2010年10月09日

ダンテ「学園都市か」5(準備と休息編 )

866 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:17:27.17 ID:RzOmPFQo
―――

遡ること数分前。

同じ病棟のとある廊下。
そこを歩く、三人の少女。

ルシア、御坂、そして佐天。

御坂「あーっと、インデックスちゃんもいるんだっけ?」

ルシア「は、はい」

佐天「い、インデックスちゃんって…………あ、あのシスターっ娘のですか?」

御坂「そうそう、青い髪の。ってあれ、佐天さん会った事あるの?」

佐天「あ……はい。あの……デパートの事件の時に……」

御坂「あ〜…………なるほど……それでさ、三人で何やってるの?」

御坂「当麻の話だとなんかの作業してるみたいだけど?」

ルシア「み、皆さんでキリエさんの術式の解析作業を行ってます」

御坂「きりえさん?」

ルシア「え、えっと……フォルトゥナの方です」

御坂「?なんかの重要人物?」


ルシア「……あ…っと……ね、ネロさんの婚約者です」


佐天「―――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

867 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:22:32.82 ID:RzOmPFQo

御坂「へぇ〜、ネロさんって婚約者いたんだ」

特に驚きもせず、普通の反応を示す御坂。
だが彼女の横にいた黒髪の少女、佐天は。


佐天「――――――」


その場で歩みを止め完全に硬直していた。
目を見開き、口を半開きにし。
さながら時間停止の魔法でもかけられてしまったように。

御坂「……佐天さん?」

佐天「―――はッッッ!!!!!!!!はい!!!!!!!!!!」

御坂「どうしたの?」

佐天「い、いえええええいえいえええだッッだだだだだだだだっだだ大丈夫ででででです」

佐天「(どうしようどうしようどうしよう何何何何何何よくわかんなくなってきた)」

ルシア「あ、あの?佐天さん?」

佐天「あは、あははははあはははああああさささささあ行こ行こ行こ行こ!!!!」

佐天「(ねねねねねネロさんののののののここここあばばばばあああ)」

868 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:27:00.89 ID:RzOmPFQo

複雑すぎるこの感情。
まだまだ佐天には、自分自身でも理解しがたいものだった。

そんな挙動不審な彼女に対し、不思議そうな顔をしながらも御坂とルシアは歩き進み。

そしてひとつのドアの前で止まった。

佐天「(こ、こここここここここの向こうに…………)」

ごくりと喉を鳴らす佐天。

そして、ルシアによって開かれるドア。

佐天「―――」

広めの病室。
くっ付けられてその部屋の中央に置かれている大きなベッド。

そこの上に座っている二人の女性。
片方はシーツに包まっている、気が強そうなシャープな顔立ちの金髪の女。
もう片方は、栗色の髪で穏やかそうな清楚な女。

そんなベッドの脇に座っている、短めの黒髪・白いジャケットにホットパンツという出で立ちの女と。
ちょこんと小さな椅子に座っている、修道服を纏った青髪の佐天が見知っている少女。

白人四人のそれぞれ整いすぎているかと言う程の端正な顔が、ドアの方へと一気に向いた。

それらの視線を浴び固まった佐天は、一瞬こう思ってしまった。

ここは本当に日本なのか? と。

そして思う。

頭が割れそうなくらいに、思っては思っては更に思い、考える。

シスターを省く、この三人のどれかがネロの婚約者なんだ、と。

869 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:29:04.25 ID:RzOmPFQo

トリッシュ「あら」

レディ「あ」

禁書「あッ!!」

御坂「どうもどうも!」

入って来た三人に対し、相変わらずのクールな反応を示すレディとトリッシュ。
御坂と佐天の姿を見た瞬間、ぱあっと笑みを浮かべるインデックス。

そして御坂達に向け、スッと小さく上品に会釈するキリエ。

御坂「(わっ……これまたすごい美人さん。この人がねえ……うん、お似合い)」

禁書「短髪!!」

御坂「やっほー。具合はどう?」

禁書「うん!!良いんだよ!!」

御坂「そう、それは良かったわ」

禁書「るいこ!!ひさしぶりなんだよ!!」

佐天「あ…………う、うん!!」

870 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:33:05.10 ID:RzOmPFQo

トリッシュ「お友達?」

御坂「あ、うん!佐天さん!」

佐天「あ……は、始めまして!!!」

佐天「佐天涙子です!御坂さんとルシアちゃんのお友達をやらせていただいてます!!!」

トリッシュ「ルシアの……?」

そこでトリッシュは少し意外そうに、目を少し見開いた。

佐天「はい!!昨日お会いしまして!!」

トリッシュ「あ〜、じゃあアナタが自販機の」

佐天「はい!!そ、そうです!」

トリッシュ「少しだけだけど話は聞いてるわよ。ルシアが嬉しそうに話してたから」

先日、ルシアがニコニコとして病室に戻ってきたのだ。
ペットボトルを大事そうに抱きかかえながら。

佐天は、ルシア自身による初めての『普通の友達』だ。

佐天「…………!!!」

トリッシュ「お友達ねえ。大事にしなさい。ルシア」


ルシア「は、はい!!!!!!」

871 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:34:45.16 ID:RzOmPFQo

レディ「何?何だって?」

そこで、キョトンとしながら英語でトリッシュの方へと声を飛ばすレディ。
ここまでは全て日本語で会話が行われていた為、当然彼女は話についていけない。

キリエ「?」

同じくキリエも。

トリッシュ「ルシアに友達ができたの。この黒髪の子」

レディ「へぇ〜」

キリエ「良かったねえルシアちゃん」

ルシア「はい!」

レディ「あ、そういえばミコトちゃん、私の弾結構使ったみたいね」

御坂「はい。も〜う凄かった!」

レディ「思いっきりどっかんどっかん撃ちまくると気持ちいいでしょ?」

御坂「か・な・り」

レディ「アンタもわかるコね。中々素質があるわ」

御坂「えへへへへ……」

トリッシュ「…………」

なぜそこでレディは素質があると言うのか。
そしてなぜそれで御坂が喜んでいるのか。

いつかこの日本人の少女が、イカれたデビルハンター『レディ二号』に
なる姿が一瞬トリッシュの脳裏を過ぎったが。

彼女は最早突っ込む気にもならなかった。

872 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:36:16.27 ID:RzOmPFQo

佐天「え〜……っと?」

次は英語の会話。
当然、佐天が置いてきぼり。

トリッシュ「あ、一応紹介しといた方が良いわね」

そんな佐天に気付き、トリッシュが今度は日本語で口を開いた。

トリッシュ「私はトリッシュ」

トリッシュ「そっちがレディ」

レディ「今はサイン受け付けてないから」

佐天「…………」

トリッシュ「…………で、この子が……」

ポンと隣のキリエの肩に手を乗せ。

トリッシュ「レールガンも初対面ね」


トリッシュ「キリエ。フォルトゥナの『お姫様』よ」


キリエ「Hello」


そしてにこりと、穏やかな笑みと透き通っている優しい声で挨拶をするキリエ。


佐天「―――!!!!!!!!!!!!!!」

873 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:38:09.88 ID:RzOmPFQo

『キリエ』。

その名を聞いた途端。
佐天は彼女を見つめたまま硬直した。
先ほど、ルシアの口からその名を聞いている。

佐天は遂に『捕捉』した。

この女性がネロの婚約者だ、と。


御坂「―――お、お姫様ぁ!!??」

トリッシュ「そう」

御坂「へぇええええ!!!!!!すごいすごい!!」

『お姫様』という単語を聞き、瞳を輝かせる御坂。
彼女の頭の中では、このキリエが豪奢なドレスを纏い、
メルヘンな城に住んでいる光景が瞬時に浮かび上がっていた。

キリエの品に溢れる佇まいからしても、全く違和感が無い。


ただ実際の住まいは、ネロと営む事務所と自宅を兼ねた小さな一軒屋であり、
その生活もかなり質素なものなのだが。

874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:39:52.26 ID:RzOmPFQo

キリエ「???」

なぜ御坂が突然はしゃぎ始めたかがわからないキリエ。
自分の事らしいのはわかるが、いかんせん日本語が全くできない為話の内容も全然わからない。

彼女は、御坂のキラキラ光る『夢見る少女』の瞳にただただ苦笑いを返すしかなかった。


トリッシュ「あ〜、本当の意味での王家とかの『princess』じゃなくて、何ていうのかしら」

そんな御坂が何を思い描いているか、
即座に察知したトリッシュが軽く補足する。

トリッシュ「皆の憧れのアイドルみたいな?まあ血筋は由緒あるモノだし、いわば貴族の系列なのは間違いないけど」

レディ「そりゃ〜もう結構な血筋よね。             私に負けないくらいの」

禁書「そしてこの若さであのフォルトゥナの修道女長なんだよ!」


御坂「じゃあ本物のお姫様じゃん!!!きゃー!!!!!」


補足も空しく、御坂の妙な誤解は解けなかったらしく。
レディのさりげない自己主張とインデックスの追加情報も見事にスルーされた。

トリッシュ「…………」

レディ「…………まあいいわ」

禁書「…………むう」

875 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:45:04.90 ID:RzOmPFQo

キリエ「……???」

と、そうしていた所、キリエはもう一つの熱烈な視線に気付いた。
未だに目をまん丸にし、彼女をジッと見つめている佐天の眼差し。


佐天「(こ、ここここここの人が……………………綺麗…………)」


禁書「あれ、そういえばとうまは?ルシアと一緒じゃなかったのかな?」

御坂「え?なんかアクセラレータとどっか行っちゃったわよ。すぐ戻るって言ってたけど……」

禁書「…………あ……」

御坂「……よし、アイツを探しに行こっか?」

禁書「うん!」

トリッシュ「じゃあさっさと連れて来なさい。今日の作業はもう終わったって伝えて」

御坂「はいはいよっと」

レディ「さっさと、ね。早く、ね早く」

御坂「了解了解〜」

御坂とインデックス、二人は姉妹のように並びながら病室から出て行った。

インデックスの移動を察知し、どこからともなく即座に現れたのか、
ステイルらしき男の声が少し聞こえ。

そして彼らの足音が離れていった。

876 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:47:17.44 ID:RzOmPFQo

病室に残ったのはトリッシュレディ、ルシア。


と、カチコチに固まっている佐天。


トリッシュ「……知り合い?」

そんな佐天の、キリエへの『熱烈』な視線に気付いたトリッシュ。

佐天「え……あ、いや……!!!」

慌てながらも顔を勢い良く何度も横に振るう佐天。
そんな時。

ルシア「さ、佐天さんはネロさんと面識があるんですよね?」

純粋すぎるルシアがご親切に補足をした。

佐天「―――えッ!!!!!ええええッ!!!!!!!」

トリッシュ「へぇ〜……」

レディ「なぁに?何だって?」

キリエ「ネロ?」

ネロという部分だけを聞き取れた二人。
キリエは不思議そうに首を傾げてたが、レディは佐天の反応の意味を即読み取り、
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。

トリッシュ「あ〜、この子、ネロと面識があるみたい」

トリッシュはそんな彼女達に英語で補足。

877 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:51:21.51 ID:RzOmPFQo

レディ「経緯は?ねえ経緯は?どうやってどこで知り合ったの?お姉さん知りたいなあ」

トリッシュ「このイカれ女がどこでどう会ったのか知りたいって」

佐天「あ…………二、三週間前に………」

トリッシュ「あ〜、ウィンザー事件の直後にここに滞在した時みたい」

レディ「へぇ…………なぁるほどなるほど」

キリエ「……そういえば、ネロがその時の学園都市のお土産でブレスレットくれたんだけど……」

キリエ「それ選んでくれたのが現地の女の子って。もしかしてあなたかな?」

トリッシュ「ブレスレット選んだのかって?」

佐天「は、はい!!!!」

キリエ「やっぱり!ありがとう!!!」

キリエ「ゴメンね、今はつけてないんだけど、すごく可愛いので素敵だったよ」


トリッシュ「可愛いのをありがとうだって」


佐天「いえいえいえいえいえいえいえこここここちらこそ!!!」

878 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:54:57.30 ID:RzOmPFQo

トリッシュ「って、通訳面倒ね」

トリッシュ「ルシア。あなたが佐天ちゃんに通訳してあげなさい」

ルシア「は、はい!」


レディ「それにしてもあのボーヤが赤の他人と仲良くなるなんて」

トリッシュ「あら、イギリスでも結構ハッちゃけてたわよ」

キリエ「……………………」

トリッシュ「あ、男特有のバカ騒ぎね。女関係ってわけじゃなく」

レディ「でもそれってアレでしょ、なんていうか、脳筋猿共の土人的な宴みたいな」

レディ「このコみたいな一般人の、しかも一回りくらい年が下っぽい女の子と仲良くなるなんて」

レディ「イメージとしては、どっか消えなとか言ってそっぽ向くと思ってたんだけど」

トリッシュ「まあ、大人になってある程度丸くなってきたんでしょ」

キリエ「あ、元々ネロは子供には優しいですよ?」

キリエ「昔からよく孤児院に顔出したりして、皆の面倒見たりしてましたし」

トリッシュ「へぇ〜」

トリッシュ「でもこういう、プライベートの事には一切他人を関らせないでしょ?」

トリッシュ「イギリスでも、一介の騎士とか魔術師達ととは、やっぱり上の立場としての一線を引いてたし」

キリエ「あ……そう……ですね。最初、ネロからあのブレスレットの話聞いたときは驚きました……」

879 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:57:10.74 ID:RzOmPFQo

レディ「ていうかさ、自分の女へのプレゼントを別の女に選んでもらったって、普通言うの?」

レディ「それもこんな、まだ毛さえ生えてないような子に選んでもらったなんて。なんか見っとも無いじゃないの」

佐天「…………」

トリッシュ「正直で良いんじゃない?ネロらしいって言えばネロらしいし」

トリッシュ「そんくらいキリエにゾッコンなんでしょ」

レディ「へぇ〜」

キリエ「……あははは…………」

佐天「…………」

レディ「それにしてもネロがデレデレするのってなんか想像つかないわね。そこのところどうなの?」

キリエ「ええ?!……どう…………なんでしょうね…………??」


レディ「最近みたいに忙しくなる前は、週何回くらいヤッてたの?」


キリエ「えええええ!!!!!!!!!!!!!!」

レディのあまりにもどストレートな問いに、顔を真っ赤にして声を挙げてしまったキリエ。


そして、隣のルシアの一語一句間違い正確な訳を聞いていた佐天も。

佐天「―――!!!!!!」

身を硬直させた。

880 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/27(月) 23:58:19.82 ID:RzOmPFQo

トリッシュ「何回?」

キリエ「し、知りません!!!!!!!」

レディ「あ〜、覚えてられないくらい、普通に回数多くって事ね」

キリエ「ち、ちちちち違います!!!!!!!!!!!!!!!」

トリッシュ「やっぱり、出張から返ってきた久しぶりの晩には燃えるの?」

レディ「いや、昼から始めるんじゃない?で、晩も、と」

キリエ「わわわっわわあわわわわかりません!!!!!!!!!!!!!」

レディ「ネロってリード上手いの?」

トリッシュ「どうかしらね。どっちも相手が初めてみたいだったから。二人一緒に成長してんじゃないの?」

レディ「あ〜なるほど」

トリッシュ「で、二人とも同じくらいのテク、と。ね、そうでしょ?」


キリエ「あああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」


佐天「(きぃぃぃぃぃぃいあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!)」


もしこの場にダンテがいたら、ニヤニヤしながらこう思っていた事だろう。


全く女というやつは、と。

複数集ったらロクな事にならねえ、と。

882 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:00:33.47 ID:msuwctQo
―――

とある深い森の中にある、大きな寂れた洋館。

その一画にある、小さな薄暗い小部屋の片隅。

そこに七天七刀の鞘を抱きかかえながら、五和が蹲って座っていた。

髪はボサボサ。
服はところどころ黒ずみ小さく破け。
その破れた服の隙間から、小さな擦り傷等の固まった血が見えている。

だが、五和は今やもうそんな己の身なりの事など全く気にしてはいなかった。
いや、そんな小さな事など考える気にもなれなかった、と言った方がいいか。

頭の中は真っ白。
もうどうでもいい。

己の置かれているこの状況ももう興味が無かった。


目の当たりにした、神裂の最期。
心の底から敬愛していた女教皇の死に様。


それが彼女の心を空っぽにしてしまった。
もう涙も枯れたようだった。

鞘を抱きしめる腕に顔を埋め。
外界からの気配も音も全て興味なく聞き流し。


彼女はただ一人、この『無の殻』の中に閉じこまっていた。

883 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:03:06.77 ID:msuwctQo

五和「…………」

ふと気付くと、扉の向こうの大部屋にて複数の足音が聞こえた。
二人、いや、三人か。

なにやらボソボソ話をしている。

だが五和にとってはそれだけ。
ただの『音』。

ぼんやりしているこの頭では、
その足音と声が女のものなのか男のものなのかすらわからない。
そして、五和はそれすらをも確認しようとはしなかった。

どうでもいい。
ただ聞き流す。


と、その時。


今度はこの小部屋の扉が開いた。


五和「…………」


だが五和はそれでもピクリとも動かず、
一切の興味を持たなかった。

入って来た人物の正体など露とも知らずに。

884 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:04:05.64 ID:msuwctQo

その『衝撃』はすぐに彼女を覚醒させる。

五和「―――…………」

何者かが入ってきたと思ったその瞬間。
抱きかかえている鞘に走る、あの『感触』。

スルリと。

鞘に刃が納められていくこの触感―――。


そして。


五和「―――」

鞘に伝わるやや大きめな振動と共にチンッっと響く、小さな金属音。

そう。

それは。


鞘の口と鍔が『完璧』にかみ合った音色―――。


五和「――――――ッ」

885 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:05:29.86 ID:msuwctQo

その音色でようやく五和の心が反応し。
そして一気に躍動する。

五和が目を見開き、顔を勢い良くあげたその瞬間。


彼女の瞳に映る―――。


「五和」


小さな微笑を浮かべ、穏やかな瞳で五和を見下ろしている―――。


五和「―――…………あ―――」


「何たる醜態ですか。髪ぐらい梳かしなさい」


五和「―――…………あぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――!!!!!」


「『我ら』天草式十字凄教たる者、その身なりは常に整えておきなさい」



―――女教皇、神裂火織。

886 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:07:35.74 ID:msuwctQo


その姿と見、声を耳にした五和の瞳から、
一気に透き通った雫が溢れ出し。

五和「うぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛う゛ぅ゛う゛あ゛あ゛あ゛う゛い゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」

彼女は言葉にならない声を挙げながら、
七天七刀の納まった鞘を抱えながら神裂の足にしがみ付いた。

幼児のように泣きじゃくり。


神裂「…………ふふ」

神裂はそんな五和の頭に軽く手を乗せ。

神裂「大丈夫。大丈夫です……」

ゆっくりと、彼女の髪の毛を梳くように美しい指先で撫でた。
母親が小さな娘を安心させようとするかのように。

優しく。

優しく。

慈愛に溢れたその美しい指先で。

887 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:09:43.56 ID:msuwctQo

そんな二人の姿を開かれたドア越しに、大部屋の方から眺めていた二人がいた。

腕を組み、口の端をあげ薄っすらと笑みを浮かべているジャンヌと。
相変わらずの無表情であるバージル。

ジャンヌ「……それでだ。うまくいったみたいだな?使えるんだな?あの元天使は」

バージル「一応はな」

ジャンヌ「そうか。そいつは良かったよ」

バージル「……」

ジャンヌ「……」


バージル「………………あれは何のつもりだ?」


ジャンヌ「ん?」

バージル「あの人間の女だ」

ジャンヌ「あ〜……」

バージル「……」

ジャンヌ「そうあからさまに嫌悪感出すな。小間使いにでも何にでもすればいいさ」

ジャンヌ「こっちは少し頭数が足りなかったしな。雑用が一人くらい欲しかったところだろ?」

バージル「……」

ジャンヌ「心配するな。忠誠心も折り紙つきだ。あの元天使がお前に与した以上、あのコも従うさ」

ジャンヌ「それにもし邪魔になるようだったら、私が責任持って『処理』する」

888 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:11:15.68 ID:msuwctQo

バージル「……………………勝手にしろ」

ジャンヌ「OKって事だな」

バージル「どうでも良い。それよりも貴様等に話がある」

バージル「…………待て、もう『一匹』はどこだ?」

ジャンヌ「ああ、セレッサはロダンの所に行った」

バージル「そうか。まあ良い。貴様に聞く」


バージル「イギリス清教最大主教。知ってる事を全て吐け」


ジャンヌ「……あ〜…………」

バージル「貴様等の同族だと聞いたが?」

ジャンヌ「それか……アイゼン様は何て?」

バージル「『発見次第、捕縛し連れて来い。話ができる程度に生きてれば良し』」

ジャンヌ「…………あ〜」

バージル「恐らくその魔女、『神儀の間』をイギリスに現出させた張本人だ」


ジャンヌ「―――…………は……………はぁぁッッ?!!!!!」


バージル「知らないのか?」


ジャンヌ「ちょ、ちょっと待ちな!!!!!『神儀の間』がどうしたって!!!!??」

889 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:13:56.01 ID:msuwctQo

イギリス清教、ローラ、それらの単語。
さらに突如声を荒げたジャンヌに対し、小部屋の方の神裂も二人の方へと顔を向けた。

五和は相変わらず彼女の足にしがみ付き泣きじゃくっていたが。

それに気付いたジャンヌがさりげなく手を振り、魔術で扉を閉めて神裂の視線を遮った。

バージル「カンタベリーの地下に現出してた。現出の時期は貴様等の都が滅んだ直後だ」

バージル「先ほど、俺が煉獄に移動させた」

ジャンヌ「…………なッ……!!!??……はぁ!!!!??あのコが!!!!!??」

バージル「身分を知ってるのならさっさと言え」


ジャンヌ「ッ…………私等の世代の、そして最後の『主席書記官』だ。恐らく、な」

バージル「…………恐らく、だと?」

ジャンヌ「そこがまだ良くわからん。ただ、主席書記官の『頭』を有しているのは確実だ」

バージル「…………まあいい。それでだ、その女は『神儀の間』を現出させる事が可能だったか?」

ジャンヌ「……力はとても足りない」

ジャンヌ「……だが、主席書記官は禁術も記憶してある。個人のオリジナル技以外は全ての術を網羅してる」

ジャンヌ「更にそれらの術を組み合わせ、新しい術式を作る事も可能」

ジャンヌ「つまり力が無くとも、どうにかして騙し騙し禁術を起動させることも理論上可能だ」

バージル「…………」

890 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:16:01.87 ID:msuwctQo

ジャンヌ「んな事をすれば、通常は即座に近衛か執行部隊に捕えられ、」

ジャンヌ「即決裁判でその場で極刑に科せられるが……」

ジャンヌ「時期が『あの時』だとするとどさくさに紛れて起動したか、それとも滅亡後に悠々と行ったか」

バージル「禁術の種類は?何に『神儀の間』を使った?」

ジャンヌ「それはなんとも言えない。現物を綿密に調べればある程度はわかるだろうが……結局は本人に直接聞くしかないな」

バージル「そうか」

ジャンヌ「……………………で、狩れって?」

バージル「そうだ。最優先ではないが」

ジャンヌ「……………………」

バージル「幸い、こちらに時間的余裕は二日、三日程ある」

そう口にしながら、バージルは軽く閻魔刀の柄に手を添えた。

ジャンヌ「…………」

それを見てジャンヌは思った。
バージルにローラ追跡を任せてしまったら。


ローラ確保の条件は『話ができる程度に生きてれば良し』。

その条件内ならば、確実にバージルは容赦なく刃を振るう。
手足を全て切り落とすくらい普通にやるだろう。

それどころか、何かがあれば独断で殺しかねない。

891 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:19:22.73 ID:msuwctQo

そして、バージルが勝手な判断をしてもジャンヌ達は何も言えない。
こちら側の要はバージル。
彼が全ての核であり、最終的な権限は全て彼が有している。


表向きは利害の一致による共闘だが、
バージルの方は彼単独でも、多少難しくなるがやり様によっては目的を遂げることも可能なのだ。

だが一方で、ジャンヌ達はバージルがいないと目的を達することは絶対に不可能。
アイゼン、ベヨネッタ、ジャンヌにとって、バージルと彼の有する閻魔刀が必要不可欠なのだ。


ジャンヌ「……私に任せな。身内の事だ。私がやる」

そこを踏まえ、ジャンヌは自らその任を担うことを名乗り出た。
バージルにやらせてしまったら、ローラがどうなるかはわからない。
そしてそれを防ぐ事もできない。

どんな者でも、これ以上『家族』を傷つけたくないジャンヌはこうするしかなかった。


バージル「…………」

そんな彼女の思惑を見透かしているのか、
バージルは彼女の方を横目で見ながら小さく鼻で笑い。


バージル「下手な真似はするな」

それだけ言い残し、外へと繋がっている扉の方へと歩を進めていった。

892 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 00:20:30.71 ID:msuwctQo

ジャンヌ「…………わかってる」


そんなバージルの背中へ言葉を飛ばすジャンヌ。


ジャンヌ「ローラの事も私が責任を持つ」


その言葉が聞こえたのかどうか。
バージルは一切反応を示さず、そのまま室外に姿を消していった。


その開かれたままの扉をジャンヌはぼんやりと見つめながら。


ジャンヌ「(…………ローラ……………………)」


あの金髪の。
『少女』の顔を思い浮かべていた。


ジャンヌ「(お前………………このままじゃ……)」

897 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:31:49.93 ID:msuwctQo
―――

とある街の郊外、森の近くの開けた原地。
今だ闇の深い時刻、この人気が無い地。
草の原からは虫の鳴き声、近くの森からはフクロウらしき鳥の鳴き声が聞こえていたが。

突然、全ての音が止む。
草の海を撫でていた風も止み。
鳥と虫の声も止み。

森の葉の音も止み。


シンッと不気味な静寂。


そして。


その原のど真ん中にふわりと降り立つ―――。


黒髪・黒いボディスーツのグラマラスな女。


ベヨネッタ。


その格好は黒ずくめでありながら、
なぜかこの光の無い闇の中でもはっきりと浮かび上がっていた。
異質すぎる程に。

まるで『黒い光』が照らし上げているかのように。

898 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:33:27.56 ID:msuwctQo

彼女は片足に体重をかけて腰をしならせ、
薄く笑いながら星が瞬く夜空を見上げた。

その瞬間。

彼女の視線の先、天の彼方に赤い光が瞬き。


『落下』してくる真紅のコートを纏った男。


ダンテ。


彼はベヨネッタの正面20m程の所に降り立った。

先に降り立ったベヨネッタとは対照的に、
凄まじい地響きを打ち鳴らしながら。

地面が割れ、彼の着地点を中心に円形に10cmほど窪む。
深さはそれだけだが、範囲は半径10mも。


ダンテ「さて…………へっへっへ…………」

ダンテはリベリオンを肩に乗せ、
もう片方の手でコートについた土ぼこりを掃う。

ベヨネッタ「ン〜〜〜ン」

銃を持つ右手で、
己の腹部から胸をなぞりながら喉を鳴らすベヨネッタ。


交わり絡み合う色気タップリの二人の視線。

899 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:36:23.32 ID:msuwctQo

お互い、無言のままほくそ笑む程数十秒。

先に動いたのは。


ベヨネッタ「―――mm―――HA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ベヨネッタ。

掛け声と共に体を激しく素早く、キレよく躍動的に捻り。
両手を大きく振るい。


一拍置いた後、足を大きく開き胸張り、腰をくねらせ。
持っている銃をクルクルと回しながら両手を頭上で交差し。

軽く舌で唇を舐めながら、その二の腕に己の顔を摺り寄せ。


ベヨネッタ「―――huuuuuuuuuum.......Yesyesyeeeeeeeees.......」


誘うような横目でダンテを見ながら熱い息を吐き。


ベヨネッタ「HmmmHA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


最後にもう一度掛け声をし、再び勢い良く両手を広げ彼女はキメた。

完璧に。

最後の掛け声の瞬間、
彼女のバックで鮮やかな(主にピンクを基調とした)光が溢れ出した。


ベヨネッタ「(…………んふん…………)」

そして彼女は得意げに勝ち誇った笑みを浮かべた。


完全に勝った、と。

900 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:38:55.33 ID:msuwctQo

それを見て目を見開くダンテ。

ダンテ「(―――……………………なッ……ん……だと……?)」

だが、この程度では彼は負けない。
逆に彼のハートに火がつき。

ダンテ「(へっ………………中々……いや、かなり…………だがよッ―――!!!!!!!!!!!!!)」

『応戦』。


ダンテ「Hooooooouuuuha!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

リベリオン、続けて腰に差していたエボニー&アイボリーを華麗に天高く放り投げ。

ベヨネッタに負けないくらい激しく、かつキレ良くステップを刻み。

ダンテ「Yeah―――HA!!!!!!!!!!HA!!!!!!!HA!!!!!!!!!」

重力に従い落ちてきた二丁の拳銃を指に引っ掛けキャッチし、そのまま西部劇のようにクルクルまわし。
放り投げて己の腰へとスッポリト差し込ませ。

左手指を顔のとなりで鳴らしながら、右手を天にかざし。

そしてどこからともなく出現したバラを咥え、
右手で同時にリベリオンをキャッチし、正面を一刀両断するかのように振り下ろし。


ダンテ「Sweet....Baby......」


ベヨネッタに半身を向け、大剣の切っ先を地面に向けながら。
左手で口のバラを取り彼女の方へとスッと差出し、そして軽く指で弾きながら手放した。

901 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:40:29.81 ID:msuwctQo

ダンテの余裕タップリな笑みと、ふわりと地面に落ちるバラ。

ベヨネッタ「(―――……………………なッ……んですって………………??)」

今度はベヨネッタが目を丸くした。

思わぬハイレベルな応戦。

その凄まじい『威力』。

ベヨネッタ「(―――…………チッ……中々…………まさかここまでとはね……少し甘く見てたわこのボーヤの事……)」

まさかこの『分野』で己に正面から対抗できる者がいたとは。
彼女は夢にも思っていなかった。

ダンテ「(…………これでも互角……か。…………こいつは手強いぜ……)」

ダンテも同じく。


ダンテ「Yeah-Ha-Ha-Ha-Ha...............」

ベヨネッタ「Ya-haha-hahahaha-ha...................」


そしてわざとらしく笑い、お互いから一旦目を背ける二人。

ダンテは『いやあまいったぜ』と言いたげに軽く右手を振り。
ベヨネッタは、それに対し『ええそうね』と返事しているかのように、
咥えてるキャンディーの棒を軽く指で弄びながら。


その次の瞬間。


ダンテ「―――Yeeeeeeeeeeaaaaaaaaaaaaaahhhhhhhh!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ベヨネッタ「―――HAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

902 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 23:41:10.15 ID:vPfZHb2o
まさにセクシーコマンドーだな

903 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/28(火) 23:43:58.27 ID:u8Y4KO2o
何勝負なんだww

904 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:45:59.65 ID:msuwctQo

二人は雄叫びをあげながら同時に地面を蹴り。

ダンテはリベリオンの切っ先を向けスティンガー。

ベヨネッタは即座に出現させたウィケッドウィーブと連動した右足の蹴り。

凄まじい衝撃波と余波で周囲の地面を抉りながら、二人は激突した。

第一撃から容赦なく、ノーマル状態最大戦速の
音速の数十倍もの速度で。

ウィケッドウィーブとスティンガー。

とてつもない金属音と共にお互いが弾かれたが。

だが二人共、後方に吹っ飛ばされること無くその場で難なく持ちこたえ、即座に次の動きへと移る。

ダンテ「―――Hu!!!!!!!!」

ダンテは即座に腰から、左手でエボニーを引き抜き。
弾かれた反動を利用して身を捻り、その銃口をベヨネッタの顔面へ。
そして躊躇い無く、超高速で引き金を何度も引く。

ベヨネッタ「―――YA!!!!!!!!!」

同じくベヨネッタも反動を使って素早く身を捻り、回し蹴り。
更にその足首についている銃口から大量の魔弾を放つ。


お互いへ至近距離で放った、両者の大量の魔弾。


ダンテは闘牛士のようにコートを靡かせて半身を捩り。
ベヨネッタは仰け反り。

そして両者とも、軽々とそれらの魔弾の雨を回避。

905 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:49:05.89 ID:msuwctQo

そのまま、二人は至近距離で撃ち合う。
神速で振りぬかれる刃。
同じく神速で放たれるウィケッドウィーブ。

そして飛び交う大量の魔弾と二人の掛け声。

余波と流れ弾により、
周囲の地形が見る見る、そして目まぐるしく変わっていく。

地響きと凄まじい光の明滅を伴って。

ダンテ「ヘッヘ!!!刺激的で良いぜ!!!」

リベリオンを振るい、引き金を絞りながらダンテは心底楽しそうに声を挙げた。

ベヨネッタ「最ッッッッ高!!!!痺れちゃうわッッ!!!!」

同じくベヨネッタも。

ベヨネッタ「でもまだ足りないわ!!!!もっと―――もっと―――!!」

白銀の刃がベヨネッタの頬をかすり。


ベヨネッタ「―――もっと感じさせて!!!」


宙から出現した巨大な足や拳が、ダンテの周囲を突き抜けていく。


ダンテ「OK!!!果てまで連れてってやるぜベイビー!!!」


それはあまりにも。

あまりにも常軌を逸している、そして禍々しく殺気に満ちた舞い。


正に狂気のダンス。

906 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:50:35.99 ID:msuwctQo

そんな最中。

ベヨネッタが後ろに跳ね、宙で身を捩り。


ベヨネッタ「ホットに痺れて―――!!!!!!」


ベヨネッタ「―――ドゥルガーッ!!!!!!」


その瞬間、ベヨネッタの手足に金を基調とした大きな装具が出現。

魔導器、魔具ドゥルガー。

両手先端のポータルからは稲妻が迸り。
両足先端のポータルからは業火が噴き出す。

着地した瞬間、足元の地面を溶かしそして抉っていく。


ダンテ「―――ホットかつクールにな!!!!!!」


ダンテ「―――アグニ!!!!ルドラ!!!!」


同じく、ダンテの左手には柄が繋がった双戟状態のアグニ&ルドラ。
二つの刃から業火の渦が巻き上がり、
周囲の地面を溶かしては、その灼熱の液体と火の粉を天高く舞い上げさせる。


ベヨネッタ「YA-HAHAHA!!!!!!!!!!!!!YEAAAAAAAAAAAAAAhummmmm-HA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ダンテ「HAHAHAHAHA!!!!!!!!!!!!!YEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEESBABY!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


この場に更に加わった、強大な魔の『雷』・『風』と二つの『炎』。


狂乱は更にヒートしていく。

熱く熱く。

全てを燃え尽くさんばかりに。

907 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:52:29.31 ID:msuwctQo

右手にリベリオン、左手には結合した双戟状のアグニ&ルドラを握り、
ダンテは一気にベヨネッタに突進する。

ベヨネッタ「―――YAA!!!!!!!!!!!!!!」

それを見、左手で一気に前面を凪ぐように振るうベヨネッタ

その瞬間。

青白く、巨大な鍵爪状の雷性を帯びたウィケッドウィーブが出現。
突進するダンテを地面ごと真横から抉り取ろうかと、一気に横に振るわれた。

ダンテ「―――Hum―――」

鉤爪は三本。水平に、そして縦に積みあがっているように並んでいる。
それらの隙間は訳50cm。

数千分の数秒という極僅か一瞬で、横目でその巨大な鍵爪らを即座に認識したダンテ。

彼は軽く地面を蹴り、僅かに跳ね。

そして身を翻しながら、仰向けに。
空に横たわるような姿勢に。

それと同時に『すり抜けていく』巨大な鉤爪。

ダンテ「―――Ha!!!!!!!!!!!!」

いや、ダンテがすり抜けたのだ。
爪と爪の間の極僅かな隙間に飛び込み、身を滑り込ませ。

文字通りダンテ『本体』にはかすることも無く、鉤爪は一体を凪ぎ、
地面を抉り飛ばしていった。

彼の翻ったコートの一部を削いでいったが。


それらの凶爪の通過後、
即座に体勢を直し、勢いを殺すことなくそのままベヨネッタに向かうダンテ。

908 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:57:10.45 ID:msuwctQo

ベヨネッタ「Huuum―――HA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

小さく笑いながらベヨネッタは続けて体を回転させ、今度は右足で回し蹴りを放つ。
前方に迫っているダンテ目がけて。

すると今度出現したのは、炎に包まれた同じく巨大なウィケッドウィーブの蹴り。
さながら、いや正に火柱が『横向き』に噴き出すかのように、凄まじい爆発を伴って。

ダンテ「Ha-Ha!!!!!!!!!!!!!!」

それを見たダンテ。
今度は両足で即座にブレーキをかけ―――。

そして左手に持っていたアグニ&ルドラを放たれた巨大な『業火の蹴り』に向け。

バトンのように素早く回す。



『―――ASH to ASH!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

                                                         Twister
次の瞬間、この魔具の掛け声と共に、『横向き』に巻き上がる灼熱の『 竜 巻 』。


真正面から激突する、業火のウィケッドウィーブと業火を纏った爆風の渦。
その激突点から、二人を軽く飲み込む程の直径50mに及ぶ火球が形成され。

そして破裂する。

周囲へと吹き荒れる、近くの森の木々をも焼き払い薙ぎ倒す爆炎―――。

909 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/28(火) 23:59:27.97 ID:msuwctQo

その中でダンテは一瞬ベヨネッタの姿を見失った。

だが見失っただけ。
視界の外に逃れられただけ。

彼女の気配は手に取るようにわかる。


ダンテ「Hey,don't Hide.C'mon―――」

ダンテは即座に相手の位置を把握し。


ダンテ「―――BABY!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


振り向きながら横一線に右手のリベリオンを背後に振るった。

剣風で爆炎が一気に掃われ、周囲が晴れ渡る。

そしてダンテの斬撃を仰け反り、鼻先で華麗に回避したベヨネッタの姿も露に。

ベヨネッタ「You want to touch me? Humhuhu―――」

爆炎の布を剥がされた彼女は薄く笑い。


ベヨネッタ「―――Badboy!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


仰け反り、そのままバック転しながら、今度は両足の二連撃。
ダンテの顎を下から蹴り上げようと、再び出現する業火のウィケッドウィーブ。

910 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:00:41.13 ID:vetDFyAo


その一撃目をダンテは、左手のアグニ&ルドラで華麗にいなし。

そして。


ふわりと跳ね、彼は二撃目の上に『乗った』。


ウィケッドウィーブをジャンプ台代わりにし、一気に天に跳ね上がるダンテ。
更にその直後に、真下のベヨネッタへ向けて。


ダンテ「DRIVE!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


リベリオンから特大の赤い斬撃を放つ。

それを見て小さく笑うベヨネッタ。
彼女は小さく笑いながら、先ほどのバック転蹴り上げの動作からそのまま逆立ちし。

蹴り上げた両足を大きく広げ、先端のドゥルガーから炎を噴き上げながら、
ヘリのローターのように高速で一回転。


ベヨネッタ「YA-----HA!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ダンテの放った斬撃を、
その業火のローターで難なく叩き割り霧散させた。

911 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:02:24.51 ID:vetDFyAo

ベヨネッタ「―――YeeeeeeeeYA!!!!!!HA!!!HU!!!!HA!!!!!!!!―――」

次いで放つ、四肢のウィケッドウィーブの連発。
真上のダンテ目がけ繰り出される、ブレイクダンスのように踊りながら次々と破壊的過ぎる攻撃。

ダンテ「―――Yeah-HA!!!!HA!!!!HA!!!!HU-HA!!!!!!―――」

それらをダンテは左手のアグニ&ルドラで弾きいなし、

ダンテ「ONE!!!!!!!TWO!!!!!!」

負けずにリベリオンで赤い斬撃をぶっ放す。

弾いては避け、避けては相手の急所に打ち込み。
そしてお互いが再びその攻撃を弾いては避け。

身を捻り、ステップし、掛け声と圧倒的過ぎる『破壊』の応酬。

空に大量の光が瞬き、地面は削れ。



ベヨネッタ「――――――Get out!!!!!!!!!!!!」


そしてベヨネッタは真上に渾身の蹴りを放ち。



ダンテ「――――――Blast!!!!!!!!!!!!!」



ダンテはリベリオンとアグニ&ルドラを交差させ一気に振り下ろし、
地面のベヨネッタの元へと突き進み。


激突。

二度目の、そして先ほどよりも凄まじい『破壊』。
空間が歪み、あまりにもド派手すぎる『衝撃』―――。

912 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:04:13.55 ID:vetDFyAo

数十秒後。

迸った爆炎が晴れ、そして舞い上がった粉塵が納まり。

15m程の距離を開け、荒地と化した地のど真ん中に二人は向き合いながら立っていた。
先ほどのお互いへ向けられた攻撃。

両者とも直撃した。

大悪魔ですら、それこそ致命的な傷を負ってしまう程の強大な攻撃。

それが直撃したのだが。


二人は完全に無傷。

衝撃を受けた肌が赤くすら、それどころか衣服の乱れさえない。


そしてダメージなど一切感じさせない表情。
素晴らしい程にうれしそうな笑み。


ダンテ「たまんねえ……たまんねえぜッッ!!!!!!ハッハーァッッ!!!!!!!最高の女だぜお前は!!!!」


ベヨネッタ「はぁあああああああああああああんもうダメ!!!!!もう我慢できないッッッ!!!!!!!」


二人はもう限界に達していた。

これ以上、力が抑えきれない。

ダンテの瞳が眩く赤く輝き始め、全身からも赤い光が溢れ出し。

ベヨネッタは身を情熱的にくねらせ、両手を後頭部に。
髪留めの所に手を当て。

913 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:06:51.01 ID:vetDFyAo

ベヨネッタ「……そろそろ『本気』で…………『愛でて』いいかしら……?」


ダンテ「良いぜ……『前戯』は終わりだ……『本番』を始めようぜ子ネコちゃん……」


そして二人は力を解き放つ。


ダンテは魔人化し―――。


ベヨネッタは『髪』を全て開放し―――。



―――そうしようとした時だった。



「まああああああああああああああああああああてえええええええええええええええええい!!!!!!!!!!!!!!!」



地響きを伴程の低い声が周囲を揺るがし。

二人の間、ちょうど中間の地面から突如赤い光が迸り。


その光の中から姿を現す―――。



ロダン「―――もう終わりだ!!!!!いい加減にしろ!!!!お開きだ!!!!!!!!!!!」


ロダン。

914 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:09:50.97 ID:vetDFyAo

ダンテ「……………………あぁ?」

ベヨネッタ「……………………はぁぁ?」


ロダン「こんな所でバカ騒ぎするんじゃねえ!!!」


あからさまに煙たそうな表情を浮かべる二人に対し、
青筋を立てながら声を荒げるロダン。


ロダン「目立ち過ぎだ!!天界からも魔界からも思いっきり注目されてるぜ!!!!」

ロダン「このままじゃ『ココ』が『崩壊』しちまう!!!イギリスみてぇな『界の穴』をもう一つ作る気かお前さん達よ!!!」

ロダン「これ以上続けたいなら魔界にでも行け馬鹿野郎共!!!」


ダンテ「……」

ベヨネッタ「……」


ロダン「おいおいおい何だその目は!?俺は間違ってねえぞ!!!!」

ロダン「このままヤリ合ったら一番困るのはお前さん達だろう?!!!!」

ロダン「いい加減少しは大人になりやがれアホ共!!!!発情期の猿か!!!!!」


ロダン「ここは猿山じゃねえぞ!!!!!」

915 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:11:51.70 ID:vetDFyAo

ダンテ「…………あ〜……こりゃあヒデェ生殺しだ……空気読めねえな」

ベヨネッタ「……チッ……………………この『ゴリラ天使』め」

二人はブツブツ愚痴りながらもロダンの言葉に従い、
武器を名残惜しそうに納めて行く。

ロダン「(こんの野郎共…………)」

ロダン「ダンテェ」

ダンテ「あ?」

ロダン「ほれ。直ったぞ。だから今日はさっさと失せやがれ。少しは頭冷やして来い」

そう言葉を発しながらロダンはコートの下から二丁の拳銃、
トリッシュのルーチェ&オンブラを取り出し、ダンテの方へと放り投げた。

ダンテ「ハッハー、頭じゃなく『セガレ』が火照ってんだがな」

それらをキャッチしながらヘラヘラと笑うダンテ。


ベヨネッタ「私も疼いちゃってるのよね。Gスポt」


ロダン「うるせえ黙ってろ」


それに同調し卑猥な言葉を口に仕掛けたベヨネッタだが、
ロダンの一声で一蹴された。

916 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:14:39.16 ID:vetDFyAo

そしてロダンは一歩ずつ、大地を響かせながらベヨネッタの方へと向かう。
それと同じように、ベヨネッタはさりげなくロダンから離れようとするが。

                        コ
ロダン「俺に用があるんだろう?俺の『銃』達を診てほしんだろう?」

ベヨネッタ「あははうふふ。もういいわ。大丈夫みたい」

ロダン「ダメだ。お前は良くとも俺は良くねえ」

あえなく彼女は、その黒髪をムンズと鷲掴みに髪にされ。

ベヨネッタ「いやあーーーーー」

ズルズルと引き摺られていく。

ダンテ「ヘッヘ、乱暴にしないでくれよな?また今度その子ネコちゃんとイチャつきてえからよ」

そんなベヨネッタの姿を見、面白げに手を叩きながら言葉を飛ばすダンテ。

ロダン「お前さん達を会わせると碌な事になりゃしねえ。良いからお前はさっさと帰れ。『金髪美女』が待ち焦がれてるぜ?」

ダンテ「ハッハー、止してくれ。お袋の顔した女とじゃれあう気にはなれねえよ」

ロダン「フン」

ロダンと、彼に掴まれているベヨネッタの周囲に赤い光が溢れ出す。

ベヨネッタ「バーイ。またね」

ダンテ「あばよ。子ネコちゃん」

そして二人の姿が光に包まれ、消えていった。

917 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:19:14.13 ID:vetDFyAo

残ったダンテは一人、何となく手にあるトリッシュの愛銃を眺めていた。

ダンテ「…………」

そうしてたところ。
ふと、先ほどのベヨネッタの戦い振りを思い出した。

あの動き。
四肢に取り付けた銃の連動した戦法。

ダンテ「Hum...............」

『何か』を思いついたダンテは一度喉を鳴らした後。


ダンテ「―――ギルガメス!!!!!!!!」


一つの魔具の名を高々と叫んだ。
次の瞬間、両手両足に出現する、銀色の『魔導金属生命体』。
ギチギチと機械的な音を響かせ、彼の手足の先端を包み込む。


ダンテ「Ha!!!!!!!!」


次いでダンテは、手に持っているルーチェ&オンブラを頭上に放り投げ。

まずは右足を大きく蹴り上げるように真上に振るった。

その右足先端のギルガメスにルーチェが当たり。
次の瞬間、金属生命体がダンテの意思に沿い、ギチギチと音を響かせながら変形し―――。


―――ルーチェのグリップ部分を掴み、そのまま同化。

918 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:22:12.55 ID:vetDFyAo

ダンテ「Hooooha!!!!!!!!!!!!」

続けてダンテは跳ね上がるように、今度は左足を大きく天に振るい。

同じように、次はオンブラを左足先端のギルガメスと同化させ。

そして宙で一回転しながら、腰からエボニー&アイボリーを引き抜き。


ダンテ「Yeaaaaaaaaaaaaahhh!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


先ほどのベヨネッタの動きを真似て、空中で手足を鮮やかに振るい、


ダンテ「Ha!!!! Hu!!!!! Ha!!!!!YeeeeeeeeaaaaaaaaaHA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


四つの銃口から華麗に魔弾を放つ。
ギルガメスの歯車で火花を散らしながら蹴りとパンチ。
それと連動して絞られる引き金。

放たれる、赤い光を帯びた魔弾。


一通り動作を宙で確認した後、彼はコートを靡かせながらふわりと着地し。

低く腰を落とし両手を広げながら、そこでポツリと。


ダンテ「So Sweet」


ニヤリと笑みを浮かべながら歓喜の一声。

彼はここに新たな『スタイル』を手に入れた。


アンブラの魔女の近接格闘術、『バレットアーツ』。


史上最高の使い手からコピーする形で。

919 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:23:52.47 ID:vetDFyAo

ダンテ「ハッハ〜、こいつぁいい」

エボニー&アイボリーをクルクルと回しながら腰に差し込み、
次いで軽く蹴り飛ばすように足先のルーチェ&オンブラを解放して放り投げ、手に取った。

そしてギルガメスを戻し小さく笑った。

ダンテ「燃えてきたぜ。ロマンがある」

これを応用すれば、例えば別の魔具をギルガメスに同化させ、
四肢の刃で『踊る』事も可能だ。

ベヨネッタからは、結局バージルの事については聞き出せなかったが、
それでも彼にとってはこの『プレゼント』が素晴らしいものだった。

ダンテ「本当にいい女だぜ」


ダンテ「喜べトリッシュ。『お前』も戦えるぜ」


ダンテが小さく笑いながら、手の中にある銃に言葉を飛ばしたその時。


トリッシュ『何その口ぶりは?私はまだ死んでないんだけど』


直った銃を通じて、即座に彼女の声が聞こえてきた。

920 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/09/29(水) 00:26:06.76 ID:vetDFyAo

ダンテ「あ〜そうだったな」

そんな、銃を介して脳内にリンクしてきたトリッシュに向け、笑いかけるダンテ。

トリッシュ『というか、結局何も聞けなかった訳?』

ダンテ「まあな。でも良いじゃねえか。お前も『戦える』方法が見つかったぜ?」

トリッシュ『……まあ。悪くは無いわね。というか案外楽しそう。「眺め」が最高だし。足蹴にされてるのが少し癪だけど』

ダンテ「動けねえお前の代わりに俺が連れて行ってやる」

ダンテ「どこに行きてえ?」

トリッシュ『……そうね。とりあえず私の所に戻ってきて。…………いえ、それは「最期」でいいわ』

ダンテ「……」

トリッシュ『……どこでもいいわよ。アナタの行きたい所に連れてって』

トリッシュ『あ、そうそう。「楽しい所」にして。これだけは外せないわ』

ダンテ「OK、しっかり見てな『そこ』でよ」

トリッシュ『すぐ傍で見てるわよ。片時も目を離さずに。勝手されちゃ困るもの』

ダンテ「おっと、変なところは見せられねえな」

トリッシュ『何を今更。んなもん見慣れてるわよ』

トリッシュ『いつからアナタを見続けてると思ってるのよ』

ダンテ「ハッハー、確かにな。  『相棒』」


926 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/29(水) 09:37:28.63 ID:vhbNOEDO
ギルガメスで『バレットアーツ』かぁ…考えたな〜、素ですげえよ

928 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/29(水) 22:39:23.97 ID:5M.uzkDO
まさかのスタイリッシュ合戦。
パラレルルートのあれかww

929 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/09/30(木) 03:43:32.01 ID:GEL3i.AO
ダンテが又強くなってしまった
変態が二人交わるとこれだからこま……SSS

939 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2010/10/02(土) 01:30:04.16 ID:Qf2PMAI0
ところで ダンテとベヨネッタって会った事あるんじゃないの?おまけその2で
気にしたら負け? もしやあれがポージング合戦か……

941 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/02(土) 02:20:04.09 ID:Ekp5tpAo
本編後のおまけは完全パラレルで現行の話とは無関係だぜ

952 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/04(月) 23:42:21.17 ID:zP2YhGwo
―――

学園都市。

午後6時過ぎ。

とある病棟の一室では。
壁際に並んでいる電子機器に囲まれ、その中央のベッドに一方通行は横たわっていた。
半裸の彼の足から腰、背中にかけて、テーピングのように白い布状の物が巻かれていた。

そんな彼のベッドの傍らにはカエル顔の医師。

一方「……………………終わったか?」

一方通行は、薄めで天井を眺めながら小さく口を開いた。

カエル「終わったよ。気分はどうだい?」

一方「…………最悪だ」

カエル「薬が抜けるまであと20分はかかる。新しい電極を確かめながらでもいいから、しばらくはそのままにしてなさい」

一方「…………」

カエル顔の医師の言葉を聞き、彼は頭の中で能力の起動を意識した。
すると。

一方「(…………へェ)」

彼の要望どおりの物をカエル顔の医師はたった一日で仕上げたようだ。
脳信号によって能力が即座に起動。

彼は漆黒の右手をゆっくりと掲げ、手のひらを開いたり閉じたりして、
能力の状態を確認していった。

このとんでもない『暴れ者』の手の握る、開くという動作。
そこから生じるベクトル。

それらを正確に検知し、そして向きを変えては自由に動かしていく。


一方「(…………問題はねェな)」

正に完璧。
一方通行の希望通りの品だ。

953 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/04(月) 23:50:11.94 ID:zP2YhGwo

一方「…………おィ」

と、そうした後に。
一方通行は目が覚めた先ほどから、疑問に思っていた事を口にした。

一方「コレはなンだ?」

軽く頭を上げ、寝ながら顎で己の下半身に巻かれている妙な物を指す。

カエル「ああ、それはだね。君の歩行支援の機器だよ」

一方「あァ?」

カエル「発条包帯に少し手を加えた物でね。電極を通して君の運動信号を直接送り込み、筋肉に刺激を与えて動かす」

カエル「通常の歩行は杖無しでも容易に行えるよ。全力疾走はさすがに厳しいと思うが」

一方「……こンなもンまかねェで演算補助だけでどォにかできねェのかよ?」

カエル「君自身の伝達神経にも損傷があるからね。そこを直すならば、本格的な手術が必要だよ」

カエル「そして今の君には、そんな時間的余裕は無いだろう?」

一方「……………………そォか。まあアリガトよ」

軽くそっけない礼を述べながら、一方通行はゆっくりと上半身を起こした。

カエル「まだ安静にして―――」

一方「薬は今分解した」

カエル「…………そうかい。それなら良いね」

954 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/04(月) 23:54:11.58 ID:zP2YhGwo

一方通行は起き上がった後、
ゆっくりとベッド脇にある己の衣服を着始めた。

カエル「…………ああ、それとだね……」

そんな彼の背中に向け、
手元にあるPDAに目を落としながら言葉を放つカエル顔の医者。

カエル「君の『その手』、いや、その『黒い物質』が君の体細胞と入れ替わっていく速度がね、」

カエル「やはり少しずつ加速してきているね」

一方「…………全部入れ替わっちまうのはいつだ?」

カエル「…………この速度だとね、96時間以内に……」

一方「…………」

カエル「……すまない。その方面では、僕はどうしようもない」

一方「…………ハッ、さすがの冥土帰しサマでもお手上げってか」

カエル「…………」

一方「……そんなに自分の患者に手ェだせねェのが辛いのか?大した『聖人』さンだなァ全くよォ」

カエル「……………………君は良く耐えているね。その激痛に。顔には全く出さないが、データにはしっかりと出てるよ」

一方「…………」

カエル「せめて、痛み止めだけでも処方させてくれ。少しは痛みが和らぐだろう」

一方「ンなもんいらねェ。元々オマェに『こィつ』どうこうしてもらうつもりはねェよ」

一方「『こィつ』は俺の自業自得だ」

一方「俺に課された『刑罰』みたィなもンだろ」

一方「『死刑なンざ生温ィ、テメェは苦痛の中で化物に成り果てろ』、ってよ」


一方「しっかりタップリ骨の髄まで味わってやンよ」


カエル「…………」

955 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/04(月) 23:57:06.81 ID:zP2YhGwo

カエル「…………いや。その痛みはね、元を辿れば君のせいではない」

一方「ハァ?俺が自分でやった事だ。俺のもンだ。どォせ記録だの映像だの見てンだろ?オマェの目は節穴ですかァ?」

カエル「いや………………………………一つ、とある昔話を聞いてくれないか?」

一方「あァ?ジジイのボケ話なンざ聞きたくねェよ」

カエル「そう言わないでくれ。すぐ済む」


とその時。

病室のドアが勢い良く開け放たれ、姿を現すアホ毛が特徴的な少女。

一方「―――」

打ち止め「あなた元気ー!?、ってミサカはミサカは通い妻よろしくまたあなたの所に来てみたり!!」

一方「……なンでオマェがここに(ry」

打ち止め「ミサカの情報網を舐めちゃだめだよ!!、ってミサカはミサカは、本当はネットワークで拾っただけなのを隠していばってみたり!」

あからさまに眉を顰め、カエル顔の医者を睨む一方通行。
それに対し、彼は僕じゃあないと言いたげに肩を少し竦めた。

そんな彼等などお構い無しに、打ち止めは一方通行の近くの小さな椅子にピョンと乗り。
今だ着替えの最中の一方通行をニコニコしながら眺め始めた。

カエル「…………」

一方「…………」

カエル「…………」

一方「…………何見てやがる?」

カエル「……いや。特に何でも無いよ」

一方「オマェじゃねェ。ガキの方だ」

打ち止め「あなたの事、見てちゃだめ?、ってミサカはミサカは少し上目使いで(ry」

一方「ぶっ飛ばすぞクソガキ」

956 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/04(月) 23:59:47.05 ID:zP2YhGwo

一方「チッ…………調子が狂うぜ…………話を続けろ。手早くな」

カエル「…………昔の話だ。僕はかつて若い頃、一人の患者を助けて『しまった』」

カエル「僕は知っていた。彼が何者かを。そして僕は理解していた。彼の存在が、後に多くの命を奪うことを」

カエル「だが僕は助けた」

一方「…………なンでンな野郎を助けた?」

カエル「彼に『夢』を見たからだよ」

カエル「彼の中に、若かった僕は『救世主』の姿を見たのだよ」

一方「カッ。随分なアマちゃんだなァ」

カエル「まあね。それにその時の僕は若くてね。彼にすがりたかったのさ」


カエル「僕には彼が『孤高のヒーロー』に見えたのさ」


遠くを見ているような眼差しをしていたカエル顔の医者だが、
そこで一方通行をジッと見据え。


カエル「全ての罪をたった一人で背負い、命と引き換えに己の正義を貫こうとした、ね」


一方「………………………………」

957 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:02:59.93 ID:qhpTqigo

カエル「…………彼に会うまで、僕は常々思っていた。そして怒りを覚えていた」

一方「…………」

カエル「処置は完璧、容態は安定していたはずなのに。どこにも以上が無いはずなのに」

カエル「それなのに命を落としていく者が大勢いる、不条理さに」

カエル「人は『そういう運命だった』という。だが僕はそれが納得できなかった」

カエル「偶然ならば。偶然の『事故』等ならばわかる。だが『何も』異常が無いのに、『不自然』に命を落とすのは」

カエル「僕はいつしか、『何か』の存在を意識し始めた。人々の生死を決定している『何か』をね」

カエル「憎くて憎くてたまらなかった。その『何か』を打ち負かすことができるのならば、僕は何でもやるつもりだった」

一方「…………」


カエル「そして彼はその『正体』を知っていたのだよ。『打ち勝つ』方法も」


カエル「更に二度と虐げられることの無い、二度と『他』から『干渉』を受けない、」


カエル「『強固』で『隔絶』された世界へ人々を『押し上げる』方法も」


一方「……」

958 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:07:17.47 ID:qhpTqigo

カエル「僕等が意識していたその相手の正体、今の君ならピンと来るだろう?」

一方「……………………なンとなくはな……」

カエル「いや、むしろ『君達』の方が、僕よりもそういう存在には詳しいかもしれない」


カエル「『天』に立っている存在だ。今も昔も、常に人間達を監視し、その運命を手中にし」

カエル「そして今、この学園都市を消そうとしている者達だ」


一方「…………」


カエル「それでね、彼は治療の際に僕にこう言った」

カエル「『私を生かせば、私は君によって救われたその命で大勢の命を奪うだろう』、と」

カエル「『だが約束する。誓う。私は必ず、必ず目的を遂げてみせる。それらの命を無駄にはしない』、とね」


一方「…………」


カエル「そして僕は彼を救った。彼の魂を『あの肉体』に繋ぎとめた」


カエル「僕は目が眩んでしまったのさ。怒りに。若き僕は、人々の命よりも『報復』を優先してしまった」

カエル「凄まじい数の命が失われるのも省みず、僕は彼の掲げた『旗』を再び建て直したしまったのさ」

一方「…………」

959 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:09:59.33 ID:qhpTqigo

一方「………………で、いつになったら俺と関係がある話になンだ?」

カエル「…………彼はその後、言った通り多くの命を奪った。目的の為にな」

一方「…………」

カエル「……そして『君』のような『駒』を、『被害者』を生み出し続けた」


一方「…………………………何ィ?」


カエル「君は己の事を『加害者』と思っているだろうが」


一方「―――あァ?」


カエル「僕から言わせれば、君も被害者の一人だ」



カエル「彼によって、君は人としての大事な部分を全て『破壊』され―――」


カエル「―――哀れな少女を一万も殺させるよう、『仕向けられた』」


一方「―――」


カエル「それも彼の計画の一部に過ぎない」

カエル「彼は今、天を滅ぼし、人間達を二度と虐げられることの無い強き存在へと押し上げようとしている」


カエル「この街の、大勢の子供達の今までの人生も。無論、君が歩んで来た道も―――」


カエル「―――その全てがこの目的の為だ」

960 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]:2010/10/05(火) 00:11:02.01 ID:TMmOcj60
カエル先生ェ・・・

961 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:16:17.76 ID:qhpTqigo

一方「―――」

カエル顔の医者が言っている『彼』が一体誰なのか。

ここまで来れば誰だってわかる。

その人物を確信した一方通行の顔に、一気に憎悪の色が滲みあがってきた。
そしてその瞳を、矛のような視線をカエル顔の医者の顔に『突き刺す』。

あの男が何をするかを知りつつ救った男に。


アレイスター=クロウリーを救った男の顔に。


一方「――――――オマェ―――………………!!!!」

話を聞いた一方通行。
彼は今、それだけしか言葉が出せなかった。
一方通行自身はここまで言われても、妹達を殺めた罪は自分自身のモノだと思っている。

そして、その引き金を引いたアレイスターをも自分と同じく呪っている。
決して許せない、己と同じく悲惨な結末を迎えるべきだと。

だが。

この『聖人』すぎるカエル顔の医者は―――。

一方通行は知っている。
この男は、患者を救うことに命を賭けている。
昔がどうだろうが今はとにかくそうだ。

まさに善人、上条と同じような『光の住人』。
妹達はもちろん、上条や一方通行達にとっても、決して足を向けられない恩人。


しかしその『恩人』は独白した。

過去の行いを。

そしてその過去の行いが今、巡りめぐってこの街の子供達を酷な世界に縛り付けているとは―――。

962 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:21:25.83 ID:qhpTqigo
カエル「僕を憎んでくれてもかまわない。いや、僕はそうされるべきだ」

カエル「僕の行いが、結果的に君の手をも血で染め上げてしまった」

カエル「君を含む、多くの子供達を闇の底に突き落としてしまった」


カエル「『僕等』の罪を背負わないでくれ」


カエル「君はもう充分苦しんだ。充分苦痛を味わった」


カエル「『僕等』が撒いた罪でこれ以上、己を貶めないでくれ」


カエル「それは僕等のものだ」


カエル「アレイスターと僕の、だ」


一方「―――ッ!!!ざけンじゃねェぞクソがッ!!!!!!!!!!」

一方通行はこの男を『どう見れば』良いのかがわからず、たまらず苛立ち声を荒げた。

何が悪か。
何が善なのか。

誰が悪人で。
誰が善人なのか。

その線引きが、ラインが、境界が、彼の中であやふやになっていく。


話を聞けば、カエル顔の医者は悪人にもなり得る。

だがその一方で、アレイスターは善人にもなり得る。


皆が悪人であり、それでいて善人でもあるのか―――。

その視点で、『客観的』に己を見てしまったら―――。

そして『罪』の根源がカエル顔の医者の言う通りだとしたら―――。


一方「―――」


こんな己ですら―――。

963 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:24:32.47 ID:qhpTqigo

一方「――――――ふッッッざけンじゃねェッッッ!!!!!!!!!!!!」


一方「―――俺は認めねェ!!!!!!!絶対に認めねェッッ!!!!!!!!!!」


彼の頭脳は、客観的にその答えを導き出してしまった。

だが一方通行は絶対に認めたくない。
死んでも認めることができない。


カエル「本当にすまない。本当に―――」


一方「オマェに謝られる筋合いなンざねェッッッ!!!!!!」


一方「『コレ』は俺ンだ!!!!!俺のもンだッッッ!!!!!!!!」


そんなふざけた事。
理解できない。
理解したくも無い。


確かに、

確かに昨日のフィアンマとの戦いの中でも彼は感じた。
もう、悪人などヒーローなどどうのこうのはどうでもいい、守りたいから守る。

ただその為に戦う、と。

しかし。

それとこれとは別だ。


全く別すぎる。

964 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:27:15.96 ID:qhpTqigo

何かを守る為に、無我夢中で戦う事は出来ても―――。


カエル「違う。もし君に罪があったとしても、君はもう充分やった。振り返るな」

カエル「君は自分自身の為、そして愛する者の為だけに、前だけを見るべきだ」

カエル「死に場所を求めるような戦い方はもう止すんだ」

一方「―――」


自分を『認め』、自分の為に戦う事など―――。


カエル「妹達は。もちろんラストオーダーも。彼女達は君が生きる事を望んでいる」

カエル「罪を背負い、悔やみながら生きろという事では無い」

カエル「それとは別に、彼女達は君にただ純粋に生きて欲しいと願っている」

カエル「もう良いだろう?素直に応えてあげてk―――」


そんな事など―――。


一方「―――ッッッるせェェェェェェェェェッッッッッッ!!!!!!!!!」


彼が受け入れることなど到底不可能だった。


ある意味、『純粋すぎる』一方通行には―――。


一万の血に染まった己の手から、目を逸らす事など不可能だった。

965 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:30:50.98 ID:qhpTqigo

肩を震わせ。
目を充血させ、顔を火照らせている一方通行。

今にもカエル顔の医者に飛びかからんとばかりに。

一方「二度とだ!!!!二度とンな口を聞くんじゃねェ!!!!!」

一方「次はそのクソ頭叩き潰してやる!!!!!!!!」

カエル「…………じゃあやってくれ。君が僕をやるべきだ。その権利がある」


一方「うるせェってンだよクソが!!!!!!!!黙れ!!!!!」



一方通行の隣で、黙って話を聞いていた打ち止め。

声を荒げた一方通行に体を一瞬ビクっとさせながらも、彼女は椅子から降り、
心配そうな表情で彼の背後に行き。


そして優しく握り締めようと、彼の漆黒の手に触れたが。



一方「――――――触ンじゃねェェェェッッッ!!!!!!!!!!!!!」

966 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:33:05.32 ID:qhpTqigo

手を振りほどき、凄まじい剣幕を今度は打ち止めに向ける一方通行。

打ち止めはビクリと再び体を震わせたが、彼の瞳から目を離そうとはしなかった。
泣きそうな顔をしながらもジッと。

そんな彼女の大きな瞳を見た一方通行、少しずつ興奮が和らいできたのか、
深く息を吐き。

一方「……二度とだ……」

顔から感情の一切を消し去り、
少女から顔を背けドアの方へと向かいながら。

一方「……二度と俺に会いに来るんじゃねェ」

告げていく。


一方「―――二度と俺に近づくンじゃねェ」


そしてはっきりと示していく。


一方「二度と―――」


打ち止め「―――」



一方「――――――俺に触るンじゃねェ」



己が何たるかを。

967 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:35:04.92 ID:qhpTqigo

そして。

打ち止めの方を一切見ず、カエル顔の医者にも一瞥もせず、
一方通行は病室を後にした。


その時後ろからは。


幼い少女の小さな泣き声が聞こえてきていた。
己の名を弱弱しくも何度も呼ぶ声も。

だがその声は彼の心には届かなかった。


いや、届いてはいた。

あの少女の声は、他の誰よりも彼の心を揺さぶる。


だからこそ。
だからこそ、彼は絶対に応えなかった。


彼は振り返らず。


足を止めずに、表情を一切変えずに廊下を進んでいった。


徐々に遠ざかり、
小さくなっていく少女の泣き声を聞きながら。

968 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:37:11.32 ID:qhpTqigo

一方「…………」

先ほど激昂した瞬間。

カエル顔の医者の言葉を聞いた瞬間。

彼は一瞬だけ思い描いてしまった。


己が打ち止めと共に生きていく未来を。


己が、彼女と共に『普通』の生活をしている未来を。


一方「…………」

状況的にそれどころではないのに。

命と引き換えに、彼女と彼女の世界を守るだけで精一杯なのに。

己自身が彼女を傷つけてしまうのに。


己自身が、彼女達にとっての『最大の傷』であり『痛み』でもあるのに。

969 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 00:37:57.56 ID:qhpTqigo

一方「……………………クソが…………」

彼は吐き捨てる。
そんな『生ぬるい夢』を描いてしまった己に対し。


彼は今一度、己の淡い『幻想』を叩き壊し。
この『願望』を一切認めずに。


己の背中にある『重り』を背負い直す。


あいつらを何が何でも守る『だけ』、『それだけ』だ、と。


近づく事など許されない、触れる事など許されない。


用が済んだらさっさと死ぬべきだ、と。


―――『救い』などクソ食らえ、と。


983 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:38:44.26 ID:qhpTqigo
―――

学園都市。

午後九時。
とある病棟の一室。

病室の中央のベッドには、
患者衣を着たインデックスが蹲りながら小さな寝息を立てていた。

日中の、集中して行った解析作業により彼女はかなり疲たらしく、
この部屋に戻り夕食、シャワーに入った後すぐに眠りについた。
(ちなみに彼女の白い修道服その他は、先日の件でかなり汚れていた為、病院の洗濯に出されている)

もともと昨日の今日。
その時の疲労もまだ抜けきってなかったのだろう。

彼女は深い深い眠りについていた。

ベッドの傍らの椅子に座り、
彼女を見守っている上条の右手をぎゅっと握り締めながら。


上条「…………」


長く美しい青い髪を広げ、スヤスヤと心地よさそうに眠っているインデックス。
そんな『天使』の寝顔を、上条はボンヤリと眺めていた。

穏やかでありながら、どことなく影のある表情で。

984 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:41:12.14 ID:qhpTqigo

上条「…………」

この青い髪。
改めて見ると、あの時の事を思い出す。

フィアンマとの攻防の終盤。

彼女の前に浮いていた魔法陣を破壊した直後、
上条・一方通行・ステイルを一瞬にしてねじ伏せたこの青い髪。

それまでのインデックスもかなり凄まじい力を行使していたが、
この青い髪が動き出したときは正に規格外だった。

手負いとはいえ、大悪魔に匹敵しうる三人をあっという間に制圧するとは。

一瞬だけの出来事であり『アレ』が全力なのか、
それとも極一部の片鱗に過ぎないのかはわからないが、これだけは確実だ。

あの時のインデックスは、明らかにあの場にいた三人よりも遥かに強かった。

もしかしたらフィアンマすら上回っていたかもしれない。

上条「…………」

985 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:43:21.85 ID:qhpTqigo

インデックスが『タダ』の魔道図書館ではない、というのは上条も前から知っていた。

『今の彼』にはその時の記憶が無いが、
どうやら周囲の話を聞くと彼女は以前にも凄まじい力を行使したらしい。

先日の件でもステイルの反応を見る限り、
あの魔方陣が出現していた状態が当時と同一のようであるらしかった。

そこまでは良い。
その辺まではある程度は認識していた。

だが。

あの巨大な鞭のように伸びてはしなる青い髪は、想像を遥かに超えていた。
最早『人間レベル』ではない。

上条の経験から言わせれば、二ヵ月半前のベリアルやボルヴェルグと同等にも思える。

当時のステイルや神裂は、魔具等の力を受けた身を滅ぼしかねないドーピング状態であったからこそ、
かの大悪魔達とやり合えたのであって、現在の人外となっている二人でも再戦は不可能だ。
(当然上条は、現在の神裂が魔に転生し凄まじくパワーアップしているのは知らない)

上条「…………」

少し、いやかなりインデックスの事について考えを改めねばならない。

986 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:45:21.26 ID:qhpTqigo

彼女は想像を遥かに超える、とんでもない『何か』を奥底に宿している。
今の上条では到底手に負えない『何か』を。

上条は、二ヵ月半前にこの凄まじい『世界』に飛び込んだ訳ではなかったのだ。


『最初』からだ。


最初から、この少女と出会ったその瞬間から、彼は既に飛び込んでいてしまったのだ。

そして知らぬまま過ごして来たのだ。

己の隣にいたこの少女が、『本物』の神に匹敵するレベルの力を秘めていた事を。

上条「…………」

上条は何も知らなかったのだ。

こんなに近くにいて。

彼女にもっとも慕われる者であったにも関わらず。


彼女の本質を何も。

987 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:48:21.36 ID:qhpTqigo

上条「…………」

今思えば、奇妙な事もいくつかあった。
なぜ今まで疑問を抱かなかったのか。

まず、彼女が魔導書を際限なく記憶できること。
そういう体質・能力だと言われれば『ああそうか』、と今までは返してきたが。

今ここではこう思う。

『何で』そういう体質なのか、と。
『どうやってるのか』、その『メカニズムは?』、と。

更に、これは二ヵ月半前にわかった事だが、
彼女の記録の中には悪魔関係のかなり危険な術式もあるようだ。

触りしか聞いていないが、それらは『魔剣の精製』等の規格外の代物らしい。
使い方によっては容易くこの世界を破壊できる術式達だ。

そして上条は続けてこう思う。

インデックスが学園都市に留まり、
己が保護者・護衛、そして『暴走』を止める『首輪』代わりとして預けられたらしいが。


当時の右腕一本しか武器がなかった『己程度』が、そんな大役などどう考えても担える訳がない、と。


イギリスの判断は明らかにおかしい。


どう考えても。

988 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:50:55.27 ID:qhpTqigo

バージルのような者ですら、彼女の頭の中にある代物を必要としていた。
そうならば、普通に考えて他の悪魔達が襲撃してくる可能性だって当然あったはずだ。

上条の右手が全く意味が成さない、『本物』の悪魔が。

今でこそフロストレベル等ならば瞬殺できるが、当時の上条だったら逆に瞬殺されている。

悪魔でなくとも、聖人のような者がインデックスを狙って来ていたら、
上条ではどうしようも無かったはずだ。


そしてインデックスの武器化したあの青い髪。

あれに右手が利くかどうかはわからないが、そんなことを試すのは不可能。
今の悪魔化してる上条ですら反応できない速度なのだから。

昔の上条なら、文字通り『何が起こったかわからないまま』木っ端微塵だ。


だから彼は思う。


護衛であり『暴走』を止める『首輪』の役、というのはおかしい、と。

989 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:53:13.45 ID:qhpTqigo

またこれは以前から思っていたことだが、インデックスがイギリス清教の最重要の存在なのに、
彼女が何か危機・もしくは事件に巻き込まれても
当のイギリス清教はあまり動かない、という事だ。

いつも小規模の人員、しかもギリギリの分しか派遣してこない。

上条の認識ならば、それこそ大部隊を送り込んで大規模な保護作戦を行いそうなものであるが。
というか、本当に彼女に『保護と護衛』が必要ならば、そもそも学園都市になどに置いたりはしないはずなのだ。


そこから一つだけ確かな事がわかる。
イギリス清教の上層部、もしくはトップの最大主教はこう思っていたはずだ。


インデックスには護衛も保護も必要無い、と。


さすがに二ヵ月半の前のような事態では、
ダンテ側と共同で動き本気でインデックスを回収しようとしたらしいが。

あのレベルでもない限り、インデックスは基本的に『単独』でも切り抜けられる、と。


恐らく追い詰められた最後の最後には、
先日見た究極の防御機構のような何かが発動するのだろう。

そして圧倒的な力を持って、彼女に危害を加えようとした『愚か者』を叩き潰すのだ。

一方的に、だ。

990 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/05(火) 23:56:44.40 ID:qhpTqigo

上条「…………」

上条はそんな事を考えながら、
とてもそんな力を秘めているようには見えない、この可愛らしい少女の寝顔を見つめていた。

ステイルとの会話が思い出される。
彼は言った。

『彼女を救ってくれ』、と。

上条は改めて認識し直す。
彼女を固く縛っている、その『鎖』のとてつもない頑丈さを。

どうすれば良いのか。

己程度で彼女を解き放てるのか。

上条「…………」

だが彼は、この目の前の困難に打ちひしがれてはいたが、
決して諦める事は無い。
そんな選択肢など元々彼の中には存在していない。


少年は改めて決意する。

己自身は絶対に人間には戻らない。

彼女を戦火の『中心』から救い上げる『まで』は。

戦いの連鎖から解き放つ『まで』は。

魔に完全に食われてでも、必要な限り使える力は使い続ける。

例え命を落としても。


それで彼女が救われるのならば何も『問題』は無い、と。

991 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:01:23.76 ID:Ip2Ds8co

上条「…………」

と、そうしていた時だった。
病室のドアがゆっくりと静かに開き、
ステイルが指先で小さな炎を弄びながら室内に入ってきた。

ステイル「君もシャワーに行くといい。その間は僕が見てる」

そしてインデックスを起こさぬよう、小声で上条に向けて口を開いた。

ステイル「少し匂うしな。君は」

上条「はは……悪いな。俺はまだいくらか人間の部分が残ってるからよ。あれだけ動けば汗臭くもなるんだ」

ステイル「まあ、僕の鼻が効き過ぎてる事もあるがな。どうにも人間の時よりも敏感になりすぎてる」

ステイル「君の体臭を鼻いっぱいに吸い込み、否応無く『堪能』してしまう僕の気持ちがわかるか?」

上条「ははは、悪い悪い」

上条は軽く笑いながら、ゆっくりとインデックスの手を解いて椅子から立ち上がり。
ステイルとすれ違うようにドアの方へと向かったその時。

ステイル「…………………待て」

ステイルはその瞬間ある匂いを捕らえ、やや強めの口調で上条を留めた。

何の匂いか。

それは『血』。

生温い、『鮮度』の良い血と肉の香り。

992 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:03:13.38 ID:Ip2Ds8co

上条「ん?」

そしてステイルはその匂いの元を捕らえ。

ステイル「…………篭手。外してけ」

覆いかぶさり、『源』を隠している金属生命体製の篭手を外すよう上条に促した。
やや強めの口調で。

上条「…………ここでか?」

ステイル「ああ」

上条「いや、脱衣所で外すから(ry」

ステイル「良いから今外せ」

上条「…………………………わかったよ」

強く押してくるステイルに負け、
上条はその場で右手を覆っている篭手を手際よく外し始めた。

上条「…………ッ…………」

少し顔を歪ませながら。

そしてステイルは見た。

魔界製の金属生命体の篭手が引き剥がされていく瞬間を。

それはただ包んでいただけではなかった。
無数の針が伸びており、上条の右腕に深く食い込んでいた。

がっちり固く肉に食いつき。

993 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:04:57.47 ID:Ip2Ds8co

あまりにも痛々しい光景なのだが、上条は軽く眉を顰めただけで、
手馴れた動作で針を引き抜いては、ぶちぶちと引き剥がしていった。

そして露になった『生身』の右手。


ステイル「……………………」


普通なら目を背けたくなるほどに生傷だらけ。

生々しい打撲跡、裂けた皮膚。
血はまだ乾かず、その傷口の中の『肉』は未だに湿っていた。

それらの下には、大量の直りかけの傷や古傷。

更にそれだけではない。

腫れ具合から見てもまず確実に筋繊維のかなりの断裂、
それどころか、骨が折れているか少なくとも骨にヒビが入っているように見える。


ステイル「………………」

上条「…………まあ…………こんな感じだ……」

ステイル「………………右手は……人間のままか?」

上条「ああ。手首から上は『純正』だ」

上条「その下も、肘の辺りまではかなり人間の割合が大きい」

上条「二の腕から肘までは完全に悪魔化してるんだけどな。肘から先がやっぱり中々……」

994 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:07:49.48 ID:Ip2Ds8co

ステイル「…………新しい傷は昨日のか?」

上条「…………多分な」

ステイル「多分だと?」

上条「いや、なんというか…………わかんないんだよな。デビルメイクライの時の傷がまだ全部治り切ってないしな」

ステイル「…………」

傷が治っていないからわからない。
それはつまり。

常に激痛に襲われているという事だ。
新しく傷を負っても分からない程の。

ステイル「……手当てを…………する必要があるな」

上条「いやいや、別にいいぜ」

そんな事など一切表に出さず、上条はいつもの笑顔を浮かべる。

上条「見た目ほどじゃねえんだ。骨がいっちまってもこの篭手が補強してくれるし」

ステイル「(…………骨…………)」

上条「どういう原理かはわかんねえけど、食い込んでる針が血を止めてくれるし、消毒もしてくれてるらしい」

上条「この篭手をつけてれば、そこらの手当てよりも全然効果があるんだ。治りもそこそこ早いしな」

995 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:12:38.98 ID:Ip2Ds8co

ステイル「…………」

さらりと、上条は別になんでもないように言葉を続けた。
ステイルに心配させないよう、明るく振舞いながら。

実際に、彼本人は本当にそれほど重要には思っていないのだろう。

ステイルからすれば、どう見てもそうは思えないのだが。

まあ、普通に考えて『この有様』でなければおかしい。

先日のフィアンマとの戦いの際も上条は、魔の物である両足左手に比べればかなり劣るが、
それでもこの右手も凄まじい速度で振るっていた。

1mに満たない距離の中で、『悪魔化してる二の腕まで』の力で音速近くにまで押し出す凄まじい加速度。
更にその速度での激突による衝撃。

いくら周りを強固に補強していたとしても、
やはり『それ自体』は『無強化』である、生身の人間の肉や骨が耐えられるわけが無い。

篭手があるからこそこの程度で済んでいるのであって、
篭手が無ければその加速度で一瞬にして、熟れたトマトのように弾け押し潰されてしまうだろう。

まあこの程度、と言っても、見ればわかるとおりとんでもない損傷具合だが。

悪魔と人間の痛みの『感度』は、経験者のステイルから言わせれば基本的に同一だか、
その痛みの『捕らえ方』が全く違う。

悪魔は痛みに慣れ、最終的には全く気にしない事もできる。
『苦痛』ではなく、タダの『肉体の損壊信号』として捕らえられるようになれる。

だが人間は違う。
小さな傷はまだしも、こういう大きな傷に慣れる事はまず無い。
意識と痛みを『分離』することは不可能に近い。

人間なのに痛みを意識しなくなってしまったら、それは慣れたのではなく『麻痺』・かなりの興奮下の『トランス状態』であり、
判断力の低下等々重大な障害が起こっている可能性が高い。

更に悪魔は短時間にして治癒する為、
その痛みもすぐに消え去るが、人間はそうもいかないのだ。

996 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:15:18.90 ID:Ip2Ds8co

上条「はは……気味悪いもん見しちまって悪いな」

その痛みが今も猛威を振るっているにも関わらず、
相変わらずのノリで笑う上条。

上条は袖を下ろして右手を隠しつつ、苦笑しながら再度ドアの方へと半身を向け。

ステイル「いや…………」

上条「じゃ、行って来るぜ。インデックスを頼む」

ステイル「…………待て。先に話しておきたいことがある」

上条「?」

ステイル「…………後にしようと思っていたが気が変わったよ。今話す」

上条「へ?」

ステイル「インデックスの事についてだ。君も知っておくべき事だ」


上条「…………」


ステイル「僕らが見た、あの『青い髪』の攻撃に関する事だ」


上条「…………」

997 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:17:25.16 ID:Ip2Ds8co

ステイルは一度小さく咳払いした後、ゆっくりと口を開き始めた。

一語ずつ確認しながら。

ステイル「まず最初に結論を言う。確実ではないが、状況証拠的にもう否定しようが無い」

上条「…………何だ?」


ステイル「インデックスはアンブラの魔女だ」


上条「あんぶら…………魔女?」


ステイル「…………まずはそこからか」

首を傾げてる上条へ向け、
ステイルは己の持っている知識と経験の範囲内で簡単に説明した。

かつて人間界に、アンブラの魔女と言う勢力が存在していたこと、
その勢力の者達は魔の力を使い、上位の者になれば普通に大悪魔クラスの力を行使すること、
ある時、天界の総攻撃によって文明としては滅んだが、一握りの頂点クラスの強者が生き延びていたこと、

ステイル自身の経験では、ヴァチカンに現れた魔女達はそれこそスパーダ一族のような規格外の力を有していたこと、
その際に見た攻撃の仕方が、インデックスのあの髪を使った攻撃にかなり類似、いや、完璧に同一だったこと。

そして。

イギリスの最大主教ローラも魔女であった事と。

インデックスと彼女の異常な程の『何か』の繋がりを。

誰も『気づかなかった』、『意識できなかった』二人の瓜二つの顔について。

998 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:20:14.68 ID:Ip2Ds8co

上条「………………ッ…………!!!!………………なッ…………はぁ!?」

いきなり、しかも一気に言われ、
頭がついていかない上条は言葉が出なかった。

上条「ま、待て……!!」

己の額に軽く左手を当てながら、
ステイルの言葉を脳内で反芻し、確認していく。

上条「…………は…………えっとよ…………あーっと……あの最大主教とインデックスが……?」


上条「確かに結構似てる気もするが……そこまでか?」

ステイル「……君でもってしても完全に『破れ』てなかったのか」

『結構似てる』という印象を持っている以上、
少なくとも以前のステイルよりも認識は強いようだが。

やはりあの二人の関係性に覆いかぶされている『ベール』からは、
上条ですら完全に逃れられていないらしかった。


ステイル「…………」

ステイルの推測だと、このベールは恐らく視覚から進入し脳に影響を及ぼす術式。

光に乗せられているような感じだろう。

そしてその光を捉えた者の脳、
二人の容姿に関する認識には永続的に術式がかかり続ける、といった形だろう。

999 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/10/06(水) 00:23:24.63 ID:Ip2Ds8co
空間そのものに直接かかる術式ならば、
ヴァチカンにてステイルは魔女モードのローラの姿を見ても、
この容姿の類似を認識できなかったはずだ。

ステイルが認識できたのは、『ベールに包まれていない』光を捉えたことによる『矛盾』で、
彼の認識を縛っていた術式が破綻をきたし崩壊した為だ。

それに空間そのものに直接かかる術式ならば、
上条は気づかぬ内に右手で周囲の空間を浄化し、術式を打ち破ってるはず。

つまり上条の今の状態も、この術式が光に乗せられている事を裏付けている。

上条の右手は、何らかの物理現象に付加されて形を伴っている術式は、
直接触れないと打ち消すことができないのだ。


ステイル「…………」

そうなれば。

上条がこの術式から逃れるには頭に触れれば良い。
それが駄目だったら頭をかち割り、直接脳に右手を突っ込む。


普通の人間なら死ぬが、今の上条ならばできる。
『多少』苦しいだろうが。

7 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:31:06.82 ID:Ip2Ds8co

ステイル「…………いいか、僕が今言った事、強く意識しつつ右手を頭に当ててみろ」

ステイル「できるだけ強く意識しながらな」

上条「お、おう……」

怪訝な表情をしながらも、傷まみれで震えている右手を額に軽く当てる上条。

その瞬間。


上条「―――う、嘘だろ…………!!?」


ようやく完全にこのベールを打ち破り。
上条はやっと認識する。

二人の顔の類似を。


ステイル「…………」


上条「―――似てるってもんじゃねえぞ…………親子……姉妹レベルじゃねえか…………」


上条「い、いや、双子ってくらい激似だぞこれ…………」


ステイル「…………」

どうやら上条は、
直接脳に右手を突っ込む展開は避けられたようだ。

8 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:33:50.56 ID:Ip2Ds8co

上条「ど、どういう事だよ……!まさか本当に最大主教の妹とか娘かなんかか?!」

ステイル「いや……そこは確実な事は何も……」

ステイル「確かなのは二人ともアンブラの魔女、という事だ。だから何らかの血の繋がりがあってもおかしくない」

上条「…………」

ステイル「……いいか、僕らは彼女の『力』に対する考えを、根本から改める必要がある」

ステイル「彼女は『後天的』に、完全記憶能力やあのような力を身に宿した訳ではないかもしれない」

ステイル「『禁書目録』になる為に『人体改造』された者ではないのかもしれない」


ステイル「それらは全て、彼女自身の『生まれながら』の部分に起因しているかもしれない」


ステイル「あれは彼女自身の『本当の力』かもな」


ステイル「僕らが見てきた今までの姿の方が、『偽り』だったという訳なのかもな」

9 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:36:12.51 ID:Ip2Ds8co

上条「…………」

そう、この事実はインデックスの認識が根本から崩れていく。

そして。


『彼女を救う』、という事を更に困難にしていく。


インデックス彼女自身がその力。
今やっと、その本当の姿が見え始めてきた。

ステイルの言葉通り、
インデックスの存在そのものが上条の考えていた『諸悪の根源』だったら。


『本当のインデックス』自身が、彼女の身に降りかかる災いの源だったら―――。


どうやって『彼女』を『解き放て』と―――。


どうしろと―――。

10 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:40:03.81 ID:Ip2Ds8co

ステイル「……………………」

上条「……………………」

ステイル「…………他にも伝えることはある。実はな、ローラ=スチュアートと僕、そしてインデックスは―――」


ステイル「―――反逆の徒として、イギリスから国家の敵と認定された」


上条「―――…………は?」


ステイル「僕らはもう帰る場所が無いんだ」

ステイル「残された居場所はこの忌々しい街だけだ」


ステイル「いまや、イギリスは僕らの敵だ」

ステイル「全軍にこう命じられている。『ローラ=スチュアートとステイル=マグヌスは発見次第殺せ、』」


ステイル「『禁書目録は四肢を落とし、舌をそぎ落とした後に回収しろ』、とね」


上条「な、なんでだよ!!!!!どうしてそんな―――!!!!!!??」


ステイル「『魔女』だからさ」


上条「―――…………ッ…………!!!!!」

11 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:43:16.46 ID:Ip2Ds8co

ステイル「つまり僕は魔女の『使い魔』」

ステイル「インデックスも、話によるとローラ=スチュアートがどこからともなく連れて来て擁立したらしいしな」

ステイル「彼女の本当の身分はローラ=スチュアートしか知らない、」

ステイル「そしてローラ=スチュアートは魔女だった」

ステイル「後はわかるな?イギリスがどう思うかが」

上条「だ、だがよ……!!!そんな…………!!!?」

ステイル「もう一つ言うとだ。十字教国家は基本的に天界の強い影響下にある」

ステイル「使用魔術も、天界の力を借りているものばかりだ」

ステイル「イギリスは最近になって魔界魔術も使うようになったが、」

ステイル「それでも直接国を纏めている基盤は天界魔術」

ステイル「カーテナ等も全て天界の支援の元にある産物だ」


ステイル「そして天界とアンブラの魔女は仇同士だ。決して相容れない」


ステイル「決して、だ」


上条「…………」

12 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:45:43.13 ID:Ip2Ds8co

ステイル「イギリス清教、いや天界に起因する魔術サイドの者は、基本的に全員敵と思え」

ステイル「君が親しい天草式も。無論、土御門もだ」

上条「……………………………………………………」

ステイル「それと…………これも言っておこう。今日からのトリッシュ達に協力する作業あるな、」

上条「ああ…………」

ステイル「君は席を外していたから聞いていないだろうが……いや、聞いていたとしてもわからないだろうが」

ステイル「あれはフォルトゥナの、ネロの恋人にかけられた術式を外す為のものだという所まではわかるな?」

上条「そこまでは……聞いたぜ」

ステイル「その術式というのがな、首謀者に傷を付けると彼女も傷を負ってしまう、という代物だ」

上条「…………」

ステイル「その首謀者が、今の大戦を引き起こした張本人の一人でもある」

上条「…………!!」

ステイル「更に現在は『まだ』人間同士の戦争だが、その者の手によって近い内に魔が割り込んでくる。魔が人間界を席巻する事になる」

上条「なッ…………!!!!!!」

ステイル「それで、トリッシュ達は彼女にかけられた術式を剥がそうとしている。そうしないとネロが動けないからな」

上条「…………な、なるほど……」

13 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:48:15.83 ID:Ip2Ds8co

ステイル「その一方でだ」

上条「……………………まだ何か……あるのか?」

ステイル「その首謀者は、天界の口を開こうとしている」

上条「…………天界……」

ステイル「天界と魔を激突させ、恐らくそこから更なる戦火を招こうとしているのだろう」


上条「!!!!!!!」


ステイル「なぜそうするかの理由は想像も付かないがな。知りたくも無い」

ステイル「そして更にだ。天界は―――」


ステイル「―――この学園都市をも潰そうとしている」


上条「―――…………」

ステイル「能力者の殲滅のためにな。詳しくは知らないが、魔女と同じく能力者も天界にとっては究極の敵として見なされている」

ステイル「いいか、『あの魔女』達が大勢いたアンブラの都を、天界は一夜で滅ぼしたんだ」

ステイル「それと同規模の総攻撃が行われれば、学園都市など一時間もしない内に人間界から完全に消えるだろうさ」

ステイル「この街の全ての能力者と共にな」


上条「……………………」

14 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:51:12.84 ID:Ip2Ds8co

ステイル「君はわかるだろう?実際にガブリエルの力を目の当たりにしたらしいからな」

上条「ああ…………夏にな…………」

ステイル「そのレベルの連中が大勢、『本体』をもって『直接』人間界に降臨する」

ステイル「『本当の力』をもって、だ。君や神裂が相対した時よりも強大だろうよ」

ステイル「更にその十字教の四大天使を遥かに上回る、規格外の存在もいるらしい」

ステイル「その軍勢に学園都市が対抗できると思うか?」

上条「…………む、無理だな…………で、でもよ!!!!それだけの事ならダンテ達が動くんじゃねえのか!?」

ステイル「確かにダンテ達なら、その軍勢を簡単に蹴散らす事ができるだろう」


ステイル「だがその『戦場』が学園都市だ」


上条「…………ッ……」

ステイル「…………聞いた話だがな、かつて魔女の中にも、天界の誰にも負けぬ強者が何人かいたらしい」

ステイル「だがな。天界の軍勢は奇襲をかけ、都に直接降りてきたらしい」

上条「…………つまり…………その魔女達は全ての力を解放できなかった…………と?」

ステイル「そうだ。あまりにも強大すぎる力は、周囲の守るべき存在をも巻き添えにして滅ぼしてしまう」

上条「じゃ、じゃあよ、二ヵ月半前みたいに別の世界で戦ったら……」

ステイル「…………あれは魔帝自身が己も全力になる為に招いたのだろう?今回、こちらが用意しても天界側が素直に来ると思うか?」

ステイル「この奇襲・相手方の力の制限が、彼らにとっての最大の武器でもあるのにだ」

15 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:53:22.03 ID:Ip2Ds8co

上条「…………」

ステイル「大体にして、僕達には新しく『戦場』を作る力も方法も無い」

ステイル「あれは魔帝の底無しの力と『創造』があったからこそ、可能だった事だろ」

ステイル「ダンテ達もそれは不可能だろうよ」

ステイル「もしできるのならば、もしその分野に干渉できるのならば、」

ステイル「わざわざああやって人間界への負荷を警戒するような戦い方はしないだろ」

上条「……」

ステイル「それ以前にだ」

ステイル「スパーダの一族は、天界の件については動かない可能性も考えられる」

上条「……は?」

ステイル「アンブラが滅亡した時、天界の大攻勢をスパーダは黙認してたらしいからな」

上条「…………」

16 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:54:34.16 ID:Ip2Ds8co

ステイル「今の学園都市の置かれている状況は、アンブラ滅亡時とかなり酷似してるらしい」

ステイル「有史以前から長きに渡って続けられてきた、天界の力の支援による能力者狩も、スパーダは黙認し続けたらしい」

ステイル「それに今回の天界の目的には、人間界に蔓延し牙を向いている魔の廃絶もある」

上条「…………」

ステイル「要するにだ、人類という『種全体』の保護を掲げているスパーダの一族にとって、」


ステイル「必ずしも天界が敵とは限らない場合も充分考えられる」


ステイル「少なくとも。少なくとも天界側は、彼らは今回も手を出して来ないと思ってるんだろう」


ステイル「今まで『通り』にな。過去という『現実』がそれを『証明』している」


ステイル「むしろ魔の廃絶に関しては、自分達をスパーダ一族への『援軍』と思っているかもな」


上条「…………」

17 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:56:41.83 ID:Ip2Ds8co

上条「…………じゃ、じゃあどうするんだよ…………始まっちまったら、インデックスをここには置いておけえねえぞ……」

上条「天界は魔女も目の仇にしてんだろ…………『ミーシャ』みたいな連中が大勢来たら、俺らだけじゃ手の打ちようがねえぞ……」

上条「どこか遠くに逃げるしか…………この街の皆もどこかに…………」

ステイル「230万もの『忌まわしき避難民』をどこが受け入れる?天界によって監視されているこの人間界の中で」

ステイル「どこに逃げても一緒だ。散り散りになっても結局は追い詰められて殲滅される。それこそ魔界にでも逃げない限りな」

ステイル「そして、魔界ははっきり言って『どこよりも』危険だ。獣がひしめく檻に裸で入っていくようなものだ」


上条「………………………………」


ステイル「……永久の安寧の地など、今のインデックスにとってはどこにも存在しないんだ」


上条「………………………………」


ステイル「…………だがな、学園都市側もただ怯え縮こまっている訳ではない」

上条「…………?」

ステイル「アレイスターが天界の口が開く前に、決着をつけようとしているんだがな…………」

上条「アレイスター……って……?」

ステイル「君程の者がまだ会ったことが無いのか?この街の最高権力者に」

上条「名前だけは聞いていたがまだ……」

18 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:58:29.89 ID:Ip2Ds8co

ステイル「まあいい。そこは後だ」

ステイル「アレイスターは、その天界の口を開こうとしてている者をどうにかしようとしている」

ステイル「どうやるか等の詳細は聞いていないが、土御門やアクセラレータ達と共同でな」

ステイル「恐らく、主要戦力を総動員してその首謀者を強襲する、といった感じだろう」

上条「ほんとか!!?………………ってちょっと待て…………」

上条「た、確かその天界の口を開く奴には手が出せないんじゃ…………ネロの恋人の件が片付くまで…………」


ステイル「……………………………そうだ」

上条「………………それって……かなりマズイんじゃないか?」

ステイル「……………………さっき立ち聞きした限りじゃ、トリッシュ達は恐らく知っている」

ステイル「学園都市側は知らないだろうがな。そもそも知ってたら、まず先にあのネロの恋人をどうにかしようとしてくるだろう」

ステイル「今の学園都市はな、天界の口の開放を防ぐ為ならば手段を選ばない状況だからな」

ステイル「大戦が始まっているのにも関わらず、そしてここから更に過酷な戦況になるとわかりつつ、」

ステイル「主要な戦力を学園都市の防備ではなく、そちらに裂くぐらいだからな」

上条「…………………………」

ステイル「………………」

19 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 00:59:32.85 ID:Ip2Ds8co

ステイル「…………と、まあな。僕が知っている範囲内での今の状況はこんなところだ」

上条「…………」

一通りの状況説明を聞いた上条。
その表情は曇り、まるでどん底に叩き落されて絶望しているかのようだった。

状況はかなり複雑。
その上、どれも頭を悩ます重すぎる事柄ばかり。

いつもならば、パッと己が進むべき道が見えるのに。
今までは、迷い無くストレートに決断できたのに。

今は全く考えが纏まらない。
その道が『見えない』。

何をすればいいのか、どうすればいいのか。

どの行動が良くて、どの行動が悪いのか。

どれが正解で、どれが間違いなのか。


そして。

誰が味方なのか、どこの側につけばいいのかが。

20 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 01:00:46.12 ID:Ip2Ds8co

上条「…………」

手をこまねいて待っているのはもちろん駄目だ。
そんな事などできない。

しかし。


何も決断できない。


何も判断できない。


答えが導き出せない。


己の考えに疑問を持ってしまう。


それでいいのか、と。


己を信じ切る事ができない。

21 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 01:03:39.57 ID:Ip2Ds8co

さながら地球に落下する超巨大隕石を、人々がぼんやりと見ているかのように。
その迫り来る終末の時を呆然と見つめているかのように。

どうしようもなかった。

何も思いつかない。


何も。


上条「…………」

夕方にニュースをぼんやりと見ていた時、この騒乱は始まりに過ぎないと思っていた。
ここから更なる問題が出現するすると確信していた。

だがその『壁』は、想像を遥かに超える代物だった。

手の付けられないあまりにも巨大な、だ。


己の小ささを、矮小さを改めて思い知る。


己とインデックスの置かれていた状況は、想像を絶する崖っぷちだったのだ。


そんな上条の心の内を悟ったステイル。

ステイル「…………僕もだ……」

深く息を吐きながら彼の苦悩に同調する。

ステイル「僕もわからないんだ…………どうすればいいのかがな…………」

上条「……………………………クッソ…………」

22 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 01:07:12.50 ID:Ip2Ds8co

ステイル「…………一応、これだけは意識しててくれ」

上条「…………」


ステイル「バージルはどうやら魔女と繋がっているらしい」

ステイル「その一方で、彼はフィアンマを守ろうとしていた」

ステイル「インデックスをフィアンマに攫わせようとしていたのかもしれない」

ステイル「そしてこれは僕の個人的な解釈だが、ダンテやネロ達の側は天界の大侵攻をあまり重要視していないようにも思える」

上条「…………」


ステイル「もう誰が『どちら側』なのか、『敵』か『味方』なのか、というのは考えるだけ無駄だ」


ステイル「―――誰も信じるな」


ステイル「―――例外は無い。もちろん僕をもだ」


ステイル「常に疑いを持て。己以外を頭っから信用するな」


ステイル「君は己だけを信じ、インデックスの事だけに意識を集中しろ」


上条「……………………………………………………」

23 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 01:09:06.73 ID:Ip2Ds8co

無言のまま口を引き締める上条。

ステイル「そして、今一度約束してくれ」

そんな彼の瞳を見つめステイルは言葉を続けた。


ステイル「決して―――」


ステイル「―――決してインデックスの事だけは何があっても諦めない、と」

すがりつくような願いの意思を篭めて。


上条「…………………………当然だろ」


上条「…………俺は絶対に諦めねえ」


上条「今は何もわかんねえ。わかんねえけど―――」


上条「―――諦めてたまるか」


上条「学園都市の事も。皆の事も―――」



上条「―――そしてインデックスも」



上条「―――絶対に諦めねえ」

24 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 01:11:15.91 ID:Ip2Ds8co
ステイル「…………フン…………」

こんな絶望的状況を聞かされた直後に。
そして頭の中も絶望に満ちているはずなのに。

それでも潰えない上条の奥底の炎。

それを垣間見たステイルは小さく笑った。
今度は安堵の気持ちを篭めて。

ステイル「………………今はここまでにしておこう」

ステイル「やや長くなってしまったな。君はシャワーを浴びて来るんだ。少しは頭もすっきりするだろう」

上条「…………ああ」

ステイル「いや…………」

上条「………………?」

ステイル「最後にもう一つだけ良いかい?君自身について聞きたい事がある」

上条「……何だ?」


ステイル「いつからだ?どこまでだ?」


ステイル「『覚えていない』のは」


上条「―――…………ッ…………」

25 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 01:13:41.71 ID:Ip2Ds8co

上条「……………………………俺が覚えている一番古い記憶は…………」


上条「…………七月二十八日の病院だ」


ステイル「……………………となるとだ。彼女に会った時の事は何も覚えていないんだな?」

ステイル「彼女を初めて守った時の事も」

上条「…………ああ。七月二十八日以前は何も」

ステイル「………………」

上条「………………」

ステイル「……彼女は知っているのか?」

上条「…………俺からは何も言ってないが……」

上条「…………今は……わからない」

ステイル「……………………チッ…………君には本当に呆れるよ……」

上条「……………………すまん……」


ステイル「………………まあ今は………………君を思いっきりぶん殴るのは保留しておこう」

ステイル「ここで騒ぐ訳にもいかないしな。その話は後だ……さっさと行って来い」


上条「……………………ああ」

26 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/06(水) 01:15:49.08 ID:Ip2Ds8co

上条は小さく返事をした後、ドアを抜けて病室から出て行った。

ステイル「…………」

彼が抜けていった後も、
そのドアをしばらく見つめていたステイル。

その後、深く息を吐き呆れながら赤髪を一度掻き揚げ。

ステイル「…………君は本当に馬鹿野郎だな……」

小さく呟いた。


上条が何で隠していたのかは容易にに想像付く。
それに対し言いたい事がたくさんある。
一気に罵り捲くし立てたかった。

君はインデックスを舐めてるのか、と。

君はインデックスを馬鹿にしてるのか、と。

なぜ彼女が、君をここまで慕っているのかわからないのか、と。

ステイル「……本当に…………馬鹿だ。大馬鹿野郎だ……馬鹿めが…………」

ドアに向けて彼は何度も呟いた。

何度も。

何度も。



背後のベッドの上に横たわっているインデックスの目が。

己が入って来た時から、薄く開いていた事に気づかずに。

そしてゆっくりとその目を閉じ、再びまどろみの底へと戻っていった事に。

―――

28 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 01:22:28.45 ID:BrkxM9Uo
乙、記憶喪失バレたか?

30 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 02:50:13.14 ID:pAasCoAO
お疲れの残りませんよう

格好良いぞ、上条当麻!!
そのぼろぼろの右手こそが君の勲章だ

32 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [sage]:2010/10/06(水) 16:53:11.33 ID:d92VfkDO
今さらだが、この準備と休息編って各々の今現在の状況、そして今後の計画をわかりやすく整理する話だな

44 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:18:23.28 ID:IxADFqYo
―――

とある深い森。

地平線スレスレの太陽から、
分厚い雲を潜り抜けるように斜めに朝日が差込み、
常に薄暗いこの地が最も明るくなる時刻。

冬の澄んだ大気によって、淀みのない『清潔』な光が真っ直ぐと降り注ぐ。

森の中に、孤島のように聳えている古めかしい洋館も、
この時だけは光を浴びてその姿を清める。

そんな洋館の中。

ある小部屋にて、五和はふと目を覚ました。

五和「…………」

壁に半ば寄りかかるように寝そべっていた五和。
彼女の上には、一枚の厚手の毛布が掛けられていた。

五和「…………」

ぼんやりとした眼差しで、小部屋の中をゆっくりと見渡す。
一方の恐らく東側の壁には小さな窓。

そこから朝日がレーザーのように差込み、
室内を舞うほこりを照らし上げながら彼女の足先に落ちていた。

その反対側の壁には、
質素でありながらも精巧な掘り込みがなされているドア。

五和「…………」

そこまでを見て、五和はようやく脳を覚醒させていき、
己の置かれている状況を思い出し始めた。

45 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:20:06.56 ID:IxADFqYo

いくらか睡眠をとったおかげか、思考が徐々に明晰になっていく。

五和「…………」

己はここに連れてこられた。
神裂を軽々と屠り、ステイルを一蹴した怪物染みた女達に。

その後は嘆き。

その後は嘆くのすらやめ。

その後は呆然とし。

絶望するのもやめ。

そして。


五和「…………………プリ……エステス…………?」


女教皇を見た。

生きている神裂を見た。

彼女は、己の抱きかかえていた鞘に七天七刀を納め。

泣きじゃくる己を優しく、頭を撫でながら慰めてくれ。

それから。

それから―――。

46 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:21:10.53 ID:IxADFqYo

五和「―――」

完全に眠気が吹き飛んだ五和。

目を見開き、己の上に掛けられていた毛布を勢い良く剥ぎ取った。
朝の冷気が一気に押し寄せ、未だエンジンのかかっていない彼女の体に瞬時に染み渡っていくが。

五和「―――ッ」

そんな事など今の五和は気にも留めていなかった。
彼女の意識は、あったはずの物が『無かった』事に集中する。

五和「…………………無い……」


先ほど一瞬、こう思ってしまった。

あれは夢だったのではないか、と。

疲労のあまり己は寝てしまい、その中で幻を見ていたのではないか、と。


だが。

『夢』が持って行くか?
『幻』が持って行くか?



七天七刀の鞘を。

47 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:22:53.76 ID:IxADFqYo
五和は跳ね上がり。
毛布を部屋の隅に投げ捨て、ふらつく足ながらもドアの方へと駆け。

ノブを握り。
勢い良くそのドアを開け放った。


五和「―――」


ドアの先は広めの広間だった。
中央には大きな不恰好なソファー(『まるで』、ひしゃげたのを強引かつテキトーに修理したかのような)。

その上に寝そべってり、目を瞑っている黒いボディスーツを纏った黒縁メガネの女。

五和「―――」

神裂を屠った女の姿を第一に捉え、五和は一瞬顔を引きつらせた。

その時。


「やっと『動いた』な」


静かに響く、気の強そうな女の声。

五和「…………」

五和はその声の方へと恐る恐る視線を移すと。

部屋の角、椅子に座り長い足を優雅に組んでいる銀髪の女。
赤いボディスーツを身に纏っており、
手に持っている小さな本に目を落としていた。

やや乱暴な気がありながら、品と威厳をも兼ね備えているその雰囲気。

五和「…………」

この女も見覚えがある。
いや、見覚えがあるというレベルでは無い。

しっかりと目の当たりにした。

この女が、ステイルを赤子のように手玉に取っていたことを。

48 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:24:27.54 ID:IxADFqYo

「眠れたか?」

女は本のページを捲りながら、声だけを五和の方へと飛ばす。

五和「………………………」

それに対し、五和は戸惑いながらも小さく頷く。
相手は本に視線を落としているにも関わらず。

「そいつは良かった」

その五和の仕草を、
女は目で捉えずとも認識したらしかった。

五和「……………………」

相変わらず戸惑いと警戒の色を滲ませながら、
五和は探るようにその女をジッと見つめる。

そんな彼女へ、これまた相変わらず淡々とした調子で口を開き。

ジャンヌ「私はジャンヌだ」

名乗る女。


五和「……………………は、はい…………」

これは自己紹介なのか。
攫って来た『敵』に自己紹介とは?

五和は、己の置かれている状況が今一つ掴めなかった。

49 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:25:44.60 ID:IxADFqYo

五和「………………五和です」

今だ戸惑いながらも、空気に押され気味でとりあえず名乗り返す五和。
と、その時。

ソファーの方から妙に色っぽい『唸り』声と、ごそごそと衣擦れの音が響いた。


「…………あ〜…………おはよ…………あぁ゛〜…………」

直後にむくりと身を起こし、背もたれの上にヌッ頭を出す感じで五和をジトッと見つめる、黒縁メガネの女。
寝癖なのかあちこちで黒髪がピンと跳ね、明らかに寝覚めが悪い不機嫌そうな薄目をした顔で。

ただそんな有様なのにも関わらず、
もう一人のジャンヌと名乗った女と同じく品と威厳が不思議な事に保たれており、
そしてそれ以上の妖艶な空気。


ベヨネッタ「…………私ベヨネッタ…………本名はセレッサだけど……そっちで呼ぶのはジャンヌとアイゼン婆さんだけ…………」


警戒の表情を崩さない五和に向け、どう見ても寝ぼけている状態でたどたどしく自己紹介。


ベヨネッタ「ン〜…………良い体してるわね…………お尻もおっぱいも合格…………美味しそうんふうふふ……おやすみ…………」

その後、ちょっと意味がわからない事を喋りそのままパタリと再び寝てしまった。


五和「………………………………」

ジャンヌ「基本的にだ。ソイツの言葉は真に受けるな」

五和「…………は、はい…………」

50 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:27:27.43 ID:IxADFqYo

一人はリラックスしながら本を読み。
もう一人はゴロゴロと二度寝。

五和「…………」

このあまりの緊張感の無さに五和は、
かなり警戒し緊張している己が段々と馬鹿らしくなってきてしまった。

そう、ここで身構えていても何も意味が無い。

警戒などいくらしてても、この二人がその気になれば己は一瞬で塵と化すだろうし、
こっちから攻撃しようと動き出しても、どうせ同じく一瞬で返り討ち。

五和「…………」

五和はここで認識する。
今の己には、『場』に抗う権利が無い事を。

ただ周囲に同調しその空気に身を委ねるしかない。


五和「はぁ…………」

肩の力を抜き、一度軽く息を吐く五和。
ある種の諦めをしたことにより、フッと緊張が抜けていく体。

そして柔軟になった思考で、最も重要なことをようやく口に出した。


五和「…………あの…………プリエステス……は?」

51 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:30:15.66 ID:IxADFqYo

ジャンヌ「プリ…………ああ、神裂か」

五和「は、はい!!!どこに……!?」

ジャンヌ「…………」

ジャンヌは本に目を落とし無言のまま、軽く顎を上げた。
五和の『後ろ』を指すような仕草。

五和「―――」

とその時。

真後ろから扉が開く音。
勢い良くその音の方へと振り向く五和。

そして。

目に入る、顔を火照らせている神裂。
長い黒髪は結われておらずに大きく広がり。
その頭の上には軽くタオルが掛けられていた。


神裂「おはようございます」


五和の姿を見、
シャワー上がりの神裂がさらりと『いつも』のように挨拶。

五和「お、おはようございます!!!!!!!プ、プリエステ―――!!!!」


神裂「まず湯浴みをして身なりを整えなさい。その後に朝食です。良いですね?」

そして小さく微笑みながら、まずは朝の嗜みを行うよう促した。


五和「…………は、はい!!!!!!」

52 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:33:11.22 ID:IxADFqYo
元気な神裂。
いつも通りの女教皇。

その姿と声により、五和の中が一気に活気に溢れた。

色々と話したい事があるものの、彼女はまず先に神裂の声に従い、
軽い足取りで神裂の傍をすれ違いながら浴室に向かっていった。

神裂「ふふ……」

神裂は小さく穏やかに笑いながら七天七刀を壁に立て掛け、
頭のタオルを取り、その柄の上に軽くかぶせて置き。

どこからともなく取り出した髪紐を指に引っ掛けながら、
両手で長い長い髪を纏め始めた。

ジャンヌ「…………良い子だな」

そんな彼女の方へ、相変わらず本に目を落としながら声だけを飛ばすジャンヌ。

神裂「……ええ。素晴らしき友であり、最高の戦士です。幼き部分が多少ありますが」

壁の方を向き、髪を纏めながら同じく声だけを返す神裂。

ジャンヌ「…………そこも気に入ってるんだろ?」

神裂「…………ふふ、まあ……」

ジャンヌ「……ところでバージルは知らないか?いつの間にかまた消えちまったんだが」

神裂「恐らく『時の腕輪』の調整の為、アイゼン様の下に行かれたかと」

ジャンヌ「そうか。で、『段取り』は聞いたか?」

神裂「はい。私がやるべき動きだけは一通り」


神裂「バージルさんの命が下り次第―――」



神裂「―――まずインデックスを『回収』、そして『設置』に向かいます」



神裂「用意が整っているのならば五和も連れて」

53 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:36:31.82 ID:IxADFqYo

バージルはフィアンマの行動を利用してインデックスを『所定の位置』に動かそうとしたが、
元々はこちら側が動かすつもりだった。

神裂が『回収』に向かうのが元の計画通りだ。


ジャンヌ「…………やれるか?」

神裂「……」

ジャンヌのやれるか?と言う問い。
神裂はすぐに悟った
それは『戦力的』な面ではなく。

『いざという時―――』


ジャンヌ「禁書目録の周囲、お前の『知り合いら』が固めてるんだろ?」


『―――その大事な戦友らに刃を振るえるのか?』という意味だと。

神裂は髪を結い終え、キュッと引き締め。
数秒間程押し黙った後。


神裂「………………………………ご心配なく」


ぽつりと言葉を返した。

小さくも強く響く声で。


神裂「やるべき事はやります。『必要』ならば」

54 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:39:31.76 ID:IxADFqYo

ジャンヌ「…………」

神裂「ところで、ジャンヌさんはどう動くんです?少し予定が変わったと聞きましたが」

ジャンヌ「私は明日からローラを追う。その後、時間になったらお前らに合流する」

神裂「……ベヨネッタさんは?」

ジャンヌ「バージル・アイゼン様と共に『神儀の間』にて『時の腕輪』の起動させる」

ジャンヌ「そしてお前が『事』を済ませ次第、『闇の左目』を覚醒させ『絶頂の腕輪』を持って出撃する」

ジャンヌ「バージルはそのまま、私らが『事』を済ませるまで『時の腕輪』の起動を維持する」

神裂「…………」

ジャンヌ「で、『大掃除』が終わり次第…………その後はバージルの『仕上げ』だ」

神裂「わかりました」

ジャンヌ「ああ、それとバージルの判断によるが、お前らはデュマーリ島にいつでも行けるように準備しとけ」

ジャンヌ「今はまだ想定範囲内だが、万が一がある」

神裂「…………」

そう、天界の口と魔界の口の開放が防がれたら全て瓦解だ。

ジャンヌ「そうだ。『弟と息子』が割り込んでくる以上、いつ何が起こるかわからん。右方の時もそうだったしな」

神裂「…………アリウスが作業を『代行してくれて』幸いでしたね」

ジャンヌ「まあな」

55 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:41:38.19 ID:IxADFqYo

神裂「ふぅ…………」

ひと段落おいてくるりと振り向き、ようやくジャンヌの方を見やった神裂。

神裂「…………ところで、何の本読んでるんですか?」

ジャンヌ「ああ、古本屋で見つけた詩集だ。授業に使えそうな感じでな、とりあえず目を通してる」

神裂「授業?」

ジャンヌ「まだ言ってなかったか?私は高校の教師をやっている」

神裂「きょ、教師ですか……!?」

ジャンヌ「今は一週間ほど出張、という事にしてるがな」

神裂「…………な、なるほど……」

ジャンヌ「そんなに意外か?」

神裂「い、いえ……あの…………『一般の魔術サイド』ならともかく…………」

神裂「『あなた方の世界』の方が、表世界の普通の職に就くとは思ってなかったので…………」

ジャンヌ「まあ、結構珍しいだろうな」

神裂「では…………ま、『まさか』ベヨネッタさんも何か……?」

ジャンヌ「…………こいつが普通に働くと思うか?」

神裂「いえ」

ジャンヌ「その通り」

56 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/10/11(月) 23:45:12.15 ID:IxADFqYo
神裂「…………さて…………では……」

神裂「キッチンはどこにあります?朝食を用意したいのですが」

ジャンヌ「そっちのドアを抜けて、廊下の奥から二番目の両扉」

今だ本に目を通したまま軽く右手を挙げ、その指で一方のドアを指すジャンヌ。

ジャンヌ「だが水は出ないぞ。年季の入ったネズミのクソなら山ほどでてくるが」

ジャンヌ「それと辛うじて動いてる冷蔵庫の中は酒だけだ」

神裂「…………はいぃぃ?」

ジャンヌ「残念だったな。ここで『日本風の朝』を再現するのは『裸踊り』しても不可能だ」

神裂「…………で、では、あなた方はいつも何を??!」


ジャンヌ「マクドナル○かバーガーキン○。たまにピザ。セレッサはスナック菓子で済ませる事もある」

ジャンヌ「奥のテーブルに昨日買ったバーガーとポテトが上がってるぞ。確か10個はあった」

ジャンヌ「菓子は冷蔵庫のとなりの棚だ」


神裂「(最ッッッ悪の食生活ですね…………)」


ジャンヌ「お前は悪魔なんだから気にするな。元々飲まず食わずでも問題ない」

神裂「ですがぁ…………やっぱり昔からの習慣でして……お味噌汁とご飯をお腹に入れなきゃエンジンがかからないというか……」

神裂「そ、それに!五和は普通の人間ですよ!五和の為に何か……!!」

ジャンヌ「……どうせここにはあと3、4日しかいないんだから我慢しろ。とりあえず今日はここにあるもんを食え」

ジャンヌ「私だって我慢してるんだ。普段はこんな『豚のエサ』なんざ食わん」

神裂「………………はぃぃ」

―――

ダンテ「学園都市か」34(準備と休息編)



posted by JOY at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 禁書クロスSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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