者が、
どのような人生を送ってきたのかが気になる。

ダンテはさらりと一言。

ダンテ「クソだ」

一方通行「…」

ダンテは一方通行には言わなかったが、彼の若き頃は悲惨だった。
テメンニグルの塔で兄と再会するまでの彼は『何』も持っていなかったのだ。

父が失踪し、母が殺され、そして兄が消えただ一人。

己の力を持て余し、目的も無くただただ暴れた。
闇の世界に身を投じ、暴虐と殺戮の限りを尽くす。

悪魔からも人間からも『穢れた血』と蔑まれた。
ダンテは己を嘲笑する者達を片っ端から皆殺しにしていった。

向けようの無い鬱憤をはらすべく刺激を求める。

その行為はエスカレートし、
まるで死に場所を求めているかのような馬鹿げた行動を取るようになった。

447 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:29:28.99 ID:0sq3MnM0
心の奥底では本当に死に場所を求めていたのかもしれない。
確かな『何か』が欲しくて。
それが『終わり』でも良かったのだ。

しかし彼の力が、死ぬ事を許さなかった。

ある時は自分で頭を撃ち抜いた。
またある時は自分で頭を切り落とした。

だが何をしても死ねなかった。

そして時々見る悪夢。

母の死の情景。

これ程の力を持っていながら何もできなかったという事実。
それが若きダンテの精神を削り落としていった。

中身が空っぽの、周りの世界を嘲笑しながら莫大な力を振り回すタダの怪物だったのだ。


一方通行「…そゥか」
ダンテが返した一言。それだけで一方通行も充分理解した。。
彼もまた、自分と同じく地獄を見てきた と。
そしてその地獄の深さは自分以上かもしれない と。

448 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:31:33.31 ID:0sq3MnM0
ダンテ「だがまぁ、『今』は別に良いと思ってる」

ダンテ「それで『仕事』ができるんだしな」

一方通行「…」

ダンテ「お前も良いんじゃねえのか?その力のおかげで守れるもん守ってんだろ?」

一方通行「ハッ…守れてるかどゥかは微妙だがなァ」

ダンテ「生きてんだろ?ならいいじゃねえか」

一方通行「…」

ダンテ「つーかお前も中々だぜ」

ダンテ「バージルに魔人化までさせて生き残っている奴なんざ片手で数えるぐれぇしかいねえよ」

一方通行「あれは…運が良かッただけだ」
あの時の状況を思い出すと今でも背筋に冷たいものを感じる。

あのまま最後まで戦っていれば間違いなく自分は死んでいたのがわかる。

一方通行「それに…あン時の俺は反則紛いの方法で強化されてたンだ」

一方通行「実力じゃねェよ」
今でもあの黒い翼を出そうと思えば出せる。
だがそれは今までのと同じ雑でざらついた無様な物だ。

あの時のような洗練された滑らかな翼には到底及ばない。

449 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:33:29.46 ID:0sq3MnM0
ダンテ「でよ…話変わるけどよ」

一方通行「…なンだ?」

ダンテ「お前が守りてぇ奴って…」

ダンテ「女だろ?」
ダンテがニヤリと笑う。

一方通行「……ハァ?」

ダンテ「ハッハ〜わかるぜ!お熱いねぇ!」

一方通行「アァ?!テ、テメェ何を?!!」

ダンテ「写真とかねぇのか?何かあるだろ。見せろや」
ダンテがいかにもという感じでニヤける。

一方通行「ねェよ!!」

ダンテ「嘘いうな。今の携帯って写真取れるんだろ?あるんだろその愛しのカワイコちゃんのがよ」

一方通行「うるせェ!!誰がテメェなんかに…!!」

ダンテ「見せろ」
ダンテが急に真顔になり、目が赤く光る。

一方通行「―――な、……」

権力乱用も甚だしい。
この男に凄まれればさすがの一方通行も折れざるを得ない。

こンな事でマジになりやがって… と思いつつ携帯を操作し、
一枚だけあった打ち止めの写真を表示する。

450 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:36:09.51 ID:0sq3MnM0
一方通行「…先に言ッておくけどよ…テメェが考えてるような関係じゃねえェからな」

ダンテ「うるせえ、いいからさっさと見せろ」

一方通行は携帯をしぶしぶダンテに手渡す。

ダンテ「ハッ!どれだけのベッピンさんか拝ませてもらおうじゃ……」

ダンテはその画面を見た瞬間固まった。


ダンテ「Oh.......」


一方通行「…」


ダンテ「…」

一方通行「…何か言ェよ」

ダンテ「…こいつ何歳だ?」

一方通行「…ぜ、0歳だ」

ダンテ「............What?」

一方通行「0歳」


ダンテ「.....Holy sit.....」

451 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:40:56.76 ID:0sq3MnM0
ダンテ「あ〜………」

一方通行「ンだよ」

ダンテが残念そうな表情で一方通行の顔を見る。

ダンテ「お前…こういう趣m…いや何でもねえ」

一方通行「アァアア!!?だからそーィうのじゃねェッッてんだろが!!!」

ダンテ「まぁ…人それぞれだしな」

一方通行「聞けや!!」

ダンテ「とやかくは言わねぇがよ……絶対にハメを外すなよ」

ダンテ「少なくともあと五年ぐれえは待て」

一方通行「オァアアアアア!!!!」

ダンテ「あと15年すればかなりイイ女になるぜ…」

ダンテ「…って言ってもお前には良さはわかんねぇか」

一方通行「うるせェエエエエエエエエエエ!!!!」

452 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/04/03(土) 00:42:01.41 ID:Y8R5Qig0
ダンテに諭されたwwwwww

453 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 00:43:39.36 ID:0sq3MnM0
ダンテ「…ま、誰かの為に戦うなんてイイ話じゃねえか」

一方通行「テメェが言うと馬鹿にされてるよゥに聞こえるな」

ダンテ「待て…このおチビちゃん、レールガンちゃんの妹かなんかか?そっくりだな」

一方通行「…まァな」

ダンテ「へぇ。訳ありか」
その僅かな含みを見逃さなかった。
携帯を一方通行に軽く放り投げて返す。


一方通行「……あァ」

ダンテ「あ〜ウジウジすんじゃねえよ。女々しい野郎だぜ」

ダンテ「ウサちゃんかよお前は」

一方通行「…るせェ」
持っていたビールを口に運び、一気に飲み干す。


ダンテ「ま、せいぜい気張れや。ボーヤ」


一方通行「…言われなくてもなァ」


その後、二人は夜通し仲良く(?)飲んだ。
朝になり、酔いつぶれた一方通行が目を覚ました時は既にダンテの姿は消えていた。

454 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/04/03(土) 00:47:48.27 ID:1J0DN.DO
ネイティブ発音でドン引きすんなww

455 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/04/03(土) 12:31:06.79 ID:Y8R5Qig0
てか一方さん、飲んでるのコーヒーじゃなくて酒かいwwww

458 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:28:47.16 ID:0sq3MnM0
―――

漆黒の空。
延々と続く浅い血の海。

上条はそこに一人立っていた。
足首から下がその浅い血の海に浸かっている。

上条「……あれ?」

見覚えがある。魔界の深淵だ。
上条自身は行った事が無いものの、以前『記憶の中』で来たことがある。

上条「……何でここに…?」

いつどうやって、何で来たのか思い出せない。

上条「ん?」

その時、背後に気配を感じ振り向いた。
そこには。

上条「―――」

5m程の場所に黒い人影。
細部が良く見えない。まるで切り絵のような漆黒のシルエット。

その形は上条が良く知っているものだった。

背丈は彼と同じ程。体格も同じ。そしてツンツン頭。
そう、自分自身のシルエット。目の位置が赤く光っていた。

その影を見た瞬間、胸の内部の心臓がある辺りが一瞬痛んだ。

459 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:31:43.12 ID:0sq3MnM0
上条「―――なっ?」

『怖いんだろ?』

腐るほど聞きなれた声がその影から発せられる。
紛れもない自分自身の声。

だが完全に同一というわけではなかった。
妙なエコーがかかっている。

『失うのが』

上条「―――」

『憎いんだろ?』

その「影」が言葉を続ける。

『自分の弱さが』

上条「……」
どう考えても奇妙な状況なのに、なぜか冷静に聞き入ってしまう。

妙な感覚だ。

喋っているのは自分では無いのに、まるで自分が喋っているような感覚。

460 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:41:07.56 ID:0sq3MnM0
『二ヶ月前に―――』

『最高に良いもん手に入れたじゃねえか』

上条「へ…?」

『もう人間の小さな「器」とはオサラバだぜ』

『「アレ」も使い放題だ』

上条「……何の事だよ一体…?」

『…お前その右手何だと思ってた?』

上条「何って…異能を打ち消す『幻想殺し』だよな」

『「打ち消す」のは副作用だ。それに厳密に言うと「相殺」だ』

上条「…………はぃ?」

461 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:45:08.69 ID:0sq3MnM0
『その右手は「触覚」みてえなもんだ』

『覚えてるか?色んな「力」に触れてきただろ?』

上条「おい…何言ってんだ?」

『今まではしょっぺえのしか無かったがこの二ヶ月間はすごかったな』

上条「それが…なんだってんだ?」

『お前馬鹿だろ?「自分に」言うのもあれだがよ…。例えば、「創造の力」を触ったよな?』

上条「…魔帝か?」


『ああ。あんなとんでもない代物を直で触っといて何も無いと思うか?』


上条「さ、さぁ……無いんじゃないか?」


『本当にアホだな………やっぱまだ知るには早いか』

影が上条の方へ向けて動いてくる。

462 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:47:30.41 ID:0sq3MnM0
上条「お、おわ…!!!!!」
反射的に後ろに下がろうとしたが体が動かない。
凍りそうなほど冷たい黒い影が上条の手足に巻き胸に伸びていく。

そして胸の皮膚を破り上条の中へ。

上条「が!!!あああああああ!!!」

黒い影が、栓が抜かれた湯船のようにどんどん上条の胸へなだれ込んでいく。
胸が軋み、この世の物とは思えないほどの激痛。

上条の中に激痛と共にどす黒い感情が猛烈な勢いで噴き上げてきた。
心の中を全て黒く塗りつぶしていく。

『待ってるぜ 「俺」』


上条「ぁあああああああああああああああ!!!!!」


―――ま


上条「ぁあああああ―――!!!」


―――うま!!


上条「―――…ッ………クス?」


―――とうま!!!!

463 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:48:39.12 ID:0sq3MnM0
上条「…んぁあああッ!!!!」

勢い良く起き上がった。

上条「…あれ…?」

見慣れた光景が広がっていた。
そこは毎晩上条が寝ている風呂場。

禁書「とうま!!!とうま!!!!」

インデックスが彼を呼ぶ声と、彼女が風呂場のドアを激しく叩く音が響いていた。

上条「…おお!!」
状況が把握できないが、とりあえず返事をしながら立ち上がり、
風呂場のドアの鍵を外して開ける。

そこには今にも泣きそうな顔をしたインデックスが立っていた。

禁書「とうまぁあああ!!!!」

上条「っどうしたんだよ?!」

464 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:51:46.97 ID:0sq3MnM0
カーテンの隙間から明るい光が差し込んでいた。
時計を見ると午前7時を回ったところだった。

インデックスを落ち着かせて話を聞く。
どうやら上条が突如まるで激痛に襲われたかのような大声を発したらしい。

禁書「ど、どうしたの?とうま…」

上条「……ああ、ちょっと悪い夢見ただけさ」

夢。

その夢の内容がなぜか全く思い出せない。
何かすごく重要な気がする。
だが全く浮かんでこなかった。

上条「(なんだってんだ……ん?)」

ふと、自分が大量の汗をかいてたのに気付いた。

上条「うっわ……びちゃびちゃだな」

禁書「とうま、本当に大丈夫?」

上条「はは、上条さんに心配はいりませんよ」

上条「ちょっとパッとシャワー浴びるわ」

465 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:53:35.01 ID:0sq3MnM0
禁書「そ、そう……じゃあその間に私が朝ごはん作るんだよ!!」

上条「ぷ…ははは!何言ってるんだよインデックス!」
上条「お前作れないだろ?良いって俺が作るから。その気持ちだけ受け取っておくよ」

わしゃわしゃと、寝癖が跳ねている小さな頭を撫でる。

禁書「…う、うん!」

上条「よし、じゃあ待ってろ。すぐ上がってメシ作ってやっから」

上条「…っと、ネロさん何時に着くって行ってたっけ?」

禁書「10時なんだよ」

上条「そうか。ならゆっくりできるな」

あのイギリスの事件から三日経っている。

この学園都市の事件も例の件に関係あるのか。
それを調べるために今日、ネロが来る予定になっている。

ネロとインデックスが崩落した第23学区を見に行くのだ。

上条も付き添う予定だ。

―――

466 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/03(土) 23:58:21.58 ID:0sq3MnM0
―――

とある喫茶店。

この店の窓側の席で黒子、初春、佐天がテーブルを囲んでいた。

黒子「う〜ぁ〜…」
頬杖をつきながら気の抜けた声を発する。
初春と佐天はそんな黒子にお構い無しにペチャクチャ他愛も無い会話をしていた。

黒子は疲れていたのである。
三日前の疲労がまだ抜けていない。相変わらず冷えた腹も下し気味だ。
あの後、突如黒服の男達が寮にやってきて黒子と御坂を理事長命令で連れ出した。

二人は驚いたが、「やっぱりね…」と納得もした。
二ヶ月前も同じような事があったのだ。

今回も前回と同じく灰色の味気ないビルの一室に連れて行かれ、
事件について一切口外しないという内容の誓約書にサインさせられた。

この二ヶ月間で一生分の精力を使い果たしてしまったような気がする。

黒子「(どれもこれも…あのふざけた男が現れてからですの!!!全く!!!)」
そう、あの男。
ダンテが現れたその瞬間から奇妙な世界に引き込まれてしまった気がする。

黒子「はぁ…」

初春「大丈夫ですか?白井さん」

佐天「風邪治ってないんじゃないの?無理しちゃダメですよ」
二人には風邪をひいたと言ってある。

黒子「大丈夫ですの。黒子はこれしきではへこたれませんの」

467 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:04:41.94 ID:xHBONHo0
佐天「そういえばさ、あの三日前の事件ってさ、やっぱりおかしいよね」

佐天「どう見ても実験機の爆発事故じゃないでしょ」
学園都市はそう報道したのだ。

初春「ですよね〜。あの光の柱はなんなんだろう」

光の柱。ダンテのパンドラのものである。

佐天「ねーねー初春。ちゃちゃっと調べられないの?いつもみたくさ」

初春「だ、ダメですよう!!!セキュリティは破れますけど、ばれたら逮捕されちゃいます!!!」

初春「最高度のセキュリティレベルでしたし!!見つかったら15年くらい牢屋に閉じ込められちゃいます!!」

佐天「あー、一応試したのか」

黒子「(…目の前に真実を知っている者がいますの。教える気はさらさらありませんが。うふふふ)」
黒子は内心少し優越感に浸っていた。

よくよく考えれば知らないほうが幸せなのだが。

468 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:11:09.30 ID:xHBONHo0
ふと黒子はウィンドウ越しに外をみた。

その瞬間。

黒子「―――げぁ!!!」
その先のものを見た拍子に大きな声を上げてしまった。

初春「わぁ!!!」

佐天「ちょ!!!な、何!!?」

黒子は見てしまったのだ。

道路の向こうをだらしなく歩く、銀髪で赤いコートを羽織り巨大なギターケースを担いでいる男を。

黒子「(なぜ!!!こんなところに!!!あの男がぁあああ!!!)」

銀髪の男は気だるそうに大きな欠伸をし、右手で頭を掻く。
良く見ると左手にワインボトルを持っていた。

黒子「(朝っぱらから路上で酒とは!!!!なんて!!!なんて男ですの!!!)」

初春「ふぁ〜」

佐天「わぁー!」
二人もそのやけに目立つ男に気付き目を向ける。

初春「…何て言えばいいのかな…凄い存在感ですね」

佐天「(何あのメチャイケメンなオッサン!!!ハリウッド俳優みたい!!!)」

469 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:14:36.26 ID:xHBONHo0
初春「って、知り合いですか?」
キョドっている黒子へ話しかける。

黒子「し、知りませんの!!!あんな『馬鹿馬鹿しい』殿方など!!!」

佐天「あ〜知ってるんだぁ」

黒子「知りませんの!!!の!!!」

初春「でも…ほら」
初春が指を差す。

するとその向こうの男がニヤけながら、黒子達に軽く手を振っていた。

黒子「むギィィィィィィ!!!」

初春「やっぱり知り合いじゃないですかぁ〜」

黒子にとって幸いな事に、その男はそのままスタスタと通りを進んでいった。

初春「なんか凄いオーラの人でしたね…」

佐天「で、で、白井さん!!あの人誰ですか!?」

黒子「…(どこか…遠くに行きたいですの…『アレ』に会わないくらい遠くに…)」

472 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:27:50.89 ID:xHBONHo0
―――

上条とインデックス、そしてネロは第23学区の崩落した地下駐機場の上にいた。
目的は調査。

この学園都市の件とイギリスの件は関係あるのか。

答えはYESだった。

インデックスの解析によると、この場で使われた召喚式もイギリスで使われた物と構造が一致したらしい。
同一犯、もしくは同組織による犯行だ。

だがその犯人の身元は依然わからなかった。
手がかりが一切無い。

イギリス清教とフォルトゥナは共同で過去の情報を洗い、
これほどの技術を持ち得そうな者を探した。

そして一人の名が最初に挙がった。「アーカム」という男だ。

この男は悪魔に転生し、そしてスパーダの力を手に入れようとしたがダンテとバージルによって10年以上前に打ち倒された。

悪魔になったということで復活した可能性もあったが、
アーカムの力を知っているレディに完全に否定された。

力の「匂い」がアーカムではなく全く別人の物だったのだ。

他に名が挙がった者も数人いたが、既に死亡が確認されていたり数百年前の者だったりだ。

473 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:37:11.37 ID:xHBONHo0
ネロ「OK」
ネロが軽く手を叩く。

ネロ「今日はこのくらいにしとこうぜ。また明日だ」

上条「もういいのか?」

ネロ「ああ。しっかり休めよ禁書目録」

禁書「うん!」

上条「ところで…ネロさんはどうすんだ?」

ネロ「何が?」

上条「泊まるところとか」

ネロ「学園都市側が用意してくれてるらしい」

上条「そうか…あのよ…その、飯でもどうだ?奢るぜ?」
この二ヶ月、何度ネロに命を救われたか。
さすがにこのまま何も礼をしないのは上条の良心が許さなかった。

禁書「うん!ネロも一緒に食べるんだよ!」

ネロ「あ〜、ありがてえが、これから用事があるんだ」

ネロ「そんかわり明日よろしく頼むわ」

上条「そっか…おう!」

474 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:42:06.01 ID:xHBONHo0
ネロはタクシーに乗る二人を見送った。

ネロ「っ…」
アルコールは完全に抜けたものの、
トリッシュの力の残留によって未だに体の節々が痺れるように痛む。

ネロ「(…ったく…マジになりやがって…少しは加減しろよ…非常識な女だぜ)」

ネロ「さて…」
用事。それは奔放すぎる叔父に会う事。

一応トリッシュにダンテから連絡が来たらしいが心配なのだろう。
彼女に仕事のついでにダンテの様子を見て来いと言われた。

そのトリッシュを見てニヤニヤしていたら再び電撃を飛ばされ頭にゴルフボール大の穴が開いたが。
そしてさっさと行けとケツを蹴られた。

宴会の件もあって彼女は非常に不機嫌だった。

その時の様子を思い出して小さく笑う。

ネロ「(自分でダンテに会い行けばいいものを。すぐじゃねえか。まわりくどいねぇ)」

淡く輝いている右手を見る。
ここから5キロ程離れた場所だろうか、ダンテの力を感じる。

ネロ「…」
暫く眺めた後、捲くっていたコートの袖を下ろし、光を通さない厚手の革手袋をはめる。
異形の右手は完全に隠れた。

475 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:46:18.89 ID:xHBONHo0
ネロ「(これで…いいか)」
光が漏れないか確認する。

フォルトゥナの事件以来、故郷ではこの右手を隠すのはやめたが、
さすがに外の「一般の世界」で出したままにするのは気が引ける。

かなり目立ってしまうだろう。


それ以前に容姿と服装でかなり目立っているのだが。

ネロ自信は自覚していないが、長身で青いコートに銀の金属製の巨大なケースを背負い、
銀髪にかなり整った顔となると一目見ただけで誰の記憶にでも残る。

ネロ「(さて…行くとしますか)」
ネロはそのダンテの反応の方へゆっくりと歩き始めた。

ちょっと本気を出せば数分でたどり着けるが、それだとつまらない。

今回は少し観光気分でまったり行こうとネロは決めていた。

476 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:51:29.29 ID:xHBONHo0
実はネロ、フォルトゥナの外の「平時」の明るい街を歩くのはほぼ初めてだ。

フォルトゥナの件以来、外の世界にも行くようになったが大抵は寂れた治安の悪いスラム街や、
悪魔襲撃によって阿鼻叫喚になった村、歴史がある素朴な町等だ。

イギリスでの仕事だって、大抵は城や宮殿・騎士や魔術師達の施設での業務だった。

この学園都市にも二ヶ月前に来たが、その時は地獄と化していた。

ネロ「(へっへっへ…)」
ワクワクする。外の「普通」の明るい街。

音楽やファッションなど、小さい頃から外の文化に興味があった。
周りはそんな俗っぽいネロを敬遠していたが。

俗世から離れた素朴なフォルトゥナでは、
メジャーなロックのCD一枚手に入れるだけで一苦労だったのだ。

477 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 00:52:54.40 ID:xHBONHo0
ネロの営むデビルメイクライ2号店は、1号店とは違い繁盛していた。

共に住んでいるキリエの「人助けが第一」精神の影響もあってか、
ネロじゃなくてもいいような依頼でも彼は引き受けていたのだ。

それに生まれ変わった騎士団の再興や、
昔から魔界と「近い」フォルトゥナの守護の仕事もあった。

最近ではネロを騎士長に推す者達も増えてきたが、
彼はこれ以上仕事が増えるのはさすがに厳しい為断っている。

そういう事で今までなんやかんやで仕事が忙しかった為、
こうやって外の世界をゆっくり見て周る機会は無かったのだ。

ネロ「(はっは〜♪)」

ネロは軽い足取りで学園都市の道を進んで行った。

490 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:12:10.79 ID:xHBONHo0
―――

聖ジョージ大聖堂。
そこの大きなホールに、神裂とトリッシュは立っていた。
壁には大きな穴が開き、ホールに並んでいた長椅子はバラバラに砕けていた。

神裂「一体何者でしょうか…」
神裂の感覚によると、悪魔でも天使でも人間でもない。
それでいて逆にその全ての特徴も備えていた。

トリッシュ「…」

トリッシュには一つ心当たりがある。

『魔女』。

今の魔術師達とは全く系統が違う連中だ。
その力の根源は魔界。

フォルトゥナの魔剣騎士団と系統が似ているだろうか。

五百年前に全滅したといわれる者達だ。
だがつい数年前に数人の魔女の生存が確認された。

そして聞くところによるとその魔女達が、封印から目覚めた大神「ジュベレウス」を打ち倒したとの事だった。
ちょうどダンテとネロがフォルトゥナで「神」と戦っていた時期だ。

ジュベレウスはかの魔帝やスパーダと同等以上の存在だ。
つまりそれを打ち倒した魔女もかなりの実力者だ。

敵か味方か。

今のところは何ともいえない。

魔女は魔界の悪魔と契約し力を行使することもある。
聞くところによると、その魔女と契約関係にあった悪魔の数体をダンテはぶち殺してしまったらしい。
大事な力の根源の障害となるのであれば、敵にまわってもおかしくないのだ。

491 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:15:55.52 ID:xHBONHo0
トリッシュはその魔女に会った事は無い。

だが幸か不幸か、以外にもかなり近い人物らしい。
トリッシュとダンテの『知人の知人』なのだ。

トリッシュ「(エンツォかロダンに聞くしかないわね)」

神裂「…あの…」

トリッシュ「あらゴメンなさいね。ちょっと考えてたの」

トリッシュ「…とりあえずこの件は私に任せて」

神裂「?」

トリッシュ「こっちで調べておくから。心配しないで。王室には私の方から話をつけとくから」

神裂「…わかりました」


その時、トリッシュの脳内に通信魔術の声が響いた。

トリッシュ「…どうしたの?あなたから直で来るなんて嫌な予感しかしないけど。レディ」

レディ『今ダンテ学園都市にいるんでしょ?』

492 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:20:04.48 ID:xHBONHo0
トリッシュ「ネロもいるけど」

レディ『そう、それは良いわね』

トリッシュ「何?まさか世間話する為に繋げたの?」

レディ『違うわよ。依頼があってね。ちょうど場所は学園都市なの』

トリッシュ「何関係?迷子探しとかなら怒るわよ」

レディ『悪魔関係』

トリッシュ「内容は?」


レディ『魔具「ゲヘナの鏡」の回収もしくは破壊』


トリッシュ「…そんな代物が本当に学園都市にあるの?そんなに都合良く」

レディ『忠実な僕が「主」の最期の死に場所に向かう事もあるでしょ』

レディ『とにかく、学園都市にあるのは確かだから』

レディ『私は別件でいけないから。よろしくね』
そこで通信は一方的に切断された。

493 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:25:33.80 ID:xHBONHo0
神裂「…何かあったんですか?」

トリッシュ「緊急の依頼よ。ダンテかネロにやらせるけど」

神裂「そうですか」

トリッシュ「…」


ゲヘナの鏡。悪魔としての名はシェオル。
かつて魔帝仕えていた悪魔の一人だ。

かつてダンテが戦ったドッペルゲンガーの眷属だ。

シェオル自身の戦闘能力はほとんど無い。

だがその力は非常に特殊だ。

「魔鏡」としてのコピー能力はドッペルゲンガーには及ばないものの、
(ドッペルゲンガーはダンテそのものすらコピーする程であった)
別にもう一つの強大な力がある。

対称を「鏡の世界」へ閉じ込めることができるのだ。

表の世界と同じ広さをもつその空間。
一度入った者は、シェオルの意思以外では絶対に抜け出せない。

内側の世界は鏡に映った物、表の世界が壊れない限り鏡の中の世界も壊れない。
つまりどれ程強い力を持っていても内側からは破壊できないのだ。

魔帝でさえ閉じ込められたら抜け出せないと言われている、
その特殊かつ絶対的な力は魔帝によって『牢獄』として使われていた。

494 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:30:34.64 ID:xHBONHo0
トリッシュは何度かシェオルにあった事がある。
印象は「得体の知れない奴」。

他の脳みそまで筋肉でできてそうな大悪魔達と違って、どちらかというと頭脳で勝負するタイプだ。

機会を慎重に伺い、罠を張り巡らせ相手を陥れて「鏡の世界」に閉じ込めてしまうのだ。

トリッシュ「(面倒臭そうな相手ね)」

レディの話から推測すると、
二ヶ月前に魔帝が完全に打ち倒された事によって独自に動き出したらしい。

主の死に場所である学園都市に向かったと。
泣ける忠誠心だ。

トリッシュ「(…)」

そして学園都市にはダンテとネロがいる。

悲しいまでの忠誠心を持つシェオルの主を倒した憎き者達だ。

「ゲヘナの鏡」、シェオルがその事を知ったらどうするか。
確実に何か行動を起こすだろう。

トリッシュ「(ともかく…探す手間は省けそうね)」

ダンテが 面白そうじゃねえか と飄々と自らその鏡の世界に飛び込んでいく映像が一瞬浮かんだ。

トリッシュ「(………まあなんとかなるでしょ」)



495 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:39:20.66 ID:xHBONHo0
―――

相変わらず三人の少女は喫茶店で暇を潰していた。

佐天「そういえばさ、今日は二人ともジャッジメントの仕事じゃなかったっけ?」

黒子「ええもちろん。もう少ししたら行きますの」

佐天「…そういえば御坂さんは??」
今日は土曜日だ。

黒子「お姉さまはゲコ太の限定枕カバー買いに朝一で出て行きましたの」
黒子よりも激しく戦ったのに、御坂は翌日にはケロッとしていた。
レベル5の精神の図太さを垣間見た気がした。

佐天「あ〜相変わらずだね」

初春「…ふあ?」
初春が、ウィンドウ越しに外を見ながら素っ頓狂な声を挙げた。

二人も気付き外を見る。

外の道路を挟んだ所で銀髪に青いコートの男が、
何やら不機嫌そうに公共の電子端末を弄っていた。

英語のスラングがガラス越しに小さく聞こえてくる。
かなり目立っていた。

496 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:42:58.85 ID:xHBONHo0
初春「…なんか…すごく目立つ人ですね」

黒子「あ」

佐天「(わわっ…めっちゃイケメンの外人さんだ…)」

黒子「あの殿方は…」
知らないはずが無い。二ヶ月前に合っている。
詳しい事どころか名前も知らないがあのダンテの家族らしい。
ダンテと同じく凄まじく強いという事は聞いている。

あの時に何度か話したことがある。
口は悪かったが、ダンテとは違って幾分かはまともで良い人のようだった。


初春「さっきの人と雰囲気似てますね。知ってるんですか白井さん?」

黒子「まあ…知り合いですの」

佐天「うっそ!本当?!」

初春「何か困ってるみたいですよ〜」

黒子「…ったく。しょうがありませんの」
次の瞬間黒子の姿が喫茶店から消えた。



497 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:48:36.29 ID:xHBONHo0
―――


ネロは近代的なコンクリートジャングルを当てもなく気の向くまま突き進んだ。

すれ違う者達が振り返ったり二度見する。
ネロは自分のカッコにおかしい所でもあるのかと、何度か立ち止まり確認したが特に無いように思えた。

右手の光も漏れていないし、腰に差している銃もコートの影で見えない。
ネロは首を傾けながらもそのまま進んでいった。

注目を集めているのはその容姿と服装なのだが、ネロは全く気付いていなかった。

ある程度歩いたところで、どこか見所のある場所でも無いかと通りすがりの者に聞いたところ、
公共の電子端末で地図を見れば良いと言われた。

そこでこの端末を見つけた。

そこまでは順調だった。

だがネロはダンテ程とは言わないが結構な機械音痴だ。
CDプレーヤーぐらいならフォルトゥナでも使っていたが、PCなんて触ったことも無い。
ましてやタッチパネルなど。

当然行き詰った。

ネロ「......Fuck....」

498 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:53:34.98 ID:xHBONHo0
ネロ「(何だよコレ…どこで操作すんだよ…クソ…)」

イライラがつのる。

ネロ「Damn it....」

道行く者も彼が何か困ってるというのは悟ったが、
不機嫌なネロの異様な威圧感で誰も近づけないでいた。


その時、背後から覚えのある声が聞こえた。

「何かお困りですの?」

ネロ「あ゛ぁ゛?」

少し喧嘩腰に、不機嫌なままその声に振り向く。
そこにはツインテールの少女が立っていた。

ネロ「あんた…あの時の…」

黒子「お久しぶりですの」

499 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 22:59:05.30 ID:xHBONHo0
ネロ「お〜元気にしてたか?」
知った顔を見てネロの機嫌が晴れ、表情がいくらか優しくなった。

黒子「おかげさまで」
少し皮肉を込めて言葉を返した。
その言葉を聞いてネロは苦笑が混じった子供っぽい笑みを浮かべる。

黒子「で、何か困っていらっしゃったのでは?」

ネロ「ああ、コレな」
ネロは簡単に説明する。

少し観光しようとしてて、地図を見ようとしたが上手くいかないと。

黒子「なるほど」
黒子が手際よく端末を操作して一帯の地図を表示させた。

ネロ「へぇ。すげえな。画面触れば動くのか」

黒子「とりあえず…良かったですの」

ネロ「?」

黒子「いえ、また何か厄介事でもあるのかと」

ネロ「はっは〜心配すんな。今はオフだ」
そうこうしているうちに、通りを挟んだ喫茶店から初春と佐天がやってきた。

500 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:04:22.99 ID:xHBONHo0
ネロ「友達か?」

黒子「ええ。こっちのお花畑が初春、そっちが佐天さんですの」

初春「は、始めまして!」

佐天「よ、よろしくです!(ち、近くで見ると…本当にすっごい…!)」

黒子「それとわたくしが白井黒子でございますの」

ネロ「そういえばまだアンタにも名前教えてなかったな。ネロだ。よろしく」

初春「え〜と…え〜と…が、学園都市にようこそ!」

ネロ「おう、お邪魔するぜ。まあ二回目なんだが」

初春「?初めてじゃないんですか?」

ネロ「ああ、二ヶ月m」
そこで黒子の鋭い視線に気付く。

ネロ「…いや…半年前かな、とにかく前にも一回来たことあるぜ」

ネロ「ま、そん時はゆっくり見て回れなかったからな」

佐天「は〜」

501 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:09:59.09 ID:xHBONHo0
その時、黒子の携帯がなった。

黒子「?」
着信を見るとジャッジメントの同僚からだった。

黒子「(そういえば…時間ですの)」

黒子「初春。行きますの」

初春「は、はい」

ネロ「用事か?」

黒子「はいですの。ではごゆっくり。くれぐれも問題は起こさないで下さいまし」

黒子「『くれぐれも』 ですの」
鋭く睨み念を押す。

ネロ「あ〜、わぁったよ」
ネロが罰を悪そうに頭を掻き、苦笑しながら返事をする。

黒子「では」
そして黒子は初春を連れて、テレポートしてその場から離れた。

ネロ「…」


佐天「…」

502 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:18:04.14 ID:xHBONHo0
佐天「(うっそマジ!?ちょ、ちょっと!!ふ、二人っきり!?)」

ネロ「じゃ、あんたも行っていいぜ」
そう言い、ネロは電子端末の方へ向いた。

佐天「…へ?(…あ、あれ?)」
少し残念に感じた。

別に恋心がある訳では無いが、これ程の美男子と一緒にいるのは悪くない。
一生に一度見かけるか見かけないかのレベルだ。
ましてや知り合いになって一緒にいるなど。

「それ」をここで「はいさようなら」するのも凄くもったいない気がする。

佐天「(涙子!!!じ、人生は一度だよ!!)」

ネロ「…クソ…どう見るんだよこの地図…あっちが北で…」
ネロは慣れない画面と睨めっこしながら何やら呟いている。

その背中に向けて佐天は恐る恐る声をかける。

佐天「あの〜…」

ネロ「あ?まだいたのか?」

佐天「(うがっ!)」
喋った本人は別になんとも思っていないだろうが、そのそっけない言葉が突き刺さる。

503 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:23:21.37 ID:xHBONHo0
佐天「い、いや、特に用事も無いしさ!」

ネロ「へぇ。そうか」
ネロは特に興味無さそうに再び電子端末に目を戻した。

佐天「(っっっ!!!気合入れろ涙子!!!根性!!!よし!!よし!!!)」

佐天「も、もし良かったら、案内してあげよっか?」

ネロ「おお!?」
ネロが勢い良く振り向く。

佐天「!」

ネロ「良いのか!?」
まるで子供のような笑みで佐天を見つめる。

佐天「…う、うん。いいよ。ひ、暇だしねっ」
その透き通るような瞳に見つめられ、少し動揺するもなんとか返事をする。

ネロ「はっは〜OK!助かったぜ!頼むぜ!」

佐天「ははは…で、どこに行きたいの?」

ネロ「…」

ネロ「面白え所」

佐天「へ?」

504 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:27:24.40 ID:xHBONHo0
佐天「え〜…と、もうちょっとこう…具体的に…」

ネロ「…あ〜」
ネロは思考を巡らして考える。
今回の観光は時間に余裕ができたからはじめた突発的な物だ。
特に予定も何も立てていなかった。

その時、ふと思い出した。
昔フォルトゥナでなんとか手に入れた雑誌に書いてあった事。


ネロ「げーむせんたー」


佐天「ゲームセンター?」

ネロ「あるか?」

佐天「あ、あるけど…」

ネロ「OK!連れてってくれ!!」

佐天「う、うん!」

観光でゲームセンターを見に行きたいとは何かおかしい気がしたが、
その勢いと子供のような笑顔に押されてとりあえず連れて行ってあげる事にした。



505 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:32:52.44 ID:xHBONHo0
―――

ダンテは街をぶらついていた。
暇で暇で仕方なく自分で歩いて『騒ぎ』を探す事にしたのである。

そうやって当ても無くふらついていたら、携帯にトリッシュから電話がかかってきた。

「ゲヘナの鏡」、シェオルという悪魔が学園都市に潜伏しているらしい。
暇つぶしができるぜ! と一瞬思ったが、その悪魔の性質を聞くにつれ段々とイヤになってきた。

どうやらシェオルはダンテが最も気が乗らないタイプだ。
派手に楽しめない、セコくてつまんねえ奴 とダンテは評価した。

大体にしてダンテは「鏡」自体が好きじゃない。
鏡に映った『自分』が敵として襲いかかってきた事が何度かある。

そしてその中の一つは魔帝によって傀儡化されていたバージルだった。
良い思い出ではない。

ダンテ「…面倒くせぇな」

だがレディの依頼とあれば断る事はできない。
後々酷い目に会う。

それにそんな危険な代物をこの人口密集地帯にほおって置くわけにもいかない。

口ではブツブツいいながらも、ダンテの心は当然決まっていた。

ダンテ「…(ま、仕事の前にメシ食っとくか)」

―――

506 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:37:48.68 ID:xHBONHo0
―――


上条とインデックスはとあるファミレスで遅めの昼食を取っていた。
時刻は午後三時になろうとしていた。

二人の前のテーブルには大量の皿と料理が乗っていた。

上条「お?もういいのか?」

禁書「このぐらいでいいんだよ」

上条「遠慮すんなって。つーか、全部食べきらないとお店に悪いぜ」

禁書「むむ!それだったら全部食べるんだよ!!」

上条「ははは〜その調子ですよ」
インデックスの気持ちの良い食いっぷりを見ながら、上条はドリンクを飲む。
その時、ファミレスのドアが開き一人の客が入ってきた。

上条はコップを口に当てながら何気なく入り口の方へ目をやった。

そしてその客を見た。

上条「―――ゴブッ!!!!!」
その姿を見た途端盛大にドリンクを噴き出しテーブルの上にぶちまけた。

赤いコートに銀髪の男がファミレスに入ってきたのだ。

いつかの日とデジャヴを感じた。

507 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:41:54.50 ID:xHBONHo0
禁書「とおぉぉぉぉぉぉぉまああああああああ!!!!!!」
料理にドリンクをぶっかけられたインデックスが憤怒を露にし、
テーブルを飛び越えて上条に飛び掛り噛み付く。

上条「ま、まてぇええ!!!いでででででで!!!なんか久しぶり…じゃなくてストップストップ!!!」

ダンテ「ハッハ〜相変わらず仲いいねえお前ら」

ダンテの姿を見てインデックスも噛み付くのをやめる。

禁書「ダ、ダンテ!?」

上条「うおおお!?何でまたここに!?」

ダンテはそのまま上条達の隣のテーブルへついた。
巨大なギターケースを乱暴に床に置く。

ダンテ「決まってんだろ。メシ食いにだ」

上条「そ、そうじゃなくてだな!何で学園都市に!?」

ダンテ「あ〜、『落し物』だ」

508 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:45:42.27 ID:xHBONHo0
上条とインデックスはダンテから簡単「すぎる」説明を聞いた。

上条「つーことは…別に何かの事件とかで来た訳じゃないんだな?」

ダンテ「んぐ」
ダンテは先ほどきたピザを口に含めながら返事をする。

シェオルの件については言わなかった。
余計な心配事を増やすのもいただけない。

上条「そっか…ははは、上条さんは安心しましたよ!」

上条「で、まだ見つからないのか?」

ダンテ「らしいな」

上条「そうか…」
よく大人しく待ってられるな と上条は思った。
記憶の中で融合したことがあるのでダンテの気質は知っている。

その上条の心の中を察したのかダンテが口を開く。

ダンテ「ヒマだ」

509 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:53:41.70 ID:xHBONHo0
ダンテ「何かねえか?聞くところによるとお前の周りで騒動が起きるって話じゃねえか」

上条「いやいやいやいやいや」
上条は思いっきり頭を横に振って全面否定する。
確かにその事は否めないが、ダンテが関るともっと大変な事になりそうな気がするのだ。

ダンテ「へえ。まあいいか」

ピザをあっという間に食べきり、今度はストロベリーサンデーを処理し始める。

ダンテ「(ここは…まあまあだな)」

上条「む…ちょっと小便いってくる」

禁書「と、とうま!ご飯の最中のれでぃの前でその言い方は無いんだよ!!」

上条「おおうっ悪い悪い。じゃちょっと失礼(うっ…これ…大もくるか…?)」
上条が席を立ちそそくさとトイレに向かった。

禁書「…」
インデックスは手を止め、神妙な面持ちでダンテの方を見る。
ダンテは気付いているのか気付いていないのか、相変わらず黙々とストロベリーサンデーを食し続けている。

禁書「あのね…一ついいかな…」

ダンテ「ああ、イマジンブレイカーの坊やか?」

510 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/04(日) 23:58:17.55 ID:xHBONHo0
禁書「…」
やはりダンテもわかっていた。

ダンテ「プンプンしてるぜ。悪魔の匂いがな」

禁書「二ヶ月前からもその感じはしてたんだけど…三日前から急に強くなったんだよ」

ダンテ「へえ」
まるで興味が無いかのようにそっけなく相槌を打つ。

禁書「何回かちゃんと解析しようと思ったんだけど…多分右手が邪魔してるんだと思う」
禁書「上手く見えないんだよ」

ダンテ「そいつぁ厄介だな」

禁書「…何が起こってるのかな…とうまの中で…」

ダンテ「さあな」

禁書「…」

ダンテが手を止める。

ダンテ「まあ一つ言える事は」

そしてインデックスを真っ直ぐと見据えた。

ダンテ「『それ』に誘惑される『理由』が傍にあるのは確かだ」

511 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:05:25.52 ID:lUsc6ko0
禁書「…」

ダンテ「…離れる気か?やめとけ」

禁書「…うぅ」

ダンテ「今はだ。不安定な時に変な刺激は与えんな」

ダンテ「離れたってあいつの中の『モノ』は消えねえだろ」
再び目の前のストロベリーサンデーに目を戻し、食べ始める。

禁書「…うぅ…」

ダンテ「それに。『心臓』だけじゃねえ」

禁書「え?」

ダンテ「別にもう一つ、でけぇのが入ってる。良くわかんねえけどな」
ダンテ「今までは眠ってたみてえだが、『心臓』が『器』になって目を覚ましかけてるみてぇだ」

禁書「!?」

ダンテ「今は様子を見たほうが良いかもな」

512 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:10:04.41 ID:lUsc6ko0
禁書「あの…ね…いいかな…」

禁書「その…『何か』あった時は…」


ダンテ「それは正式な依頼か?」

ダンテが手を止め、再びインデックスの顔を見据える。
その顔からはふざけた笑みが消えていた。

禁書「…うん」


ダンテ「俺の仕事は悪魔『狩り』だ」


悪魔狩り。悪魔を処分する事。

つまり。

殺すことがメイン。

禁書「…うぅ…」

513 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:13:41.17 ID:lUsc6ko0
ダンテ「俺に依頼する『覚悟』はあるのか?」

禁書「うぅん…違う…違うの…」


ダンテ「…あぁ?」


禁書「とうまを…」


禁書「…助けてあげて」


禁書「私も手伝えるなら何だってするから…」
今にも消えそうな小さな声。

ダンテ「あの坊やの為なら死んでもいいってか?」

禁書「…うん」

ダンテ「…へぇ」
その僅かに震えている小さな顔を見つめる。
瞳には絶対に揺るがない覚悟が宿っていた。

この少女は何が何でも、自分の命を捨ててでもあの少年を救おうとするだろう。

514 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:19:15.98 ID:lUsc6ko0
ダンテは真顔でインデックスを見つめる。

ダンテ「…」

禁書「…」



ダンテ「OK、契約成立だ」



その言葉を聞いてインデックスの顔に光が戻る。

禁書「う、ぅうううう!!!!」

ダンテ「じゃあこの話は終わりだ」

禁書「あ、あの…」

ダンテ「黙って食え」

禁書「う、うん!!」
インデックスは食事に戻る。
ダンテも再びストロベリーサンデーを食し始めた。


516 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:29:08.81 ID:lUsc6ko0
ダンテ「(……どいつもこいつも…厄介事ばっか押し付けやがって)」

今はまだ上条は『人間』だ。
だが悪魔の掟に魂が縛られつつある。

より強い『力』を―――。

あの心臓を手に入れた時点で既に人間界の理から外れている。
そして魔界の理に飲み込まれている。

どう転んでも無傷のままでは終わらないだろう。
全て元通りにはならない。

ダンテ「(Ha....)」

インデックスは『助けて』と言った。
だが『どのように』とは言ってない。

ダンテ「…」

この件が最終的にたどり着く結果は二通り。

生きている『人間』の上条当麻を『救う』のか。

『悪魔』となり、堕ちた上条当麻の魂を『死』を持って解き放つのか。

517 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:32:24.80 ID:lUsc6ko0
ダンテ「…」
どちらになるだろうか。

その時の状況にならなければわからない。

生かしたまま救えるのならそれにこした事は無い。

だがそれが手遅れだったのなら。

結果はもう一つ方、BADENDになる。

この少女が望まない結末だ。

ダンテ「(…まぁそっちの方も面白そうかも知れねえが…)」


ダンテ「(生憎、女を泣かせる趣味は無いんでな)」


ダンテ「(んな終わり方は―――)」



ダンテ「(―――ご親切にNOだ)」



519 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:41:12.19 ID:lUsc6ko0
―――

とあるゲーセン

ネロ「Hahahahaha!! Yeah-ha-ha!!!」

佐天「(すごく…はしゃいでる…)」

ネロは初めてのゲームセンターに興奮していた。

ネロ「お〜!こいつは何だ?」
ネロは一台のゲームの前で足を止めた。
ゾンビを撃つガンシューティングのゲームだ。

学園都市の技術により、画面には実写と見紛うほどの恐ろしいゾンビの映像が映っていた。

佐天「え〜と…これで撃つの」
佐天はその銃を手に取り、簡単に説明する。

ネロ「へぇ…面白そうじゃねえか!これ金かかるのか?」

佐天「へ?ま、まあ当然」

ネロ「OK」
ネロはコートのポケットを漁り、一枚の黒いクレジットカードを取り出した。
イギリス清教から学園都市滞在の諸費用の為に渡されたのだ。

佐天「(げっ!!!あれって幻のブラックカードだよね!!!?もしかしてめっちゃ金持ち!!?)」

ネロ「あ〜…このカードどうやって使うんだ?」

佐天「へ?」

521 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:46:58.36 ID:lUsc6ko0
ネロ「どっかに差し込むのか?」

佐天「あ…あ〜っつと、ここ」

ネロ「おおう」
カードを差し込む。するとおどろおどろしいBGMが流れ始める。

ネロ「ハッハ〜♪」
ネロはニヤつきながら、台から二本の銃を手に取る。

佐天「へ?」

二本の銃。つまり1Pと2Pだ。それをネロは両手に持ったのだ。

佐天が突っ込もうか迷っている間にゲームがスタートした。

ネロ「OK!!! Do it!!!! Baby!!!!」

ゾンビが押し寄せてくる―――と思いきや、画面に表示された瞬間になぎ倒されていく。
哀れなゾンビ達は3歩も進む前に派手なエフェクトで倒されていく。

ネロは尋常じゃない反射速度で正確に両手の銃口を向け引き金を引く。

佐天「(本当に初めてかよっ?!!!)」

ネロ「Hahaha!!! C'mon!! Mother fucker!!!」

522 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:48:55.00 ID:lUsc6ko0
そして数十分後。

ノーダメージであっという間に全面クリアした。

ネロ「Huh...」
画面にランキングが表示される。一番上が激しく点滅していた。ネロは最高点を更新したのだ。
両手の銃を手馴れた手つきでクルクル回し、そのまま台の差込口にストンと戻した。

佐天「(…何か…妙に手馴れてる気が…)」

ネロ「(……やっぱ本物の方が良いな)」
最初は楽しかったものの、やっている間に段々飽きてきた。
刺激が足らなすぎるのだ。最後の方なんか流していた。
実戦ですらたまに退屈してしまう程のネロの脳が、この程度の物でアドレナリンを放出するわけも無い。

ネロ「…(飽きたぜ)」

佐天「あれ?どうしたの?」

ネロ「おい。出るぞ」
頭を軽く出口の方に振り、佐天を促す。

ネロ「来いよ」

佐天「は、はい!(ほひょぉお!!!『来いよ』って!!なんか恋人みたいじゃない?!!!)」

524 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 00:57:15.88 ID:lUsc6ko0
>>523 すまん 大人になっていくらか優しくなったという事にしといて下さい

〜〜〜〜〜〜〜〜

二人は路上をゆっくりと歩く。
ネロの手には先ほど自販機で買ったワサビソーダの缶。

複雑な顔をして、これが『和』ってやつか… とネロは思った。それは大きな勘違いだったが。
今すぐにもぶん投げたい気分だったが、
『和』を日本人の前で捨てるのもさすがに気がひけるのでぎこちない作り笑いを浮かべながら飲んでいた。

ネロ「…で、あんたはどういう力もってんだ?」

佐天「……何も無いよ」

ネロ「?」

佐天「無能力者ってやつ」

ネロ「へぇ…そうか…普通のやつもいるんだな」

佐天「ははは、学園都市っていっても半分は無能力者だよ」
明るく振舞うも、その笑顔に少し影が差しているのをネロは感じ取った。

ネロ「…」

佐天「ネロさんは…って外の人ですもんね」

ネロ「まあな。超能力は持ってねえわ」

佐天「ははは、おそろいおそろい!」

というか人間じゃねぇんだがな とネロは思ったがそこまで言う筋合いも無いだろう。

525 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:03:38.82 ID:lUsc6ko0
ネロ「つーことは能力って最初から持ってるわけじゃねえんだな」

佐天「うん。稀に最初から持ってる人もいるみたいだけどね」

佐天「いろいろやって、運が良かったら発現するって感じ」

ネロ「ギャンブルか」

佐天「ま〜…ね。あたしはそれに外れちゃったの」
佐天は小さく笑みを作った。

ネロ「そうか」

佐天「そゆこと」

ネロ「…」

佐天「…」

佐天「…じ、じゃ、次はどこ行きたい?」

ネロ「…服とかみてぇな」
特に買う気は無いが、一度見てみたい。

佐天「おっし任せて!」

526 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:08:05.71 ID:lUsc6ko0
佐天「ってさ、今更だけどネロさんって何歳?」

ネロ「…あ〜」

佐天「自分の歳わかんないの?」

ネロ「…22だ。多分…いや23かもしれねえ」

佐天「へ〜」

ネロ「あ?」

佐天「いや、結構歳いってるなって」
実際、幼さの残っているネロは見方によっては10代にも見える。

ネロ「アンタは?」

佐天「ぴちぴちの13で〜す」

ネロ「(…ガキ)」



529 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:13:54.27 ID:lUsc6ko0
―――

上条とインデックスはファミレスにいた。
ダンテは上条が大を済ませたしばらく後にぶらりと出て行った。

上条「…」

禁書「足らないんだよ!!」
インデックスはあれからずっと食べ続けていた。
ペースが上条がトイレに行く前よりも速くなっていた。

上条「上条さんは確かに食べきれと言いましたが…店の料理を全部食べきれとは言ってませんよ…」

禁書「え〜お腹がすいたんだよ!」
上条は知る由は無いが、あのダンテとの話し合いで彼女はかなり体力を使ったのだ。

上条「ぁあ……あれ?」
ふとウィンドウ越しに外を見た。

見慣れた人物が黒髪の女の子と歩いていた。

上条「ネロ…さん?」

禁書「ネロ?」

上条「用事って…へっへ〜そういう用事かよ」

禁書「…」

上条「…」
しばらく二人は見つめ合い、そしてニヤリと笑った。

530 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:17:58.31 ID:lUsc6ko0
別にネロが誰といようととやかく言うつもりは無いが、
スパーダの一族が女の子とデート(思春期の上条達の目にはそう見えた)してるのは興味ある。

それに聞くところによるとネロは故郷に恋人がいるはずだ。

じゃあ『アレ』は一体。

上条「…」

禁書「…」

上条「インデックス隊員。これは正義だ。闇を暴くぞ」

禁書「了解なんだよ!とうま隊長!」

二人はそそくさと立ち、レジを済ませると外へ出た。

上条「いたぞ!見つからないようにな!」

禁書「らじゃーなんだよ!!」

そして二人は少し距離を置いてネロ達の後を尾行し始めた。


当然ネロは気付く。
そしてしばらく後にあっさりと撒かれる。


531 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:22:16.51 ID:lUsc6ko0
―――

とある大きなデパート。
東棟と西棟の二つの大きなビル。

その西棟の四階にネロと佐天はいた。一通り男物の店を見て回った。
ネロは物珍しそうにキョロキョロしたり、服を手に取っていたりしたが、
試着はせずもちろん購入もしていなかった。

興味はあったものの、服が欲しいと言う訳では無い。
そもそも今の服装を変える気も無い。

ダンテもそうだが、それがスパーダ一族共通のこだわりなのか彼らはいつも同じ服装をする。

ダンテが服装をチェンジするのは数年に一回だ。
ネロもここ数年は同じカッコだ。

変えたとしても、配色や全体の印象はほとんど変わらない。

ネロ「あ〜ちょっといいか?」

佐天「?」

ネロ「女物の指輪かブレスレット一つ買いたいんだがよ、一緒に見てくれねえか?」

佐天「いいですけど…もしかして彼女さんへのお土産とかですかぁ??」
佐天がニヤリと笑う。

ネロ「まぁ…そんな所だ」

佐天「なるほど…(まあこんだけカッコよかったら普通いるよねぇ〜…)」

532 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:26:06.14 ID:lUsc6ko0
佐天「彼女さん、いくつなんですか?(キレイなんだろうなぁ〜)」

ネロ「俺と同じくらいだ」

佐天「付き合ってどれくらい?」

ネロ「四年…いや五年か」
そこまで聞くかよと思いながらも答える。

佐天「はぁー長いですねえ!うらやましいわぁ〜!!(この人と付き合える彼女がね!)」

佐天「じゃぁとびきり良いの選んであげる!!」

ネロ「頼んだぜ。質素でシンプルなのが良い」

佐天「りょーかい!!(なんか凄く悔しい…)」


533 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:27:15.95 ID:lUsc6ko0
―――


シェオルは『見て』いた。

スパーダの孫を。

憎い。
憎くてたまらない。

だが正面から当たれば到底勝ち目は無いだろう。
この男が少し本気になれば簡単に一蹴されてしまう。

しかし勝つ方法はある。
どうにかして「鏡の世界」に閉じ込めてしまえばそれで勝ちだ。

彼が許可しない限り永遠に外に出れない。

ではどうやって誘い込むか。

スパーダの一方の息子と孫は『人間を守る』事に命をかけていると聞く。
ならばそこを利用すれば良い。

幸いな事に、近くに使えそうな『駒』が幾つかある。

シェオルは潜み、その機会をうかがう。


534 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:33:16.50 ID:lUsc6ko0
―――

ネロは銀色のシンプルなブレスレットを買った。
すぐに決まり、すんなりと買い物を済ませた。

ネロ「と、こんなところか…あ?」

ネロがふと顔をあげ、周囲を見回す。

佐天「?どうしたの?」

ネロ「…いや、なんでもねぇ」
誰かに見られている気がする。
ネロの悪魔の感覚が何者かの視線を感じ取ったのだ。

後ろからこっそりついて来ていたバカ二人は先ほど撒いた。

今のコレは別の者からだ。
敵意と悪意が篭っている視線。

それも『複数』。

佐天「あ」
その時、佐天は昨日から思っていたことを思い出した。

佐天「(そうだ…下着買おうと思ってたんだ)」

佐天「あ、あの〜ちょっといいかな?」
さすがにネロを連れて行くのは気がひける。
佐天も気まずいし、ネロにとってそれ以上に拷問かもしれない。
535 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:36:14.43 ID:lUsc6ko0
ネロ「あ?」

佐天「ちょっと買うものが…」

ネロ「…わかった。じゃあここらでお開きにすっか」

その佐天の言いにくそうな様子を見てネロも薄々感じ取る。
男の前では買いにくいもんか と。
それに例の妙な視線も気になる。

佐天「あ…う、うん」

ネロ「今日は助かったぜ」

佐天「いいのいいの。あたしも暇だったし」

ネロ「じゃあな」

佐天「あ、うん。バイバイ」

簡単すぎる別れの挨拶をし、ネロはコートをなびかせてスタスタと離れていった。

佐天「(ちょ、ちょっと!あっさりしすぎじゃない?!)」

536 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:39:40.04 ID:lUsc6ko0
佐天「もう…」
うな垂れながらフロアを歩いていく。

とその時。

つま先に何か当たる感触。
足元を見ると。

10cm程の小さな鏡が落ちていた。

佐天「?」

その小さな鏡を手に取る。
装飾の無い金属の簡単な淵。
一見すると100円ショップにでも売ってそうな簡素な物だ。

佐天「(…落し物かな)」

佐天「(落し物は届けなくちゃね。あたしってばいい人〜!)」


537 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:43:49.01 ID:lUsc6ko0
―――

デパートの地下駐車場。

ここに数台の業務用のトラックが止められていた。
見た目は普通のトラックだ。

だが荷台の中は普通では無い。

大量の電子機器、並んでいるディスプレイ、棚にかけられている最新の銃器。
そして黒い戦闘服に身を包んだ男達。

「ターゲット確認。三人とも捕捉しました」
ディスプレイの前に座っていた一人の男が声をあげた。

「5分後に突入だ」
その後ろで腕組をしていたリーダー格の男が答える。

彼らのターゲット。

それは青いコートで銀髪の男、白い修道服の少女、ツンツン頭の少年。

538 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:45:18.00 ID:lUsc6ko0
この兵士達は学園都市暗部の部隊だ。
二ヶ月前の例の事件で動員され、恐ろしい化物達と戦わされた。
そして大勢が死んだ。

彼らは知りたかった。
一体何者と戦っているのかと。あの化物はなんなのかと。

だが当然の如く上層部は一切情報を公開しなかった。
そこで彼らは動いたのだ。

もうウンザリだったのだ。

その後二ヶ月間、水面下で情報を集めたものの何も手がかりは無かった。
だが三日前、第23学区で奇妙な事件が起こった。

再び化物が現れたという噂が暗部の間で広まった。

そこで彼らはその事件の中心地、第23学区を影から監視していた。
そして三日目の今日。

遂に何らかの手がかりとなる人物がその場に現れた。
あの三人である。

周囲は厳重に封鎖されているのだが、あの三人はオールパスで中に入っていった。
明らかに一般人や作業員ではない。

539 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:50:35.20 ID:lUsc6ko0
当然マークしこの三人の情報を集めたが、身元が判明したのはツンツン頭の少年だけだった。

高校生で無能力者、名は上条当麻。

他の二人はバンクに登録されていなかった。
そこで行き詰ったのである。

そして彼らは強攻策に出る事にした。

捕えるのだ。

そして情報を聞き出す。

どこまで知っているかは分からないが、彼らよりも情報を持っているのは確実だ。

この三人は恐らく暗部の者だから人質にはならない と彼らは予測した。
上層部は簡単に切り捨てるだろう。
そこで彼らはこのデパートの一般人も人質にすることにした。

そうなれば否が応にも上層部は彼らの方に振り向かざるを得ないだろう。

そして強攻策も取りづらくなる。

高位の能力者が送られてくる危険性もあったが、それは重々承知だ。

彼らは無能力者だが、対能力者戦術を熟知している。
武装も一級品だ。駆動鎧もある。

540 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:53:49.39 ID:lUsc6ko0
だがそれでも完全に押し切れるとは思っていない。

最終的には皆殺しにされる可能性が高い。

しかし皆ゴミクズのように扱われる人生にはウンザリしていた。
ここで負ければそれまでだったという事だ。

どうせ死ぬのなら真実を知って死にたい。

そして最後の死に場所くらい自らの意思で選びたい。
暗部に入り人権を失い自由を失ったが、『幕引き』の権利だけは渡したくなかった。

負け犬の最後の足掻きだ。

『配置につきました』
ディスプレイから電子的なノイズが混ざった声。

「白い修道服のガキを優先しろ。他の二人は可能ならばで良い」

あの少女を優先するのは、少し前の第23学区での三人の振る舞いからだ。

二人の男はこの少女を気遣うそぶりをしていた。
立ち位置もいつも中心だ。

一番重要な人物と判断したのだ。

「抵抗したら殺せ。一般人も同様だ」

『了解』


541 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 01:56:48.54 ID:lUsc6ko0
―――

上条とインデックスはとあるデパートの東棟5階にいた。
ネロと黒髪の女の子を尾行していたのだが、ここに来てあっさりと見失ってしまった。

上条「くっそ…どこいった…」

禁書「いないんだよ…」

上条「帰るか…」

禁書「その前にちょっと…」
インデックスが何やら言いにくそうにモジモジする。

上条「…小便か?」

禁書「むきぃいいい!!!でりかしーが無いんだよ!!!」

上条「おおわ!!悪い!悪かったから早くすまして来い!!」

インデックスが怒りで肩を揺らしながら、トイレの方へ走っていった。

上条「ははは…さてと…今日の晩飯何にs」

その時だった。突如耳をつんざく炸裂音が響き、視界が真っ白になった。

上条「おおあ!!!!」
反射的に耳を塞ぎ、よろめく。
同時に強烈な衝撃が背後から襲って来て、そのままうつ伏せに倒れこんだ。

上条「ちょ…!な、!!!」

背中に重い何かが乗り、上条の手を掴み背に回して一気に組み伏せた。

542 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 02:00:31.13 ID:lUsc6ko0
「動くな」

上条「!!!」
くぐもった低い声と共に後頭部に冷たい金属の感触。

悲鳴が響く。フロアの奥からは銃声が聞こえる。
上条はなんとか顔をあげて前を見る。
するとガスマスクと奇妙なゴーグルを被った黒装束の武装集団が一般の客達に銃を向けていた。

上条「なっ!!??」

その時、一人の高校生くらいの少年が叫び、手を武装集団の一人に向けた。
そして炎が噴き出しその兵を包んだ。

レベル3くらいの発火能力者だろう。

だがその業火に包まれても兵は微動だにしていなかった。
彼らが着ているのは最新式のボディアーマーだ。

ちょっとやそこらの攻撃じゃ傷一つつかない。
そして次の瞬間、その兵は躊躇いも無くその少年に銃口を向け引き金を引いた。

血しぶきが上がり、少年が糸が切れた操り人形のように床に突っ伏した。

上条「クッソォオオォオオオアアアアアアアアア!!!!」
拘束を振りほどこうとするも全く動かない。

543 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 02:04:31.18 ID:lUsc6ko0
「黙れ」
次の瞬間後頭部に強い衝撃。

上条「…がっ…」

視界が点滅し意識が遠のく。
銃床で思いっきり殴られたのだ。

全身から力が抜ける。
おぼろげな意識の中で、背中に回された両手首に冷たい金属の感触を感じた。
手錠をはめられたのだ。

その時、前の突き当りから数人の黒装束の男が出てきた。

上条「…」
上条は思い出す。
あの先はトイレだ。

上条「(ま…さか…)」
その予感は的中した。

一人の兵が白い修道服の少女を担いでいた。
薄れ掛けていた意識が一瞬で覚醒する。
全身の毛穴が開くような、熱いざわつきが体中を一気に這い回る。

胸の奥からどす黒い何かがこみ上げてくる。

上条「インデックス!!!!!!ああああああああああ!!!!!インデックス!!!!!!」
咆哮を上げ、頭に銃が突きつけられているのも忘れなんとか拘束を振りほどこうとする。

544 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 02:08:09.73 ID:lUsc6ko0
インデックスは無反応だった。力なくその小さな手が垂れている。

上条「おぁああああああああああ!!!!!」

「動くなと言ってるんだ」
苛立ちが篭った声が背後から聞こえる。

続けて再び後頭部に強い衝撃。
だが上条は怯まずに無駄な抵抗を続ける。

インデックスがどこかに運ばれていった。

上条「くそぉおおおおおああああああ!!!!離せ!!!!ああああああああああ!!!!!」

その時背後の男がどこかと通信しているのかボソボソと呟いた。

「どうしますか?とても移送できる状態ではありませんが」

『第一目標は確保した。そいつは殺しても構わん』

「了解」

545 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/05(月) 02:13:23.25 ID:lUsc6ko0
上条「あああああああ!!!!!クソ野郎!!!!!殺してやる!!!!」
心の底からの叫びをぶちまける。今まで味わったことの無い底無しの怒りが上条を覆い尽くす。
上条の理性を『悪魔的』な闇が塗りつぶしていく。

「残念だったな坊主」

上条「おぁああああああああ!!!!!てめえら殺してやる!!!!!ぜってぇ殺してやる!!!!」

「そうかい」

次の瞬間強烈な衝撃が頭を揺さぶり、聴覚が消える。
そして右目の視野が黒くなった。

何も考えられなくなった。

銃弾が上条の後頭部から右目へと貫通したのだ。

全身の力が抜ける。

上条「―――」
残った左目が離れていく兵の後姿を10数秒間捉えていた。
その血走った瞳は最期まで怒りの色が篭っていた。

上条「―――(イン…デッ……クス……)」

そして全てが消え、意識が途絶えた。
全てが漆黒の闇に覆いつくされた。


『殺す―――インデックスに手を出す奴は殺してやる』


『―――全員殺してやる』


557 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:12:10.77 ID:qcDr.Z60
―――

東棟。二階。

御坂「…な!」

御坂美琴は商品棚の影でその一部始終を見ていた。

ゲコ太の限定枕カバーを買いに来たのだが、今はそれどころでは無い。

突如炸裂音が響き、黒ずくめの武装集団がなだれ込んできた。
客達はなすすべなく取り押さえられ手錠をかけられていた。

御坂「(と、とにかく助けなきゃ!!!)」
レーダーに集中し、兵の一人に正確に狙いをつける。

そして髪から電撃を飛ばす。
その青い閃光は見事に標的の兵に命中し、おおきく吹っ飛ばされた。

御坂「―――よし!!」
そして更に続けて放とうとした時―――

―――彼女のレーダーが反応する。

周囲にいる兵達が一斉に彼女が潜んでいた店へ銃口を向けたのだ。

御坂「ヤバ―――!」
咄嗟に力を集中させ、周囲に頑丈な電気のシールドを張る。
同時に大量の銃声が鳴り響いた。

棚にのっている商品が砕け散り、色とりどりの破片が霧状になって周囲を覆う。

御坂「―――(間に合った…)」
だが御坂は無傷だった。銃弾は全てシールドに遮られていた。

559 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:18:31.14 ID:qcDr.Z60
彼らの持っている銃器は強化プラスチックか何かでできているらしい。
能力で奪うことができない。

そして兵達は粉塵で覆われた御坂へ正確に銃弾を放ってきてる。
恐らく赤外線ゴーグルでも使っているのだろう。

御坂からは相手を目視できない。だがレーダーがある。

御坂「(いける!!)」
銃弾程度ならこのシールドで充分遮れる。なんてことはない。
兵達に正確に狙いをつけていく。

御坂「(一気にやっちゃうわよ!!!)」
そして一斉に電撃を放とうとした時。

小さな何かが転がるような軽い金属音が響いた。

御坂「…へ?」
一つだけでは無い。御坂の周囲からいくつも聞こえてくる。
続けてスプレーが噴射されるような音。


御坂「―――うぐっ!!!」
突如、目、口、鼻に耐えがたい激痛と痺れが押し寄せてきた。

横隔膜が痙攣し呼吸ができない。

咄嗟に腕で口と鼻を塞ぎ目を瞑る。

560 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:23:40.95 ID:qcDr.Z60
御坂「(何よこれ!!?ガス弾か何か!!!?)」
ふと思い出した。

兵達は皆ガスマスクを装着していた。

銃弾や爆風を簡単に退ける能力者でも人間であり普通に呼吸している。
当然、鼻と口で周囲の空気を吸っている。
その空気が汚染されればどうなるか。

答えは明白だ。

御坂の能力では周囲の大気から毒素だけを取り除く事は不可能だ。

そして同時に御坂のレーダーが異常な反応をし始めた。
周囲の状況が全くわからなくなる。

御坂「(これ…ジャミング!!!?)」

御坂のレーダーは通常の物と同じく電磁波を使っている。
つまり通常のジャミング機器も効果があるのだ。
御坂の能力の『目』は奪われた。

思いっきり放電し全方位に電撃を放てばこの場を乗り切れるだろう。
だが周囲には取り押さえられていた民間人もいた。

そんな事をすれば確実に巻き添えになる。

御坂「(マズイ!!!何か…何か方法は…!!!)」

相手は対能力者との戦い方を熟知している。
脳が酸素不足を訴え始める。

時間の猶予は無い。

561 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:29:22.99 ID:qcDr.Z60
―――

さかのぼる事数分前。西棟。四階。

ネロ「…」
フロアの隅の壁に寄りかかり、腕を組んで立っていた。
相変わらず視線を感じる。
それも複数。

ネロ「…へぇ」
ほとんどの視線は人間の物だ。
どっかの身の程知らずのバカ共が無謀にもネロに敵意を向けている。

だがそれとは別にもう一つ。

悪魔的な視線を感じる。

ネロにとって人間の視線は別にどうだっていい。
だがこの悪魔の視線は放っては置けない。

先ほど佐天と別れた後、トリッシュから連絡があった。
「ゲヘナの鏡」、シェオルという悪魔が学園都市に潜り込んでいると。

学園都市は広い。
気配を消されれば探すのはほぼ困難だろう。

ネロ「…向こうからきやがったか」
だがどうやら探す手間は省けたようだ。

この悪魔の視線はおそらくそのシェオルの物だろう。
建物内にいる可能性が高い。

562 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:35:55.02 ID:qcDr.Z60
ネロ「…」
その時。悪魔の鋭い感覚で感じ取った。
武装した人間が近付いてきている。

ネロ「…(ウゼェな)」

次の瞬間、凄まじい炸裂音と共に周囲を光が包んだ。

ネロ「(閃光弾ってやつか)」
だがネロは当然怯まなかった。

そして軽く裏拳を真後ろに振るう。
ネロにとってはの『軽く』だったが。

その強烈な裏拳が、ネロを取り押さえようとしていた兵の顔面に直撃する。
ゴーグルが砕け、ガスマスクが大きくひしゃげ、その体がスピンしながら後方へ大きくぶっ飛ばされた。

ネロ「何の用だ?」

前に複数の兵が現れ、ネロに銃口を向ける。

「恐らく能力者です」

『修道服のガキは確保した。そいつは殺していい』

ネロ「…」
人間なら普通は聞こえないその小さな声の会話をネロは聞き逃さなかった。

ネロ「待てや、その話詳しく聞かせろ」
しかしネロのその問いに帰ってきたのは複数の銃声だった。

563 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:41:35.96 ID:qcDr.Z60
銃弾の嵐で床が割れ破片が飛び散り、背後の壁に穴があいていく。
そして血しぶきがその壁を真っ赤に染め上げた。

だがネロは先と変わらず立っていた。

ネロ「…やる気かよてめぇら?」

兵達が明らかに動揺する。
銃弾を弾く能力ならまだわかる。

だが体を蜂の巣にされても生きているとは。

兵達は思い出す。
二ヶ月前の悪夢を。あの撃っても撃っても怯まない怪物達。

皮肉な事にこの目の前の男もそれと同種だった。
いやそれ以上の怪物だ。

ネロ「上等だぜコラ」
ネロが床を蹴った。その瞬間兵達の目から彼の姿が消える。

「がぁ!!!!」

一人の兵が何かによって大きく弾かれ、店の中にぶち込まれた。
砕けたアーマーの破片が飛び散る。

「クソ!!散会しr」
指示を出そうとした兵もその言葉の途中で大きく横に弾かれ、
壁に叩きつけられてめり込む。

『青い光』が残像を引きながら兵達を次々と吹っ飛ばしていった。

564 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:45:06.87 ID:qcDr.Z60
「クソガァァアア!!!」
最後の一人がパニックに陥り、闇雲に撃ちまくる。

だが当然無意味だった。

次の瞬間、斜め上へアーマーの破片を巻き散らせながら吹っ飛ばされた。
天井にぶち当たり、それでも勢いがおさまらずまるでピンボールのように跳ね返って今度は床に叩きつけられた。


ネロ「(クソ…全員ぶっ飛ばしちまった…)」
話を聞こうとしていたのだが、つい勢いで全員を倒してしまった。

殺してはいない。骨はかなり折れているだろうが。

ネロは人間を殺すのは極力避けている。例えそれが人殺しの悪人でもだ。
ダンテも同じだ。ただ、ダンテの場合は『人殺し』には容赦しない事があるが。

ネロ「おい」
のびている一人の兵の胸ぐらを掴み軽くビンタをする。
だが無反応だ。

ネロ「…?」
ふとその兵の鎖骨辺りについている黒い小さな機械に目が止まった。
そこからコードが頭に延び、マイクのような物に繋がっていた。

通信機だ。

ネロ「…お仲間に聞くとすっか」

使い方はさっぱり分からないが、適当に弄っていればどこかに繋がるだろう。


566 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:50:41.82 ID:qcDr.Z60
―――

とあるマンション。「グループ」のアジトの一室。

一方通行はソファーに寝そべりながら携帯で土御門と通話していた。
昨晩、かなり酒を飲んだせいで少し気だるい。

というかそもそも酒などほとんど飲まない。
昨日はダンテの雰囲気に飲まれてしまったのだ。ふと気付いた時には既にビールを何本も開けていた。

一方「チッ…またか。つーかよ、サポートしろッてどゥいう事だ?」

土御門『ネロが現場いる』

一方「ネロッて…あの銀髪の一人か。じゃァ俺なんぞいらねェじゃねェか」

土御門『そうかもな。だが万が一という事もあるぜよ。何しろネロ達には敵が多いしな』

一方「…人外のか」

土御門『ああ。いつ襲撃されるか予測がつかない』

土御門『万が一「何か」があった場合、テロリストの件はお前が飛び入りで処理しろ』

一方「…わァッたよ」

土御門『じゃあ頼ん………ちょっと待て』

一方「あァ?」

携帯の向こうで土御門が何らや誰かと話している。

567 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 00:55:13.52 ID:qcDr.Z60
土御門『悪い。予定変更だ』

一方「なンだ?」

土御門『即刻現場に突入し、「上条当麻」を保護しろ』

一方「…………はァ?」

土御門『時間が無い。とにかく早くだ』

一方「どゥいゥ事だ?」

土御門『ダンテとネロのどちらかが上条当麻と会う前に だ。』

一方「おィ。なンだッつーンだよ」

土御門『上条当麻はあの二人のどちらかに「殺される」可能性がある』

一方「はァ!!??」

土御門『当然あの二人との交戦は絶対に避けろ。敵対の姿勢も見せるな。見られる前に済ませろ』

一方「お、おィ!!!」

土御門『急げ』
そこで一方的に通話は切られた。

一方「……クソッ…」

状況が分からないが、
とにかく上条当麻を早く保護しなければならないらしい。

一方通行は杖を手に取り、チョーカーを点検し足早に部屋を出た。


568 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:00:12.38 ID:qcDr.Z60
―――

漆黒の空。
延々と続く浅い血の海。

上条はそこに立っていた。
足首から下がその浅い血の海に浸かっている。

上条「……」
そう、この場所。

起きていた時は思い出せなかった。
だが今ははっきり思い出せる。

夢で見た場所だ。

そして目の前、5m程の所に例の影が立っていた。

今の上条は分かっていた。あの影は「自分自身」だという事に。

もう迷いは無い。


『やろうぜ』
影が喋る。


上条「ああ」

569 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:03:51.60 ID:qcDr.Z60
どす黒い怒りが心を塗り潰す。

上条はその負の感情を全て受け止め身を委ねた。
頭の中が真っ黒になっていく。

あの少女を守れない自分なんかもうウンザリだ。

力を拒む理由など。

もう無い。


『「アイツ」を殺そうとする「世界」なんざ―――』


上条「そんな「幻想」なんざ―――」


『全部―――ぶっ壊す』


上条「片っ端から―――」




上条『―――ぶっ殺す』


570 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:09:19.84 ID:qcDr.Z60
―――

東棟。五階。

「…」
兵達は妙な悪寒を感じて辺りを見回した。
人質の移送は完了した。この階には彼ら以外生きている者はいないはずだ。

この悪寒。

覚えがある。
あの二ヶ月前の悪夢の時と同じ感覚。

「散開しろ」
チームの指揮官が小さく呟き、
ハンドシグナルで周囲の隊員に詳細な指示を出す。

それぞれが広がり銃を構え警戒する。

「なんだってんだ…」

異様な緊張感。皆ジンワリと嫌な汗をかいていた。

その時、衣服が擦れる様な音が聞こえた。

皆が一斉にそちらの方へ向き、銃口を向ける。
その先の床には、ついさっき頭を撃ち抜いて射殺した少年の体が転がっていた。

「…本当に死んでるのか?」
一人が銃を構えながら声をあげる。
その問いはおかしいだろう。見てわかる。少年の死体の頭に大穴があいているのだ。

生きているはずも無い。

そのはずだったのだが―――。

572 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:12:15.47 ID:qcDr.Z60
「……ッ!!!!」

信じられない光景だった。
その少年がゆっくりと手を床についたのだ。

そしてぎこちなく、まるで油の切れた機械のように軋みながら立ち上がる。

右目の穴があっという間に塞がり、頭部が元通りになる。
全身が淡く白く輝き始める。

鋭く冷たい、かつ感情の光が見えない目で周囲兵達をゆっくりと見回した。

その瞳は赤く輝いていた。

「う、撃て!!!撃て!!!!」
号令と共に一斉に皆が発砲する。

銃弾の嵐が床・天井・壁・商品棚等あらゆるものを砕いていく。

だが少年は微動だにしていなかった。
無数の弾が皮膚を貫いているのに。

少年が不気味な笑みを浮かべた。
強烈な悪意と殺意が篭った笑み。

兵達がその姿を見て硬直する。
「死んだほうがマシ」というレベルの凄まじい恐怖が皆の魂を鷲掴みにした。

人間の理性を完全に失った、『上条当麻』だった『悪魔』の『宴』が始まる。

575 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:20:03.64 ID:qcDr.Z60
上条が床を蹴り、一番近くの兵に猛烈な速度で飛び掛った。
普通の人間には捕捉できない速さで。

そして左手を叩き込んだ。

次の瞬間、その兵の体が凄まじい衝撃を受けて爆散した。

炸裂の瞬間、白い光少年の左手からが溢れる。
『心臓』の『本体』の力と同じように。

ぼろきれのような肉片と赤い飛沫が一帯に飛び散る。

そしてすかさずその隣の兵に飛び、頭を掴んで床に叩き付けた。

床が捲りあがり、赤い『何か』と破片が周囲に飛び散る。
叩きつけられた兵は原型を止めてはいなかった。

その大きな窪みの中で、返り血で真っ赤になった上条がゆっくりと周囲の兵達を見た。

576 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/04/06(火) 01:20:33.23 ID:plx5qt.0
ベオ条さんバーサク入りましたー

577 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:22:22.92 ID:qcDr.Z60
『kahaa…インデックス…gkahaaドコ…ダ?』

その口からエコーがかかりノイズの混ざった不気味な声。

聞いた者の理性を奪いさってしまう程の恐怖の塊の音。


『殺ス』


「ああああああああああ!!!!」
兵達は叫び、無我夢中で発砲した。
彼らは皆優秀な兵である。死を前にしても怯まない。

だがこの圧倒的な恐怖を目にし、彼らの精神は完全に崩壊した。
もう何も考えられなかった。

ただ早くこの悪夢から解き放たれたかった。

その願いは叶う。

最悪の形で。

それは正に虐殺だった。皆、次々と壁や床の『赤い染み』となっていく。

ある者は泣き叫び、ある者は銃を捨てて命乞いをした。
だがその声は上条の心に届くはずも無かった。


届け先の心はもう無いのだから。



579 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:30:02.09 ID:qcDr.Z60
―――


地下駐車場のトラックの中で、指揮所の者達は無線から発せられてくる悲鳴を聞いていた。

それも二箇所。

最初は西棟の四階。銀髪の男を確保しに向かったチームだ。
怒号と銃声が響いたかと思うと突然プッツリと通信が切れた。

そして次は東棟の五階。銃声と共に身の毛がよだつ程の叫び声がいくつも聞こえてきた。
この指揮所にいる者達はその死のオーケストラを固まって聞いていた。

『やめてくれ…頼む…頼む…』
スピーカーの向こうから兵が命乞いをする声が聞こえてきた。
そして次の瞬間凄まじい轟音が響き静かになる。

無線は途絶えてはいない。東棟の五階が静寂に包まれたのだ。

「こ、こちらブラスターマイク。ブラスター5応答しろ」
ディスプレイに向かっていた一人の兵が通信を試みる。
だが何も返って来ない。



だが確かに相手が向こうにいた。


580 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:31:32.08 ID:qcDr.Z60
スピーカーから気配が伝わってくる。

そして声が聞こえた。


『……………インデックスhagie…?テメェラklaaoqqダ…』

濁った、妙なエコーがかかった奇妙な声が聞こえてきた。
呻いているのか笑っているのかわからない不気味な声。


指揮所の者達が皆戦慄する。

「だ、誰だ…?」


『………ハハァァ゛ァ゛ァ゛ァ゛……ggahio……』



『……殺ス…殺シテヤル…』


次の瞬間潰れた大きな音が聞こえ通信が途絶えた。

581 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/04/06(火) 01:32:56.36 ID:plx5qt.0
ベオ条さんパネェ・・・・

582 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 01:35:32.09 ID:qcDr.Z60
「…作戦を変更する」
腕組をしていたリーダー各の男が口を開いた。

「人質はここに集めろ」

「この地下駐車場の入り口全てを封鎖させろ」

「東棟には駆動鎧をまわせ」

「西棟の奴は後にする。東棟の制圧を優先しろ」
聞こえてきたから音声から考えて東棟の方が危険だ。

それに東棟二階にも高位の『電気使い』が現れた。

事態は予想以上に悪い状態になりつつあった。

「…」

ふと彼の脳裏をよぎった。

やはり踏み込んではいけない領域だったのではないかと。

だがもう後戻りはできない。

先ほど『制圧』と言ったが、彼は薄々それは不可能だと言う事に気付いていた。

そして感じ取っていた。

『死ぬ時間』がもう目の前に来ている事に。


600 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 23:39:00.17 ID:qcDr.Z60
―――

結局ネロは無線を使えなかった。

しばらく弄っていたが、徐々に頭にきて最後は握り潰してしまった。

そこでとりあえず下の階に降り、そこにいた部隊をぶっ飛ばした。
だが今度は全員ではない。

ちゃんと一人残した。

ネロ「よう」
その兵の胸ぐらを掴み顔を覗き込む。

ネロ「聞きてえ事がある。白い修道服のガキの事でな」

「死んでも喋らねぇ…さっさと殺せ…」

ネロ「…へっ良い覚悟だな」
どうやら普通に聞き出すのは難しいらしい。

ならば悪魔の手段を使うまでだ。

601 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 23:43:30.32 ID:qcDr.Z60
ネロの目が赤く光る。
そして絶対的な殺意を兵へ向ける。

ネロ「言えやコラ」

「…ッ…あぁ…」

その圧倒的な恐怖を受けて兵の魂が揺さぶられる。
この手法はトリッシュから教わった。

そこらの一般人なんざ悪魔の目でガン飛ばせば一発よ とトリッシュは言っていた。

体に傷つけることなく情報を引き出せる。
精神が完全にぶっ壊れて廃人になる可能性があるが。


ネロ「殺したのか?」

「ち、ちがう…」

ネロ「じゃあどこだ?」

「ち、地下駐車場に…いる…」

603 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 23:47:48.56 ID:qcDr.Z60
ネロ「そうか。あと通信機よこせ。てめぇらの親玉に繋げた状態でな」

兵がぎこちなく通信機を外し、設定してネロに手渡した。

ネロ「OK、お疲れさん」
ネロは目の光を収まらせ、胸ぐらを掴んでいた手を離した。

兵は力なく崩れ落ち、虚ろな目で呆然としていた。

ネロ「(少しやりすぎたか…)」

ネロ「悪ぃな。あばよ」

そう言葉を飛ばし、ネロは階段の方へ進んでいった。
床をぶち抜いて直行することもできるが、やりすぎてビルが崩れてしまえば大災害だ。
地下駐車場も潰される。

ネロ「?」

その時ふと足元を見た。
小さな花の飾りがついたヘアピンが転がっていた。

ネロ「…あのガキもか…」

604 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/06(火) 23:50:17.84 ID:qcDr.Z60
ネロ「…あ?」

その時。
悪魔の反応を感じた。

すぐ近くだ。
その方角を見る。

ネロ「…」
壁の向こう側だ。
恐らく隣の東棟だろうか。

例の視線を送ってきていた悪魔とはまた別のものだ。

ネロ「(…何だよクソ…どうなってやがる)」

ネロは迷った。
この悪魔の方へ行くか、それともインデックスと恐らく佐天もいる地下駐車場に向かうか。

ネロ「(…先に…下行くか)」

友人達の命を優先する事にした。
それにこの状況だ。東棟も階上には一般人はいないだろう。

ネロ「(待ってろよ。後でブチ殺してやっからよ)」

ネロは階段へ向かった。


607 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:11:27.00 ID:eOiceRY0
―――

東棟二階。

御坂「(ヤバイ!!!!どうすれば…!!!!)」
立ち込めるガスで空気を視界を奪われ、ジャミングでレーダーも潰れている。
周囲に人質がいる可能性もあるので全方位に放電はできない。

実はこのフロアの人質は全てもう移送されていたのだが、
周囲の状況をつかめない御坂は知る由も無い。

シールドに銃弾が当たる音が響く。

このままでは呼吸は続かない。
そしてもし相手が攻撃の仕方を変えてきたら。

例えば爆発物を使用してきたら。

御坂のシールドは金属の銃弾は遮られるものの、爆風等には弱い。


御坂「(考えろ考えろ………あ)」
ふと閃いた。

608 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:14:20.58 ID:eOiceRY0
目を瞑ったまま、体の上方へ力を集中させる。
余計な破壊を防ぐために力をセーブし、慎重に調整する。

天井をブチ破るのだ。

上の階もここと構造は同じだ。

真上はここと同じく何かの店舗。
誰かがいる可能性は低い。

御坂「ハァ!!!!」

そして真上へ電撃を放った。
天井に直径1m程の穴が穿たれた。

すかさず目を開け見上げる。

御坂「(よし!!)」

そして能力を使い瞬時に跳び、上の三階に飛び上がる。
穴から飛び出し、少し乱暴に屈むように三階の床に着地する。

御坂「ぷはぁぁぁぁぁ!!!!」
床に四つんばいになって胸いっぱいに汚染されていない空気を吸い込んだ。

609 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:16:40.90 ID:eOiceRY0
御坂「はぁっ!!ふぁあッ!!」
深く息を吸い、酸欠に陥っていた脳に酸素を送り込む。

御坂「…ったく!!……やりやがったわね!!…上等じゃないの!!!」

その時。前方から何やら重い金属音が響いてきた。
床が振動する。

御坂「へ?」

前を見ると。
フロアの先15m程の所に2m程の黒い金属の巨人が三体ほど立っていた。
手には巨大な銃。

銃と言うよりは大砲と言った方がいいか。

駆動鎧だ。

御坂「(何よあれ…)」

静かな駆動音を発し、その巨人が拳が入るほどの大きさの銃口を御坂に向けた。

御坂「(来る―――)」

能力を使い横に高速で飛ぶ。
その瞬間凄まじい砲音が響き、さっきまで御坂がいた場所の床が大きく捲れあがった。

610 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:20:11.18 ID:eOiceRY0
御坂「(まんま大砲じゃないのあれ!)」

御坂「(―――でも…)」

御坂はレベル5第三位。

御坂「(別にどうってことはないわね)」
そしてこの二ヶ月間で何度もとんでもない規格外の相手と戦い、生き延びてきた。

それに比べれば目の前の『コレ』など『オモチャ』に等しい。

この状況など『お遊び』に等しい。

二ヶ月前の御坂なら慌てふためいたかもしれない。
だが現在の御坂の鍛えられた精神はこの程度じゃ揺らがない。

御坂「(じゃあ今度はこっちの番よ)」

御坂「らぁ!!!!」
床に着地したと同時に巨大な電撃の槍を三体へ同時に放つ。

鼓膜が裂けるような雷鳴が轟き、三体の駆動鎧は弾き飛ばされ壁に叩きつけられた。
壁の欠片と黒い金属の破片が飛び散る。

そしてそのまま動かなくなった。

御坂「(なんだ、弱いじゃん)」

611 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:23:27.84 ID:eOiceRY0
続けて更に数体フロアに入ってきた。

御坂「無駄。やめといたほうがいいわよ」

だが駆動鎧達はその御坂の声を無視して巨大な銃口を御坂に向けた。

御坂「ったく…」

その時。

御坂「…?」

突如天井が大きくひび割れ歪み始めた。
そして。

御坂「!!!」

危険を感じ咄嗟に後ろに跳ねた。
次の瞬間、天井が爆発するように崩壊し大量の瓦礫が滝のように落ち、粉塵が周囲を覆った。

御坂「(何よ…!!)」
不気味な悪寒が背中を這い上がる。

この感覚は何度も経験した。
悪魔達のもの。

御坂「(…まさか…!!)」

上の階から光り輝く『何か』が降りてきた。

612 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:25:30.98 ID:eOiceRY0
粉塵の中で何かが輝いている。

御坂「(……また…?!)」
また悪魔か。

その予想は的中する。

だがその悪魔の正体は全く予想できなかった人物だった。

粉塵が晴れ、見慣れた後姿が現れる。

御坂「―――え?」

そこに立っていたのは―――

―――上条当麻。

御坂「―――は?えっちょっと待って…?」
突然の事で理解ができない。


なんで上条当麻が。

なんであの想い人が。

全身から淡い光を放ち。

悪魔の気配を溢れさせて立っているのか。

613 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:28:33.50 ID:eOiceRY0
上条の全身が赤く染まっている。

御坂「ちょ、ちょっと何でこんな所に…って怪我してるのアンタ!!!??」
御坂が駆け寄ろうとする。

その時。

上条がゆっくりと振り返った。

御坂「―――!!」

赤く輝く二つの瞳が御坂を真っ直ぐ見た。
その瞬間彼女の全身がざわついた。

彼女はその威圧感で上条から5m程の所で立ち止まってしまった。

御坂「…な、何が…ど、どうしちゃったの…?」
声が震える。

何がこの少年にあったのか。

知りたいけども知りたくも無かった。

上条は御坂の問いに聞こえてないのかのように反応しない。
その凍て付くような悪魔の瞳でただ黙って御坂を見据えていた。

御坂「(…イヤ………そんな目で…)」
全身が震え始める。

614 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:31:27.09 ID:eOiceRY0
その時、上条の背後の瓦礫が盛り上がり下から傷だらけになっている駆動鎧が現れた。
その巨大な銃口が上条の背に真っ直ぐ向けられていた。

御坂「―――!!」

その巨大な銃が大きな砲炎を吐き、轟音が轟く。

御坂「当麻―――!!!!!」

だが。
その『砲弾』は炸裂しなかった。

御坂「……?」

上条はその一瞬の間に駆動鎧の方へ向いていた。
その左手には。

煙を上げている金色の『弾頭』。

上条は放たれた『砲弾』を左手で掴んだのだ。

御坂「―――なッ」

そして上条はその『砲弾』を駆動鎧へ凄まじい速さで投げ返した。


次の瞬間、駆動鎧は爆散し粉々に吹っ飛んだ。

615 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:33:03.03 ID:eOiceRY0
御坂はもう何が何だかわからなかった。

考えたくも無かった。

上条がゆっくりと振り返り、再び御坂を見据えた。

あの目は何度も見た事がある。

悪魔達の瞳。
底なしの殺意が篭った絶対的な恐怖の光。

御坂「……なんで…」

上条がゆっくりと御坂の方へ歩いてくる。

御坂「………なんで……どうしちゃったの……?」

姿形は上条当麻だ。
だがその瞳から溢れてくる『中身』は以前とは似ても似つかない。

上条が御坂の目の前まで近付き、止まった。

手を伸ばせば簡単に届く距離だ。

だが。

どんなに手を伸ばしても。

絶対に『上条当麻』には届かないように感じた。

616 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:36:07.74 ID:eOiceRY0
御坂の瞳から雫が落ち、頬を伝う。

恐怖からでは無かった。

敵意を向けられているからでも無かった。

この目の前の少年の変わり様からだ。
ここ二ヶ月間、いつもいつも四六時中心配していた。

その心が。

今、最悪の形で成就した。

御坂「…うぅ……ひぐっ………何で…」

戦うという選択肢はあるはずが無かった。

この少年の右手の力が無かったとしても御坂は手を出そうとはしなかっただろう。

できるはずが無かった。

617 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/04/07(水) 00:38:20.68 ID:eOiceRY0
御坂「……えぐっ……何で…」


『…ド……コダ?kjgtallpインデックス……ハ?』


上条が口を開いた。
その声は妙なエコーがかかり、ノイズが混じり濁っていた。


御坂「…………当麻ぁ…」


その彼女の声が『上条当麻』に届いていれば。

だが『上条当麻』の耳には届かなかった。

彼を覆い尽くす分厚い闇に完全に遮られた。


『殺ス』


次の瞬間、上条の左手が御坂へ向け振るわれた。
爆発したかのように床が吹き飛び、巻き上がった粉塵が周囲を包み込んだ。

ダンテ「学園都市か」12(上条覚醒編)




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