2010年08月17日

ダンテ「学園都市か」7(上条修業編)

625 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:32:36.79 ID:0mf4Q9Q0
―――


ロシア、とある内陸部の巨大な地下の円形ホール。

そのだだっ広いホールの中央に大きな机と椅子。
フィアンマはその椅子に座っていた。

フィアンマ「……」

重量感のある禁書目録の遠隔制御霊装を右手で弄びながら思索に耽る。

フィアンマ「……」
この遠隔制御霊装。

禁書目録の制御システム『自動書記』の操作端末であり、これを使うことによって10万3千冊の魔導書の情報を引き出したり、
それを元にして新たな術式を創り出すことも出来る。
(また、『首輪』と呼ばれる防衛システムを起動することが出来、あの少女を『兵器』として使うこともできる)

今のフィアンマには、その莫大な情報と術式を新たに創り出す機能が必要なのだ。

フィアンマには『聖なる右』という絶大な力がある。

『聖なる右』とは『手』だ。

『行使する手』。
確かにコレだけでも力は絶大だ。
その力は圧倒的であり、一振りで地形を変えてしまう程だ。

だが制約もある。

かなり不安定なのだ。
数回使ってしまえば、しばらくはまた安定するまで使えなくなってしまう。

一撃の破壊力は相当なものだが、これから始まる規格外の戦いを考えればかなり心もとない。
神クラスの者達とも合間見える可能性がある以上、まだまだ力不足だ。

このままだと目的を達する前に斃れてしまう事だって在り得るのだ。

626 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:35:42.18 ID:0mf4Q9Q0
だからフィアンマにはまず禁書目録が必要なのだ。

禁書目録を手に入れ、『頭』の一時的な代替となる術式を創らせて『聖なる右』を安定させる。
そうすれば『聖なる右』単体でもそれなりの力を連続して使うことが出来る。

それでとりあえずは大丈夫だ。

とりあえずはだ。

元々この『手』は単体で使えるものではない。
禁書目録を使って行う代替の策はあくまでも一時的な物だ。

『手』を動かし、制御して本来の力を発揮するには『頭』が必要だ。
そしてその『頭』と『手』を繋ぎ一つにできる『器』も必要だ。

今のフィアンマには、その『頭』と『器』が無い。

だからこそ『頭』と『器』を手に入れる。
それがフィアンマの一番の目的でもある。

『頭』はとある少年が持っている。
だが『器』は、この力達が切り離された時に砕かれた為、別の物で代替しなければならない。

そこで当初フィアンマが目をつけていたのは、『御使堕し』の際に天界の魂を一時的に宿した、ロシア成教に所属する少女の体だ。
完璧とは言えないが、魂の『器』としての強度は一応最低ラインを越えている。

その少女を手に入れる為にロシア成教に根回しをしたといっても過言ではない。

だが現状を見ると、どうやらそんな必要は無かったようだ。

『頭』を持っている少年がここ二ヵ月半の間に、更に頑丈な『器』も手に入れてしまったのだから。

627 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:38:49.75 ID:0mf4Q9Q0
今、『頭』と『器』は一つになっている。

悪魔サイドとの関わりにより、一時はフィアンマでさえ頭を悩ませたが、どうやらそれは杞憂に過ぎなかったようだ。
結果的にフィアンマにとってかなり好ましい事になった。
『頭』と『器』を調整し結合させる手間も省けた。

かなり行程が短縮できる。

後はこちらの『手』を、禁書目録で創った術式で結合させれば良いだけだ。


更に魔帝の『創造』という素晴らしいオマケ付だ。


そのオマケがあるからこそ、アリウスも協力してくれる。

いくらフィアンマでも、アリウスの協力無くして『魔界と天界の全面衝突』という巨大な隠れ蓑を作る事はできないし、
それが無ければ天界の助力も得られなかっただろう。

『創造』という報酬を約束することでアリウスの協力を手に入れることが出来たのだ。

まあ、渡す気はさらさら無いが。
そんな素晴らしい力を手に入れておきながら はいどうぞ と渡す程このフィアンマはおめでたくはない。

アリウスもそれはわかっているだろう。
だが『創造』を引き出すにはフィアンマの目的が成就しなければならない。

だからアリウスはとりあえず協力しているのだ。

フィアンマもわかっている。
その内、機会を見てアリウスは打って出るだろう。
力ずくで奪う為に。

628 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:42:17.66 ID:0mf4Q9Q0
フィアンマ「……それにしてもな……面白い」
フィアンマは一人呟いき、右手にある遠隔制御霊装を見つめる。


これを調整していた時に、面白い事実が明らかになった。


禁書目録は元々かなりの魔力を有している様だが、それは全て『自動書記』の維持に使われている。
あの少女自身の意志では魔術を行使できないのだ。

なにしろ10万3千冊の魔導書、更にはフォルトゥナの魔剣生成・人造悪魔・界の封印式等の、
規格外の『魔界魔術』まで記録しているのだ。

『自動書記』はこれを守るという役割もあるが、
また一方でこの少女自身がその力を独断で行使するのを防いでいる訳である。

―――と、ここまではフィアンマも知っていたし、業界内でトップ地位にいる者達の間では常識とされている。

だがこの遠隔制御霊装を詳しく調べてみた結果、とんでもない事が、
それこそこのフィアンマすら驚愕する程の事実が判明した。

自動書記は外に対する防御と、彼女自身への拘束具の役割もしているが、
その外と内に振り分ける力の量が余りにも偏っていたのだ。

実に、力の9割が内側への拘束に使われている。
つまり自動書記と『首輪』が行使する伝説級の魔術、『聖ジョージの聖域』や『竜王の殺息』の源は残りのたった1割の力だ。


あまりにもおかしい。
普通は逆であるはずだ。
いかに元から有する魔力が多いとはいえ、少なくとも『普通の人間』なはず。

だが実際に目の前の証拠は揺ぎ無い事実を告げている。

そしてそこから導き出される答えは?

これ程の力をかけて拘束する必要があるのならば、
その拘束されている『モノ』はそれこそ大悪魔や神クラスの『何か』だ。

つまりあの少女、インデックスの中には、記録してある魔導書以外にとんでもない代物が隠されているという訳である。

629 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:44:43.74 ID:0mf4Q9Q0
見つけた物は更にもう一つある。

遠隔制御霊装に篭められている術式。
その言語はラテン語から古代ギリシャ語、ルーン文字等かなりの種類が複雑に組み合わされている。

この遠隔制御霊装の根幹となる術式を作った者は正に天才だろう。
これだけでも、魔術に携わるフィアンマにとってかなり興味深いものだった。

だがそれすらもどうでも良くなってしまうようなモノがこの術式の核の部分で見つかった。
この術式の器であり、核である根幹に使われている言語。


それは『エノク語』だった。


『エノク語』とは主に天界の者達や、魔界の一部の者が使う言語だ。

文字そのものが『生きて』おり、これで祝福の言葉を発せば本当に祝福され、
呪いの言葉を発せば本当に呪いがかかってしまう、運命を捻じ曲げる力を持っている と称されている。

そして人間には扱えないと言われている。
『エノク語』で魔術を行使すれば、効力を出す以前に術者の魂が耐え切れずに崩壊してしまうという。

例えると、持った時点で死に至る銃だ。
弾丸を放てば圧倒的な力を発揮できるが、使用者自身が引き金を引く前に死んでしまうので意味が無いという訳だ。

その線のエキスパートであるフォルトゥナの騎士達や、最高峰のデビルハンター達でさえ敬遠しているという言語だ。

『人間には使えない』 それが魔術を行使する者達の間での常識だ。


つまりこの遠隔制御霊装、及び自動書記を作った者は一介の人間を超越しているという事である。

更に『エノク語』を使ってまで抑えこまなければいけないという事実は、
とんでもない『何か』があの少女の中にあるという事を更に裏付ける。

630 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:47:33.46 ID:0mf4Q9Q0
フィアンマ「……」

フィアンマの思索は更に深く進んでいく。


ではこの遠隔制御霊装、及び自動書記を作ったのは誰だ?

天界の者か?

だがこの術式の組み上げ方は人間のやり方だ。

つまり、人間界で術式の作り方を学んだ何者かだ。
そしてたった一つだけ、それに該当する者達がいる。


『アンブラの魔女』達だ。


彼女達は好んでエノク語を使った。
『アンブラの魔女』達は一応人間とは呼べるものの、普通とは違う。

生まれながらにして魔界の『祝福』、十字教側から言えば『呪い』にかかっている。
例えるならば魔界版の『聖人』だ。

彼女達は寿命も無く力も絶大だ。
一部の者は神クラスにも達している。
その証拠は、四元徳やジュベレウスが魔女に敗れたという事実で充分だ。

そのレベルの者達なら、この遠隔制御霊装と自動書記を作るのは造作も無いことだろう。

フィアンマ「……魔女か」

そう、つまり魔女の手によって遠隔制御霊装と自動書記は作り出されたかもしれない とフィアンマは推測する。

631 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:49:43.49 ID:0mf4Q9Q0
魔女達の手によるもの。

イギリス清教があの少女を『禁書目録』として使い始めたのは10年程前。

だがそれはローマ正教が入手した情報の範囲内での話だ。

あの少女の出身地も親もわからない。
年齢すら確かな事は分かっていない。

『禁書目録』となる前の情報は何一つ無い。


フィアンマ「…………」

疑問。

魔女と関わりを持ったとしたら、それはいつだ?どんな関係だ?

なぜエノク語を使ってまで、内なる『何か』を拘束し封印しなければならないのか?

また、そこまでして封印しなければならない『何か』をなぜ破壊せずに残しておくのか?

『それ』は一体何なのか?

魔女達の手にすら余る代物なのか?―――

―――それとも魔女達が封印しつつも残す という決断を取ったのか?

―――まるで何者かの目から隠すかのように。


―――あの少女は『いつ』生まれた?


―――そして『何歳』なのだ?

632 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:51:34.84 ID:0mf4Q9Q0
そう考えると、これまで禁書目録について導き出していた『答え』も全てが怪しく見える。

フィアンマは己の中で、業界内では既に『答え』が出ている疑問を再度反芻し、
もう一度考え直し、この遠隔制御霊装を調べて判明した事実を基に、『別』の『答え』を導き出す。


―――なぜ魔導書を直に見て記憶しても精神が犯されないのか?

それは魂の『器』が大きいからではないか?


―――力に対する嗅覚が異常に強いのはなぜだ?


悪魔や天使が先天的に持っている『感覚』に似ていないか?


―――そしてなぜイギリス清教は記憶を消し続けていた?


生まれも親も隠し、過去を抹消する為では無いか?

つまりあの少女本来の『身分』を隠す為ではないか?



フィアンマ「………まさかな―――」

浮き彫りになった『裏』の答え。
今までの推理をもう一度確認する。

推理から導き出された答えは一つの事実を示していた。

633 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:54:39.67 ID:0mf4Q9Q0
フィアンマ「……面白い」

どうやらあの少女を直接迎えに行った方が良さそうだ。

本来はあの少女自身を手元に置かなくても、遠隔制御霊装を使えば術式を引き出せる。
フィアンマも元々はそのつもりだったが、あの少女自体にも興味が湧いたのだ。

使い様によってはかなりの武器になるかもしれないのだ。

フィアンマ「直に行ってやるか」

フィアンマはあの少女も手元に置くことにした。

今は学園都市最強の能力者、あの『境界から半歩踏み出している』少年が護衛しているという事らしいが、
フィアンマの『聖なる右』と遠隔制御霊装があればどうとでもなる。

ついでにその少年を殺しておくのも良いかもしれない。
アレイスターの最終目的は確実ではないものの大体予想がついている。

あの者の行動がこちら側の障害になるのは確実だ。
ならばその者の目的の核の一つを破壊しておくに越したことは無い。


フィアンマ「それにしても……驚いたな―――」


この推理から導き出した答え。
自分でも少し信じられない。

この推理が正しければ。

あの少女の生まれは―――。

あの少女の正体は―――。



フィアンマ「―――こんな所にもう一人いたとはな」


634 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 00:57:31.98 ID:0mf4Q9Q0
―――


リスボン沖の貨物船。船倉。

ダンテは金属板が積みあがった即席のステージの上で、ネヴァンの弦を弾く。
大音響が鳴り響き、船倉を振るわせる。

ネヴァンからは爆音のようなBGMと共に紫色の稲妻が発せられ、船倉の中をクラブのように明滅させて照らす。

ダンテ「Bless me with your gift of light」

ダンテ「Righteous cause on judgment night」

その大騒ぎを受け、ようやく人造悪魔達が動き出した。
積まれていたコンテナが爆発するかのように弾け、中から背中に小銃を括りつけた小さな猿のような悪魔達が飛び出し、
ステージの上で一心不乱にギターを奏で歌うダンテに向かって四方八方から飛び掛る。

ダンテ「Feel the sorrow the light has swallowed」

ダンテは歌いながらギターを掲げ、ネックの部分を掴んでハンマーのように大きく振るった。
ハイになりすぎたギタリストが闇雲に乱暴に振るが如く。

ダンテ「Feel the freedom like no tomorrow!!!」

その瞬間、ギターのボディが変形し巨大な刃が飛び出した。

ダンテ「Yeaaaaahh!!!!!!!!」

巨大な『鎌』となったネヴァンが、飛び掛ってた『客達』を一気に薙ぎ払った。
更にその刃から放たれた紫の稲妻が周囲を穿つ。

船倉の壁や床に穴が開き、辺りに飛び散るバラバラになった悪魔達の破片と火花が、
この狂気のライブをより一層盛り上げる。

635 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 01:00:53.51 ID:0mf4Q9Q0
人造悪魔達は今度はダンテの周りを囲む。
天井・壁にへばりつき、背中の銃をダンテに向ける。

更に船倉の奥から轟音が響いてきた。

重いキャタピラの音。
そしてコンテナを踏み潰しながら、所々が黒い甲羅で覆われた戦車が姿を現した。
船主側からと船尾側から一台ずつ向かってくる。

砲塔にある赤く輝く巨大な目がダンテを真っ直ぐ睨む。

ダンテ「Stepping forth a cure for soul's demise」

ダンテが再びネヴァンをギター型にし、歌いながら前へ踏み出しステージから跳ぶ。
それと同時に小銃型の人造悪魔達の銃口が一斉に火を噴く。

無数の銃炎が連続して明滅し、大量の銃弾が跳び上がったダンテ目がけて放たれた。
上下左右、前後ろ全ての方向から。

ダンテ「Reap the tears of the victims cries」

普通なら逃れようが無い鉛の網。
どこに移動しても、どうかわしても絶対に直撃してしまう―――。

―――普通ならばだ。

ダンテ「Yearning more to hear the suffer」

だがダンテには一発たりとも当たらない。
身を捻り、銃弾と銃弾の僅かな隙間、穴場へと瞬時にそして正確に体を移動させる。
皮膚からわずか数ミリというスレスレのところを銃弾が通過していく。

だが銃弾が接近できたのはそこまでだ。
この『数ミリ』の距離は凄まじく遠かった。

銃弾は無数に放たれているが、ただの一発もその『数ミリ』の距離を縮めることが出来ない。
なびいているコートにすら当たらない。

ダンテ「Of a demon as I put it under」

床に降り立ち、ギターを奏で歌い、ステップをキメながら『華麗』に突進する。
その周りの床に、ダンテを追って無数の銃弾がぶち当たり、大量の火花が彼の足元を彩る。

636 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 01:03:27.85 ID:0mf4Q9Q0
ダンテ「Killed before―――」

ダンテがネヴァンのネックを掴み、再び振るう。
そして今度はそのまま放り投げる。

巨大な鎌型に変形したネヴァンが稲妻を放ちながら、船倉の中を弧を描きながらブーメランのように飛び、
次から次へと人造悪魔達を切り裂き砕いていく。


ダンテ「―――a time to kill them all!!!!!!!!」


同時にダンテは突進し、小銃型の人造悪魔を鷲掴みにする。
そして腰だめに構えた。

ダンテの莫大な力を大量に流され、その人造悪魔は抵抗することすら出来ずに彼に『使われる』。

ダンテはそのままフルオートでぶっ放す。

彼の力を帯びた赤く光る銃弾が一瞬で大量にばら撒かれ、
他の人造悪魔達を穴だらけにしていく。


だが僅か一秒も経たずして、ダンテの抱えていた人造悪魔は流れ込む力に耐え切れずに破裂した。


ダンテ「Passed down the righteous law」

ダンテは残ったグリップを放り投げると、
相変わらず歌いながら今度は正面の戦車の方へ突進した。

639 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 01:08:32.65 ID:0mf4Q9Q0
>>637 3の『Devil's Never Cry』です

正面の戦車の砲身が真っ直ぐにダンテの方に向く。
後方の戦車もその砲口をダンテの背中に向けたのを彼は感じ取った。

そして二つの大砲が同時に火を噴く。
120mm滑腔砲弾が1650m/sという速さでダンテに前と後ろから一発ずつ向かう。


だが今度はかわすどころか、ダンテはその二つの砲弾を『掴んだ』。


ダンテ「Lifeless corpse as far as―――」


そして砲弾の慣性を利用して体を回転させ、後方の戦車へ二発続けてぶん投げる。

その僅かな一瞬でダンテの力を注がれた砲弾は赤い光を帯び、
放たれた時の数十倍もの破壊力をもって戦車の砲塔をぶち抜いた。

より一層巨大な爆炎と火花がこのライブを更に彩る。

ダンテは投げた反動を利用してもう一台の戦車の方へ大きく跳ぶ。

そして宙で右手を掲げる。
その右手に、帰ってきたブーメランのように鎌型のネヴァンが収まり―――。


ダンテ「―――the eye can seeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!!」


―――そのまま砲塔の上に着地すると同時にネヴァンを振り降ろす。

紫の電撃を帯びた刃が、分厚い装甲を難なく引き裂き深く食い込む。

640 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 01:11:49.56 ID:0mf4Q9Q0
ダンテ「The eye can seeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!!」

ダンテはシャウトしながら、ネヴァンをその『砲塔ごと』引っこ抜いた。

車体から砲塔が強引に千切られ、ターレットから大量の火花と悪魔の血が噴出す。
そして今度は、突き刺さったネヴァンをグリップ替りににしてその砲塔を巨大な銃のように腰だめに構えた。


ダンテ「The eye can seeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!!」


その120mm滑腔砲が今度はダンテの力を帯びて、いまだに船倉に残っている大量の人造悪魔達へ放たれた。
それも単発ではなく、彼の力で強引に連射して。

赤い砲炎を連続して噴出す120mmの『マシンガン』が人造悪魔の群れを吹っ飛ばしていく。


AC−130ガンシップもびっくりの圧倒的な物量の弾幕だ。

天井、床、壁に巨大な穴を穿っていき、そこから大量の海水が雪崩れ込んでくる。

だがハイになっているダンテはお構いナシに撃ちまくる。

爆炎と海水が何重にも絡み合い飛び散る。

そして遂に砲身がその熱と負荷に耐え切れずに歪みはじめた。
熱で誘爆する寸前だ。

641 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/15(土) 01:14:10.64 ID:0mf4Q9Q0
ダンテは右手でネヴァンを引き抜き、左手で砲身を掴むとそのままハンマー投げのように一回転し、

ダンテ「The eye can see!!!!!!!!」

歌いながら壁際にいる人造悪魔達の方へ砲塔をぶん投げた。
悪魔達が巨大な金属の塊に叩き潰され大爆発を起こす。

ダンテはネヴァンをギター型に戻し、再び弦を弾く。

ダンテの体から赤い光が溢れ、弦が弾かれるごとに巨大な稲妻がネヴァンから四方八方へ放たれる。
雪崩れ込む海水の轟音、軋む船体、船体の壁から弾けるボルトの音、飛び散る火花、業火と稲妻の明滅と爆音。

ダンテ「The eye can seeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!!」

狂気と破壊のライブは最高潮に達する。

ダンテはネヴァンを抱え前に跳ぶ。

そして両膝で滑り込むように着地し、天を仰ぎ。


ダンテ「THE EYE CAN SEE!!!!!!!!!!!!!」


シャウトをキメ、思いっきり弦を弾いた。
その瞬間、ネヴァンから紫の閃光が溢れ、船倉の中を覆い尽くした。
残っていた人造悪魔達は一瞬で消し飛び、更に天井、壁、床を全て吹き飛ばした。

船底も甲板も何もかもが消失し、ネヴァンの稲妻は天を貫き海を割る。

この瞬間に貨物船の中央の部分、実に全船体の三分の一が『消滅』した。


665 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:10:44.17 ID:nOTTbJE0
―――

一方その頃。

事務所デビルメイクライ。

現地時間午前六時。

上条と御坂は一回のソファーでお互いにもたれかかる様にして座りながら寝ていた。
近くのビリヤード台には無造作に置かれている御坂の大砲と上条の黒い拳銃。

上条「……んあ……」

まぶた越しに目に差し込む明るさに気付き、うっすらと目を開ける。

上条「……朝か…………ん?」
腑抜けた声でポツリと呟く。
そして気付いた。

肩にかかる重さ。ほのかに漂ってくる良い香り。
ふと見やると、御坂が自分の肩に頭を乗せ、上条の左腕に固く手を回しながら可愛らしい寝息を立てていた。


上条「………………」
起きたばかりの上条の頭が、今の状況を理解するまでには10秒ほど必要だった。


上条「………!!!!!!!み、みみみみみみm!!!!」

そして理解した途端一気に鼓動が早まる。

666 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:12:19.52 ID:nOTTbJE0
上条「(なんでこうなってる!!!!!?思い出せ!!!!思い出すんですよ上条さん!!!)」

脳内の最後の記憶を細かく確かめていく。

悪魔を退治し、警察から逃げる為に御坂を抱き上げてビルからビルへと跳び、
そのまま事務所に帰ってきた。

御坂は疲れていたらしく、ふらふらとソファーに向かいポスリと座った。
その隣に同じく疲れていた上条も座った。

『初仕事』ということもあってか、そのまま二人は疲れで寝てしまった。

というのが上条の記憶だ。

上条「………御坂」
恐る恐る名前を呼んでみる。

だが反応は無い。
熟睡しているようだ。

上条「(疲れてんだな……寝かしといてやるか……)」

上条はもぞもぞと動き、左腕に絡まっている御坂の手をゆっくりと外す。
そして起こさないように慎重に立ち上がり、御坂を優しくソファーに横たわらせた。

御坂は ん… と小さな声をあげうずくまった。

上条「(いつもはキリッとしてるけど……こいつ『も』こういう顔して寝るんだな……)」

667 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:14:27.27 ID:nOTTbJE0
上条はビリヤード台に寄りかかり、
己の銃を軽く服の袖で磨きながら御坂をなんとなく眺めていた。

上条「……」
御坂とインデックス。
数々の視線をくぐりそれなりに猛者でもある二人も、
寝顔はやっぱり年相応の年下の女の子だ。

上条「(……つうかこうしてよく見てみると……御坂もすっげえ可愛いな…)」

上条「(良い匂いしたし……暖かk……って何考えてんですか上条さんは!!!うぉおおお!!!!)」

自分のムスコが元気一杯なのに気付き慌てる。
一瞬顔を出した男の欲望を慌てて抑えこむ。

寝起きにおっ勃つのは若い男性特有の『症状』ではあるが、
それに更に溜まっていた欲望が上乗せされいままで見たことも無いくらいにギンギンになっていた。

というのも、もう大分前から一人の『営み』をしていない。

数ヶ月前に、インデックスが寝静まった後に風呂場で一回だけした事があったが、
翌日の朝に彼女に とうま、何か変な匂いするんだよ と突っ込まれてから一度もしていなかった。


御坂「ん……ん……」


上条「!!!!!!」

御坂がもぞもぞと動き、甘えるような声を放つ。
その声は上条の耳に入り、彼の中の本能をより強く刺激した。

668 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:16:31.59 ID:nOTTbJE0
御坂のはだけたパーカーの間から見える、Tシャツ越しのささやかな膨らみ。
その上に見える綺麗な鎖骨と首。


上条「(マズイ!!!!!これはやべぇ!!!)」


何もかもが今の上条にとって刺激が強すぎた。
服役していた囚人が、シャバで何十年振りかに直接女を見たような感覚に似ているだろう。

上条「(いぎぎぎっぎ!!!)」
強引に下げ、股の間に挟んでとにかく沈めようと奮闘する。

もう少しでトリッシュが返ってくる予定だ。
こんな調子で更に刺激的なトリッシュを見てしまったら大変だ。


御坂「んん……」

御坂が再びもぞもぞ動く。どうやら眠りが浅くなってきているようだ。


上条「(やばい……とりあえず避難した方が…!!!!)」


御坂「と…うま……」


上条「……………は、はい?」

669 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:18:14.64 ID:nOTTbJE0
突然名前を呼ばれ、上条は股間を押さえたままの姿勢で硬直した。

だがそれだけだった。
御坂は相変わらず寝息を立てている。

上条「(……寝言?夢に俺が出てんのか?……つうか『とうま』って今言ったよな?)」


御坂「………当麻」
御坂が再び呟いた。

上条「これは本当にやばいな」
思わず声に出してしまった。

名前を呼ばれ、上条の立派な『竜』はますます熱り立つ。


御坂「……当麻……」

上条「(ごめんなさいもうカンベンしてくださいお願いします)」
そう思いつつもなかなかこの場から離れようとしないのは男の性だろう。



御坂「………好き………当麻………大好き……」

670 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/05/17(月) 00:20:28.35 ID:bzVRMwDO
上条さんの下条さんがやばいことに

672 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:27:25.05 ID:nOTTbJE0
上条「………………………………は?」
一瞬耳を疑った。

時間が止まる。

上条「…………なッ……!!!」

上条「……ッ……」

上条「………」

ダンテに世界遺産認定される程のこの鈍感少年もさすがにわかる。
そして一旦感づいてしまえば、後は一気に答えが組みあがっていく。

この修行期間でより鮮明に浮き彫りになったが、上条は元々かなり頭の回転が速い。
ヒントやきっかけさえあれば、すぐに答えを導き出してしまう。

御坂の今までの行動も。
彼に対する態度の理由も。

今までの全てが一つの答えを裏付けてしまった。

彼はようやく気付いたのだ。

この少女の想いに。

上条「…………(そうか……)」


上条「…………御坂……ありがとう」

三分程考え込んだ後、上条がポツリと呟いた。

673 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:31:16.56 ID:nOTTbJE0
上条はゆっくりとソファーに向かい、御坂の前に屈んだ。
そして左手でそっと御坂の頬を撫でた。

上条「……ありがとう」

乱れた御坂の前髪を優しく正す。

上条「…でもよ……あのな…」


上条「……確かにお前を、お前の世界を守ると誓った」


上条「それは絶対に破るつもりはねえ。死んでも守る」


上条「お前は俺にとって大事な人の一人だ」


上条「だがよ……」


上条の頭に一人の少女の顔が浮かんだ。

白い修道服を着た、青い髪の『天使』。


上条「俺は……」


上条「そのな、何て言うか……お前のその気持ちには……」


上条「……って寝てる相手にこりゃねえよな。またかよ俺」
上条は苦笑した。

これではこの事務所に来る前夜と同じではないか と。
相変わらず卑怯だな と。

674 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:33:15.41 ID:nOTTbJE0
上条「あ〜……」
右手で乱暴に頭を掻いた。

上条「……ちゃんと……時期が来たら起きてる時に話すよ」

上条「お前もそっちの方がいいだろ」
上条は立ち上がり、小さく伸びをした。
さっきまで熱り立っていた欲望もいつのまにか影を潜めていた。

上条「(……シャワーでも浴びるか)」

上条は頭を掻きながらバスルームへと向かっていった。

そして彼の姿がバスルームに消えた後。


御坂「……うん…知ってる」

御坂が小さく呟き目をうっすらと開いた。


御坂「わかってるよ」


そして再び目を閉じた。

穏やかな笑みを浮かべたまま、御坂は再びまどろみの中へ落ちて行った。


676 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:37:33.80 ID:nOTTbJE0
―――


リスボンの港に停泊している貨物船。
トリッシュはそのマストの上に座りながら、沖を眺めていた。

沖には黒煙を立ち上らせて沈む船の残骸。

海面から船首が突き出している。
更にそこから400m程離れた海面から船尾が突き出し、本来見えるはずの無いスクリューが露になっていた。

ついさっきあの船の中央辺りで紫の光の爆発が起こり、巨大な稲妻が天を貫いたのだ。
それによりあの船は木っ端微塵になってしまった。

トリッシュ「……やっぱりね」

予想通りだ。
そしてよりによってネヴァンを使ったらしい。

ネヴァンを使うとダンテは更に見境が無くなるのだ。

トリッシュ「……」
しばらく眺めていると、その残骸の方角から赤い砲弾のような物体が、
猛烈な速度で放物線を描いて飛んで来た。

『砲弾』はトリッシュの真横に着弾した。
衝撃で鉄骨が大きく歪み、マスト全体が悲鳴のような金属音を立ててしなった。

677 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:39:25.02 ID:nOTTbJE0
トリッシュ「おつかれさま」

トリッシュがその砲弾の方へ向く。
そこには水を滴らせているダンテが立っていた。
右手にはネヴァン。

ダンテ「お前ッ……」

ダンテがこの貨物船を眺めながら、少し不機嫌そうに声を放った。

トリッシュ「こっちは私が片付けといたから」
トリッシュが右手の銃を口元に沿え、未だに銃口から立ち昇っている硝煙の煙をフッと吹く。

ダンテ「おいおい……」

トリッシュ「楽しかったでしょ。思いっきり『沈んだ』わね」
トリッシュが作り笑いを浮かべながらダンテの顔を見た。

ダンテ「……………」

トリッシュ「私の言った事覚えてる?さっき言ったわよね。暴れn」

ダンテ「OK文句はねえ」
ダンテが左手の平をトリッシュに向け、彼女の言葉を遮って瞬時に負けを認めた。

こうでもしないと、またグチグチネチネチ小言を言われ続けるのだ。
それは何よりも回避したい。

トリッシュ「OK」


ネヴァン『感じ悪い女ねぇ相変わらず』


とその時、ダンテの右手にあるギターが声を放った。

678 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:42:03.39 ID:nOTTbJE0
トリッシュ「あらいたの?」

ネヴァン『ねぇんダンテ、こんな女やめて私にしない?私ならダンテの命令にもちゃあんと従うわよ』

トリッシュ「そんなに盛りたいのなら自分の鎌でも突っ込んでなさいガラクタ女」

ネヴァン『あらあら可哀そうな子。己の方が上とでも思っているのかしら?実際は私の方が愛でられてるのよ』

ダンテ「……」

ダンテはその二人の会話を完全に無視して左手でコートを払い、
そして髪を軽く叩いて水気を払っていた。

トリッシュ「くだらないわね。所詮淫魔ってところかしら」

ネヴァン『本当に可哀そうね。この快感を知らないなんて』


ダンテ「……帰らねえか?シャワー浴びてえんだが……」


ダンテが遂に耐えかね、二人の会話を遮った。
女の口喧嘩ほど聞くに堪えない音は無い。

トリッシュ「じゃさっさと帰りましょ」
トリッシュが生け捕りにした小銃型の人造悪魔を手に取り立ち上がった。

ネヴァン『私もお供してあげる。シャワー』

ダンテ「………いらねえ」

ネヴァン『遠慮しなくてもいいわよ。戦いの後はたっぷりと癒さn」

トリッシュ「いい加減黙りなさい。ダッチワイフギター」


ダンテ「………」

再び始まった言い合い。
下手に介入するとかなり面倒臭くなる。

ダンテは目を細め沖を遠い目で眺めながら、黙って二人の言い合いを聞き流しながら黄昏ていた。

679 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:46:00.69 ID:nOTTbJE0
―――


学園都市。現地時間午後6時。

とある路地に一台のキャンピングカーが停まっていた。

その中には二人の少年と二人の少女。

麦野「………アクセラレータは?まだ?」
簡易ベッドに座っている麦野が、苛立ちを隠そうともせずに声を放った。

土御門「ああ、用事を済ませたらすぐに来るぜよ」

麦野「待たなくても良いじゃないの。私がいれば充分でしょ」

今日、これから理事会の一人である塩岸を襲撃する予定なのである。

一方通行が合流するのを待っているのだが、麦野からして見れば自分一人で充分だ。

それに土御門の話によると、一方通行は確かに『最強の能力者』だがそれは時間制限付きらしい。

それならば尚更こういう『小さな仕事』に参加させるのは気が進まない。
これから先、壮絶な戦いが待っているのは確かなのだ。
こちら側の戦力はできるだけ温存しておいた方が良い。

今夜の件は自分だけでちゃっちゃと済ませた方が良い と麦野は考えていた。


海原「まぁまぁ…そう焦らないで」
近くの椅子に座っていた、海原が穏やかな笑みで麦野をたしなめた。

680 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:48:14.04 ID:nOTTbJE0
麦野「…………チッ」
海原の顔が気に入らない。

あの柔和な笑み。
そこらの人間ならコロっと騙されるだろう。
だが地を這い闇の中を生きてきた麦野には、その仮面の下の本性が見えてしまう。

まあ所詮暗部の者だ。
自分も含めゴミクズなのだ。

いけ好かないのが当然なのだ。

それともう一つ麦野の苛立ちを加速させる事がある。

この連中といるとはっきりとわかる。
見ていると、彼らはお互いにかなりの距離を開けている。
正に『赤の他人』だ。

任務時にしかお互い顔を合わせないのだろう。

自分が属していたアイテムとは大違いだ。
なにせ彼女達は、任務外の時でも四六時中皆で集っては時間を潰していたのだ。

麦野「…………チッ」
このグループのメンバー達を見ていると、それと対照するかのようにアイテム時代の記憶がより鮮明に呼び起こされる。
自暴自棄となって、己の手で破壊した『世界』の姿が。

そして彼女の心の中でよりはっきりとした声が響いてくる。

「欲しかった物が目の前にあったのに、お前は自ら気付かぬまま破壊した」と。


「お前は間違いを犯した」と。


土御門「さすがだな。辛抱強さの無さも『女帝』並だぜよ」

眉間に皺を寄せ不機嫌全開の麦野へ、土御門がからかうような声を向けた。

麦野「うるせえんだよクズが」

681 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:50:47.22 ID:nOTTbJE0
30分後。

麦野「あー!!!もういい!!!行くわ!!!」
麦野が遂に耐えかねて、閃光を迸らせながら簡易ベッドから立ち上がる。

土御門「……だーわかったぜよ!!!待ってろ!!!」
土御門が携帯を取り出し、一方通行へ電話をかけた。

一方『あン?』
数コールで彼はすぐに出た。

土御門「まだか?隻眼の女王様がお前を待てねぇって駄々こいてんだ」

麦野がピクリと眉を動かして土御門を睨む。
それを海原が柔和な笑みでなだめた。
逆効果だが。

一方『合流できンのは夜っつってンだろ』

土御門「女王様はよ、お前がいなくても充分って言ってるぜよ」

土御門「まあ、はっきり言えば俺も女王様に同感だ。アラストルもあるし理事会程度なら余裕だろ」

一方『……』

土御門「ちゃっちゃと終わらせちまった方がいいと思うぜよ。お前も無駄にバッテリー使わねぇで済むしな」

一方『チッ……あァ……わかったぜ。先に始めとけや。しくじンじゃねェぞカス共』

土御門が麦野へ向けて親指を立てた。
麦野が軽く鼻を鳴らして返事を返す。

土御門「OK、じゃあ後でな」

一方『待て。メルトダウナーに代われ』

682 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:53:04.47 ID:nOTTbJE0
土御門が携帯を麦野に放り投げた。
麦野が右手でキャッチし、耳に当てる。

麦野「何?」

一方『テメェが先鋒だ。俺の「ステージ」を汚すんじゃねェぞクソアマ』

一方『ヘマしやがったら左目と右腕すり潰して左右対称にしてやンぜ』

麦野「減らず口叩いてんじゃねえよ。脳ミソ足らねェ死に底無いが」

麦野「それにもし私がヘマしたらてめぇも道連れよ。後の事は心配すんな」

一方『……一ついいかァ?』

麦野「あ?」

一方『聞け。塩岸も奴に従ってる連中も―――』


一方『――ー殺せ。殺し尽くせ。ブタみてェに泣き喚かせろ。この世に生まれてきたことを後悔させてミンチにしてやれやァ』


麦野「―――当たり前よ。目玉くり貫いて、手足引きちぎって、チ××引き抜いて焼いて口に放り込んで」


麦野「口からケツ穴までぶち抜いて、ニワトリみてぇに丸焼きにしてチリにしてやる」


一方『カカカカ!!問題はねェなァ!!!テメェは最高のクソアマかもしンねェぜ!!』


麦野「はッお褒めの言葉どうもね。モヤシ野郎」

683 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:57:13.42 ID:nOTTbJE0
麦野は通話を切り、携帯を土御門に放り投げた。

土御門「ま、つーことで始めんぜよ」

海原「ではこれを」

麦野「?」

海原がキャンピングカーの床板を捲り、銀色の頑丈そうなケースを取り出した。
土御門が手伝い、長さ1.5m程のケースが麦野の前に置かれる。
結構な重量があるらしく、重い音が響いた。

麦野「……何これ?」

土御門「言ってたろ。『アラストル』だ。お前の武器だぜよ」
土御門がケースの厳重なロックを外しながら答える。

麦野「はっ武器なんざいらないわよ」
麦野が左肩から青白いアームを発生させ、これ見よがしにうねらせる。


土御門「そう言うな。きっと気に入る」


海原「ちょうど封印が解けかかって三割程度の力は引き出せます」


海原「第23学区の件以来、意識は未だに眠ってるようですが、我々にとっては好都合でしょう」

海原「もし起きてたら色々面倒ですし」

684 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 00:59:20.53 ID:nOTTbJE0
麦野「……は?」
土御門達が何の事を言っているのか全くわからない。

土御門「おしっと…」
全てのロックを外し終え、土御門がやや乱暴にケースを開けた。

麦野「…………はぁあああ?」

ケースの中には、古そうな一本の剣が入っていた。
銀色の刃と柄、鍔には翼をあしらったような飾り。

麦野にしてみればどう見てもガラクタだ。

てっきり『アラストル』というコードの、学園都市製の最先端機器かなんかだと思っていたのだが。


土御門「『アラストル』だ」


麦野「…………これを使えって?」


海原「はい」


麦野「ふざけてんのてめぇら?」

685 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:01:55.47 ID:nOTTbJE0
土御門「良いから持ってみろって」

麦野「チッ……」

麦野がイラつきながらもその柄を右手で乱暴に握る。

麦野「こんなのなんz……………へ?」
その瞬間だった。

麦野「―――」

右手から、この奇妙な剣から何かが体内に流れ込んでくる。
全身から力が漲る。

麦野「―――!!!!」

麦野の左アームの光が一気に増す。

土御門「うおおお!!!待て!!離せ!!」

麦野「すごい―――何これ―――」

麦野が剣をゆっくりと持ち上げる。
更にアームの光が強くなり、麦野の全身からも青白い光が溢れ始める。

土御門「タンマ!!!!離せ!!!!!ここが吹っ飛んじまう!!!!」

麦野「はは、ははははあははははは!!!!!!」

海原「離してください!!!!!!!」

結標「―――チッ!!!」
結標が海原と土御門の腕を掴み、瞬時にキャンピングカーの外へテレポートした。

その次の瞬間、キャンピングカーが青白い閃光に包まれ吹き飛んだ。

686 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:03:39.65 ID:nOTTbJE0
土御門&海原「―――ッ!!!」
二人は固いアスファルトの上に落ちた。

結標「―――あのクソ女!!!」
その後に着地した、少し息の荒い結標が悪態を付く。

三人はキャンピングカーから40m程離れた路地の奥にテレポートしていた。

さっきまで三人が乗っていたキャンピングカーは跡形も無く消え、粉塵がもうもうと立ち込めていた。

土御門「………」

三人はしばらくその粉塵のもやを眺めていた。

海原「………失敗……でしょうか?」

一番最初に口を開いたのは海原だった。

土御門「……」

結標「……」
三人とも同じ事を考えていた。
麦野の体がアラストルの力に耐え切れず爆発してしまったのだろうかと。

だがその時だった。

粉塵の向こうからヒールの音が響く。

土御門「いや……うまくいったみたいだぜよ」

靄の中から麦野が何事も無かったかのように姿を現した。
右手にアラストルを持ち、左肩からはより一層強く光を放っている巨大なアーム。
全身に纏わりついている青白い光の衣。

そして僅かに赤く輝いている左の瞳。

彼女は口を大きく横に裂き、まるで『悪魔』のような笑みを浮かべ三人へ声を飛ばした。


麦野「さ、行くわよ。楽しい楽しいパーティ会場に―――」



687 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:08:46.84 ID:nOTTbJE0
―――


一方その頃。

ヴァチカン、サンピエトロ大聖堂。

現地時間午後一時。

とある大きな礼拝堂の長椅子に、神裂と五和は並んで座っていた。
五和はそわそわと落ち着かない様子だ。

神裂「少し落ち着きなさい」

五和「……は、はい」

二人はイギリス清教側の大使としてここにやってきた。
数日前からイタリア入りし、多くの事務処理を経てのようやくの謁見だ。

神裂「……」

しばらく待っていると、複数の足音が響いてきた。

五和「き、きました!!」

ホールの入り口から数人の従者を引き連れた、枢機卿と思しき老人が進んでくる。

神裂と五和は立ち上がり姿勢を正した。

神裂は落ち着き払う一方で、五和は緊張で更に硬直する。

688 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:11:23.23 ID:nOTTbJE0
枢機卿「ようこそ」

枢機卿の老人が神裂へ手を差し出した。

神裂「お招きいただき光栄です」
神裂がその手を握り挨拶をする。

枢機卿「こちらこそ。『天使』とお会いできるとは光栄です」

枢機卿「ささ、そう固くならんで下さい」

神裂「はい」

枢機卿「社交辞令は抜きにして、早速本題に入りましょう」

枢機卿「我等は友です」



「『友』―――ねぇ」



神裂「―――」
その時だった。真横から放たれてきた声。

それは神裂は聞いた事がある声。

忘れるはずが無い。

689 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:14:54.06 ID:nOTTbJE0
神裂がその声の方へ振り向く。
5m程離れたところに、イギリス清教の修道服に身を包んだ、高身長のグラマーな女性が立っていた。

黒縁のメガネに口元のほくろ。

色っぽい笑みを浮かべていた。

「時間稼ぎはもういいから」


「グダグダしないでさ、さっさとおっぱじめてくれないかしら」


神裂「―――なっ……!!!」
その姿を見て、その声を聞いて神裂が固まる。

五和「?」

枢機卿「おや、他にもお連れの方が―――」


その瞬間。

大砲が放たれたかのような凄まじい炸裂音と同時に、枢機卿の体が『何か』に弾き飛ばされた。

枢機卿の体は猛烈な速度で長椅子を砕きながら吹っ飛び、
壁に叩きつけられ赤い液体を噴出しながら床に力なく落ちる。

690 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:18:05.06 ID:nOTTbJE0
「―――」

その場にいた者が皆、突然目の前で起こった破壊と殺戮で固まる。


「戦争、始めましょ。『イギリス清教』の答えは宣戦布告。わかった?」


イギリス清教の修道服に身を包んだ『部外者』が、枢機卿の従者達へ向け言葉を放った。
枢機卿の従者達がわらわらと慌てて逃げていく。

五和「……な、な―――!!!」

次の瞬間、五和の体が後方へ吹っ飛ぶ。
神裂が五和を突き飛ばしたのだ。

己の刃の間合いから追い出したのだ。


神裂「―――ハァアァァアアアアッ!!!!!!!」
すかさず神裂が踏み込み、七天七刀を神速で抜刀する。


だがその刃は空のローブを切っただけだった。

女は宙を舞い、そして礼拝堂の中央にある高さ5m程の神像の頭の上に着地した。

衝撃で神像の頭部が叩き潰される。

黒いピチピチのボディスーツ、高く結った長いポニーテール。
黒縁のメガネに口元のほくろ。両手には巨大な拳銃。

そして更にヒールと一体化してるかのように両足に取り付けられている巨大な拳銃。
計四丁の銃を装備した、とてつもなくセクシーで妖艶な女。

天井のステンドグラスから差し込む光が女を包み込んでいた。

女が艶っぽい笑みを浮かべ、銃を握ったまま中指を立て、そのまま十字を切る。

そしてその中指を唇に当て軽く舐めた後、
腰をくねらせながら神裂に投げキッスを飛ばした。

691 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:20:20.67 ID:nOTTbJE0
神裂「―――」

神像を踏みながら下品に身を捻り、中指で十字を切りその指を舐める。

聖職者からすれば、これ以上無い程の冒涜であり明らかな挑発。


神裂は艶かしい笑みを浮かべている女を睨み上げた。
彼女の頭の中が、この状況を理解するべく猛烈な速度で回転する。


今何が起こった―――?


―――イギリス清教の修道服を着た者がローマ正教の枢機卿を殺害したのだ。

―――そしてイギリス清教の名で宣戦布告をした。


その先起こる事は―――?


神裂「―――テメェエエエエアアアア!!!!!!!!!!!」

憤怒の咆哮が轟く。

神裂の目が激しく金色に光出し、全身からも光が溢れる。
そして抜き身の七天七刀の刃もそれに呼応するかのように青く光り始めた。

礼拝堂全体が激しく震え始める。

神像の上に立つ女はそんな神裂を見ながら、相変わらず笑みを浮かべていた。

692 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:22:38.34 ID:nOTTbJE0
五和「―――」

五和が起き上がりながら、右手首に嵌められている銀色のバングル、非常用の通信霊装を起動した。
瞬時にイギリスへの回線が開く。

五和「襲撃!!!襲撃です!!!会談は失敗!!!!敵はh」


神裂「五和ァアアアッ!!退けェッッ!!!!」


その五和の通信を神裂の怒号が遮った。


五和「―――は、はい!!!!!」
五和が慌ててその場から走り離れていく。


神裂は戦うつもりだ。
今ここで退けばもう戦争は回避できない。

ここで戦いあの女を殺し、その屍を晒す。


そしてイギリス清教では無いと言う事を証明する。
この女の言葉はイギリス清教の物ではないという事を証明する。


それをやったところで、もうどうにもならないかもしれない。
だがここで退いてしまえば可能性はゼロなのだ。

僅かでも戦争を回避できる可能性があるのならば賭けるしかない。

693 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:24:57.84 ID:nOTTbJE0
「ほんとセクシーな刀ねそれ。燃えてきちゃう」


女が右手に持つ銃でメガネの端をコンコンと軽く叩く。


「ねえ、この間の続きしましょ。もう我慢できないの」


神裂は七天七刀を鞘に納め、体の前に突き出し独特の居合いの構えを取り、
一度目を閉じ深呼吸をして精神を落ち着かせる。

そして目をゆっくりと開き、金色に輝く瞳で再び女を見据える。


神裂「名は神裂火織!!!!」



神裂「魔法名『救われぬ者に救いの手を(Salvere000)』!!!!!!」



ベヨネッタ「ベヨネッタ」



ベヨネッタ「『天使』のアンタを殺し、地獄に叩き込む名」


女が神裂の『宣戦布告』に応じ、名を告げる。

694 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/17(月) 01:26:25.50 ID:nOTTbJE0
神裂「―――死になさい」
神裂の右手がゆっくりと七天七刀の柄に添えられた。


ベヨネッタは両手を頭の上に伸ばし、体を見事なS字状にしならせる。


ベヨネッタ「huummmyeah....Let's party. Let's dance. Let's play」


そして甘い吐息を吐きながら、自らの首・胸・腹を上から順に愛撫するかのように撫で下ろした。


ベヨネッタ「Come on Bitch. Sweetie Baby」


撫で下ろし、右手を神裂に向け銃で軽く『手招き』。


それを見て神裂が床を蹴った。
石畳が砕け、爆音と共に『天使』が突き進む。



遂に舞台の幕が上がる。

開演を飾るのは魔女の死かそれとも天使の死か。


今ここサンピエトロ大聖堂で、『大天使』と『魔女』が再び刃を交える。


710 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/20(木) 23:56:56.90 ID:xOClrzs0
―――

ロシア、とある内陸部の巨大な地下ホール。

フィアンマ「…………」
フィアンマは険しい顔で、机の上の通信霊装を睨んでいた。

書物型の霊装に映っているその映像。

光が差し込む礼拝堂で向かい合う『大天使』と『最強の魔女』。

まるで神話のような、正に旧約の一ページを映像化したかのような幻想的かつ荘厳な光景。

だがこれは現実に今起こっている事態だ。
幻想的なのは見た目だけだ。
一度刃が交われば、恐ろしい程の破壊がばら撒かれる。

フィアンマ「……まずいなこれは」

フィアンマにとってあまりにもイレギュラーな事態だ。

今はまだ事を起こすタイミングではない。
依然、準備は整っていないのだ。

先に禁書目録を使って己の力を安定させた後に始めるつもりだった。

この会談だって時間稼ぎの一つだった。

だがこの魔女の乱入。
魔女の最終目的はわからないが、とにかく戦争を誘発させようとしているらしい。
そしてその目的はフィアンマにとっては迷惑な話だが達成されるだろう。

ここまでの事態となってしまえば、さすがのフィアンマでも抑えこむことができない。
今まで彼が抑えていたローマ正教・ロシア成教のタカ派は確実に噴火する。

魔女が介入してきた事により、天界も号令を発するだろう。

イギリス清教の『天使』はどうやらまだ諦めてはいないようだが、
どう見ても開戦はもう避けられない。

711 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/21(金) 00:00:55.64 ID:W6j0Q8k0
フィアンマ「仕方ないな……」

この巨大な流れはフィアンマでも止められない。
一度動き始めたら、その流れに乗るしかないのだ。

彼は机の上にあるもう一つの書物型の通信霊装を開いた。

フィアンマ「アリウス」

アリウス『……どうやら時が来たようだな』
通信霊装から低い男の声が響く。

どうやらアリウスもヴァチカンの状況を把握しているらしい。
それなら説明する必要は無い。

フィアンマ「計画を少し変更する」

アリウス『……』

フィアンマ「俺様は禁書目録を取りに行く」

アリウス『……その必要は無いのではなかったか?』

フィアンマ「気が変わった」

アリウス『好きにしろ。俺はフォルトゥナに行く。「エサ」を取りにな』

フィアンマ「最初にそれか?」

アリウス『先日、魔女がスパーダの孫に接触した。フォルトゥナに帰られて守りを固められでもしたら手が出せなくなる』

フィアンマ「本当に大丈夫か?」

アリウスの言う『エサ』。それを一旦奪ってしまえば、もう後には引けない。
少なくともスパーダの孫は死に物狂いでこちらに向かってくる。
まあ、そうさせておびき出す為の『エサ』なのだが。

だが、準備がまだ整っていない今は少し危険な気がする。

712 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/21(金) 00:03:12.99 ID:W6j0Q8k0
アリウス『迷っている暇は無い』

フィアンマ「……今行くのか?」

アリウス『なんだ?ここに来て腰が引けたか?小僧』

フィアンマ「ふん……俺様を誰だと思ってる」

アリウス『ならばさっさとロシアとフランスに命を下せ。さっさと宣戦布告しろ』

フィアンマ「ああ」

アリウス『ヘマはするな。ミスが一つでもあれば我々は共倒れだ』

フィアンマ「わかってる」

フィアンマはやや乱暴に通信霊装を叩き、アリウスとの通話を切った。

そして通信霊装の横にあった遠隔制御霊装を手に取り、
ゆっくりと優雅に立ち上がった。


フィアンマ「では……少々予定が繰り上がったが……」


フィアンマの力を帯びて遠隔制御霊装が淡く光る。
同時に彼の背中からオレンジ色の光が放出され始めた。


フィアンマ「早速『迎え』に行くとするか」


713 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/21(金) 00:04:46.12 ID:W6j0Q8k0
―――

事務所デビルメイクライ。

上条「ふう……」
上条は頭にタオルをかけたままバスルームから出た。

そのまま髪を軽く拭きながらホールの中を進みソファーの方を見た。

上条「……あれ?」
さっきまでソファーに寝ていたはずの御坂の姿が無い。

ふと気付くと、何やらおいしそうな香りが漂ってきた。

上条「?」

とその時、二階から物音。
そして階段の上の方から御坂がヒョコッと顔を出した。

御坂「今朝ご飯作ってるから〜。待ってて」

上条「お、おう!」

そのいつもの御坂の笑顔を見て一瞬慌てる。
さっきあんな事があったばかりだ。
何となく御坂と目を合わせ辛い。

御坂「どうしたの?」

上条「いや、なんでもねえ!今行くよ!」


715 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/21(金) 00:07:39.94 ID:W6j0Q8k0
上条は髪を適当に拭きながら階段の方へ向かった。
とその時、ホールの中央に金色の円が浮かび上がった。

上条「あ……」

その円から、見るからに不機嫌そうなトリッシュと、全身ずぶ濡れのややテンションが低いダンテが姿を現した。
トリッシュの右手には黒い小銃。

上条「お、お〜おかえり。どうだった?」

トリッシュは上条を見ると、その問いを無視して真っ直ぐに早歩きで向かってきた。
そして乱暴に上条の胸ぐら左手で掴み、強く引き寄せた。

上条「うぉんぐッ!!!!な、なにをッ!!!」

驚異的な腕力に半ば持ち上げられ、上条はつま先立ち状態になる。
トリッシュは目を見開き、そんな上条の顔を覗き込んだ。


トリッシュ「何したのアナタ?」


そして一言。
鋭く冷たい声。

上条「……!!!い、いやぁ……その……」

トリッシュが何に対してそう言っているのか、上条はすぐにピンと来た。
逐一細かく上条の力を見ているトリッシュが、ほんの僅かな力の異常を見過ごすはずも無いだろう。

ダンテは無言で服を脱ぎ散らしながら、スタスタと二人の横を通ってバスルームに直行していった。

716 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/21(金) 00:15:33.86 ID:W6j0Q8k0
上条が簡単に昨晩の事を説明する。
エンツォからの依頼であり、すぐに退治しなければ人が死んでいたと言う事を。

トリッシュ「………」

上条「す、すまん………言いつけ守んなくて……」


トリッシュ「そう……いい根性してるわね坊や」


トリッシュは胸ぐらを掴んでいた手を離した。

突然縛から解放され、上条は尻餅をついてその場に転んだ。

上条「いッ……本当にすまん!!!この通り!!!」
上条はすぐさま体勢を立て直し、その場で非の打ち所が無い完璧な土下座をした。

上条「本っっっっ当にすみません!!!!!!ごめんなさい!!!!!」


トリッシュ「……お疲れ様。問題は無いわね」


上条「………へ?」
素っ頓狂な声をあげ、トリッシュを見上げた。
上条はてっきりまた何か酷い目に合わされると思っていたのだ。

トリッシュ「ま、その状況じゃ仕方なかったでしょ」

717 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/21(金) 00:18:56.30 ID:W6j0Q8k0
トリッシュ「逆に、動いてなかったらダンテに八つ裂きにされてたわよ。坊や」

トリッシュ「とにかく、あなたの取った行動は正しい」

上条「……お…おお」

トリッシュ「でしょ!!!?」

トリッシュがバスルームの方へ叫んだ。
すると、

ダンテ「まぁな!!!問題は無え!!!文句はあるがな!!!!!」

とダンテの返事が帰って来た。

ダンテにとって獲物を横取りされるのは許し難いが、
人間の命が当然最優先だ。

トリッシュ「ま、見たところあなたにも異常は無いし、問題は一つも無いわね」

トリッシュ「さっさと立ちなさい」

トリッシュが上条の背後、階段の方を指差した。

上条が振り返ると、階段の中程のところにエプロンをつけた御坂が笑顔で立っていた。

トリッシュ「ほら、朝食食べたら出発するわよ」

トリッシュが上条の肩を軽く叩き、
そのまま横を通って地下室へ続く階段の方へ向かっていった。

上条「おう!」

718 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/05/21(金) 00:24:06.10 ID:W6j0Q8k0
上条は素早く立ち上がると、階段を駆け上がっていった。

上条「おっと……」
廊下に出て、走りかけたところでふと自室の前で立ち止まる。

そろそろインデックスに電話する時間だ。
携帯は確か自室のベッドの上に置いてある。

だが今電話してもし長引いたりでもしまったら、
朝食を待っていてくれている御坂に迷惑をかけてしまう。

上条「……先に飯にすっか」

もう数十分で会えるのだ。
予定が押しているのにわざわざ電話することは無いだろう。

上条は御坂が待っているキッチンの方へ向かっていった。


その一分後。


上条の部屋のベッドに置かれている携帯が激しくバイブしていた。

着信表示は―――


―――『インデックス』。


だが彼女がかけてたのではない。

彼女を護衛していた少年がかけていたのだ。


護衛すべき少女の身に突如降りかかった禍を報せる為に。


―――

上条修行編    おわり


ダンテ「学園都市か」17(上条修業編)



posted by JOY at 00:14| Comment(1) | TrackBack(0) | 禁書クロスSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
gucci めがね
Posted by gucci 財布 2013 at 2013年07月17日 19:16
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