2011年02月17日

神裂「と、問おう。あなたが私のマスターか?」上条「」2

311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 12:13:01.97 ID:+XOmH4wE0
―新都 某ホテル―
土御門「なんとか逃げ切れたな」

海原「乱入されていなかったら危なかったですね」

一方「…………」

一方(あの第二位のヤツに助けられた、なンてのは何の冗談だァ? 俺も落ちたもンだな……)

一方通行は、先ほど目を覚まし、それから一言も発していない。

土御門「一方通行、お前能力使えないのか?」

一方「……あァ、そォだ。どォやら俺は足手まといみてェだな」

土御門「まったくだぜい」

海原(土御門さん言いすぎですよ……。ただでさえ相当落ち込んでいるんですから)

土御門「フン。それじゃあ、明日の行動予定について説明する」

海原「明日は何をするんでしょうか?」

土御門「明日はそれぞれ個別行動を取る」

312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 12:13:33.67 ID:+XOmH4wE0
一方「なンでそォなンだ? 理由があンだろうなァ?」

土御門「もちろんだ」

海原「それで何を?」

土御門「まず、一方通行は自分のスキルを見極めろ。お前もサーヴァントだ。何か持っているはずだからな」

一方「チッ」

土御門「お前もある程度戦力として数えたい。明日一日でなんとかしろ」

一方「ンなことは言われなくてもわかってる」

海原「能力関係ではないのでしょう? 一日で見つかりますかね?」

土御門「見つからなければ、主戦力としては考えない。銃での後方支援に回させてもらう。」

一方「まァ、それが妥当だろォな」

313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 12:14:12.16 ID:+XOmH4wE0
土御門「次に海原。お前は仲間になりそうなヤツを探して来い。お前は顔を変えられるから敵に狙われることもないだろ」

海原「仲間……ですか? それは他のマスターと手を組む、ということですか?」

土御門「いや、違う。今日の昼間に『超電磁砲』と、『原子崩し』が街中で暴れたそうだ」

一方「街中で、だと? あの警官どもはそれの後片付けってわけか」

土御門「幸い一般人に死傷者はでなかったが、常盤台のテレポーターがリタイア、アイテムの『窒素装甲』が戦闘不能になったらしい」

海原「それがどう関係するんでしょうか?」

土御門「問題は、その『窒素装甲』がマスターでも、サーヴァントでもないってことだ」

海原「ん、なるほど。そういった人を仲間にして戦闘を有利に進めるわけですね」

土御門「そうだ。できれば、俺たちのことを知っているやつ……。結標あたりがいると助かるんだが」

海原「探してみましょう」

314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 12:14:39.43 ID:+XOmH4wE0
一方「ンで? お前は何すンだ?」

土御門「俺はオリアナ……、垣根たちの動きが気になる。そっちを調べてみる」

海原「そういえば、『用事を済ませて帰るぞ』とか言っていましたね」

土御門「そう。俺たちの戦いを見る以外にも、港に目的があったと考えるのが妥当だろう」

一方「見当はついてンのか?」

土御門「いや、まだ何も。オリアナが現れたっていう学校と港の両方を調べてみる」

海原「そうですね。いいのではないでしょうか」

土御門「それから、明日は戦闘は一切行うな。敵を見つけてもやり過ごせ」

一方「了解だ。極めて了ォ解」

海原「わかりました」

322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:10:22.82 ID:+XOmH4wE0
三日目
―衛宮家 寝室―
御坂(うっ……。朝……?)

神裂「起きましたか? 体調はどうでしょう」

御坂(そうか。昨日、黒子は……)

御坂「神裂さん……。おはようございます。体調はもう大丈夫ですよ」

そう答えるが、明らかに元気はない。そこにふすまを開けて上条が入ってくる。

上条「よっと、お! 起きたか。大丈夫か?」

御坂「大丈夫に決まってるじゃない。私をだれだと思ってるわけ?」

上条「無理すんなって。ほら、朝飯。今日は休みだし、ずっと一緒にいてやるからさ」

神裂「あまり無理はしないでくださいね」

御坂「あ、二人とも……ありがとう……」

姫神(作ったのは私……)

323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:10:49.42 ID:+XOmH4wE0
―学校 校門―
土御門(さーて、どこから探したもんかにゃー?)

青ピ「おーっす。こんな日に学校くるなんて珍しいやん。なんか忘れもん?」

土御門「いや、探し物だぜい。どこにあるかも分からんのがつらいんだけどにゃー」

青ピ「まあ、がんばりやー。ほならなー」

土御門「じゃあにゃー」

土御門(さて、校内は後回し。まずは屋外からだ)

325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:14:20.15 ID:+XOmH4wE0
―教会裏の森―
一方(ここなら人もこねェだろ。さて、やっぱり銃からかねェ)

そう言って、近くの木に向かって、こちらに来るときに持っていた七発装填のオートマチックの拳銃を試し撃ちをしてみる。

ガンガンガンガンガンガンガン! 能力がなくとも大体同じところに当たる。

一方(だが、こンな精度じゃたかが知れてンな……)

そういい、リロードしようとしたとき――

一方(ン? 弾がもう入ってやがる……。これが能力ってか? オイオイ、使えねェにもほどがあンだろうが……)

そんなことを思い、もう少し試してみることにした。

ガンガンガンガンガンガンガン、カチン!

一方(今度は弾切れか……。能力は一度限りの自動装填か? ……どっちにしろ、こりゃ俺の役職は『ガンナー』で決まりみてェだなァ)

そうして、いろいろ試していく。

326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:14:53.34 ID:+XOmH4wE0
―学校 屋上―
土御門(さーて、ここには何かあるかにゃー?)

キョロキョロと歩きながら辺りを見回すと、貯水槽に単語帳のようなものがついているのを見つけた。

土御門(オリアナの『速記原典(ショートハンド)』……。さっそくビンゴか。だが、なんでこんなところに?)

以前土御門は、オリアナに手痛い目にあっているので、その速記原典には触れようとしない。

土御門(ふん。記述内容は……赤で『Wind Symbol』か)

これ以上のものは見つからないと感じ、土御門は港へ向かうことにした。

327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:15:39.51 ID:+XOmH4wE0
―商店街―
海原は深山町にある商店街まで来ていた。元の顔に戻して、である。
エツァリ(さて私はどこから探したものでしょうか……。私たちは基本的に仕事以外のプライベートではあまり関わりませんからね)

そんなことを考えていると、目の前で白い修道服をきた少女が、二人のミサカを連れて歩いてきていることに気づいた。

エツァリ(あれは!? 禁書目録と、御坂さんのクローンですか……。自分は今魔術を使っていませんし、バレることもないでしょう)

そう思い、隣を通り過ぎていく。

イン「明日は、とうまを誘うからちょっと豪勢にしたいかも」

御坂妹「そうですか、とミサカはあの人に久しぶりに会えるのを楽しみにしてみます」

10039号「では買い物を続けましょう、とミサカは先を促します」

そんな会話が聞こえてきた。

328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:16:21.74 ID:+XOmH4wE0
―港―
土御門「やっぱり、ここにもあったか」

土御門は、倉庫の壁の高いところに速記原典を見つけた。

土御門「なんでこんなところに……。ん?」

その速記原典には『Wind Symbol』と書かれている。赤字で。

土御門(オリアナは、同じ魔術を使わないはず。だがさっきのものとこれは、同じ魔術的な意味をもってる――)

土御門はそこで一つの答えに至った。

土御門(――ということは、これは、二つで一つの魔術と見るべきか)

だが、何か頭に引っかかる。なぜ起動されていない?

土御門(オリアナは衛宮邸にも行っていた――ということは範囲系の魔術か!!)

地図>>265を確認すると、学校、衛宮邸、港を結ぶ三角形には冬木市の半分くらいが入っている。

土御門(だが、これじゃまだ完全とはいえない。ってことは次は教会辺りか!? あそこには一方通行が――)

チッと舌打ちをして、土御門は教会へと走り出した。

329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:17:10.16 ID:+XOmH4wE0
―商店街―
結標淡希は教師である月詠小萌と夕飯の買出しに来ていた。
小萌「今日は、カレーにするのです」

結標「カレー? 難しくないの?」

小萌「野菜を切って、お肉と一緒に煮るだけの簡単バージョンですよ。いろいろ作り方もありますしねー」

そこに、外人の男が通りかかる。その男に紙の切れ端を渡された結標は小萌に言った。

結標「あ、悪いけど用事を思い出したわ。今日は練習パスで」

小萌「ええ!! それはないのですよ!? 結標ちゃんはカレーの嫌いな子なんですか!?」

結標「違うわよ。用事だってば」

そう言い残し、結標は小萌と別れた。

330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:18:10.84 ID:+XOmH4wE0
―教会裏の森―
一方(大体スキルは把握できた。あとは――)

ちょうどそんなことを考えているとき、金髪の女の外国人が教会の裏側に回ってきたのを見た。

一方(ンだァ? あの女は何してやがる?)

その女は教会の壁に何か貼り付けたかと思うと、そのまま立ち去ってしまった。完全に立ち去ったことを確認すると、一方通行は、それを確認しにいった。

一方(単語帳のページ……か?)

そこには赤で『Wind Symbol』と書かれたページが貼り付けられている。それを思い切り剥がすと、ビリビリに破いてその辺へと捨てる。

一方(ったく邪魔しやがって……)

そこに土御門が走ってくるのが見える。

土御門「おい、一方通行。ここに誰か来なかったか?」

一方「あァ? 金髪の女がきて、単語帳のページみたいの貼り付けてったが、なンかあったのか?」

土御門「そのページはどこに貼った?」

一方「あの辺だったか? だけどよォ、もう破いて捨てちまったぜ」

土御門「破いて捨てた……か」

土御門は、少し考えた後、一方通行に向かってこう言った。

土御門「スキルは把握できたか? できたら、一旦ホテルに戻るぞ」

一方「大体はな。今度はなにさせられンのかねェ……」

そういって、この夜、久々に『グループ』が集合した。

331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:18:56.57 ID:+XOmH4wE0
三日目 夜
―衛宮家 居間―
御坂「今日は本当にありがとう。わざわざ付いていてくれて」

上条「あんまり無理はするな。このゲームが終わるまではここに泊まっていってもいいんだぞ?」

神裂「一応まだマスターですからね、他の人から狙われる心配もあります」

御坂「ありがとう、お言葉に甘えさせてもらうわ……」

いつもなら、「大丈夫!」と言って断るところだろうが、まだそんな元気もないのかもしれない。

姫神「こうやって。また女の子が増えていく」

上条「仕方ないだろ。こんなに落ち込んでるのに外に放り出せねえよ」

姫神「む。それは確かにそう」

神裂「さて、夕飯の準備でもしましょうか」

特に戦いもなく三日目は終了した。

332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/03(木) 18:19:46.62 ID:+XOmH4wE0
ボツシーン1
―教会裏の森―
一方「特殊スキルねェ……。やっぱりアレはやっておくかァ?」

そういうとあのポーズをとる。

一方「かァーめェーはァーめェー波ァ―――!!」

しかし、何も起こらない。

一方「なーンか違ェな。」

そう思い、気合を入れなおす。

一方「かァァァァーめェェェェーはァァァァーめェェェェー……波ァァァァ―――!!!」

その様子をアレイスターに見られていたことは、一方通行は知らなかった。


337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:18:43.39 ID:YGYRCdmk0
四日目 朝
―衛宮家 寝室―
御坂「よし! もう落ち込むのはやめた!!」

御坂(黒子がゲームオーバーになったからって、こんなにくよくよしてたら、終わったときに黒子に笑われるわ)

神裂「なにやら元気がでてきたようですね」

御坂「ええ。心配させちゃったわね。もう大丈夫よ」

神裂「フフッ。では朝食にしましょう」

そうして四日目の朝が始まる。

338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:19:16.34 ID:YGYRCdmk0
朝食も終わり、今日はどうしようかしばらく悩んでいると、玄関のチャイムが鳴らされた。

上条「ん? 客か? ちょっと見てくる」

神裂「はい」

―玄関―
上条「はいはい。どなたですかーっと?」

ガラガラと玄関を開けると、そこにはインデックスが立っていた。

上条「イ、インデックス!?」

その声を聞いて、神裂が駆けつけてくる。

339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:19:44.68 ID:YGYRCdmk0
イン「別に今日は戦いに来たわけじゃないんだよ」

幾分、以前戦ったときよりも元気が戻っている気がする。

イン「とうまたちを、お昼ご飯に誘おうかと思ってきたの」

神裂「お昼ご飯ですか?」

御坂「罠じゃないの?」

神裂を追って御坂も玄関に来たようだ。

イン「そう思うと思って、一応信頼してもらうための用意もあるんだよ」

そういうと後ろに霊体化を解いたアックアが現れる。

上条「くっ!!」

とっさに身構えるが、インデックスは令呪の付いた右手を上げてこう言う。

「今日は、こっちからとうまたちに攻撃しない」
 ―インデックス 令呪残り二―

340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:20:10.65 ID:YGYRCdmk0
上条「えっ!?」

イン「これでとうまが攻撃してこない限り、バーサーカーは攻撃できないんだよ」

神裂「たしかにそうですが……。狙いはなんでしょうか?」

イン「ちょっとお話しがしたいな、と思って」

御坂「令呪使ったんだし、大丈夫かしら?」

そう御坂が言うと、インデックスがキッととうまを睨みつける。

イン「とうま! かおりがここにいるのは分かるけど、なんで短髪までここにいるのかな!?」

上条「ええっー!! いや、あのですね。イロイロ事情がありましてー」

イン「問答無用かも!!」

上条「やっぱり不幸だー!!」

そうして、一行はアインツベルン城へと向かった。

341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:20:42.30 ID:YGYRCdmk0
―アインツベルン城―
御坂妹「いらっしゃいませ、とミサカは久々に会うあなたに挨拶します」

10039号「いらっしゃいませ、とミサカは他の方々にも適当に挨拶します」

上条「おう。久しぶりだな、御坂妹」

御坂「適当にってね……」

神裂(同じ顔ですね……)

イン「こっちに用意はできてるんだよ」

上条「こ、これは……上条さんの一年分の食費ぐらいかかってそうな食事です!!」

御坂「アンタ、どんな食生活送ってんのよ! これくらい別に普通でしょ」

さらりと、格差社会を示す言葉をつぶやく。

神裂「いえ、これはあまり普通ではないかと……」

イン「とにかく座って、みんなで食べよう」

そうして、緊張感のある食事会が始まった。

342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:21:16.59 ID:YGYRCdmk0
上条「それで? なんでわざわざ呼び出したんだ?」

イン「お話しをしようと思ったんだよ」

やや顔を曇らせ、そう言う。

イン「できれば、とうまたちにこのゲームから降りて欲しいの」

上条「またそれか……」

神裂「それがどうしてか、はまだ説明してもらえないのでしょうか?」

イン「うん……。ゴメン……」

上条(またあの顔だ……。くそッ! どうしろっていうんだ!)

343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:21:44.70 ID:YGYRCdmk0
イン「どうしてかは言えないんだけど、『バーサーカー』の話しならしてあげる」

御坂「バーサーカーの?」

イン「うん。本来、バーサーカーの役職につくと、その人格が破壊されて、凶暴になるらしいんだよ」

神裂「そうでしょうか? アックアはかなり冷静に見えましたが」

イン「その特性を理性で押さえつけてるんだってさ。自分の力を制限してまで」

上条「というと制限を解いたのが、この前の叫び声の後か……」

イン「そうなんだよ」

神裂「では、魔術を使っていなかったのは……」

イン「魔術まで暴走しちゃったら、自滅しちゃうからね。自分の体内の調整だけで手一杯だって」

聖人も、筋肉だけを増強したところで、一定のライン以上の力を出してしまうと、自分の筋肉が内臓を圧迫してしまい、結果自滅してしまう。

そうならないよう、無理な力や速度を出した結果起こるであろう、あらゆる弊害や副作用を事前に推測し、補助的な魔術で摘み取っているのである。

344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:22:11.07 ID:YGYRCdmk0
上条「どうして、そこまでしゃべるんだ? 不利になるのに」

イン「できれば、とうまには勝てないって理解してもらって、降参して欲しかったんだけどね」

御坂「こいつにも、簡単に負けられない理由ができたのよ」

イン「そう……なんだ……。うん、じゃあもうこんなことは言わないようにするんだよ」

上条「悪いな、インデックス」

でも、とインデックスは続ける。

イン「私も簡単には負けられないんだよ」

上条「ああ。お前と戦うのは初めてだけど、手加減しねーからな!」

イン「うん! あ、とうま」

上条「なんだ?」

イン「このお昼ご馳走したかわりに―――頭をなでてくれないかな?」

上条「頭を? 別にいいけど」

そう言って、インデックスの頭に手を伸ばした瞬間、上条の右手が何かを打ち消すような音がした。

イン「―――ありがとう。やっぱり、とうまはとうまなんだね」

少しキョトンとした顔を見せた後、目に涙を浮かべながら彼女はそう言った。

345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:22:40.05 ID:YGYRCdmk0
―帰り道―
上条(一体あのとき何を打ち消したんだ……?)

上条は、御坂妹の運転する車の中、すっかり暗くなってしまった外を見ながら考えていた。

神裂「あの子が何も言ってくれない以上、私たちにはどうしようもありませんよ」

たしかにそうだ、と上条は思う。未だになぜ理由を言ってくれないのかわからない。

上条「御坂妹は何か知ってるか?」

御坂妹「いいえ、私は直接なにも聞いていません、とミサカは素直に答えます」

御坂「何かあの子の情報知らないかしら?」

御坂妹「そうですね……。たしか妹達のことをしつこく聞いてきたことはありましたが、それ以外は特に、とミサカは首を振ります」

神裂(妹達? 御坂さんの妹たちでしょうか?)

御坂「特に手がかりなしかー」

と御坂はつぶやいた。

346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 12:23:05.56 ID:YGYRCdmk0
御坂「あ! 私は今日は家に帰るわ」

柳桐寺を過ぎたあたりで御坂が言う。(参考>>265)

上条「大丈夫か?」

御坂「大丈夫よ。これ以上進むと遠くなっちゃうから、ここでいいわ」

御坂妹「わかりました、とミサカはうなずきます」

御坂妹は車を止め、御坂は車を降りる。

御坂「明日、また学校で」

上条「ああ、またな」

神裂「お気をつけて」

別れの挨拶を済ませると、家に向かって通ってきた道を引き返す。歩きながら、これからどうしようかを考えていた。

御坂(やっぱり、一人はきついかな? アイツの仲間になっちゃうべきかしら?)

そんなことを考えていると、柳桐寺の階段から誰か降りてくるのが分かった。その人物は――


――麦野沈利だった。


352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 18:12:05.75 ID:YGYRCdmk0
三日目 夜
―新都 某ホテル―
結標「で? 私を呼び出してなんの用かしら?」

不機嫌そうな顔をして結標が言う。

土御門「単刀直入にいう。俺らの戦いのサポートをしろ」

結標「はあ? なんでよ!?」

海原「一方通行さんが能力を使えなくて困っていましてね。こちらが一手足りないんですよ」

一方「…………」

結標「あら? それは面白いわね。前の借りもあるし、今返してしまいましょうか?」

土御門「それで、だ。」

結標「ん?」

土御門「参加すれば、最後まで勝ち残ったときに、なんでも願いが叶う。アレイスターからのお墨付きだ」

353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 18:12:38.10 ID:YGYRCdmk0
結標「は?」

一方「おィ。それは俺らだけじゃねェのか?」
                                       ・ ・ ・
土御門「あいつは最初に、『ゲームに勝ち残ったマスターのいるチーム』の願いを叶えるといった」

一方「帰り際に、教会に寄ったのはそれを聞くためか」

土御門「つまり、このゲームに勝ち残れば、『暗部にいる』なんて方法じゃなく、俺たちの守りたいものを守れることになる」

結標「それで? あのアレイスターが約束を守るとでも?」

土御門「ああ。それについては言えないが、そうでもなければ、俺はそもそもこんなゲームに参加していない」

結標「それもそうね……。――いいわ。協力しましょう」

土御門(これでコマはそろった。あとは――)

海原「それで誰を狙いましょうか? またあの幻想殺しですか?」

一方「いいや。――あのクソ野郎(第二位)だ」

354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 18:13:45.31 ID:YGYRCdmk0
四日目 午前中
―同所―
土御門「――というわけだ」

海原「なるほど。その規模の魔術を展開するつもりでしたか」

土御門「おそらく、攻撃魔術ではなく、探知魔術だろう。強い魔力に反応するとかな」

海原「そうなると、だいぶ厳しいですね。なにか策はあるんですか?」

土御門「できれば奇襲をかけたい。昨日、教会裏の速記原典は一方通行がやぶったから――」

海原「もう一度張りに来る、と? そのために他の速記原典は取ってしまわなかったのですね」

土御門「ああ、おおよそ正解だ。だが、一度付けた場所にもう一度付けに来るとは思えない」

海原「ではどの場所に?」

土御門「冬木市を囲めて、魔術的な意味でも効果を持ちそうなのは――ここだな」

356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 18:14:41.46 ID:YGYRCdmk0
海原「この◎のところですか?」

土御門「ああ。ここには現在使われていない洋館があった。多分そこを使うだろう」

海原「日時は?」

土御門「分からない。今から行って張り込みだな」

海原「あの二人には文句を言われそうですね」

土御門「結標には言われるかもしれないが、一方通行はあの垣根にご立腹だからな。案外俺たちには怒らないかもしれない」

海原「そうだといいんですが」

357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 18:15:14.27 ID:YGYRCdmk0
土御門「――という作戦で行こうと思う」

一方「あの野郎をブッ飛ばせるンなら、それで構わねェよ」

結標「本当に大丈夫かしら」

海原「時間も分かりませんし、早めに移動しましょう」

結標「わかったわよ」

358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 18:15:54.86 ID:YGYRCdmk0
―幽霊洋館―
土御門「じゃあ、俺、海原、一方通行は外に待機する。結標は洋館の中で待機を頼む」

結標「私は存在がばれてないからね。了解よ」

土御門「それで、この辺りにくるとは思うが、正確な場所までは分からん。ある程度距離を置いて待機する」

海原「では私はあちら側を」

一方「土御門、お前はここだ。俺はこっちへ行く」

土御門「あいつらが来たら各自の判断で奇襲してくれ」

二人は了解と手を上げ、霊体化して消え待機した。

359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/04(金) 18:16:32.70 ID:YGYRCdmk0
四日目 昼
結標(まだ来ないみたいだけど、お昼はどうすればいいのかしら?)

そんなことを思いながら、ポケットに入れていた飴を舐める。

すると、遠くに、空を飛ぶ物体が見えた。

――垣根帝督だ。金髪の女もぶら下がっている。

ゆっくりと洋館の正面に下りてくる。

垣根「なんでこんなところに連れてこられなきゃいけないんだよ、ったく」

オリアナ「ブツブツ言わないの。終わったら、お姉さんが相手してあげるから」

垣根「御託はいい。さっさと終わらせろ」

オリアナ「あらあら、人使いが荒いわね」

垣根「こんなところまで飛んでこさせたお前には、言われたくはないな」

土御門が二人に合図を送る。土御門、海原がオリアナ。一方通行が垣根を狙うというものだ。

土御門(よし、じゃあ行くぞ。五,四,三,二,一,〇!)

その瞬間、ガン! と銃声が鳴り響いた。

366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:18:26.35 ID:AeE2Wsm30
垣根「へえ〜。本当にお前の言った通り釣れたな」

一方通行の撃った弾をガードしながら垣根が笑って言う。

オリアナ「でしょ? その子はあなたにアゲル。私はこっちの二人と遊ぶわ」

土御門(しまった! 読まれてたか!!)

だからと言って、ここで止めるわけにもいかない。飛び出して行って、オリアナと垣根を分断しようとする。

だが、元々分担するつもりだったのか、二人は別の方向へと移動する。オリアナを土御門、海原で追っていく。

海原が槍の照準をオリアナに向けたとき、オリアナは速記原典を一枚口で千切った。そうすると、オリアナの周りが歪んだ。

オリアナ「フフッ。おそらくあなたの攻撃は光に関係してるんでしょ? だから私の周りの空気の温度を操って、屈折させてもらってるの」

海原(くっ!)

土御門「うおおおおッ!」

それならばと、近接戦闘を仕掛ける土御門に、オリアナは強烈な風をお見舞いした。

367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:18:57.94 ID:AeE2Wsm30
垣根「よお! 第一位、殺しに来たぜ」

垣根を追ってきた一方通行を確認すると、笑いながらそう言った。

一方「チッ。調子付きやがって」

拳銃を構える第一位に対し、余裕を見せる垣根。それもそのはずである。一方通行が万全な状態であるならば、銃を使う必要もないのだから。

垣根「能力は戻ってねえみたいだな」

笑いながら、一方通行を見る。

その声に反応するように、一方通行は六回引き金を引く。だが、垣根には届かない。

垣根「もうお終いか? 弾切れかよ、つまらねえ。装填したらどうだ? そのくらいならゆっくり待ってやる」

一方「そォかよ」

と、そのまま引き金を引く。ガン! と弾が発射される。弾が入っていないと思っていた垣根は、防御が一瞬遅れた。

垣根の頬をかすめていった弾丸は、一筋の線を残していった。

垣根「テメエのスキルは自動装填ってか? もういい、あばよ」

そういい、垣根は六枚全ての翼を羽に変換し、一方通行へと飛ばした。

その瞬間、彼の目の前のものが丸ごと吹き飛んだ。

368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:19:30.48 ID:AeE2Wsm30
強烈な風で土御門を吹き飛ばしたオリアナは、海原の方へと近づいていく。

海原「くっ」

トラウィスカルパンテクウトリの槍を発動させるが、あらぬ方向へと曲がってしまう。

オリアナ「そうれっ!!」

そんな掛け声と共に、距離を詰めた海原に強烈な蹴りを喰らわせる。

海原「ぐああああああっ!!」

土御門「くそっ!」

土御門がオリアナに向かって再度走り出した時――


――ガラガラと洋館が崩壊した。


369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:20:01.55 ID:AeE2Wsm30
垣根「ははははははははは!! 完全に吹き飛びやがった!!」

彼の目の前から三〇〇mはもう何もなくなってしまっている。

……だが、その瞬間―――後ろから悪魔の声が聞こえた。


一方「何がだ?」


ガンガンガンガンガンガン!! と六発の弾丸が発射される。垣根の攻撃が当たる瞬間、結標のテレポートで後ろに移動したのだ。

今まで、結標が垣根に攻撃しても、未元物質がある以上、確実に命中するとは限らない。ギリギリまで粘っての奇襲しかないという作戦だ。

ただ、多少距離があったことやテレポートされたことによる目算の誤差などにより、右肩、左わき腹、左ももに当たるが即死には至らない。

一方通行は撃ち終わっても引き金を引き続けていた。カチンカチンと空を切る音が聞こえる。

垣根「ぐごっっっ!! テレポーターか………、――ふざけやがってえええええええ!!」

再び背中から翼を生やすが、演算に乱れがあるのか、一本しか生えてきていない。

だが、それを強引に振り回し、近くで隠れられる場所――洋館へと叩きつけた。

370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:20:29.45 ID:AeE2Wsm30
垣根「はははははははははッ!! これで終わりだ!!」

そういい、『未元物質』による翼を一方通行に向けて振ってくる。

一方「オマエがなァ!!」

一方通行が凄惨な笑みを浮かべると、その引き金を引いた。

すると先ほどまで空を切っていた拳銃から、ガン! と弾丸が発射された。

371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:21:14.75 ID:AeE2Wsm30
垣根「がっ! バ……カな……」

そう言って、頭にモロに弾丸を喰らった垣根が倒れた。

一方「俺のスキルは、自動装填なンかじゃねェンだわ。あえて言うンなら『瞬間装填』だろォなァ」

拳銃に自動的に装填されるのではなく、『自分の意思』で好きなときに装填できるというのが、彼の特殊スキルだった。

一方「じゃあな。クソッタレ」

そう言って倒れた垣根に六発の弾丸を浴びせた。

372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:21:42.74 ID:AeE2Wsm30
オリアナ「あら? お姉さんのマスターも案外だらしないのね」

それを見ていたオリアナは、そんなことを言うと霊体化してどこかへ消えてしまった。オリアナを追跡するのは不可能だろう。

土御門「にゃー。なんとか生き残れたぜい。さて、次狙うのは柳桐寺のマスター辺りにするか?」

気を抜いたように、息を吐きながら土御門が言った。

海原「そこら辺は作戦を練りましょう……。それにしても、彼女は強いですね」

土御門「肉弾戦メインの俺には魔術、魔術メインのお前には体術と使い分けてたからな」

海原「正直、もう戦いたくはありません」

土御門「まったくだぜい。とりあえず、一方通行とどっかでゲロ吐いてるだろう結標探してさっさと撤退するか」

海原「そうですね」

海原は笑いながら同意すると、結標を探しに行った。

373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 12:22:09.71 ID:AeE2Wsm30
ボツシーン2
オリアナ「これが私のライダーのスキルよ!!」

そういって垣根の背中に乗ると、手綱のようなものが垣根の頭に絡まる。

垣根「ふほー!! はんはほらー!?(くそー! なんじゃこりゃー!?)」

土御門「マスターをここまで足蹴にするサーヴァントは、さすがにいなかったにゃー」

土御門はそんなことをつぶやいた。

オリアナ「行くわよ? 騎英の手綱(ベルレフォーン)!!」

ものすごい勢いでグループの四人が吹き飛んだ。

378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 18:29:31.50 ID:AeE2Wsm30
四日目 夕刻
―柳桐寺 麓―
柳桐寺は山の上にある。その山の麓、階段の前には一組の男女がいた。
麦野「ったく。さすがに一昨日のは目立ち過ぎたか」

浜面「当たり前だろ。絹旗も戦闘不能になっちまったしよ」

麦野「つまり、浜面はしばらく私だけの下僕ってことよね?」

浜面「ちげーよ!? もう少し仲間の心配とかしたらどうなの!?」

麦野「これでも心配してるのよ……」

浜面(麦野……)

麦野「私の負担が増えるんじゃないかってね☆」

浜面「くそおおおおおおおお!! 騙されたああああああああ!!」

379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 18:30:27.29 ID:AeE2Wsm30
二人は階段を上っていく。

浜面「我々は身を隠すために、この冬木市の端にある柳桐寺まで来たわけです」

麦野「誰に向かって言ってんのよ。気味悪いから近づかないでくれる?」

浜面「もうこんな扱いにも慣れましたよ!!」

そんなやり取りをしながら昇っていき、階段も残り少なくなってくるとそこに山門とお寺が見えた。

浜面「さーて、それじゃさっそく見学を―――」

???「待ちたまえ。君たちはプレーヤーだろう? その山門を越えてきたら攻撃させてもらうよ」

山門の向こう側には身の丈二mはある神父と、黒い光沢を放つクワガタのような髪をした男が立っていた。

380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 18:31:01.54 ID:AeE2Wsm30
浜面「なんでお寺に神父が!?」

建宮「日本じゃ神仏融合なんて珍しくもないのよな。確かに、キリスト教と混ざるのは聞いたことねーけども」

麦野「そういうあなたたちもプレーヤーなのかしら?」

ステイル「そういうことになるね」

建宮「お前さんたちが、最初の敵だからお手柔らかに頼むのよ」

麦野「分かったわ。じゃあ軽く行きましょうかね」

そう言った瞬間、麦野は容赦なく原子崩しを赤髪の神父に向けて放った。

381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/05(土) 18:31:27.57 ID:AeE2Wsm30
その原子崩しがステイルを貫く。しかし、彼は笑って言う。

ステイル「まったく気の早い人だ。では、こちらからも行かせてもらおうか!」

浜面「ゲッ! あれ喰らってなんともないのかよ」

建宮「お前さんの相手はこっちだ!」

建宮は日本刀を抜くと、浜面に向かって一閃した。いつものフランベルジュは手元になく、代わりにお寺にあった刀を拝借したのである。

浜面「どおおおおおおっ! あっぶねー……」

前転をするようにその攻撃を回避すると、銃を構えて、その男に撃った。

だが当たらない!

……これはただ単に浜面の腕の問題だった。

麦野「ヘタクソ!」

そんな言葉が隣で神父と戦っている麦野からかけられる。

387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 12:06:18.32 ID:SZQK89QT0
ステイルは麦野の原子崩しに耐えたわけではない。蜃気楼による屈折現象を利用したのである。

彼はルーンのカードを懐から取り出すと、炎の剣に変える。それを麦野に対して振るった。

麦野たちは能力者だから気が付かなかったが、ステイルは詠唱をしていない。これが、キャスターとしての特殊スキルである。

麦野「へえ〜。あんたは発火能力者(パイロキネシスト)なの? だいぶ能力も強そうね」

そう言って、原子崩しをロケットエンジンのように発射してその炎を回避する。

隣を見ると、浜面(マヌケ)が銃を外していた。

麦野「ヘタクソ!」

そんな言葉を投げかけ、どう状況を打開しようか考えた。

388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 12:06:45.14 ID:SZQK89QT0
ステイルは一度、二人と距離をとって言う。

ステイル「僕がここに留まっているのには理由があってね」

麦野「へえ? お聞かせ願えるかしら?」

建宮「お、もうあれを使うのか? せっかちな男なのよ」

ステイル「僕は、攻撃よりも一箇所で守る方が得意なのさ。――来い! 『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』!!」

その瞬間、摂氏三〇〇〇度を越える巨人が、二人の前に現れた。

建宮の知識を利用し、地形に沿ってルーンのカードを配置しているため、大きさは五mほどもあった。

日も落ちてきた境内で、太陽のように燃え盛っている。

389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 12:07:21.86 ID:SZQK89QT0
浜面「こ、これはないでしょう!?」

麦野(これはマズイわね……思った以上に厄介だわ)

浜面は、その巨人に対して銃を撃つが、弾が当たる前に蒸発してしまっている。

麦野「撤退するぞ! 浜面!」

ステイル「すんなり帰すと思うかい?」

そうステイルが言うと、『魔女狩りの王』は持っている炎の十字架を横薙ぎに振るう。

麦野「チッ!!」

浜面「ちょ、これはっ!!」

それは、もはや爆発だった。境内は炎の海と成り果てた。

建宮「あーああ、跡形も残ってないのよな」

ステイル「そういう攻撃だからね」

そう言って魔術師二人は踵を返した。

390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 12:07:48.39 ID:SZQK89QT0
麦野「くそっ!!」

麦野は原子崩しを使い回避できたが、浜面を助けるほどの余裕はなかった。

麦野「なんだっていうんだよ。あのデタラメな能力は!」

勝つのは難しいと悟り、階段を下りてゆく。頬がヒリヒリと痛い。先ほどの攻撃で軽い火傷でもしたのだろうか?

御坂「待ちなさいよ!」

やっと階段を降りきったところで、いきなり声をかけられる。

麦野「あ?」

振り返ると、そこには御坂美琴が立っていた。

391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 12:08:16.40 ID:SZQK89QT0
御坂「あんたには黒子のこともあるからね。ここで決着つけてやるわよ」

麦野は非常にいらついていた。浜面を失った直後に会ったのが、よりにもよって御坂だったのだから。

御坂「ここなら周りに人もいないし、私の体調も万全。十分に力を発揮できるわ!」

麦野「調子にのりやがって……。一対一なら勝てるとか思ってんのかあああああああ!!」

そう言って、原子崩しを乱射する。

御坂「今日は随分暴走してるのね。前回黒子がテレポートしてくれなきゃ、私もそうなってたかもしれないけどさ」

冷静に、原子崩しの軌道を曲げながら言う。

392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 12:08:50.48 ID:SZQK89QT0
麦野「舐めてんじゃねえ!!」

そう言って、乱射を続ける麦野に対して、御坂は電撃を飛ばした。

麦野「くっ!」

麦野が原子崩しを使い高速に移動する。

御坂「それなら!!」

以前は街中でできなかったが、電撃を一点に集中させるのではなく、広い範囲に放った。

御坂(点での攻撃じゃなく、面での攻撃なら速度があっても当たる!)

麦野「ぐおっ!!」

麦野の動きが一瞬止まる。

御坂「そこっ!」

その瞬間、地面から伸びた砂鉄の剣が麦野を貫いた。

393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 12:09:17.26 ID:SZQK89QT0
御坂「フン。冷静ならもうちょっといい勝負ができたかもしれないけどね」

砂鉄の剣は、麦野の肩を貫いている。もう、痛みでまともに演算もできないはずだ。

麦野「くそおおおおおおお!!」

だが、それでも麦野はいつくもの原子崩しを発射する。

御坂「ちょ、あんたそれ以上やったら、自爆するわよ?」

ニヤリと麦野は笑うと、全身から原子崩しを放出した。

395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 18:07:06.16 ID:SZQK89QT0
五日目
御坂は目を覚ますと昨日と同じ部屋にいた。衛宮家である。

―衛宮家 寝室―
御坂「あれ? なんで私ここに?」

外をみるともう、昼過ぎくらいにはなっているだろうか?

上条「お、目覚ましたか?」

御坂「なんで私がここにいるのかしら? 確か昨日、『原子崩し』と……」

上条「ああ。昨日御坂に聞きたいことがあったの忘れてて、俺も車降りて引き返したんだよ」

御坂「ってことは……」

上条「なんか危なそうだったから、あの光から守ったんだが」

御坂「そう、助かったわ……。で、聞きたいことって?」

上条「いや、白井がいなくなったけど、これからどうするのかってさ」

御坂「え?」

396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 18:07:34.98 ID:SZQK89QT0
上条「ほら、落ち込んでて聞けなかったろ? リタイアするなら止めねーし」

御坂「それだけ?」

上条「はい?」

御坂「それだけを聞くためにわざわざ引き返してきたっていうの?」

上条「いや、他のマスターのことも言ってなかったなーと思ってな」

御坂「それどころじゃなかったからね」

上条「で、どうするんだ?」

御坂「……もうちょっとだけ続けるつもりよ」

そうつぶやいた。

397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 18:08:08.66 ID:SZQK89QT0
―――
マスターを失ったオリアナは、土御門が柳桐寺にマスターがいると言っていたので、そこに向かっていた。

オリアナ(そろそろマスターを見つけておかないとゲームオーバーになっちゃうのよね。あの幻想殺しよりマシなマスターかしら?)

―柳桐寺―
オリアナが山門をくぐった瞬間、目の前に二人の男が現れる。

ステイル「二日連続で来客とはね。―――オリアナ=トムソン。それ以上進入すると、撃退させてもらうよ」

建宮「そういうことだ。おとなしく帰るのが、ベストってことなのよ」

オリアナは薄く笑う。

オリアナ「あら? 貴方たちのどちらかが、ここにいるマスターなのかしら」

ステイル「答えると思っているのかい? 大人しく帰った方がいい」

オリアナ「そういう訳にもいかないよのねえ。お姉さん、マスターがいなくなっちゃったから、新しいパートナーを探してるの」

建宮「そりゃご苦労なことで」

オリアナ「だけど、あなたたちは好みじゃないわ。でもどうせだし、ここで消えてもらってもいいかしら?」

そう言うと、単語帳のようなものを胸から取り出す。

398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/06(日) 18:08:34.45 ID:SZQK89QT0
建宮(おい。あのエロい姉さんはどんな魔術を使うんだ? それによって対策が変わってくるのよ)

ステイル(あの『速記原典』で色々な攻撃をしてくるのさ。同じ術式は二度使わないそうだよ)

建宮(そりゃ、まったくやりにくい相手なのよな)

オリアナ「そうね。赤髪の坊やは腰が砕けるのが早かったけど、そっちのツンツン頭のヒトはどうかしらね」

そう言って速記原典のページを千切った。

400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/07(月) 12:01:52.51 ID:1wT/tFnH0
そこからは、水のムチのようなものが伸びる。

オリアナ「いくわよ?」

そのムチが二人に向かって伸びてゆく。だが、難なく避ける。

建宮「さーて、お次は――」

だが、避けたはずのムチが自分を追って急にカーブしてきた。ありえない動きだった。

ステイル「油断しないでくれよ」

そういって、水のムチを炎剣で燃やし尽くす。

オリアナ「あら? 坊やも多少火力を上げたのね」

ステイル「いつまでも同じだと思わないで欲しいね」

建宮「今度はこっちから行くのよなぁ!」

そういい、攻撃に向かうのと同時に、相手が避けたときのための追撃術式を組み立てていく。

401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/07(月) 12:02:18.29 ID:1wT/tFnH0
それに対して、オリアナは前に向かってきた。

建宮「なっ!」

驚く建宮に、魔術のハンマーを振り下ろす。

建宮「くっ!」

なんとか軌道を逸らすが、刀にヒビが入ってしまった。

ステイル「まったく。相変わらずキミはすごいね。オリアナ=トムソン」

左から回り込んだステイルが、炎剣を振るう。

オリアナ「ほめられるほどのことでもないわ」

炎剣を防御するため、同等の威力の火球を飛ばし、相殺する。

炎がぶつかり爆発を起こしている間に、オリアナは距離をとっていた。

402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/07(月) 12:02:46.03 ID:1wT/tFnH0
三人はオリアナがここに来たときと同じような配置に戻っている。

つまり、山門前にオリアナ、それと向かい合うようにステイルと建宮が立っている。

オリアナ「そろそろ決着をつけましょうか? そういえばお姉さんあまり時間がないのよね」

そう言うと、速記原典を二枚引きちぎる。ステイルたちが身構えていると、その内の一枚がステイルに似た人形のようなものに変わる。

オリアナ「フフッ。これがなんだか分かるかしら?」

ステイル「それは僕の人形かい? どんな魔術かな?」

オリアナ「いいえ。これは魔術でできた人形であって、魔術って訳じゃないの」

もう一枚の速記原典をくわえたままそう言う。建宮は怪訝な顔をして聞く。

建宮「これで許してください、ってか? お前さんが言いたいのは、そういうわけじゃねーんだろ?」

オリアナ「こういう風に使うのよ!!」

そう言うと口にくわえていた速記原典をステイルに向かって投げた。それと同時にもうオリアナは後ろに向かってその人形を落とす。

ステイル「こんなもの!!」

両手から出した炎の剣を振り、飛んでくる速記原典を吹き飛ばす。

オリアナ「この魔術は、投げられた『速記原典』への攻撃魔術に反応して、その術者と私が設定した物体との位置を交換してしまうの」

ステイルは、視界がブレたと思うと、いつの間にかオリアナの後ろ側にいた。自分が先ほどまでいた場所には、さきほどの人形が見える。

403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/07(月) 12:03:12.13 ID:1wT/tFnH0
オリアナ「とう!!」

ステイル「ぐううううううッ―――」

オリアナは、呆然としているステイルを後ろの階段に蹴り落としながら、さらに三つものページを千切り、建宮の方に飛ばす。

すると、その速記原典が透明な球体に変わる。オリアナが放った魔術は、『熱源の圧縮弾(フローズンボム)』。

着弾地点の周囲の熱を吸収し、圧縮して爆弾とする魔術だ。蝋燭の火くらいでも、手榴弾程度の威力になる。

防御したのでは、その部分が凍ったあとに、起爆までするのでひとたまりもない。

建宮(今度は何が起こるかわからんのよ。むやみに移動するよりは――)

その『熱源の圧縮弾』に対して、建宮は防御術式を組み立て始めたので、オリアナは完全に勝ったと思ったが――


――そこで予測できなかったことが起きる。


ステイル「―――こ、来い!! 『魔女狩りの王(イノケンティウス)!!』」

先ほど蹴り飛ばしたステイルが、階段から落ちながらも建宮の前に『魔女狩りの王』を呼び出したのだ。

柳桐寺の地形にそってルーンのカードを配置しているため、巨大な『魔女狩りの王』が現れる。

404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/07(月) 12:03:38.40 ID:1wT/tFnH0
オリアナ(!! マズ――)

オリアナが危険を感じた時にはもう遅く、『熱源の圧縮弾』は『魔女狩りの王』に当たる。着弾した地点がごっそりと削れた。

建宮「これは!? 『魔女狩りの――」

ステイル(くっ!!)

今ので『魔女狩りの王』の形を保てず、爆発すると感じ、特殊スキルである詠唱破棄により一瞬で耐火魔術を完成させる。

その瞬間、『大爆発』が起こった。

柳桐寺が丸ごと吹き飛ぶほどの爆発が、だ。

階段から落ちていたステイルは、爆発が上に向かって起こったことや耐火魔術を完成させていたこともあり、階段の踊り場まで落ちるだけで済んだ。

ステイル(ぐっ……。あの距離で爆発を受けた二人は、さすがに助からないかもしれないね)

彼が、今まで山門があったところを見上げた瞬間――


――背後に白い修道女と、メイスを持った大男が現れた。

423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:23:09.39 ID:5CiAHnFQ0
―衛宮家―
上条「な、なんだ今の音は?」

御坂「どこかで爆発でもあったのかしら!?」

上条「くそっ!」

神裂「ど、どこへ行こうというのですか!?」

上条「このゲームで誰かが戦ってんだろ! 確かめるんだよ!」

神裂「いけません! そのような危険な場所に行かせるわけには……」

御坂「私も賛成。今日はもう日も落ちるわ。明日になってから確認に行きましょう」

上条「くそっ!」

424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:23:45.30 ID:5CiAHnFQ0
―新都 某ホテル―
一方「これから俺たちはどォすンだ?」

土御門「残っているマスターは、カミやん、禁書目録、超電磁砲そして、柳桐寺にいるマスターだ」

海原「御坂さんにはサーヴァントがいませんし、それ以外となると、勝ち目があるのは……柳桐寺のマスターでしょうか?」

結標「なに? 一方通行が能力使えないからって勝ち目があるのは、一組しかいないの?」

土御門「それなんだけどにゃー。カミやんのとこにも禁書目録のところにもスゲーのがいるんだぜい」

一方「できれば、そいつらで潰しあってもらえりゃァいいンだがな」

土御門「それはそうだが、待ってるだけという訳にもいくまい」

海原「それも、そうですね。では明日は柳桐寺に向かうということで」

結標「場所はどこなの?」

土御門「深山町の一番遠いところだ」

結標「結構歩くのね……」

425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:24:11.62 ID:5CiAHnFQ0
六日目
―柳桐寺跡―
土御門「ここか」

土御門(ん?)

海原「これはひどいですね……」

一方「どォすりゃこォなンだよ」

結標「あなたなら、能力でこのくらいできるんじゃない?」

土御門「こりゃ、ここのマスターたちは生きてはいないだろうな」

土御門(これはステイルのしわざか?)

一方「ンで? 俺たちはこれからどォすンだ?」

土御門「ここに拠点を構えて、迎撃する方向で行く」

426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:24:49.02 ID:5CiAHnFQ0
海原「どういうことですか?」

土御門「残っている連中は二組とも聖人が残ってる」

結標「聖人?」

一方(あの女か……)

土御門「人間の動きを越えた奴らだと思えばいい。そいつらには、正面から行っても勝てないだろう」

海原「それで、なぜここに拠点を?」

土御門「ここは、魔力の吹き溜まりだ。風水を見てもかなりいい条件だ」

一方「あァ? 意味わかンねェよ」

土御門「ここなら、なんとかなるかもしれないってことだぜい」

427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:25:15.30 ID:5CiAHnFQ0
海原(で、結局どうするんですか?)

土御門(ここなら、運動能力に見合った枷をはめる術式が組めそうだ)

海原(つまり、あの聖人の運動能力を下げて対抗するってことですか?)

土御門(俺たちの運動能力も下がるけどにゃー)

海原(それで大丈夫なんですか?)

土御門(大きい力を持つものには、過大な負荷をってね。カミやんには効かないだろうがな。準備するから手伝え)

海原(わかりました)

428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:25:45.03 ID:5CiAHnFQ0
―柳桐寺 麓―
上条「この上で、一体何があったんだ?」

御坂「それを確かめに来たんでしょ?」

神裂「では、行きましょう」

―柳桐寺跡―
上条「なにもねぇな。寺の柱とかが、その辺には刺さってるけど」

御坂「ここにあったお寺ごと吹き飛ぶって、どんな爆発だったのよ……」

神裂(当麻。わずかですが魔力の痕跡があります)

上条「じゃあ、やっぱりここにいたのはステイルか?」

神裂「そうかもしれません」

429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:26:15.16 ID:5CiAHnFQ0
―柳桐寺跡 中腹―
土御門「カミやんたちもここに来たか……」

海原「準備はあらかた終わっています。仕掛けますか?」

一方「あいつらに不意打ちってのは頂けねえなァ」

結標「負けるわけにもいかないでしょうよ」

土御門「それもそうなんだがな」

海原「では、起動しますよ」

土御門「おい。まだ待――」

そしてその術式は起動された。

430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 12:26:41.29 ID:5CiAHnFQ0
―柳桐寺跡―
神裂「ぐうううっ!!」

御坂「な、なんなのこれ!?」

上条「どうした!?」

神裂「急に体が重くっ……。敵の魔術かもしれません」

上条「くっ。触ってもだめか! 術者は近くにいるんだな?」

土御門「その通りだぜい」

神裂「土御門!!」

上条「なんでお前がここに……」

土御門「そりゃ、おそらくカミやんと同じ理由ぜよ」

上条「ってことは、あいつらも……」

海原「ええ。港以来ですね」

御坂(海原光貴!? いや、あれは、あのときのニセモノの方?)

上条「あれ? 一方通行は?」

土御門「あー、あいつはにゃー。杖ついててたから、この術式起動したときに立てなくなったぜよ……」

神裂「彼は本当に強いのですか?」

上条「そのはずなんだけどな……」

433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 18:12:13.72 ID:5CiAHnFQ0
上条「それで? 今日はここでやろうっていうのか?」

土御門「ああ。どうやら、ここ以外じゃ俺たちに勝ち目はなさそうなんでね」

御坂「私も参加させてもらうわよ?」

海原(困りました。御坂さんには攻撃できません)

土御門(じゃあ、俺がカミやんをひきつける。お前はねーちんを頼む)

海原(できるだけやってみますが、御坂さんはどうするんです?)

土御門(倒れてる一方通行と結標でなんとかしてもらうさ)

土御門「じゃあ、いくぞ。カミやん!」

海原「神裂さんの相手は僕がしましょう」

神裂「望むところです」

御坂「私は……?」

結標「あなたの相手は私がしてあげるわ」

御坂「座標移動(ムーブポイント)、結標淡希ね……」

434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 18:12:39.93 ID:5CiAHnFQ0
結標「この前みたいに簡単に終わるとは思わないでね」

御坂「あら、そう? じゃあもっと早く終わらせるわ!」ビリ

結標「そうは行かないわ!」シュン

御坂(ん? 自分自身をテレポートさせた!? でも今感じた違和感は……)

結標がテレポートした瞬間に、彼女の背中から何か違和感を感じた。だが、確認している暇もない。

結標「今度はこちらから行かせてもらうわ」

そういうと、その辺に落ちている、爆破の名残であろう木片を御坂に向かって飛ばす。

435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 18:13:10.33 ID:5CiAHnFQ0
御坂「うわっ!?」

御坂(それ程大きな物もないし、動いてれば当たらないと思うんだけど、体が重くて思うように動かないわね)

御坂「これならどう?」ビリ

そういうと、地面から砂鉄の剣を結標に向かって伸ばす。

結標(連続のテレポートはきついけど、泣き言をいってる暇はないわ)

砂鉄の剣をテレポートでなんとか回避する。

御坂(やっぱり! もしかしてこれは……)

結標(かといって、こっちの攻撃は動かれていればなかなか当たらない……。それなら!)

今度は近くにあった木片を、御坂の進行方向の足元へと飛ばす。

御坂(しまっ――)

御坂はそれにつまづき、倒れてしまう。動きを止めてしまってはだめだ。そう思った御坂は返しに、結標に電撃を飛ばそうとした。

結標(よし! これで、次の攻撃を回避すれば一方通行が決めてくれるでしょう)

436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 18:13:38.56 ID:5CiAHnFQ0
一方通行は上条たち三人に見つからないところに姿を潜ませ、チャンスをうかがっていた。奇襲のチャンスは一度きり。

一方(俺は隠れて適当に撃てばいいンだろ? だが、あのオリジナルを撃てるか?)

ちょうどそんなことを考えているときに、御坂が足を取られて転んだ。これ以上のチャンスはない。

一方(チッ。仕方ねえ。手か足にでも――)

だが、その瞬間思考が停止した。

437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/09(水) 18:14:07.48 ID:5CiAHnFQ0
結標は御坂が、頭の前に放電しているのを見て、このタイミングなら避けられる、と思っていた。――が、テレポートが発動しない。

結標(な、なんで!? なんで電極が働かないのよ!?)

御坂は、結標がなにか電気的な補強をしていることに気が付き、辺り一体に電磁波を放出していたのだ。

一方通行は、ミサカネットワークから遮断され、結標の低周波振動治療器にも影響を与えていた。

彼女は、九月十四日以来、低周波振動治療器なしでは能力を使えなくなっている。

御坂「残念だったわね」

そこそこに威力を抑えた電撃が、結標に直撃した。

448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 12:12:57.42 ID:Qgbk+SCt0
土御門「じゃあ、いくぞ。カミやん!」

真っ直ぐ上条に向かって走り出す。だが、その速度は明らかに遅い。

上条「うおおおっ!」

一方、拘束術式の影響を受けていない上条の動きはいつも通りだ。だが、それでも、土御門の方が場慣れしているらしい。鋭いパンチが上条の顔にささる。

上条「ぐうううっ!」

土御門「これくらいのハンデがちょうどいいだろ? 来いよ、カミやん。まだまだこれからだろ」

挑発するように言う。

上条「当たり前だ……。いくぞ、土御門!」

449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 12:13:24.55 ID:Qgbk+SCt0
海原(ぐっ。こちらは凌ぐのが精一杯です……。いつまで持つか分かりません)

神裂「はああああっ!」

神裂の動きは明らかに鈍い。体力にそこまで自信のない海原が、ギリギリところで回避し、槍で牽制することで粘っていた。

海原(かと言って、彼女と土御門さんが戦っても勝てはしないでしょうけど……)

土御門も、制限されている力は大きい。上条にも、経験による実力差で勝っているだけに過ぎない。動きは、上条の方が良さそうなくらいだ。
もちろん、上条にもここ最近で、いろいろ経験を積んでいるが、それはほぼ対魔術師や能力者に限られてくる。
拳同士による経験は、路地裏のケンカくらいで、それほど積んでいるわけではないのだ。
一方の土御門は、特別な右手もなしに、体一つでそれらを相手にしてきている。経験の質も量も違っていた。

海原(どちらにしろはやく決着をつけて欲しいものです)

450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 12:14:02.33 ID:Qgbk+SCt0
上条(土御門は明らかに動きが鈍っている! それなら、回避され易いストレートなんかじゃなく……)

近づいてくる土御門に対して右のミドルキックを仕掛ける。

土御門(ここまで、体が重くなるなんてな。これは避けられんが)

その上条のキックを体の左側で受けとめると、返しに右の拳をボディに叩き込んだ。
上条の蹴りをまともに受けても、大してダメージを受けていないように見える。

上条(くそっ! このままやられるわけには!!)

思い切り重いダメージをくらった上条だが、なんとかその右拳を握り、土御門の顔へと叩き込もうとする。だが――

土御門「そんなパンチじゃプロの俺は倒せないぞ」

そんなゾッとするような言葉がかけられる。
土御門が、左腕で上条のパンチの軌道を変えると、さきほどボディに叩き込まれた土御門の右拳が、今度はアッパーカット気味に上条の顎に当たる。
その一撃を受け、後ろに倒れてしまう。

上条(くっ、早く立たないと……)

しかし、土御門は追撃はしてこない。逆に少し距離を取り、上条に話しかけてきた。

451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 12:14:31.37 ID:Qgbk+SCt0
土御門「カミやんに叶えたい願いがあるように、俺たちにも成し遂げなければならないことがあるんだよ」

上条がなんとか立ち上がる。土御門が発動したという術式がなければ、立てもしなかっただろう。
それにこんな真面目になった土御門を見るのは、あの旅館のとき以来ではないかと思う。

土御門「だから悪いが、カミやんにはここで倒れてもらうぞ」

そう短く言うと、土御門は上条に向かって走り出した。これで止めを刺すという気迫が伝わってくる。

上条「俺だって負けられない。悪いが、勝ちはお前に譲れないんだ!」

上条も負けじと土御門に向かって走り出す。距離はもうない。その上条に、物凄い勢いで土御門の左拳が襲いかかった。

452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 12:14:57.17 ID:Qgbk+SCt0
土御門「これで終わりだ。カミやん!」

土御門の左ストレートがガツンと音をたて、まともに上条の額に当たる。

土御門「んなっ!?」

だが、その強烈な一撃をくらっても、上条はそこで止まらない。確かに、土御門より実戦経験は乏しいかもしれない。
しかし、強烈な攻撃を何度もくらった経験なら、土御門よりもたくさんあった。

上条「うおおおおおおおおおおおおっ!!」

そのまま、さらに一歩前に踏み出し、右のフックで土御門の顔面を狙う。

土御門「くっ」

とっさに、土御門は右手でそれをガードした。――いや、してしまった。
そのまま、上条の右拳は、土御門の右手ごと顔に突き刺さっていった。それと同時にキュイーンと何かを打ち消す音が響いた。

453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 12:15:24.90 ID:Qgbk+SCt0
当然、その程度の攻撃では土御門は倒れない。蹴りでもあまりダメージがなかったのだ。満身創痍の上条の拳で倒せるような相手ではない。

土御門「……そういうことだったか。―――カミやん、俺の負けだ」

倒れはしなかったが、土御門は戦いに負けていた。令呪の消えた右手をヒラヒラと上条に見せる。

上条「土御門……」

土御門は上条の方をじっと見たかと思うと

土御門「海原、一方通行、結標。俺たちの負けだ。帰るぞ」

近くで戦闘していた海原、やっと演算能力の戻った一方通行、気絶している結標にそう声をかける。

海原「そうですか。仕方ありません」

一方「チッ」

そう言い、海原は拘束術式を解くと、一方通行と結標を回収して消えてしまった。

土御門「これで残るマスターは三人だ。がんばってくれ、カミやん」

土御門は今どんな気持ちなのか、上条には分からなかった。そのまま、彼は、振り向きもせず、柳桐寺の階段を下りて行く。

土御門「アレイスターの野郎……」

去り際に、土御門がそう呟くのが聞こえた気がした。

454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 12:15:51.63 ID:Qgbk+SCt0
ボツシーン3
一方(チッ。仕方ねえ。手か足にでも――)

その瞬間、一方通行の持っていた拳銃がバラバラに分解された。

海原「御坂さんには手出しさせません!」

海原の槍による効果だ。

御坂「助かった?」


土御門・一方・結標「海原あああああああああああ!!」



460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 18:43:32.21 ID:Qgbk+SCt0
―柳桐寺跡―
御坂妹「お疲れ様でしたと、ミサカはあなたたちに労いの言葉をかけます」

御坂「あ、あんた、何でここに!?」

上条「御坂妹か。ってことはインデックスの使いか?」

御坂妹「その通りです、とミサカは肯定します」

神裂「それで、何のようでしょうか?」

御坂妹「あなたたちを、明日、アインツベルンの城に招待します、とミサカはあのシスターの伝言を取り次ぎます」

上条「インデックスからの招待状ってわけか……」

神裂「どうしますか?」

上条「最後の戦いだ。こっちから行ってやるさ。インデックスも罠を仕掛けてくるタイプとは思えないしな」

御坂妹「それでは了承した旨をあのシスターに伝えます、とミサカは確認をとります」

上条「ああ、頼んだ」

御坂「それじゃあ、一旦帰りましょうか」

御坂(私は……)

御坂妹「それではまた明日会いましょう、とミサカは名残惜しんでこの場を立ち去ることにします」

461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 18:43:58.50 ID:Qgbk+SCt0
―衛宮家 居間―
上条「っててて」

神裂「すみません。私が付いていながら」

上条「いや、そんなことはねえよ。なんとか土御門を倒せたんだ。結果オーライだろ」

御坂「その割には、大分あっさり引き上げていったわね」

上条「そりゃ、マスターがやられたんだ。あのまま続ける理由なんてないだろ?」

御坂「あのね、マスターはサーヴァントがやられてもゲームオーバーじゃないように、サーヴァントもマスターがやられても、そこで終わりじゃないのよ?」

神裂「それはどういうことでしょうか?」

御坂「つまり、サーヴァントは新しいマスターを見つけて、再契約をすれば、まだゲームを続けられるのよ」

神裂「当麻か御坂さんに再契約を持ちかけてきても、おかしくなかったということですか」

御坂「もっとも、一方通行は私たちとは組まないでしょうけどね。海原(偽)なんかは分からないけど……」

上条「どちらにしろ、あと残ってるのは、俺たちとインデックスだけなんだ。明日には決着がつくさ」

神裂「そうですね」

462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 18:44:28.52 ID:Qgbk+SCt0
上条「ところで、明日の作戦なんだが……」

御坂「悪いけど、私は残るわ。アンタたちのお邪魔でしょうし」

上条「となると……」

神裂「アックアの相手は私がしましょう」

上条「大丈夫か? かなりきついと思うぞ」

神裂「作戦というほど大それたものではありませんが、策はあります」

上条「あのアックアが攻撃魔術を使えないのはいいが、あいつは特殊スキルがあるんだぞ?」

神裂「いえ、あの状態にするのが、私の勝利条件ではないかと考えています」

上条「そうか。その辺はお前に任せる」

御坂「アンタは何すんのよ」

上条「え? それは神裂の邪魔にならないところで……」

御坂「ところで?」

上条「インデックスに説教でも」

神裂「別にあの子は何も悪いことはしてないと思いますが……」


そしていよいよ決着の日が訪れる。


463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 18:44:55.02 ID:Qgbk+SCt0
七日目
―衛宮家 玄関―
上条「よし。じゃあ行くか」

神裂「はい」

御坂「あ、ちょっと待って。神裂さん、行く前にコイツと二人で話がしたいんだけどいいかしら?」

どうしますか? という目で上条の方を見る神裂。

上条「ああ、じゃあ悪いが神裂は先に外で待っててくれ」

神裂「はい。分かりました」ガラッ

464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 18:45:24.70 ID:Qgbk+SCt0
上条「で、話ってなんだ?」

御坂「今日、あんたはあのシスターと決着つけにいくんでしょ?」

上条「ああ。今日で全部終わりだ」

御坂「そう。このゲーム、あんたのおかげで割と楽しかったわ」

上条「御坂?」

御坂「それだけよ。こんなこと言うの二人きりじゃないと恥ずかしいじゃない。ほら行ってきなさい! と、その前に……」

そう言って御坂は手を差し出す。

御坂「まあ、ちょっとの間一緒に戦ったんだし、最後に握手くらいね」

上条「ん? ああ、そうだな」
            ・ ・
そう言って、上条は右手を差し出した。

465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/10(木) 18:45:52.01 ID:Qgbk+SCt0
御坂の令呪を打ち消した音が辺りに響く。

上条「み、御坂……」

御坂「な〜に、なっさけない顔してんのよ! 勝って記憶を取り戻すんでしょ?」

そうだ。上条当麻には勝たねばならない理由がある。

上条「ああ」

力強くそう答えた。あとはインデックスとの一騎打ちだ。

玄関を飛び出し、待っていた神裂に確認する。

上条「行くぞ、神裂! 最後の戦いだ!」

神裂「はい!」

二人はアインツベルンの城を目指す。

468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/02/11(金) 12:04:57.16 ID:WEEzYK2D0
―――
―アインツベルンの森―
上条「いよいよか……」

神裂「そうですね」

御坂妹「お待ちしていました、とミサカはお決まりのセリフをかけてみます」

上条「御坂妹?」

御坂妹「はい。お二人にはそれぞれ別の場所で戦っていただきます、とミサカは連絡事項を伝えます」

神裂「別の場所というと……」

御坂妹「貴女はこのアインツベルンの森でバーサーカーと、貴方はアインツベルンの城で、とミサカは引き続き伝えます」

上条「俺はインデックスと戦うのか?」

御坂妹「はい。一人助っ人がいます、とミサカはあなたに注意を促します」

上条「そうか。サンキュー。じゃあ、俺は城に向かう。神裂はアックアを頼む」

神裂「わかりました」

469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 12:05:25.77 ID:WEEzYK2D0
―――
―アインツベルンの森 深部―
神裂「この辺りにいますね……」

アックア「待っていたぞ。極東の聖人」

神裂「アックア……」

アックア「一人では私には勝てないと分かっていると思ったのだが」

すごい威圧感が周囲に広がる。広いアインツベルンの森を歩いてきて、動物を一匹も見なかったのはこのためか。

神裂き「ええ、以前はそうでしたが、今回はそうはいきません」

その威圧感をさらりと受け流し、答える神裂。

アックア「私が、得意の水魔術を使えないと知って勝機でも見出したか?」

バーサーカーとして、狂気を理性で抑えつけるのが精一杯で、彼は魔術が使えない。そんな状態で魔術を使おうとすれば、待っているのは自滅だ。

神裂「ええ。その通りです」

神裂は笑って、七天七刀を構える。気負いのようなものは感じられない。


アックア「おもしろい。ならば、それを証明してみろ」


その瞬間、二人の聖人は激突し、世界から音が消えた。

470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 12:05:51.96 ID:WEEzYK2D0
―――
―アインツベルン城―
イン「待ってたんだよ。とうま」

ステイル「来ないかと思ったよ」

上条が城に入った途端、二人から声をかけられる。助っ人というのはステイルだったのか。

上条「助っ人っていうのは、ステイルか」

ステイル「ああ、そういうことだ」

上条「柳桐寺にいたんじゃなかったのか?」

ステイル「僕はあそこで偶然助かってね。そこをこの子に拾ってもらったのさ」

あの爆発から生き残ったというのも驚きだ。あれだけの爆発でどうやって生き残ったのだろうか?

上条「そうかよ」

もっとも、どんな理由にしろ、負けるわけにはいかない。

ステイル「まさか、インデックスを守る立場である君と戦うことがあるとは思わなかったよ」

上条「それに関しちゃまったくの同感だ。」

上条はステイルとの距離はそれほどない。踏み出していけば、十歩もないだろう。

イン「とうま、負けられないんだよ」

インデックスはステイルの後ろからそう声をかけてきた。インデックスの記憶を取り戻すためにインデックスと戦うなんて、おかしなことだと思う。

ステイル「長々とお話をするために来たんじゃないだろう? こい!! 上条当麻!!」

471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 12:06:22.15 ID:WEEzYK2D0
その言葉を合図に上条当麻は一歩目を踏み出す。上条は、何度か共に戦ったステイルの弱点を分かっている。

上条(接近しないと俺の攻撃は届かない! この距離はステイルの距離だ!)

ルーンのカードを周囲に撒きながら、ステイルは言葉を紡ぐ。彼も、以前戦ったときとは異なり、上条当麻の手の内を知っている。

ステイル「この手に炎を。その形は剣、その役は断罪!」

ステイルの右手から、赤い炎の剣が飛び出した。キャスターの特殊スキルは、『詠唱破棄』であるにもかかわらず、『詠唱とともに』である。

イン(それでいいんだよ。とうまはキャスターであるステイルのスキルを知らない!)

ステイルは、上条の足を止めようとその炎剣を、横薙ぎに振るう。爆発のような炎の塊が上条に向かって近づいてくる。

上条「そんなもんが効かないっていうのは分かってんだろうが!」

上条は右手を体の前に出すと、その炎の中に突っ込んでいく。爆炎を打ち消し、再びステイルとインデックスを視界に捉える。

ステイルとの距離はもうそれほどない。彼は右の拳を強く握り締め、ステイルに飛びかかった。


上条「これで終わりだ!」


幾人もの相手に打ち勝ってきたその右手が、ステイルの顔を貫いた。

475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 18:40:51.55 ID:WEEzYK2D0
―――
―アインツベルンの森―
神裂の七天七刀とアックアのメイスが真正面からぶつけられると、二人を中心に衝撃波が生まれた。
その衝撃波で、近くの木々は吹き飛び、二人の足は地面にめり込んだ。

神裂(しかし、これでも以前よりは出力が下がっています!)

神裂「七閃!!」

神裂はワイヤーを操り、アックアに対して攻撃を仕掛ける。これで学園都市の戦いで傷をつけたことがある。ダメージは通るはずだ。

アックア「ふん!」

しかし、アックアはそのメイスを振り、ワイヤーを引き千切る。だが、その程度で神裂は攻撃の手を緩めない。
セイバーとしての特殊スキル「治癒能力の向上」は神裂との相性に最適だった。唯閃を使用しての長時間戦闘を可能にしている。
金属音が幾重にも重なり二人の聖人の戦いは続いていた。そんな中アックアが神裂に話しかける。

アックア「今回は限界がなかなか来ないのであるな。何か細工でもしたか?」

神裂は手を止めずに答える。

神裂「ええ、それがセイバーとしての私のスキルのようです」

アックア「それにしては、だいぶ抑えて攻撃をしているのではないか?」

アックアは神裂の刀をかわし、メイスを振り下ろしながら言う。

神裂「私としては、当麻があの子から令呪を消すまで耐えればいいわけですし」

メイスを受け流しながら、さらりと答える。半分は本気だ。あとの半分は、アックアに勝つためにワザと煽るようなことを言っている。
あのバーサーク状態にこそ、勝機を見出しているからである。

アックア「なるほど。そういうことであるか」

メイスで、神裂を吹き飛ばし、距離を取る。神裂は、わざと後ろへ飛んでいるのでダメージはない。

アックア「ならば、出し惜しみなど不要。いくぞ」

神裂(それを待っていました)

その声と共に、荒野と成り果てている場所に咆哮が響いた。

476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 18:41:19.06 ID:WEEzYK2D0
―――
―アインツベルン城―
上条の拳は文字通りステイルの顔を貫いていた。しかし、手ごたえがない。

ステイル「これは君も知っていると思ったんだがね」

後ろからステイルの声が聞こえる。今になって、オルソラを救出したときに彼が蜃気楼を使っていたのを思い出した。

上条「し、しまっ―――」

振りぬいた拳をそのまま止めず、後ろを向こうとする。

ステイル「これでお終いだ、上条当麻!!」

炎の双剣が瞬間的にステイルの両手に現れ、ゼロ距離の攻撃が上条を襲う。
上条が振り向いた瞬間、容赦のない爆炎が彼を飲み込んだ。

ステイル「どうだ!?」

爆炎に向かってそう言うが、警戒は解かない。あの男は、死んだと思ったそこからが本番なのだから。
しかし、それでも今のは手ごたえを感じた。無傷とは行かないはずだ……。

上条「まじで死ぬかと思ったぜ」

ところどころ服は燃え落ち、髪からも焦げたような匂いがする。だが、生きている。
上条は、間一髪でその右手をステイルとの間に差し込んでいた。たしかに無傷ではないが、それにしても、予想よりもダメージが少な過ぎる。

ステイル「くそっ」

慌てて次の炎剣を発生させる。しかし――

上条「遅せえ!!」

今度こそ、上条の右拳がその炎剣ごとステイルの顔を捉えた。

477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 18:41:47.54 ID:WEEzYK2D0
―――
―アインツベルンの森―
神裂(それを待っていました)

神裂「七閃!!」

アックアの咆哮が始まると同時に、神裂はワイヤーを操る七閃を繰り出した。しかし、目的はアックアではない。
彼女は、ワイヤーで三次元的な魔方陣を作成する。

神裂(体内にかけている補助魔術を乱せれば!!)

聖人である彼女は、内臓を潰してしまわないように、どの程度の魔術をどの部位に対してどれだけかける必要があるか、ということを十分に理解している。
そうでなければ、ここまで戦えない。ワイヤーで作った魔方陣は、それを乱すものだ。電波を電磁波で妨害するようなものといえば、分かりやすいだろうか。
もちろん、通常の状態ならば、自分もアックアも、なんの問題もない程度の効果しか生み出さない。

神裂(しかし、今のアックアは暴走状態です。これなら―――)

アックア「」

ズドン!! と、もの凄い勢いのメイスが振り下ろされる。

神裂(やはり! スキルで攻撃力は上がりましたが、スピードは格段に落ちています!)

しかし、威力の上昇具合はもの凄く、前回戦ったように、攻撃を受けてしまえば骨折どころでは済まないかもしれない。
だが、今までよりも、神裂にとっては戦いやすいと思えた。

神裂(このような戦いにおいて、重要なのはスピード! 当たれば、結局倒されるのですから、力はもはや関係ありません!)

そして、アックアを暴走状態にしたのには、もう一つ理由があった。
それは『唯閃』を当てるためである。唯閃とは、神速の抜刀術。特定の宗教に対し、別の教義で用いられる術式を迂回して傷つける必殺の一撃だ。
アックアは、神裂と同等かそれ以上に多種多様な術式に精通していた。だからこそ、今まで防がれていたのである。
それを、この暴走状態でまで、できるとは思えない。

神裂「今です!!」

一瞬の隙を見せたアックアに対し、唯閃を放つ。狙いは、本人ではない。メイスだ。武器をなんとかすれば戦闘が終わると思ったからである。

そして、その斬撃は、見事アックアのメイスを根元から切り落とした。

478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 18:42:14.49 ID:WEEzYK2D0
―――
―アインツベルン城―
イン「ステイル!!」

上条の拳を喰らい、ステイルは後ろに吹っ飛んだ。

ステイル「ぐぁっ!? ん……?」

ステイルは倒れたまま、何かに気づいたような顔をしている。

上条「さあ、インデックス。俺の勝ちだ!」

土御門には効かなかったが、ステイルは体を鍛えているわけではない。今の一撃で立てないだろうと思ったが――

ステイル「くっくっくっく……はっはっはっはっは!! そういうことだったのか」

そんなことを言いながら、ステイルは再び上条の前に立ちふさがった。その顔は先ほどまでとは明らかに違う。

ステイル「やっぱりこの子の言っていたことは正しかった」

上条にはステイルが何を言っているか理解できない。

上条「何をいってやがる……?」

ステイル「いいや、君は知る必要はないよ。僕が知っていれば、立ち上がるには十分な理由なのさ。それに―――」


ステイル「この子を『僕が』守っているということを忘れていたよ。それに気付いてしまったからには、僕は君ごときの攻撃で倒れるわけにはいかないんだ」


そう言って、彼はインデックスを一瞥すると、詠唱を紡ぎだす。


479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 18:42:41.31 ID:WEEzYK2D0
ステイル「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ」


どれだけの歳月を労しても、戻れないと思っていたこの立ち位置に、今、ステイルは立っている。
――忘れていたのではなく、そんなことはありえないと頭のどこかで思っていたのかもしれない。


ステイル「それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する光なり」


以前、一人の少女を守るために掴み取った技術があった。
そのために要した多くの痛みや苦しみに今さら後悔などあるはずはない。


ステイル「それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を罰する凍える不幸なり」


――嬉しくなった。用済みになったと思われたこの技術を、また少女を守るために使えることを。


ステイル「その名は炎、その役は剣」


一年前に失ったものが大きかっただけに、こんな状況でも、彼の心の隙間が、埋まっていくのを感じた。


ステイル「顕現せよ」


――守ると決めた少女が、再び自分を見ている。そう思うだけで、ステイル=マグヌスは、全身に力がみなぎっていくのを感じていた。


ステイル「我が身を喰らいて力と為せ―――『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』!!」


ステイルは、大量のカードを床にばら撒く。そのカードのルーンは、彼を中心に渦を巻いて収束していく。
それと同時に摂氏三〇〇〇度の紅蓮の巨人が彼と上条当麻の間に出現した。


ステイル「行くぞ、『魔女狩りの王』―――」


この少女のためにも、目の前の男に負けることなどできない。

『たとえ君は全てを忘れてしまうとしても、僕は何一つ忘れずに君のために生きて死ぬ』

――そう誓った。


ステイル「Fortis931―――我が名が最強である理由をここに証明しろ!!」


そういって、14歳の少年は、全力で一歩を踏み出した。

480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/11(金) 18:43:13.51 ID:WEEzYK2D0
ボツシーン4
ステイル「Fortis931―――我が名が最強である理由をここに証明しろ!!」


そういって、14歳の少年は、全力で一歩を踏み出した。


インデックス(詠唱は必要ないんだよ……)

482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/11(金) 23:00:06.45 ID:rDp4pKFAO
やだ…なにこのステイル素敵…

483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 00:03:50.79 ID:DYFkBiKeo
14歳は何度聞いても違和感あるよなww

486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/02/12(土) 12:22:15.32 ID:Va4p/fk60
―――
―アインツベルンの森―
唯閃による攻撃が成功し、ゴドンとアックアのメイスが地面に落ちる音がする。

神裂(これで勝負は付きましたね)

そう警戒を解いた瞬間、アックアの拳が、神裂のこめかみに衝撃を加えた。その威力で、一〇〇m近く吹き飛んでしまう。
気を抜いたところにもらってしまったので、そのダメージは計り知れない。

神裂(ぐっ……。なぜ、そこまでして戦闘を続けるのでしょうか? このまま続ければ、死んでしまうかもしれないというのに)

インデックスに対する忠誠心だろうか? 答えは違った。

アックア「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

アックアはただ暴走しているだけだった。これでは、もはや獣と同じである。

神裂「くっ!! ならば、気絶させるしかありません!!」

セイバーのスキルは外傷のみで、脳の揺れまでは治してくれないようだ。ふらつきながら立ち上がる。

アックア「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

ものすごい勢いで、アックアと神裂の距離が縮む。徒手空拳でもアックアは未だ脅威なのだ。
ここで、神裂は予想外のことに気付く。アックアのスピードが増している! ワイヤーが切れて、魔方陣が壊れたのか? そんなことではない。
だた単に、メイスがなくなったことでスピードが上昇していたのである。

神裂(これでは、手加減をする余裕はありません!!)

七閃を繰り出し、アックアの動きを止めようとする。だが、そのワイヤーをものともせずに、神裂に向かって突っ込んできた。
彼の体には大量の切り傷が浮かび、血が流れる。だが、進む勢いは止まらない。アックアの攻撃を七天七刀で受け続ける。
拳に魔術的な補強をしているのか、金属と金属のぶつかるような音が、鳴り響いた。

487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/02/12(土) 12:22:49.80 ID:Va4p/fk60
―――
―アインツベルン城―
上条(あれは……)

上条は目の前に現れた炎の巨人に相対していた。

上条(あれと戦うのは初めてだな)

共に何度か戦った記憶はあるが、ステイルと対戦したという記憶はない。

上条(あれも俺の右手で――。いや……)

そこで思考を止めるな、と叫んでいる自分がいる。

上条(そうだ! 確か、大覇星祭で、あの『魔女狩りの王』にさわったときには、アイツは消えなかったはずだ)

そう、オリアナと対戦したときに一度触っている。あれがなければ、今頃、あれに向かって突っ込んでいたかもしれない。

上条(どうする……?)

488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/02/12(土) 12:23:38.09 ID:Va4p/fk60
ステイル(どうする……?)

ステイルは上条よりも焦っていた。魔術とは生命力を変換したものであり、なんとか立っている今の状態では『魔女狩りの王』を維持するので精一杯だ。

ステイル(時間がない。ならばこちらから仕掛ける!)

ステイル「行け! 『魔女狩りの王』!! そこの男を燃やし尽くせ!!」

その声を合図に、炎の巨人が上条に襲い掛かる。

上条(前見たときよりも、動きが遅い? これなら――)

『魔女狩りの王』の攻撃を右手一本で払うと、一旦距離を取る。そこで気付く。右手で触っただけで、『魔女狩りの王』は一回り小さくなっていた。

上条(ステイルも限界ってわけか! 本人を狙うよりも、まずはこの『魔女狩りの王』を消す!)

そして、上条は炎の巨人に向かって駆け出す。

490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/12(土) 18:04:50.04 ID:Va4p/fk60
―――
―アインツベルンの森―
そんな攻防がどれだけ続いただろうか。神裂も受け続けるのがきつくなってきた。

神裂(そろそろだと思うのですが……。ぐうううううっ!!)

肩にアックアの一撃をくらってしまう。衝撃は受け流したものの、それでも数mは後ろに吹き飛ばされる。
その隙を見逃さず、暴走したアックアはもの凄いスピードで神裂に迫ってきた。これは避けられないかもしれない。

アックア「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」

神裂「間に合いませんか……」

そう言ったとき、なんの前触れもなく、アックアの体は糸が切れたように地面に崩れた。神裂が反撃したわけではない。
失血により、気を失ったのだ。七閃で何ヶ所も体を切っていたので、その傷口からは大量の血がこぼれている。
むしろ、よく今まで倒れなかったというくらいの量であった。

神裂「ギリギリでしたか。まあ、あなたも人間ですからね」

そう言い、手当てを済ませると、神裂はアインツベルンの城へ向かった。

491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/12(土) 18:05:20.24 ID:Va4p/fk60
―――
―アインツベルン城―
一方、上条とステイルはまだ戦っていた。しかし、優勢はほぼ決まっている。
右手によって『魔女狩りの王』もすっかり小さくなってしまってたのである。おそらく、次に上条の右手に触られたら、それだけで消えてしまうだろう。

ステイル「くそっ!! 『魔女狩りの王』!!」

なんとか向かってくる上条を止めようと、ステイルが命令を出す。だが―――

上条「これで終わりだ!! 消えろ!!」

上条の右腕が大きく振り上げられる。今の『魔女狩りの王』では避けることもできない。ステイルには、もう上条に勝てるような切り札は残っていなかった。


―――しかし、まだ『インデックス』には一つ切り札が残っていた。


イン「JAB(砕けろ)!!」

スペルインターセプトだ。

上条「し、しま――」


大きく拳を振り上げていた上条の目の前で、『魔女狩りの王』が起爆した。

492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/12(土) 18:05:46.97 ID:Va4p/fk60
その爆発で上条は直撃を受けてしまった。体が五mは離れていた壁に叩きつけられる。

上条「がはっ!!」

そのまま地面に落ちてしまう。意識がもうろうとしてしまっている。ステイルは、もうそちらを見ていなかった。

ステイル「しかし、キミも無理をするね。僕ですら、あんな無茶なことはしないよ?」

イン「だから、あの大きさになるまで使えなかったんだよ」

インデックスと言えど、少しタイミングを間違えてしまえば、『魔女狩りの王』とともにステイルまで吹き飛んでいただろう。そのくらいの綱渡りだった。

ステイル「さて、君は立ち上がれるのかい?」

改めて、ステイルは吹き飛ばした方を見ると、その男はまだ床に倒れていた。

上条「くそっ……」

歯を食いしばるが、とても立てそうにはない。

ステイル「だろうね。あの男ならそれでも立ち上がってくるんだろうが……」

あの男とは誰だろうか、と思ったところで意識が途切れた。


494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 12:25:14.80 ID:P36tg/Kj0
―――
神裂がアインツベルンの城にたどりついた時には、既に勝負はついていた。彼の右手によって、左手の令呪が消えてしまっている。

神裂「そうですか……。当麻は負けてしまったのですね」

ステイル「ああ。悪いが僕らには負けられない理由があるのでね」

イン「そのためにも、こうするしかなかったんだよ……」

神裂「そうですか」

神裂は、上条の手当てをし始める。

ステイル「放っておいても、もうじき全て終わるんだ。わざわざ手当てするほどのことでもないと思うが」

神裂「いえ、せめてもの侘びのつもりですので」

ステイル「好きにするといいさ」

495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 12:25:41.80 ID:P36tg/Kj0
イン「これでマスターは私一人になったんだけど、かおりはどうする?」

上条の手当てを終えたところへ、インデックスがそう聞いてきた。

神裂「どうする、とはどうのような意味でしょうか?」

イン「私のサーヴァントになれば、いろいろ話せるんだけど」

ステイル「僕たちがなんのために戦っているのか、とかね」

神裂「……遠慮させていただきます」

イン「……どうして?」

神裂「今回私は、上条当麻に恩を返すつもりで参加しました。ですので、彼を守れなかった私が、そちらに付くことはできません」

ステイル「そうかい……。それじゃあ僕たちは教会へ向かうとするよ」

イン「……。わかったんだよ、かおり」

そうして二人は教会へと向かった。

496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 12:26:13.27 ID:P36tg/Kj0
―――
―教会―
アレイスター「ようこそ。君が勝ち残ったのだね」

イン「そうなんだよ」

ステイル「いいから、さっさと進めて欲しいね」

アレイスター「まあ、いい。それでは問おう。君たちの願いは何かね?」

イン「私たちの願いは――」


イン「『元の世界に戻して欲しい』なんだよ」


アレイスター「やはりそうか。この世界は住み心地がいいのではないのか?」

イン「でも、ここにはいられない。だって―――」


イン「とうまは、まだ帰ってきてないんだもん……」


497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 12:26:44.04 ID:P36tg/Kj0
アレイスター「いいだろう。では元の世界に戻そうじゃないか」

ステイル「あんな魔術を使うなんてね。しかし、一体何のためにこんなことを?」

アレイスター「話す義理もないが、まあ、教えてやろう。私の趣味は人間観察だ。特に、幻想殺しの周辺の人間は非常におもしろい」

イン「そんなことで……」

アレイスター「さて、もういいだろう。全員を元の世界に戻す」

イン「…………」

ステイル「チッ」

そして、二人は最初に元の世界へと戻っていった。


502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:42:10.60 ID:P36tg/Kj0
―――
アレイスター「聞いていたのだろう? 土御門元春」

物陰から土御門が姿をあらわす。闇から急にでてきたような出現のしかただった。

土御門「ああ。俺も真実に気付いたからな」

アレイスター「ほう……真実かね」


土御門「これは『黄金練成(アルス=マグナ)』なんだろ?」


そうアレイスターに問いかけた。

503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:42:38.09 ID:P36tg/Kj0
アレイスター「なぜそう思うのだ?」

土御門「簡単だ。これはゲームにしてはリアル過ぎるんだ。痛みもそれ以外の感覚もな。魔術を使えるというのもおかしい」

アレイスター「それだけかね?」

土御門「いや違う。カミやんはロシアから帰ってきていないからな。あれだけ精巧な幻想殺しを想像できるのだから驚いたが……」

アレイスター「まあ、その話は後でするとしよう。……それで、いつ気がついたのかね?」

土御門「俺は、カミやんの右手で殴られたときだよ」

アレイスター「ああ。あのときか。しっかり見させてもらった」

土御門「おそらく禁書目録は、最初から気がついていたんだろうけどな」

504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:43:16.74 ID:P36tg/Kj0
アレイスター「いや。あれも最初から気がついていたというわけではない」

土御門「どういうことだ?」

アレイスター「初めは、気がついていなかった。他のものと同じくゲームだと思っていたんだろう」

アレイスター「だが、ここに来たときに、私から魔術が発生しているのには気がついた」

土御門「黄金練成だと気がついていたわけじゃない、ってことか」

アレイスター「あれがそれに気がついたのは、城に戻ったときだ」

土御門「城? なぜだ?」

アレイスター「では、君は私がどうやって、黄金練成の呪文を唱えたと思う?」

土御門(こいつは、あの長い呪文を唱えたりはしないだろう。だとすると……。たしかアウレオルス=イザードのときは……)

土御門「まさか……」


アレイスター「そう、『妹達(シスターズ)』だよ」


505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:44:29.13 ID:P36tg/Kj0
アレイスター「世界に散らばる妹達には別の使い道があるのでね。第三次製造計画を利用させてもらったよ」

土御門(外道め……)

アレイスター「あれは、発動している魔術が『黄金練成』だということに気がつき、またここに来たのだよ。そのときに答えてやった」

土御門「そういうことか」

アレイスター「そして、忠告した。黄金練成についてを自分のサーヴァント以外に話せば、そのことに関する記憶を全て消すとね」

土御門「だが、ならなぜ、俺にステイルを呼ばせた。黄金練成ならわざわざ呼び寄せる必要もなかっただろう」

アレイスター「これは正確には黄金練成ではない」

土御門「黄金練成じゃない……?」

アレイスター「呪文に一部改変を加えた」

土御門「改変を加えてちゃんと術式が起動しているのは驚きだがな」

アレイスター「おかげで、一つの利点と、一つの不具合が生じた」

土御門「利点と……。不具合……」

アレイスター「利点は、自分が不可能と思っていてもある程度は実現可能である点」

土御門「それが、この舞台とカミやんか……」

アレイスター「そして不具合は、その黄金練成の効果が三回しかなかったという点だ」

土御門「それじゃあ……」

アレイスター「私の最終目的の達成は無理だった。そこで、一つ目を幻想殺しに関して使った」

土御門「回数制限があるから、黄金練成を知っている禁書目録とステイルには世界の改変を見せないように目隠しをさせたってわけか」

土御門「やっぱり、あの最初の機械は、ただの催眠誘導装置だったのか」

アレイスター「そうだ。二つ目でこの舞台を用意し、三つ目で勝者の願いを叶えることにした」

506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:45:19.77 ID:P36tg/Kj0
土御門「なぜそんなことをした? まさか、本当に人間観察なんて理由じゃないだろ?」

アレイスター「それについては―――」

ちょうどそのとき、二人は冬木市の教会から、窓のないビルの内部へと戻ってきた。

アレイスター「ちょうどいい。後ろを見てみるとその理由が分かるだろう」

土御門(後ろ?)

振り返ると、そこには傷だらけの上条当麻が倒れていた。ところどころ手当てはされているが、気を失っているようだ。

土御門「なっ!?」

アレイスター「私が一つ目に改変したことは、彼を知っている者に、彼がロシアから生還したという記憶を植えつけたことだった」

土御門「なん……だと……? それは、つまり……」

アレイスター「私の計画に、彼は必要な存在だったのだが、手元から離れてしまった」


アレイスター「―――だから作ったのさ」


土御門「作った……? このゲームが、そのテストだとでも言うのか!?」

アレイスター「ああ。異能を打ち消す機能は従来よりも強く出すぎてしまった。もっとも、私が欲しているのはそんな機能ではないが」

土御門「バカな! このカミやんには違和感がなかったぞ! 妹達ですら、あの超電磁砲とあそこまで違うというのに!」

アレイスター「あれは、超電磁砲の記憶をインプットしていない。これには、記憶をインプットして、仮の感情をもたせた」

土御門「アンダーラインを使っても、学園都市の外の情報は得られないだろうが!」

アレイスター「彼には、外に出るたび、ナノデバイスを仕込んでいた。ロシアで一方通行と戦闘して以降のデータは送信されていないがね」

507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:45:51.87 ID:P36tg/Kj0
土御門「それにしたって……」

アレイスター「ふむ。友人の君が気がつかなかったのだから、『この』幻想殺しもどきは、内面は合格点だろう」

土御門「なんだって? 『この』……?」

アレイスター「まさか君は、これがまだ初めての実験だとでも思っていたのか?」

土御門「そういうことか……。それで? これは何回目の実験(ゲーム)なんだ?」

アレイスター「今回で5722回目だ。今までの幻想殺しもどきは、最後まで生き残れすらしなかった」

土御門「そのたびに、リセットして、調整してやり直しか……」

アレイスター「ああ。君もなかなか楽しめただろう?」

土御門「くそっ!!」

アレイスター「さて、また調整をしなければな」


そうして、アレイスターの計画を止められず、この5722回目のゲームは幕を降ろした。


508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:46:23.88 ID:P36tg/Kj0
―――
イン「ねえ。ステイル?」

ステイル「どうしたんだい?」

イン「いつになったらとうまは帰ってくるかな?」

ステイル「さあね。でも、きっとそんなに先にはならないんじゃないかな?」

ステイル(生きていろよ、上条当麻。この子をこれ以上悲しませるのは、僕が許さない……)


イン「うん! 早く帰ってきてくれないかな、とうま」


しかし、彼女の知る上条当麻はもういない。

                                                  完

509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/13(日) 18:48:04.56 ID:P36tg/Kj0
以上です。

長い間ありがとうございました。

続きがありそうな終わり方ですが、多分続きません。

上条さんめっちゃ書きにくかったです。逆にアイテムとか書いてて楽しかった。

また、別の作品で読む機会がありましたら、またよろしくお願いします。

510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 20:38:52.20 ID:uSfBsRWvo

最後の☆がよくわからなかった
・黄金練成の1つ目、幻想殺しに関して使ったって何?
 上条(偽)を作っただけ?
・5722回もやってんなら黄金練成の3つ制限ってほとんど意味なくね?
 連続で発動すればいいんじゃね
・土御門はなんで気づけたんだ
・☆の目的は上条(偽)を本物と同等にすること?

まぁ細かいことはおいといて面白かったぜ!

512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/13(日) 21:30:30.85 ID:6JtWZl0h0
乙ー、後味の悪い終わり方は大好物です
1、妹達蘇生
2、カミやん生成
3、舞台用意
どうせ繰り返すんだから賞品なんか口先だけでいらんかったんや

516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/02/14(月) 00:04:05.21 ID:9ZslwZmi0
>>510
@上条さんがロシアから生還したという記憶を全員に植えつけました。
A令呪との関係で三つにしておこうかとー。
Bいないはずの上条さんがいた。→ありえない。→まさかという流れです。
C目的は右手だけです。実験を続けるにあたっても、偽者とバレない方が都合いいですし。

>>512
今回が初めて終了するケースでした。
いままでは上条さん(偽)が死ぬたびにゲームをリセットしていました。

518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 10:27:08.39 ID:ekSLIm9AO
まさかの上やんがアンリマユのポジか、楽しかったよ1乙

519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/14(月) 12:39:38.28 ID:syLoU+qX0
なるほどね……
そのオチは思いもよらなかった

読んでて楽しかったです。>>1乙!!



posted by JOY at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 禁書クロスSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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