2012年05月17日

固法「あなたが……《未元物質》……?」1

1 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 00:59:07.46 ID:9i/QUb+20
ども。
禁書総合スレで垣根×固法先輩の小ネタを投下したものです。
ある程度書き溜めがまとまったので投下してみます。
以下、注意事項です。

・初SSです。過度な期待を抱かずに生ぬるい目で読んでいただけると嬉しいです。
・タイトルの通り垣根×固法先輩です。
 このCPに殺意を覚える方はそっと立ち去ってくれるとありがたいです。
・キャラ崩壊が半端じゃありません。
 クールでダークなていとくんしか認められない方は読まない方がお互いのためかも知れません。
・感想、コメントはガンガン書き込んでください!今後の励みにもなります!

では、次のレスから始まります。

2 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:02:08.65 ID:9i/QUb+20
と、その前に軽くこのSSにおける人物設定を紹介しておきます。
前置きともいう。

設定
垣根帝督(17)……主人公。『未元物質』を操る超能力者の序列第二位にして暗部組織『スクール』の元リーダー。
現在は一方通行と同様「闇」から足を洗い、長点上機学園高等部に在籍している。高3。上条当麻や一方通行とはケンカ友達のような関係。「表」の生活に心底満足しているがその分「闇」にどっぷり漬かっていた過去に負い目を感じている。

固法美偉(16)……ヒロイン。第一七七支部に所属する風紀委員。高2。とあるきっかけにより垣根と知り合う。
生真面目な堅物だが男性からのアプローチには免疫がない。好物はムサシノ牛乳。

上条当麻(15)……とある高校に通う男子生徒。あらゆる異能の力を無効化する右手『幻想殺し』をもつがレベルは0.
不幸体質でフラグメイカー。垣根や一方通行とは学校・学年を超えた友人。

一方通行(??)……学園都市第一位の超能力者。暗部組織『グループ』の元構成員。現在は黄泉川家にもどり打ち止め達と暮らしている。
垣根とは顔を合わせればケンカしているが以前の険悪さはない。

では次から本当にスタートです。

3 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/12(木) 01:03:46.27 ID:9i/QUb+20
それは、ありふれた事件のはずだった。

  「第七学区の路上で不良同士が大声で争っている」
という通報を受け、“彼女”は現場へ走る。

よくある不良(スキルアウト)同士のケンカ―――
この学園都市――巨大な学生の街では日常茶飯事だ。
いつものように現場に向かい、事態を収拾し、しかる処理の後に申し送る。
それが彼女――風紀委員(ジャッジメント)・固法美偉の日常だった。

固法(あの角を曲がれば、通報のあった路地…!)

無辜の学生を危険から守る。それが風紀委員の使命。
だがそんな彼女の“常識”は、

固法「風紀委員です!!おとなし……く……」

??「あん?」

ある青年との出会いによって一変することとなる。

4 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:05:02.42 ID:9i/QUb+20
現場に到着した固法が見たものは
ブレザー型(タイプ)の制服を着崩した、
――ハッキリ言えば「チャラチャラした」長身の青年と、
気絶して横たわる5~6人の不良(スキルアウト)たちだった。

青年「風紀委員か……悪いな、もう片付けちまったぜ」

不良ズ「」チーン

固法「……一七七支部の固法といいます。
   あなたかしら?通報にあった『ケンカしてる不良』というのは」

青年「は?ケンカ?おいおい…おれはコイツらが
   カツアゲなんてセコイ真似してたもんだから灸を据えただけで……」

固法「はいはいそういう見え透いた言い訳は詰所で聞きますから。
   とにかく同行願えますね?」

青年「おい、ちょっと待っ…」

??「そ、その人の言ってることは本当です!」

5 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:05:50.44 ID:9i/QUb+20
固法「えっ?」

固法の死角になっていた青年の背後から
小柄な男子生徒が顔を出した。
中学生くらいだろうか。いかにも気の弱そうな少年である。

男子生徒「ぼ、ぼくがコワイ人たちに絡まれてるところを
     そのひとが助けてくれたんです。
     ぼくのケータイにその時のやり取りが録音してあるので
     それが証拠になると思います」

固法「そ、そうだったの……」

どうやら「不良同士のケンカ」というのは
通報者の勘違いだったようだ。

青年「話は終わったか?じゃ、オレは失礼するぜ」

自らの容疑が晴れたことを確かめると
青年は踵を返して足早に歩き出す。

6 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:07:02.52 ID:9i/QUb+20
固法「あっ、ちょっと待って…!」

青年「あ?何だよまだ何か用か?」

固法「えっと、その…ご、ごめんなさい!」ペコリ

青年「へ?」

固法「その…私の早とちりで疑ってしまって申し訳ありません。
   風紀委員として恥ずべきことだと思います」

青年「あー、いーっていーって、誤解が解けたんなら。
   オレがあのザコ共をボコボコにしたのは事実なんだし」

固法「ですが……」

青年「!……そうだな、どうしてもアンタの気がすまないってんなら…」

青年はなにやら愉快なことでも思いついたようにニヤリとほほ笑み、
固法に一歩、大股で詰め寄ったかと思うと、

7 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:07:45.30 ID:9i/QUb+20





青年「オレと一回デートしてくれたらチャラ、ってのはどうだ?」



とんでもないことを言い出した。


8 : ◆r4vICyDKLo [sage saga]:2011/05/12(木) 01:08:54.01 ID:9i/QUb+20
固法「なっ……///」

青年「フッ、冗談だよ、じょーだん。真っ赤になっちゃってかわいいねぇ」ニヤニヤ

固法「かっ、からかわないでください!」

青年「ハハッ、んじゃ、縁があったらまた会おうぜ、お嬢さん♪」

固法「待って!……今回の件について調書を作成しなくてはなりませんので、
   最後にお名前を伺います」

背後の固法に手を振りながら今度こそ立ち去ろうとする青年。
それを固法はできる限り平静を装いつつ呼び止める。

少女の声に青年は振り向き、
不敵とも余裕ともつかぬ笑みをうかべながらこう告げた。




青年「――――垣根」

垣根「垣根 帝督だ」


10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/12(木) 01:18:18.49 ID:UQXavxuR0
期待だぜ! ちなみに黒妻君の立ち位置は?

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/12(木) 01:18:49.26 ID:Qk2Tul8M0
面白そうじゃないの…

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東甲信越) [sage saga]:2011/05/12(木) 01:29:00.27 ID:9i/QUb+20
うおお早速コメントしてくださってありがとうございます!

>>10
一応時系列は固法先輩がワタルくんを逮捕した後を想定してます。
固法先輩としては前を向こうと一生懸命がんばってるところ。
その辺の話も書くつもりなので気長にお待ちください。

>>11
ありがとうございます!
未熟者ですがどうぞよろしく。

20 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:16:58.44 ID:x6u5Wxpa0
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30分後 風紀委員活動第一七七支部

固法(ああもう!何なのかしらあの人!)

固法(人が真面目に謝ってるのに、デ、デ…デート一回だなんて…!)

固法(おまけに「お嬢さん」って何よ!私はもう高2よ!?)


初春「固法先輩どうしたんでしょう……なんだかすっごくイライラしてますけど」ヒソヒソ

黒子「さぁ…でも心なしか顔が赤い気がしますの」ヒソヒソ

初春「白井さんが言うこと聞かないから頭に血が上ってるんじゃないですか?」ヒソヒソ

黒子「何でそうなるんですの!それに今月はまだ一枚も始末書は書いてませんの!」ヒソヒソ!

21 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:17:59.79 ID:x6u5Wxpa0

固法(年上……なのかな。背とかすっごく高かったし)

固法(それに私のことを……お、お嬢さんなんて呼ぶくらいだし///)

固法(……間近でみたあの人の顔すごく綺麗だったな…)

固法(まつ毛とかも女の人みたいに長くて…)

固法(……って何考えてるのよ私は!)ブンブン

初春「あ、頭ブンブンしてますよ」ヒソヒソ

黒子「……本当にどうしてしまわれたのでしょう」ヒソヒソ

固法(でも…何かひっかかる)
固法(あの人の名前……「カキネ」さん、だったわよね)

固法(どこかで聞いたことがあるような………)


22 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:19:42.80 ID:x6u5Wxpa0

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翌日 第7学区 ファミレス『ジョイナス』
垣根「ってなことがあったんだけどよ、
オレってばカッコよすぎじゃない!?」

上条「垣根のドヤ顔が目に浮かぶようだな……」

一方通行「ウゼェ」

垣根「それにしてもあの風紀委員のコはかなりレベルが高かった……
正直まじめに誘えばよかったと後悔してる」

一方「ついでに生まれてきたことも後悔しやがれクソメルヘン」

垣根「うるせーな、話の腰折んなよクソモヤシ」

一方「ンだとコラァ!!!ぶっ殺すぞイカレメルヘン!!!!」ガタッ

垣根「上等だ表出ろやゴルァ!!!」ガタガタッ

上条「だぁーもうやめろって二人とも!」

一方「チッ」ガタン

垣根「クソッ」ガタン

上条「ったく、お前ら気ィ短すぎだろ…」

23 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:21:06.38 ID:x6u5Wxpa0
垣根「…………オレはさ、ずっと考えてたんだよ」
垣根「オレとお前らの決定的な違いは何かってことをよ」
垣根「そして昨日ようやくその答えがわかった!」

上条「そ、それは…?」


垣根「決まってるだろ!“ヒロイン”だよ!」


一方「はァ?」

垣根「上条はシスターちゃんや第三位、モヤシは打ち止めちゃん」

垣根「オレにはお前らみたいに体を張って守るべきヒロインがいねえ!」

垣根「そしてその一点が!
お前らヒーローとオレみてえなモブを隔てる境界線だったんだよ!!」

上条「インデックスやビリビリは別にそんなんじゃ……」

一方「……打ち止めをそンな単純な枠でおしはかるンじゃねェ」ボソッ


24 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:22:13.46 ID:x6u5Wxpa0

垣根「特に上条ぉ!!」

上条「は、ハイィ!?」

垣根「お前に到ってはその二人だけじゃねえ!」

垣根「お前はことあるごとにあっちこっち指数関数的にフラグを立てやがって………」

垣根「お前はあれか?歩くフラグ工場ですか?
   工場長はオレだ!って誰が工場長だ!!」テーブルバン!

上条「じ、自虐ノリツッコミ…(しかも意味が全くわからん)」

一方「あーなンかスイッチ入っちまったなァ」

垣根「だがそんな工場ちょ……じゃない、脇役ライフも終わりだ!」

垣根「オレだけのヒロインが現れれば、オレの、オレ自身の物語が始まるんだ!」

垣根「主人公《ヒーロー》に、オレはなる!!!」ドン!

上条「な、何か知らないけど燃えてるな…」
上条(垣根はもっとこう…スマートな奴だと思ってた)

一方「くっだらねェ」プイ

上条「それで?そのデートってのにはいつ誘うんだ?」

垣根「……………えっ」

上条「えっ、て」

25 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:23:17.13 ID:x6u5Wxpa0

垣根「え、ちょっと待って」

垣根「何?今の流れで何でそうなるの?」

上条「何でって、そこまで気合い入ってるなら
とっくに連絡先くらい交換してるものと、てっきり」

垣根「何?お前って初めて会った女の子にその場でメアドとか訊ける人?」

上条「」

一方「やめとけ三下ァ。こンなコミュ障の童貞メルヘンに
   そんな度胸あるワケがねェ」

垣根「童貞じゃねーよ!童・貞・じゃ・ねーよ!!」

一方「じゃあメアドの一つでも訊けたのかよ」

垣根「…………………訊けませんでした」ズーン

一方「ついでに童貞じゃねェってのもウソだろ?ン?さっさと白状しやがれ」

垣根「はい…………ワタクシ垣根帝督は薄汚い童貞金髪ブタ野郎です……」ズズーン

上条「なにもそこまで自分を卑下しなくても」

一方「いい薬だァ」ケケケッ

垣根「」ズゥーン


26 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:25:05.42 ID:x6u5Wxpa0

上条「ま、まぁとにかく、連絡先は訊けなかったんだな?」

垣根「だってしょうがねーだろぉ!?自分で言ったセリフが急に恥ずかしくなって
   一刻も早く立ち去りたかったんだからよぉ!」

上条「あ、恥ずかしいセリフって自覚はあったのか」

一方「口癖だからなァ」

垣根「何が『真っ赤になっちゃってカワイイ』だよ!
   こちとら『冗談だよ』っつった辺りから
   赤くなりそうなのを必死で我慢してたんだよぉ!!」

上条「すぐじゃん!ナンパしてすぐじゃん!」

一方「この純情ヘタレメルヘンがァ」

上条「ぷっ!じゅ、純情ヘタレメルヘン……」プルプル

垣根「くそっ、恥ずかしい…
恥ずかしすぎて死ぬ…むしろ死にてえ」

一方「『縁があったらまた会おうぜ、お嬢さん♪』」ププッ

垣根「グフッ!」

上条「『――――垣根。垣根 帝督だ』」キリッ

垣根「やぁ〜めぇ〜ろぉ〜よぉ〜!」ジタバタ


27 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:27:22.60 ID:x6u5Wxpa0

一方「あァー今日で半年分くらい笑ったわ」プププ

垣根「」チーン

上条「ククッ…まあ元気出せよ垣根。お互い学園都市にいるうちは
二度と会えないってわけじゃないんだし」

垣根「そうだよな!」ガバッ

上条「立ち直り早っ!」

一方「超能力者(レベル5)ナメンなァ」

垣根「このくらいで諦めてちゃ永久に主人公になんてなれねえ!
   もとよりオレの『未元物質』に常識は通用しねえ!」キリッ

上条「ホントに復活した…」

一方「アホらし……そろそろ出るかァ」

上条「そうだな、ずいぶん長居した気がするし」

一方「っつーことで今日はメルヘンのオゴリなァ」

垣根「何でだよ!」

一方「……純情ヘタレメルヘン」ボソッ

垣根「しょうがねーな。あ、小銭切らしてっから端数だけ貸しといて?」キリッ

上条「変わり身も早っ」

一方「それも超能力者たるゆえんだァ」


28 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:28:49.79 ID:x6u5Wxpa0


上条「じゃあ二人とも、また今度な」

一方「あァ」

垣根「おう!シスターちゃんと打ち止めちゃんにもよろしくな」

上条「ああ」

一方「打ち止めはお前に『しね』って言ってたけどなァ」

垣根「ウソつけよ!あの天使みたいな打ち止めちゃんが
そんなお前みたいなこと言うわけがないだろ!」

一方「ほんの冗談だろォが」

垣根「お前の冗談はいちいち心の臓に深々と突き刺さるんだよ!」

上条「ハハハっ…それじゃあな」テクテク

一方「チッ。あばよメルヘン。明日生きてたら学校でなァ。
   オレが引導渡してやっからよ」ツカツカ

垣根「モヤシてめっ……それはこっちのセリフだクソボケぇ!」


垣根「………帰るか」

29 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:30:41.17 ID:x6u5Wxpa0

友人たちと別れた垣根は足取りも軽く家路をゆく。

垣根(完全下校時刻にはまだ余裕があるな)

垣根(あのCDショップにでも寄ってみるか)

先ほどのファミレスから家に帰る道の途中にあるそのCDショップは
新譜が発売日よりも前に店頭に並ぶことも多く、
垣根がひそかに贔屓にしている店でもあった。

垣根(そろそろユニ○ンの新譜が出るころだからな)
垣根(あの店なら入ってるかもしれねえ)

新たな楽しみを見つけた垣根の歩調はさらに早くなる。



垣根(なんかいいよなあ、こういうの)


30 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/12(木) 20:31:41.26 ID:x6u5Wxpa0

垣根は満足していた。

垣根(普通に学校に行って、放課後にダチとたむろって、
バカ話で盛り上がって……)
垣根(まああのモヤシはムカつくけどよ)

このひどくありふれた「表」の生活に。
垣根にとってやっと手に入れた「自由」は、
初夏の渓流のように日の光を受けてキラキラと光り輝いていた。

しかし。


垣根(『スクール』にいたころとは大違いだ……)
垣根(あの頃はオレが人並みの学生生活を送れるなんて
夢にも思わなかった)

今の満ち足りた日々に思いをはせるほどに、
過去に置いてきたはずの「闇」が頭をもたげる。

垣根(オレみてえなクズがよ…)

さながら、目を血走らせた毒蛇のように。


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/12(木) 21:00:13.07 ID:6G8qkyLAO
やだ
シリアス垣根だと思ったら普通にアホの子だった

36 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/13(金) 17:52:43.08 ID:AT81i2F90
オマケ「とある男子の蛇足会話(ボーナストラック)」

垣根「ちょっと待て」

上条「えっ?」

一方「あァ?」

垣根「いや、冷静に考えてみたらよ」

垣根「お前らも童貞だよな?」

上条「なっ……///」

一方「童貞コジらせてトチ狂ったかイカレメルヘン」

垣根「うるせえ!」

垣根「おかしいと思ったんだよ…」

垣根「人のこと散々童貞童貞ってバカにしやがって」

垣根「ウツ入ってたときは気付かなかったけど
   お前らだって人のこと言えねえじゃねーか!バーカ!」

一方「バカはテメェだこのクソメルヘンがァ!」

一方「打ち止めを見てみろ!どォ見ても外見年齢小学生だろォが!」

一方「おまけに実際年齢は0歳なンだぞ!そんなガキに手ェ出してみろ!
   同居人に逮捕されるわ!」

一方「それともテメェのメルヘン脳にはそンな最低限の常識も通用しないンですかァ!?」

垣根「そういうことを言ってるんじゃねーよ!あと良識はあるわ!ナメんな!!」
………! ……!? …………!! ………‥‥・・・・・・・

男子高校生の会話はつづく。

とある男子の蛇足会話(ボーナストラック) おわり


42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/14(土) 02:10:08.61 ID:FfjJM7h50

『スクール』
かつてこの学園都市に存在した「闇」の一つである。
垣根はその小組織のリーダーを務めていた。

『ピンセット』と呼ばれるガジェットをめぐる戦いを発端とする暗部抗争で、
一方通行の属する『グループ』によって壊滅した。
抗争に敗れ、瀕死の重傷を負った垣根は統括理事長・アレイスターによって回収され、
自身の能力である『未元物質』を吐き出すただの肉塊になり下がった。

死んではいない。しかし「生きている」とは到底いえない状態。
才能を最後の一滴まで絞り取られ、
用済みになればゴミのように捨てられる。
それが、この街の闇に呑まれた者の末路。


――――そのはずだった。

垣根(あいつらには本当に感謝しねぇとなあ)

白髪紅眼の少年が、黒髪の少年と共に再び垣根の前に現れるまでは。

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/05/14(土) 02:11:43.45 ID:FfjJM7h50

垣根は理解していた。
この平凡な生活が、かつての垣根が何よりも渇望したものだということを。
そしてそれを自分が手に入れられたのは、
あの二人の“悪友”たちのおかげだということを。

今の自由は垣根が自らの闘いの果てに勝ち取ったものだ。
しかし、垣根をその戦場(ステージ)へと導いたのはまぎれもなく彼らであった。
垣根があの二人を『ヒーロー』と呼ぶのは皮肉でも嫌味でもない。

垣根にとっても、あの二人の少年は間違いなくヒーローなのだ。

垣根(ま、あいつらの前じゃぜってー言わないけどな)

垣根の復活を端緒として学園都市の裏側で起こったあの「戦争」により、
全ての暗部組織は壊滅、または解散した。
もともと行くあてのない人間が寄り集まってできた組織がほとんどであるため、
現在も行動を共にしている者は少なからずいるらしい。
が、それはまた別の誰かの「物語」である。

かくして「学園都市の」闇はひそかに消滅した。
しかし過去と言う名の闇は、今でも垣根の心にまとわりついていた。

日の当たる道を歩み始めた垣根のうしろに、
色こく伸びる影のように。


44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/14(土) 02:13:08.67 ID:FfjJM7h50


垣根(……らしくねえ、よな)

垣根(黄昏どきになるとどうもしんみりしていけねえ)

序列第二位の超能力者として強固な《自分だけの現実》(パーソナルリアリティ)をもつ垣根は
激情に身を任せることはあっても思索の海に溺れて自分を見失うことはごくまれにしかない。
有り体に言えばウジウジ悩むことがなく立ち直りが異常に早い。
『立ち直りの早さが超能力者(レベル5)たるゆえん』、
という一方通行の言はあながち間違いではない。

垣根(まあそれはそれとして)

しかしそれはあくまで垣根の「能力者としての」一面であり、

垣根「なんでオレにだけヒロインがいねえんだよォォォォォ!」

年頃の男子高校生としての悩みが尽きることは、ない。


垣根(思い出したらまた腹立ってきた…)

垣根(あいつらのまわりは女だらけなのに、
   どうしてオレにはこんなに女っ気がねえんだよおおおおおお)

垣根は銀髪碧眼の美少女シスターと暮らす黒髪の少年と、
第三位の遺伝子をもつ二人の少女、家主である巨乳の警備員、
そして元研究者の女性という女所帯で生活する少年を思い浮かべる。

垣根(リア充氏ね!チ○コもげて爆ぜろ!!)

垣根(特に一方通行!お前は代わりにモヤシでも生やせ!)

垣根(そして打ち止めちゃんに鼻で笑われろ!!)

脳内の悪友たちに垣根はあらん限りの罵倒をぶつける。
いかにヒーローといえども、ムカつくものはムカつくのである。

45 :酉忘れてた ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:14:44.98 ID:FfjJM7h50


垣根(しょうがねえといえばしょうがねえんだけどよ)

垣根(ガキのころから研究所暮らしで女っ気ゼロだったし)

垣根(女に興味が出始める年のころにはもう「裏」にどっぷりだったしよ)

垣根が長らく身を置いていた世界では
仕事上の付き合いはあっても男女の深い関係をもつものは皆無だった。
そうした馴れ合いが死に直結するからである。
また垣根自身、「アレイスターとの直接交渉権」という唯一無二の目的にとりつかれ、
女性に目を向けることさえしなかった。

垣根(ちょっと待てよ)

垣根(ってことはもしかしてオレ……)





垣根(初恋もまだしたことがない、ってことになるのか?)




46 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:16:07.05 ID:FfjJM7h50

垣根(だ、)

垣根(だ……、)

垣根(ダッッッセェェェェェェェェ!!!)

垣根(いくらなんでもそれはねえだろオレ!)

垣根(今いくつだと思ってんだよ!17だぞ!17!!)

垣根(今日び中坊でももっとススんだお付き合いしてるわ!)

垣根(それなのに彼女どころか初恋もまだとか!!)

垣根(あ り え ね え !!!)ジタバタジタバタ

ヤダーナニアノヒトー
ナンカヒトリデジタバタシテルー
キモーイ
デモチョットカッコヨクナーイ?
エーアンナノガイイノー?ヒクワー
クスクス・・・・・・・

垣根(!……ちょ、ちょっと取り乱しすぎたか)ゲフンゲフン

47 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:16:56.94 ID:FfjJM7h50
垣根(しかしこれはちょっとした事態だ)

垣根(見た目こんなチャラチャラした野郎が童貞でしかも初恋もまだとかどんなギャグだ)

垣根(オレには上条みたいにフラグメイキングのアビリティがあるわけでも
   モヤシみたいに脳波で物理的に結ばれた相手がいるわけでもねえ)

垣根(つまり一つ一つの出会いを大事にしなくちゃならねえってことだ!)

垣根(………考えれば考えるほど惜しいことをした)ズーン

垣根(いや、いつまでも逃がした魚の話をしてても仕方がねえ)

垣根(人は常に未来を向いて生きていかなきゃならねえのさ!)

垣根(とにかく!オレはオレの物語を紡ぐために!)

垣根(一刻も早くオレだけのヒロイン……いや彼女を………
そうでなくても女友達を!)

垣根(目指せ!脱・ヘタレメルヘン!!)

途中からだんだん目標が低くなっていることにも、
自分だけのヒロインという発想がすでにメルヘンであることにも気付かない垣根であった。

48 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:17:44.20 ID:FfjJM7h50
垣根(………うお、いつの間にか日がくれそうだ)

垣根(警備員に目ぇ付けられてもうぜぇしとっとと用事済ませて……ん?)

そこで垣根は街の喧騒にまぎれた“異変”に気付いた。

オイシカトシテンジャネーヨ!

イヤッ!ナニヲスルノハナシナサイ!

ウルセェコッチコイ!

垣根「チッ……この街の闇をぶっ潰したところであの手のバカは減らねえな」

垣根はそうつぶやくと声のする方へ駆けだした。
そしてその瞬間、垣根と、とある少女の「物語」が動き出したことに、
当の垣根自身、まったく気づいていなかった。



49 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:18:59.35 ID:FfjJM7h50
-----------------------------------------

同時刻 第七学区 路地裏

固法(不覚…!)

風紀委員・固法美偉は腹を立てていた。
目の前の不良たちにではない。己の不甲斐なさにである。
腕章をつけた状態で、しかもパトロール中に暴漢に囲まれ、
あまつさえ拘束されるなど情けないにもほどがある。

固法(いつも白井さんにあれだけキツく言っておきながらこのザマ…風紀委員失格ね)

同じ支部の後輩である白井黒子は任務の度に独断専行に走るきらいがあり、
そのたびに固法が灸をすえている。

しかし自分の身を守れないということは、仲間を危険に晒すという意味で
任務中の単独行動と同じくらい、いやそれ以上の失態であった。

だがこうなってしまった以上仕方がない。
彼らをこれ以上増長させないよう、毅然とした態度で固法は声を張り上げる。

固法「離しなさい!あなた達自分が何をしてるかわかってるの!」

50 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:19:55.03 ID:FfjJM7h50

不良A「よーく分かってるぜぇ、風紀委員さんよぉ!」

不良B「てめぇにゃあダチが世話ンなった礼をたっぷりしてやらなきゃならねえんだよぉ!」

固法「私が風紀委員だと知って……あなた達まさか昨日の!」

不良C「ご名答ォ!」

不良A「てめぇにしょっぴかれた緋襲たちの分まで存分にかわいがってやるからよ!」

腕章を外しているのならともかく、
普通スキルアウトたちは自分たちから風紀委員を狙うことはまずない。
だがそれでもわざわざ腕章をつけた風紀委員を狙って襲撃する動機は一つしかない。
―――報復。
なるほど、昨日逮捕したスキルアウトの中に
確かに緋襲蒼衣(ひがさねあおい)という名前の男がいた。
彼らはその意趣返しのため、彼らを逮捕した固法を狙ったのだ。


51 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:20:42.35 ID:FfjJM7h50

固法「そう……でも残念ね。さっき詰所に緊急信号を送ったわ。
   あと五分もしないうちに応援がくるわ」

風紀委員に支給される通信端末にはある機能が追加されている。
緊急信号(エマージェンシー)。
喫緊の場合にかぎり、ボタンひとつで詰所に自分の位置情報と
あるメッセージを送信することができる。
その意味は、
『緊急事態。現場ニ急行サレタシ』
である。
このメッセージが送信された場合、
支部に詰めている他の風紀委員が至急現場へ直行することになっている。
だが。

不良B「それはコイツで呼んだのかぁ?」

固法「!それは……!!」

固法の背後で腕をねじり上げている不良が
ニヤニヤしながら取り出したのはまぎれもなく固法の端末だった。

不良B「どうせコイツのGPS機能で位置を特定するんだろうが…
    こうしちまえばどうかなぁ!!」

バキィ!
不良によって力の限り踏み砕かれた携帯は、
誰の目に見ても最早使い物にならなかった

不良A「これでアンタの居場所を知ってるお仲間はだれもいないってわけだ」


52 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:21:29.64 ID:FfjJM7h50

固法「くっ…」

じわり、
と、固法の額にいやな汗がにじんだ。

不良C「仮に万一見つかったとしても、この路地の入口には見張りを立たせてある。
俺らの中でも指折りの“腕利き”をなあ!」

不良B「風紀委員をぶちのめすのは骨が折れるだろうが時間かせぎには十分すぎるだろ?
    てめぇをキズモノにすんのにはよぉ!」

不良たちをキッと睨み返しながらも、
固法の心は恐怖に蝕まれつつあった。

怖いイヤダだれかハヤクこわい
コワイ早くダレカ怖いまだなの誰かハヤク
マダ怖いコナイこわい誰かコワイはやくダレモこわいコナイ
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ


                誰か!!




??「くだらねえ真似してるじゃねえか」



53 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:22:23.23 ID:FfjJM7h50


固法の心が折れそうになったその時、
路地裏に声が響いた。
それまでそこに存在しなかった声。

そしてその声の主は、
不良たちでも、応援にきた風紀委員の仲間でもなく、



垣根「その見張りってのはコイツらのことか」

昨日出会った金髪の青年だった。


54 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:24:59.59 ID:FfjJM7h50


垣根「そらよっ」

ドサドサッ
青年は自分よりもさらに身長の高い大男二人を
まとめて路上に蹴り転がした。

不良C「!?湯走(ゆばしり)!皆焼(ひたつら)!!」

そう呼ばれた二人からは返事がない。
完全に気を失っているようだった。

垣根「ぬるすぎる。時間かせぎどころか準備運動にすらなりゃしねえぞ」

不良B「テメェ……自分が何したかわかってんのか!」

垣根「この程度で“腕利き”とは笑わせやがる。
今度からはマニー=パッキャオでも連れてくるんだな」

不良と青年の会話がかみ合っていない。
というより、青年が彼らの言うことを無視しているようだった。

固法「あ、あなた……こんなところで何してるの!?」

不良たちの視線が青年へ集中したことで冷静さを取り戻した固法は、
闖入者である「一般人」の青年に声を荒げる。

垣根「あぁ?…!…何だよ、昨日の風紀委員のお嬢さんじゃねーか」

この人は本当に昨日の青年だろうか。

垣根「こんなところで会うなんざよっぽど縁があるらしいな」


風体も人相も全く同じであるにも関わらず、固法にはその確信がもてなかった。
青年の浮かべる笑みが、昨日自分に向けられたものと
あまりにもかけ離れていたから。

その笑みがあまりにも、

暗い感情に満ち溢れていたから。


55 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:26:18.69 ID:FfjJM7h50
-----------------------------------------


不良たちに囲まれ、片腕をねじり上げられる少女。
その光景を目の当たりにした瞬間、垣根帝督は自分の顔がカッと熱くなるのを感じた。

―――――ヤメロ

垣根「くだらねえ真似してるじゃねえか」

――――――ヤメロヨ

垣根「その見張りってのはコイツらのことか」

不良「!?―――――!―――――!!」
 
 ―――コレ以上

(失――、―嬢―ん)

垣根「ぬるすぎる。時間かせぎどころか準備運動にすらなりゃしねえぞ」

不良「―――……――――――――!」
  
―――コレ以上思イ出サセルナ

(垣――督。―――を探―て―んだ――)

不良たちが自分に向かって何かを叫んでいる。
しかし「あの日」のノイズと内から湧き上がる咆哮にかき消され、
垣根の耳に届くことはなかった。

56 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:27:08.20 ID:FfjJM7h50

垣根「この程度で“腕利き”とは笑わせやがる。
今度からはマニー=パッキャオでも連れてくるんだな」

固法「―――た、――なとこ―で何してるの!?」

垣根「あぁ?…!…何だよ、昨日の風紀委員のお嬢さんじゃねーか」

垣根はそのとき初めて、その少女が昨日出会った風紀委員であることに気がついた。

垣根「こんなところで会うなんざよっぽど縁があるらしいな」

そんな軽口を叩いて見せる垣根であったが、
実際は己の中で暴れまわるどす黒い感情に呑まれまいと必死だった。

――――同ジダ

(――いう子が―こへ行っ――知らな――な)

―――――コイツラハ同ジダ

(最終―号っ――れてる―だけ―)

――――――「アノ時」ノ……ト

(そう―ね。その前―もう少―自――探してみ―。ありが――)

57 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:28:24.72 ID:FfjJM7h50
固法「くだらないことを言ってないで早く逃げなさい!
ここは一般人の出る幕じゃないわ!!」

―――ヤメロ

(ああそ―だ、お嬢さ―)

――――ソンナ強イ目ヲスルナ

(言い忘れ――とがある―だけど)

――――――――ソンナ目ヲシタラ


不良「デカい声出すんじゃねぇ!!!」

バシィっ!

固法「あぅっ!!」

垣根「!!!」




         『テメェが最終信号と一緒にいた事は分かってんだよ、クソボケ』





瞬間。
垣根の視界は白く燃え上がった。


58 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:29:26.46 ID:FfjJM7h50



垣根「―――――ムカついた」

不良「あぁん?」


バサァッ!!
直後、垣根の背後に銀白色の翼が展開し、

垣根「ナメてやがるな。よほど愉快な死体になりてえと見える」

圧倒的な破壊が、始まった。


59 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:30:12.09 ID:FfjJM7h50

――――

――――――――

――――――――――――――

垣根「………他愛もねえ」

固法(強い………一瞬で………)

路地に静寂が舞い降りた。
垣根の目の前には5人の不良が気を失って転がっている。

不良A「グっ…………」

不良B「ガァ……………」

手足が不自然な方向に曲がっている者もいたが、全員息はあるようだ。

そんな中、固法は自分の目の前で繰り広げられた光景の「意味」を考えていた。

固法(この羽……本物じゃない。これがあの人の能力……?)

固法の能力はレベル3の透視能力(クレアボイアンス)。
その透視能力を以て路上に散乱している「羽」を解析したところ、
内部構造、組成、どちらも本物の羽毛とは程遠いものであった。

固法(そんな……ゼロから物質を創造する能力なんて……まさか!)

そこで固法は一つの結論にたどり着く。
『この世にあるはずのない素粒子』を創り出す能力者の存在。
そして、『カキネ テイトク』という名前。

固法「まさか…………第二位の超能力者……………」



固法「あなたが……《未元物質》……?」



60 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:31:42.99 ID:FfjJM7h50


垣根「バレちまったか………まあ最初から隠すつもりはなかったんだけどよ」

垣根「……立てるか?」

地面にへたりこんでいる固法に手を差し伸べる垣根。
だがその手が固法の肩にふれるその寸前

固法「!」ビクッ

垣根「ッ………」

彼女の眼にわずかな怯えの色が浮かんだのを、垣根は見逃さなかった。


61 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:32:55.21 ID:FfjJM7h50


――まただ。


垣根「悪ぃ、怖い思いさせちまったよな」

差し出した手を引っ込め、フイと固法から視線をそらす垣根

固法「あっ………」


―――また、繰り返した。


垣根「もうすぐ他の風紀委員が来るんだろ?その前にお暇させてもらうぜ」
     「ごめんなさい、そんなつもりじゃ…」


――――あの頃と何も変わってねえ。


垣根「こんなトコ見られたらどう見てもオレが暴行犯だからな」
             「おねがい、ちょっと待って……………」

―――――――――オレは、最低のクズだ。

垣根「………………………じゃ」


62 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:34:06.40 ID:FfjJM7h50

垣根は路地の出口へ逃げるようにして走り出す。


――何がオレの物語だ、何がヒーローだ、何がヒロインだ!

――オレはあの頃と、『スクール』にいた頃と何一つ変わっちゃいねえ!

――暴力を振り回すことしか、恐怖で相手を蹂躙することしかできねえ!

――――――――悪党ですらねえ、ただのクズじゃねえか!!


変われると思っていた。
変われたと思っていた。
過去と、「闇」と決別し、いつかあの二人のようになれると思っていた。
悲劇という『幻想』も、絶望という『現実』も殺したあの二人のように。

だが実際はどうだ。
感情のままに暴虐を振るい、少女に恐怖を植え付けることしかできなかった。

もうやめよう。
終わりにしよう。
ヒーロー気取りも、あの少女にかかわるのも。
……自分の存在が恐怖にしかならないのなら。




             ??「待って!!!!」




63 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:35:03.82 ID:FfjJM7h50


足が止まる。

バカな。

あり得ない。

誰だ?

誰がオレを呼び止める?

こんなどうしようもねえオレを呼び止めるのは、

いったいどこのどいつだ?

垣根は足が震えそうになるのを必死でおさえ、ゆっくりと振り向いた。


固法「ハァ………ハァ………あなた……足…速すぎ……ハァ……」

そこには、先ほどの少女がひざに手をつき、肩で息をしながら立っていた。
―――――まるで、走って誰かを追いかけてきたかのように。


64 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:36:17.06 ID:FfjJM7h50


垣根「アンタ……」

固法「あのあとすぐに…応援が来て……
その子にあとを任せて…追いかけてきたの…」ハァ…ハァ…

垣根「何で…………」

―――何でオレなんか追いかけてくるんだよ。

固法「だって……ハァ……お礼も言わせて…くれないんだもの…」

垣根「礼だと……」

―――自分を怖がらせた相手に何の礼をするっていうんだよ。

固法「ええ……そうよ」

そこで固法は息を整え、垣根をまっすぐ見すえてからこう告げた。

固法「先程は危ないところを助けていただき、ありがとうございます」ペコリ

その眼に、先ほどまでの恐怖は微塵も感じられなかった。

垣根「!」


65 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:37:39.60 ID:FfjJM7h50

固法「それで、……あの…昨日のお詫びも兼ねて、何かお礼をさせてほしいのですが…」

垣根「…やめてくれ、別にそんなつもりでしたことじゃね…」

固法「わたしの!気が済まないんです!」

なおもしつこく断ろうとする垣根に、固法は意を決して詰め寄った。

固法「あなた昨日言ったじゃない。私の気が済まないなら、その…
で、デート一回でチャラにするって!」

垣根「そりゃアンタ言ったけどよ…」

固法「とにかく!もう私決めましたから!」

垣根「何を?」

固法「で…デートでもどこでも好きなだけお付き合いします!」

垣根「はぁ!?」

66 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:38:37.50 ID:FfjJM7h50

固法「け、携帯出してください!」

垣根「何で!?」

固法「は・や・く!」

垣根「お、おぅ」スッ

固法の剣幕に押され、思わず携帯電話を差し出す垣根。
固法はその携帯をひったくると、自分の携帯とつき合わせて何かの操作をしだした。

固法「これを……こうして」ピッポッパッ

固法「はい。私の連絡先を登録しておきました。日にちや時間はまた追って連絡します」

垣根「おいアンタちょっと待っ…」

固法「では私はこれで。まだ現場検証が残ってますので」


垣根「待てって!」


67 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:40:00.98 ID:FfjJM7h50

大声で呼び止めたあとに、垣根はあることに気付いた。

垣根「…アンタの名前さ。まだちゃんと聞いてなかったからもう一回教えてくれよ」

垣根「ほ、ほら!オレってダチとか知り合いとか結構多いからよ!
   電話帳でアンタの名前見つけられなかったら困るじゃねーか」

友人らしい友人などあの二人とその関係者くらいしかいないし、
電話帳など検索すれば名前などすぐに出てくることくらい分かってる。

しかし垣根は何故だか、
本当に何故だかわからないが、
彼女の口から直接名前を訊きたいと思った。

そして彼女はニッコリとほほ笑み、
垣根の言葉に答えた。

固法「――――固法」

固法「固法 美偉よ」



それは、最近どこかで聞いたような言い方だった。



68 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:41:03.46 ID:FfjJM7h50
----------------------------------------
同日 20:00 垣根宅

垣根「ふう……」

最近寝床と化しているソファに身を沈め、垣根は息をついた。

垣根(今日はなかなかヘビィな一日だった)

垣根(しかし何なんだあの女)

垣根(オレのこと怖がってたくせに)

垣根(いきなりデートなんて言い出しやがったと思ったら人の携帯ひったくって
   勝手にメアドまで入れてよ……)

垣根(………)

ピッポッパッ

垣根「固法 美偉、ね」



69 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:41:47.17 ID:FfjJM7h50
-----------------------------------------
同時刻 固法宅

固法「はぁ〜さっぱりした」パタパタ

固法「さて、と」ガチャガチャ

風呂からあがるやいなやおもむろに冷蔵庫を開ける固法。
そして手を伸ばすのはもちろん、

固法「ン……ン……ぷはぁー!やっぱりお風呂上がりはムサシノ牛乳よねー!」

このために生きてる、と言わんばかりに固法は顔を綻ばせる。

固法(…今日は一日大変だったわ)

だが、路地裏での出来事を思い出さずにはいられない。
大の男に囲まれ、なすすべもない恐怖。今考えても身の毛がよだつ。

固法(あの人が助けに来なかったらどうなっていたか……)

そしてその窮地に現れた金髪の青年。

固法(今日のあの人の表情、昨日と全然感じが違ってた)

固法(昨日はあんなに余裕たっぷりだったのに、今日はなんだか少し……恐かった)

固法(そうかと思って追いかけたら、今度は叱られた子供みたいな顔してた)

固法(……)

カチカチコチコチ

固法「垣根 帝督さん、か」


70 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/14(土) 02:42:31.90 ID:FfjJM7h50



垣根「変な女……………」
固法「変なひと……………」



71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/05/14(土) 02:50:01.04 ID:FfjJM7h50
以上です。

読んでくださってありがとうございます。

ここで本編第一部「出会い編」が終了になります。
この先第二部「接近編」、そして第三部「成就編」と続いていく予定です。
予定は未定ですが。

それと今回の投下で書き溜めが尽きたのと、
リアルの方が忙しくなってきたので
次回の投下まで時間が開いてしまうと思います。
本編の感想・雑談などを書きこみながら気長に待っていただけるとうれしいです。

ああもっと上手に文章が書きたい……

では、おやすみなさい^^

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/05/14(土) 06:19:20.52 ID:lrnEPLNG0
乙! リアルとss、どっちを優先すべきか分かるな?

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/14(土) 14:51:18.03 ID:47OnaQPJo
大切なのは「自分だけの現実」ですね

75 :◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:22:26.33 ID:nn0dM8z00
その前に今回から始まる第二部「接近編」に向けて
出番が増えるオニャノコたちの設定紹介をしておきます。


インデックス(??)……禁書目録をつかさどるイギリス清教のシスター。上条の家に居候している。
上条家に遊びに来るたびにおみやげ(ほぼ食料)をもってくる垣根になついている。


御坂美琴(14)……名門・常盤台中学に通う序列第三位の超能力者。『超電磁砲』(レールガン)の異名を持つ電撃使い。
上条当麻に好意を抱いている。極度のツンデレ。


打ち止め(ラストオーダー)(0)……美琴の遺伝子を用いて製造されたクローン。検体番号20001。
『妹達』約一万人の脳波リンクからなるミサカネットワークを管理している上位個体。
現在一方通行と黄泉川家に居候中。一方通行から日常的に垣根の悪口を吹き込まれているが
本人は女子供にやさしい垣根を少しは見習ってほしいと思っている。


番外個体(ミサカワースト)(0)……第三次製造計画(サードシーズン)で生み出された美琴のクローン。
ミサカネットワークの「負」の感情を強制的に拾い上げるようプログラムされているため
どこぞのツンドラ娘顔負けの口の悪さ。趣味は困っている人をさらに困らせること。まさに外道。


白井黒子(13)……常盤台中学に通う大能力者の遠隔移動能力者(テレポーター)。第一七七支部に所属する風紀委員で固法の後輩。
美琴に心酔しており、「お姉様」と呼んで慕っている、というか純潔を狙っている。
そのため美琴の想い人である上条に並々ならぬ敵愾心を燃やしている。


初春飾利(13)……第一七七支部に所属する風紀委員。『守護神』の異名をとる凄腕のハッカー。
過去に打ち止めをかばったことで垣根に殺されかけたことがある。


佐天涙子(13)……初春と同じ中学に通う女子生徒。風紀委員ではないが第一七七支部に入り浸っている。
同年代の初春、黒子、美琴よりもスタイルがいい。



心理定規(??)……元『スクール』の構成員。他人と自分の「心の距離」を自在に操る能力をもつ。
暗部壊滅後忽然と姿を消したが………

76 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:25:22.77 ID:nn0dM8z00
-----------------------------------------

数日後 第7学区 ファミレス『ジョイナス』

上条「………きね。垣根!」

垣根「!…な、何だ?」

上条「どうしたんだよ。さっきから上の空で」

垣根「ああ、悪ぃ。ちょっと考え事しててよ」

一方「朝からこンな調子だァ」

上条「ったく……ほら、ボーっとしてるからハンバーグ冷めちまったぞ」

垣根「ヤベっ。ホントだ」キコキコモグモグ

78 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:28:46.57 ID:nn0dM8z00

一方「肉に失礼だろォが。死ね」キコキコムシャムシャ

垣根「お前が死ね。…お、冷めてもウマイな、ここのハンバーグ」モグモグ

一方「肉もかたくなってねェ。クカカカ、最っ高じゃねェの」ムシャムシャ

垣根「…」モグモグ

一方「…」ムシャムシャ

上条「ところで何でお前らのハンバーグやステーキが冷めるまで
   オレの料理が来ないんだよ!」

垣根「あれ?そういやあまだ来てなかったか。上条何頼んだっけ?」

一方「大方めンどくせェヤツでも頼ンだンだろォ?」ケラケラ

上条「……ビーフカレー」ショボーン

垣根「それは………」

一方「あァ……」

80 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:34:16.88 ID:nn0dM8z00

上条「うぅっ……何で上条さんの料理だけ毎回こんなに遅いのでせうか…」ウルウル

垣根「そういやこないだもその前も一番最後だったな、上条の料理」

一方「三回に一回はオーダー通ってなかったりするしなァ」

上条「おかしいじゃねーか!カレーなんて頼んだらすぐ出てくる料理の代名詞だろ!」

上条「それが何で30分も1時間も待たされるわけ!?」

垣根「それはまあ……上条だから?」

一方「三下だからなァ」

上条「不幸だぁーーーーーーーー!!」



81 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:36:25.22 ID:nn0dM8z00


アリガトウゴザイマシター

上条「結局オーダー通ってなかったし!」プンプン

一方「いつものことなンだから気にすンなァ」

上条「いつものことだから怒ってるんだろうが!!」

垣根「………」

上条「…垣根?」

垣根「えっ!?あ、な、何だ?」

上条「お前今日何か変だぞ?さっきからずっと心ここにあらずって感じで」

一方「どうせメルヘンワールドにトリップしてたんだろォ?面倒くせェからもう帰ってこなくていいぜェ」

垣根「違ぇよ!…あ、そうそう!今日レンタル屋に返すDVDまだ見てなくてさ。
   どうしよっかなーなんて思ってたんだよ!」

垣根「お、もうこんな時間じゃねーか!さっさと帰ってゆっくり見ることにするぜ!じゃあな!」ダダダッ

上条「お、おう」

82 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:37:53.37 ID:nn0dM8z00


一方「………どォ思う、三下ァ」

上条「いやぁどう考えてもウソだろあれ。最後明らかに目ぇ泳いでたし」

一方「チッ、気にいらねェ。あのクソメルヘン、オレ達に何か隠してやがる。」

上条「だよなぁやっぱり。一体何があったんだ?」

一方「……ひょっとしてアレかァ?」

上条「何?何か知ってんのか?」

一方「あのメルヘン野郎学校でもあの調子でよォ。
しかも休み時間の度にケータイいじってオマケにため息ついてやがった」

一方「あンまりウザかったから能力使ってシャーペン投げつけてやったけどなァ」

上条「そう言えばさっきのファミレスでもチラチラ携帯の方を気にしてたような…」

一方「ま、あのメルヘンが何考えてンのかなンざサラッサラ興味ねェけどなァ」

上条「…お前も大概素直じゃないよな」

一方「あァ!!?どォいう意味だぶっ殺すぞ三下ァ!」



83 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:39:27.02 ID:nn0dM8z00
-----------------------------------------

同日  18:00  垣根のマンション

垣根「誰もいないけどただいまーっと」

垣根(危なかった……もうちょっとでボロが出るところだったぜ)

垣根(………バレてねえ、よな)

垣根(上条はともかくモヤシに事が知れたら一大事だ)

垣根(死ぬほどバカにされてイジり倒されるにきまってる!)

垣根「………」

カチカチコチコチ





           『新着メッセージは ありません』





垣根「ちっ…だっせ」

84 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/15(日) 23:40:28.65 ID:nn0dM8z00

垣根(この垣根帝督様ともあろう男が、女からのメールにソワソワしてるなんてよ)

垣根(大体あの女、あれっきりメールの一本もよこさねえ)

垣根(あれからもう二日もたってんのに)

垣根(日時は追って連絡する、なんて言っといてよ)

垣根(そういうのは言いだした方からするもんなんじゃねえのか?)

垣根(待てよ、その理屈でいくと最初にデートって言いだしたのはオレだし…)

垣根(いやいやいや!人の携帯に勝手にメアド送りつけたのはあっちじゃねえか!)ブンブン

垣根(でも普通こういう誘いは男からするべき、なんだよな。知らんけど)

垣根(あーでもこのタイミングでこっちからメールなんかしたら
超待ってたみてえで余計カッコ悪いじゃねえかよぉ!)ジタバタ

垣根(うう……オレは一体どうすれば…)


ボクラハーコエガカレールーマデー ソンザイシツヅケールジーザース♪


垣根「うぉっ!」

垣根(び、ビビって変な声出ちまった)

垣根(メールか…まさかあの女か!?)

垣根(とりあえず…)ピッポッ

垣根(!!!)


90 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:12:20.70 ID:BM3PVsg90


-----------------------------------------

同日 19:25 上条の学生寮

禁書目録「ごちそうさまなんだよ!」

上条「いい食べっぷりだな。上条さんは泣きそうですの事よ」トホホ

禁書「まだ腹六分目ってとこかも!」

上条「まだ食えんのかよ!いい加減にしろ!」

ノウミッソツネニフルワセテー アラアラトウンメイニソムーク♪

上条「お、メール?…垣根からだ」ピッポッ


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  無題
――――――――――――――――――
  今からお前んち行くわ

==================

91 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:13:54.90 ID:BM3PVsg90

上条「はぁ?何だこれ」

禁書「どうしたの?とうま」

上条「いや、今垣根から連絡があって今からウチに…」

ピンポーンピンポンピンポーン
カミジョーイルカー オレダー

上条「もう来たし!早すぎだろ!」

ダダダッ ガチャッ

92 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:14:47.01 ID:BM3PVsg90

垣根「よっ。悪いな、こんな時間に押し掛けてよ」

上条「いや、別にそれはいいけど…メールから呼び鈴までが早すぎないか?」

垣根「オレの『未元物質』に常識は通用しねえ」キリッ

上条「言えばいいかと思って…」

禁書「あーていとく!こんばんはーなんだよ!」

垣根「こんばんはシスターちゃん。今日もかわいいな。はいコレ、おみやげ」スッ

禁書「え!なになに!?…わぁー丸いケーキだ!いちごのタルトなんだよ!」

上条「いつも悪いな」

垣根「構わねえさ。押し掛けたのはこっちだし」

93 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:16:52.77 ID:BM3PVsg90

禁書「ケーキっ、ケーキっ♪」ルンルン

上条「コラ、インデックス!食べる前にちゃんと垣根にお礼言わないとだめだろ?」

禁書「はう、そうだったかも…ありがと、ていとく!」ペコッ

垣根「いえいえ、どういたしまして」


上条「それで?どうしたんだよ、何かあったのか?」

垣根「ああ、ちょっと相談というか頼みがあってな」

上条「メールか電話じゃダメだったのか?」

垣根「ちっとばかしめんどくせえことになったんで会って話した方が早いと思ってよ」

上条「いつものファミレスは?」

垣根「モヤシに知られたくねえ。というか今回アイツは一番頼りにならねえ」

上条「…一方通行にどうにもならないことを、俺に頼むのか?」

垣根「いや!むしろこんなことを頼めるのはお前しかいねえんだよ!」

上条「俺にしか?……それって一体…」

94 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:18:23.47 ID:BM3PVsg90

垣根「………上条」ススッ

上条「な、なんだよ急にあらたまって正座なんてして」




垣根「…………オレと一緒にデートしてください!!!」ドゲザッ


上条「………」


禁書「……………」






垣根「…………………あれ?」

上条「あー、垣根?お前のことは友達だと思ってるけど
上条さんとしてはあくまでも『友達』というか、そういう感情はない…かな……悪いけど」

垣根「ち、違う!誤解だ!そういう意味で言ったんじゃね…」

禁書「…ていとく。天にましますわれらが父でも、同性愛はおゆるしにならないかも」

垣根「シスターちゃんまで!だから違うっつってんだろ!?」

………! ……!? …………!! ………‥‥・・・・・・・


95 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:19:28.84 ID:BM3PVsg90

-------------------------------------------------------------

10分後

上条「…ダブルデート?」

垣根「あぁ……」

上条「ええと、この間お前が通りすがりに助けた女の子が実はこの前の風紀委員で、
   なんやかんやあってデートすることになってアドレスを交換した、と。ここまでは分かった」

垣根「分かってくれたか」
垣根(ザコにブチ切れて半殺しにしたり自己嫌悪で逃げたりしたくだりはハショったけど)

上条「デートに持っていけるかどうかは置いといて、まあよくある展開だよな」

垣根「……………」

上条「………何?」

垣根「いや、別に」チクショウフラグヤロウメチクショウ

上条「んで、それが何で『ダブル』デートになっちまったんですかい?」

垣根「それがよ……」


96 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:20:10.45 ID:BM3PVsg90


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同日  18:15  固法・柳迫の部屋


新規メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  無題
――――――――――――――――――
  来週の土曜日で大丈夫ですか?

==================


固法(これで…いいわよね?)

97 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:21:01.16 ID:BM3PVsg90

固法(あれこれ考えてたら二日もたっちゃった)

固法(男の人に送るメールにこんなに悩むなんて思わなかったわ…)

固法(でも本当にこの文面で大丈夫かしら?)

固法(『遅くなってすみません』、くらい入れた方がいいんじゃ…)

固法(でもあの人からもこの二日間何の連絡もなかったわね)

固法(もしかしてもう私のことなんて忘れてしまったのかしら?)

固法(…あり得る。派手に遊んでるっぽかったし、友達多いみたいなこと言ってたし)

固法(……何だかイライラしてきたわ)


98 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:21:48.09 ID:BM3PVsg90

固法(でも…連絡先を押しつけたのも、で、デートにつきあうって言い出したのも私なんだし…)

固法(ああもう、どうすればいいの!?)

柳迫「美偉ぃー?どうしたの、ずっと携帯とニラめっこして」

固法「!!!あ、碧美!み、見てたの!?」

柳迫「何してんの?メール?ちょっと見せて」ケータイヒョイッ

固法「あっ!ちょっと、やめ、返し…」

柳迫「キャー!!何これ!男?男でしょ名前からして!」


99 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:22:51.76 ID:BM3PVsg90

柳迫「しかも何!今度の土曜日って!ひょっとしてデート!!?」

固法「違っ、…ただ助けてもらったお礼をしようと…」

柳迫「世間ではそれをデートっていうのよ!あ・まだ送ってないんだ。それじゃあ」ピッポッパッ

固法「あ!ちょっと何勝手に…」ケータイヒュバッ




『送信 完了しました』




固法「あ〜〜〜〜〜〜〜!!ちょっと何するのよ碧美!人のメール勝手に送信して!!」プンプン

柳迫「だって、美偉のことだから放っといたらずっと送信できないままだったわよ?」

101 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:23:57.81 ID:BM3PVsg90

固法「で、でもまだ心の準備ってものが……」

柳迫「かぁ〜アンタってホントに真面目ねー。」

柳迫「でもそんなんじゃ愛しの彼をどこぞの女に奪われちゃうゾ☆」

固法「だからそんなんじゃないって言ってるでしょ!?」

柳迫「ねぇねぇどんな人?顔は?カッコいい系?」

固法「まぁ……顔は綺麗、だったかな///」

柳迫「ウッソー!超イケメンじゃん!写メとかないの?」

固法「そんなのあるワケ……」


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法「ひゃっ!?」


102 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:24:56.69 ID:BM3PVsg90

柳迫「お、意外に早かったわね」

固法「…」ドキドキ
ピッポッ


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:
――――――――――――――――――
  それで構わねえよ

==================


柳迫「ふむふむ、意外に早かったとはいえ、返信時間のわりにこのそっけない文面……」

柳迫「これは
『早く返信しようとしたのに何て書くか迷っちゃって結局そっけない文章になってしまった』
   パターンのやつね!」

固法「何よそのパターン…」


103 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 20:26:17.12 ID:BM3PVsg90

柳迫「こんな典型的初心メールを送ってきたということは、意外に遊びなれてないのかも…
   遊びなれてないイケメン……カワイイ!」

固法「そんなことないわよ。年上みたいだし、ちょっと遊び人風だったし……」

柳迫「年上で一見チャラチャラした初心いイケメン…ますますカワイイ!!」

固法「はぁ……もう一人で勝手に言ってなさいよ…」ピポピポメルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:2
――――――――――――――――――
  わかりました。
  では土曜日の11時、第13学区の
  時計台公園でお待ちしてます。

==================


固法「これでよし、と」ピポピポメルメル

105 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/16(月) 20:48:27.62 ID:BM3PVsg90


----------------------------------------

柳迫「アンタもメールの内容カッタいわねー」

固法「放っといてよ!」


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


ピッポッ

受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:3
――――――――――――――――――
  りょーかい。
んじゃ、おやすみzzz

==================


固法(ぷっ、zzzの絵文字付いてる)メルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:4
――――――――――――――――――
  はい。おやすみなさい。

==================


固法(これで送……あれ、ちょっとまって)


106 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:49:43.59 ID:BM3PVsg90

固法(……念のために確認しておこうかしら)ピポピポメルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:4
――――――――――――――――――
  はい。おやすみなさい。


  P.S.二人きり……なんですよね
==================


固法(へ、変なこと書いてないわよね。ただの確認なんだし)ソウシン


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法(あ、もうきた)ピッポッ

柳迫「アンタさぁ、…その着うた変えたら?」

固法「べ、別にいいでしょ、気に入ってるんだから」ピポピポ


107 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:50:49.72 ID:BM3PVsg90


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:5
――――――――――――――――――
  あーそりゃ二人だけってのも
  つまんねえよな。
  よし、オレのダチとそいつの彼女も
  一緒に4人で行こうぜ。
  それなら退屈しねえだろ。

==================


固法(あ、あれ?どうしてそうなるの……?)

固法(って何ガッカリしてるのかしら私ったら。
   よくよく考えたらそっちの方が安心じゃない)メルメルソウシン


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:6
――――――――――――――――――
  そうですね、そうしましょうか。
  では今度こそおやすみなさい。

==================


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:7
――――――――――――――――――
  ん。おやすみzzz

==================


固法(…またzzzってついてる。もう寝るのかしら)プッ


108 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:51:41.23 ID:BM3PVsg90

柳迫「どうしたの?何かやたらメール来てたけど」

固法「あ、いや。彼の友達と合わせて4人で行くことになって」

柳迫「はぁ!?なにそれ?ダブルデートってこと?」

固法「ダブっ、……しょうがないでしょ!?二人っきりで行くのか確認したら
   話のなりゆきでそうなっちゃったんだから!」

柳迫「何だそっか。……優しいね、その人」

固法「えっ?」


109 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:53:04.32 ID:BM3PVsg90

柳迫「その人はさ、きっと美偉が不安がってると思ってそう言ったんだよ」

柳迫「本当なら主導権もってるのは自分なんだからさ、わざわざ邪魔者を呼んだりしないでしょ?」

固法「そう……なのかな」

柳迫「ま!私だったらそんな押しの弱い男はパスね!男はもっとガッと引っぱってくれないと!」

固法「うん……そうだね」

柳迫「だからさ、難しいこと考えないで楽しんできなよ!上手くいったら彼の友達紹介してね?」

柳迫「イケメンの友達はイケメンって相場が決まってるんだから!」

固法「もう、何言ってるの?」


110 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:54:21.36 ID:BM3PVsg90

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同日 19:45 上条の学生寮

上条「なるほど。それで二人っきりで行くのか訊かれ、思わず日和ってダブルデートをもちかけてしまった、と」

垣根「そういうことだ」

上条「ヘタレ!」ビシッ

垣根「ウグッ!」グサッ

上条「よくもまあお前はそんなヘタレっぷりでナンパなんてしたもんだよな」

垣根「仕方ねえだろぉ!?女と二人っきりでどういう話したらいいのかなんて知らねえもん!」

垣根「お互いのこと何にも知らねえのに会話が持つわけねえじゃん!」

垣根「こんなクズにわざわざ付き合ってくれたのに気ィ遣わせちまったら申し訳ねえだろうが!」

上条「お前って普段割と自信満々なのに肝心なところで自己評価低いよな……」


111 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:55:19.36 ID:BM3PVsg90

垣根「というわけで頼む!ダブルデートに協力してください!」

上条「そんなこと言っても上条さん彼女なんていないし…」

垣根「何も本物の彼女連れてこいって言ってるわけじゃねえ。
   適当な女の知り合いを連れてきてくれればいいんだよ」

上条「そんなこと言われてもなあ……」

垣根「どうせお前のことだから百人くらいキープの女がいるんだろ?」

上条「ひどいこと言われてる!言いがかりだ!」

垣根「…もちろんタダでとは言わねえ」

上条「…というと?」ピクッ

垣根「協力してくれた暁には……」チラッ

禁書「ケーキっ、ケーキ♪」モグモグ

垣根「向こう二週間、シスターちゃんの食費の面倒はオレが見てやる」

上条「喜んで協力させていただきます!」

垣根「うむ!わかってくれたか!」


112 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/16(月) 20:56:13.62 ID:BM3PVsg90

禁書「…なんだか今わたしにとって失礼な契約が結ばれた気がするかも」

上条「そんなことないぞー。それよりもよかったなインデックス!
   これから二週間、垣根が好きなもの好きなだけ食わせてくれるぞ」

禁書「えぇっ、ほんとう!?ほんとうなのていとく!!」

垣根「任せろ!このオレに二言はねえ!」

禁書「わーい!ありがとー!」

上条「ホントにいいのか?」ヒソヒソ

垣根「超能力者の財力ナメんな。それよりこれで商談成立だからな」ボソボソ

上条「あ、あぁ…」ヒソヒソ

禁書「やったね〜スフィンクス〜」ニャー



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2011/05/16(月) 20:58:33.25 ID:BM3PVsg90
以上です。
読んでくださってありがとうございます。

アニレー未視聴なんで柳迫さんの口調をつかみあぐねてます。
キャピキャピしすぎかしら……

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/05/16(月) 21:01:20.84 ID:FE59QvSg0

さて、上条さんが誰を選ぶかで勢力争いが大きく動くぞ
なんせ他者公認になる訳だからな………

115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/16(月) 22:10:41.54 ID:EerfFUaVo
碧美ちゃんきた!これで勝つる!
そういえばアニレーオリキャラ勢の中でも碧美ちゃんは圧倒的に登場するSSが少ないよね

ダブルデートに連れていく候補者の中に上条さんにもていとくんにもいれてもらえないインデックスさんェ…

118 : ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/16(月) 23:42:42.31 ID:LmIcHlCg0
早速レスありがとうございます。

>>115を見て電波が降りてきたので
たった今書きあげたおまけを投下します。

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オマケ  とある二人の卓上会議(ストラテジー)

垣根「っていうかよ」ヒソヒソ

上条「ん?」ヒソヒソ

垣根「…」チラッ

禁書「ん〜!生地の甘さとイチゴの酸味がぜつみょうなんだよ!」モグモグ

垣根「連れていくのシスターちゃんでよくね?」ヒソヒソ

上条「バカ!コイツを街のなかに連れ出してみろ!
   食い物につられてあっという間に迷子になるか上条さんの財布がお亡くなりになるかのニ択でせうが!」ヒソヒソ!

垣根「な、なるほど」ヒソヒソ

上条「コイツの食費のためにやってんのにそんなことになったら本末転倒だろうが!!」ヒッソォォォ!

垣根「す、すまん。オレが浅はかだった…」ヒソヒソ


禁書「あーおいしかった!ていとく、ごちそうさまなんだよ!」

上条「ごちそうさまってお前まさか…あーーーーーっ!ケーキがもうない!
   インデックス!お前さっきガッツリ晩飯食べただろうが!」

垣根「えっ!!お前ら食後だったの!?そして食後にホールケーキ丸々一個食べつくしたのこの子!!?」


………! ……!? …………!! ………‥‥・・・・・・・

三人の夜は更けてゆく

とある二人の卓上会議 終わり

119 : ◆r4vICyDKLo [saga sage]:2011/05/16(月) 23:47:17.97 ID:LmIcHlCg0
以上です。読んでくださってありがとうございます。

インデックスが今回の冒頭で言ってた丸いケーキって言うのはホールケーキのことです。
説明不足ですみません。

123 :◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 02:27:41.98 ID:zC25mBtR0
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金曜(ダブルデート前日)  16:32  第七学区  上条の通学路


上条「食費につられてOKしちまったけど………現実問題どうすっかなぁ」

??「あの……」

上条(学校の連中は……ダメだよな。吹寄は論外だし姫神をこんなアホなことに巻き込むわけにもいかないし)

??「すみません………」

上条(思い切って小萌先生に相談してみるか……?)



小萌『上条ちゃん!女の子の純情と食費を秤にかけるとは何事なのですか!恥を知るのです!
   そんな悪い子には「すけすけみるみる」なのですよ!』



上条(……ダメだ。ガチ説教(追加補習付き)をくらうビジョンしか見えてこない)

??「もしもし…………」

上条(だぁーもう明日だしどうすりゃいいんだよぉー!!)ガシガシ



??「あ、あの!!」



上条「……ん?」

上条はそこで誰かに声をかけられていることに気がついた。
振り向くとそこには、霧が丘女学院の制服に身を包み、眼鏡をかけ、
腰まで伸びた栗色の髪を一房だけ束ねているいかにも気弱そうな少女が立っていた。


彼女の名は―――



上条「お前……風斬か?」

風斬「お、お久しぶりです」

風斬氷華(かざきりひょうか)。インデックスの『ともだち』だった。


上条「おぉー風斬!久しぶりだな!!どうしたんだよ、こんなところで!」

風斬「ひ、久しぶりに『こっち』に来られたので、あの子の顔を見に行こうと思って」

上条「おお来いよ来いよ。インデックスもぜってー喜ぶからさ!」

風斬「えっと、それじゃあ…お、お邪魔します」ペコッ

ふたたび上条はインデックスの待つ寮へと急ぐ。
彼女にとって、最高の「手みやげ」を連れて。


124 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 02:28:26.30 ID:zC25mBtR0


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10分後  上条の学生寮

上条「帰ったぞー」

風斬「お、お邪魔しまーす…」

トテテテテ

禁書「とうま!おかえ……り………」

風斬「……久しぶり」ニコッ

禁書「……ひょ、ひょうか!ひょうかぁ〜〜〜〜〜っ!!」ギュッ

禁書「会いたかった。ずっと会いたかったんだよ、ひょうか」ギューッ

風斬「うん……私も会いたかった」ギュッ

禁書「……元気だった?」

風斬「うん」

禁書「じゃあ……またインデックスとあそんでくれる?」

風斬「もちろん」ニコッ

禁書「う…ひょうか〜〜〜〜〜〜〜〜〜!うえーーーーーーーん」グスグス

風斬「…」ナデナデ

上条「…よし、じゃあ折角だし、いまから三人で晩飯がてら遊びに行くか!」

それまで二人の少女が抱き合うのを静かに見ていた上条は、
インデックスが落ち着くのを見計らってこう切り出した。

禁書「やったぁ!ひょうか、おいしいもの食べよ!」ウキウキ

風斬「えぇ……でもご迷惑じゃ…」

上条「心配するな。金なら…ある!」ビシィ

上条はふところから神々しくも妖しい光を放つ、
具体的に言うと使用限度額無制限っぽい黒いカードを取り出した。
今回の報酬として垣根から借りたクレジットカードである。

禁書「そうだよ!ひょうかが気にすることないんだよ!だから行こ!」

風斬「それじゃあ……お世話になります」

禁書「うん!」

上条「うし、じゃあ支度して早く行こうぜ」



125 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 02:29:33.27 ID:zC25mBtR0


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同日  18:23  第七学区   ファミレス『ジョイナス』

禁書「おいしかったー!もうおなかいっぱいかも!」オサラタクサン

風斬「あ、相変わらずよく食べるね…」

上条「コイツがなかったらどうなっていたことか……」ガクガクブルブル

禁書「ところでひょうか、こんどはどれくらいこっちにいられるの?」

風斬「ええと、この間みたいに無茶なことをしなければ大体二週間くらい」

禁書「そんなに?やったぁ!じゃあまたいーっぱい遊べるね!」ニコニコ

風斬「うん!」ニコッ

上条(…インデックスのやつ、あんなにはしゃいじゃってまぁ…ん?二週間?)

上条は二人のほほえましいやりとりをながめつつ、別のことを考えていた。
風斬氷華はとても優しい少女である。
誰かのために涙を流し、本気で怒ることができる、
そしてなにより、友のためならばどんな危険にも迷うことなく足を踏み出すことができる
強さをもった少女だ。

―――ひょっとして風斬なら正直に事情を話せば協力してくれるんじゃないか?

何より、上条には時間も、他にアテもない。
考えてみれば降ってわいた最後のチャンス、なにふりかまってはいられなかった。

上条「悪い、インデックス。明日だけ風斬を貸してくれ」

風斬「え!?」

上条「風斬……明日俺と遊びに行ってください!!」

風斬「えぇっ!!?」

それは、とても美しい土下座だった。

禁書「とうま……いつもいつも女の人にデレデレしてるけど………よりにもよってひょうかに手をだすなんて!!」ギラッ

上条「ま、待てインデックス!お前は昨日垣根から聞いて事情知ってるだろ!」

禁書「ていとくのはなしなんてケーキ食べてたから聞いてなかったかも!」

上条「そうだったそうでしたよね!わかった、俺がもう一回最初から話してやるから、だから落ち着いて…」

禁書「ガブッ!!!」

上条「ぎゃああああああああああ!!不幸だぁーーーーーーーーーーー!!!」



129 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:45:27.09 ID:loEbJdft0


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アリガトーゴザイマシター

上条「うぅ…結局問答無用で噛まれた…」イテテ

風斬「だ、大丈夫ですか……」

上条「ん?ああ…まあいつものことだし」

風斬(…いつもあんなこと言ってるのかなぁ)

上条「風斬?どうかしたのか?」

風斬「えっ!い、いや、何でもないです!」

上条「そっか」

風斬「それで、その、さっき言ってた事情っていうのは…?」

上条「そう、それがさ」

上条は垣根との契約を含め、全ての事情を洗いざらいぶちまけた。

風斬「そんなことが…」

上条「まぁ嫌なら断ってくれてもいいぞ?正直アテはないけど、死ぬ気で拝み倒せば姫神か誰か協力してくれるだろ」

風斬(あの子のため……これはあの子のため………)

上条「じゃあ早速電話で頼んで…」

風斬「わかりました!」

上条「へっ?」

風斬「かっ、風斬氷華!僭越ながらお手伝いさせていただきます!」

上条「マジで!?」

風斬「マジです!」

上条「ありがとう風斬!よかったぁ〜〜!ダメだったら垣根にボコボコにされるところだった!
   もうインデックスの食費でウン万円使っちゃったし……」

風斬「えぇっ!?もうそんなに使ったんですか!!?」

上条「財布の心配をしなくていいとわかったらタガが外れたように……な…」

禁書「とうま〜〜〜〜〜〜!ひょうか〜〜〜〜〜〜!!早くくるんだよー!」

上条「やべ。んじゃ風斬、あしたはよろ…おっと、ヨロシクな」

上条は一度出した右手を戻し、代わりに左手を出す。

風斬「は、はい!よろしくお願いします!」

少女と少年は、左手でガッチリと握手を交わした。


130 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:46:00.07 ID:loEbJdft0


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同日  20:27  垣根のマンション

垣根「…服よし、歯みがきよし、携帯の充電よし、目覚ましよし、明日のプランよし」

垣根「他に見落としはねえよな…」

垣根(いよいよ明日か……何か知らんが緊張してきた)

ナーミダ キラーキラ ニシーノソラニヒカル♪

垣根(上条からか……アイツも相手はみつけたみてえだな)

垣根(か、かぜ…かぜきり……?何て読むんだ?コレ)

垣根(まぁ明日になりゃ分かるか)

垣根(……明日、ね)

垣根(……メールしとくか)ピポピポメルメル


131 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:47:10.52 ID:loEbJdft0


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同日  20:30  固法・柳迫の部屋

固法(あぁ、もうどうしよう……何着ていくか全然決まらない!)

柳迫「美偉ぃー?まだ悩んでるの?」

固法「だって…」

柳迫「アンタは元がいいんだからどうせ何着ても似合うわよ」

固法「そういう訳にいかないから困ってるの!お願い碧美!手伝って!」

柳迫「えぇ〜〜〜〜?」

固法「この通り!」

柳迫「……もう、しょうがないなあ」

固法「ホントに?ありがとう!」


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法「ふえ!?」
固法(か、垣根さん!?)

柳迫「おんや〜?例の『垣根さん』からかな?
『明日のデート、楽しみにしてるぜ』とかだったりして」ニヨニヨ

固法「そ、そんなわけないでしょ!どうせ『遅れるなよ』とかそんな感じよ」ドキドキ

ピッ


受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  無題
――――――――――――――――――
  まだ起きてんのか?
夜更かしは肌に悪いぜ

==================


固法「!……人の気も知らないで!」ビターン!

柳迫「これは……さすがに予想外ね」

固法「…!」メルメルプンプン


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:
――――――――――――――――――
  今から寝るところだったんです!

==================


132 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:48:41.41 ID:loEbJdft0


ネムリニツーカナイコイノムクロニー ハヤークトドーメヲサシテーヨー♪


固法(!もう返信が…)

ピッ

受信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:2
――――――――――――――――――
  はいはい、そういうことに
  しといてやるよ。
  じゃ、おやすみ、お嬢さんzzz
        ・
        ・
        ・
        ・
==================

固法「人のことバカにして……もう怒った!碧美!そこのショートパンツ取って!
   あとそのVネックのセーターも!」

柳迫「えっ、こ、これ?」

固法「そう、それ!年下だと思って……今に見てなさい!」

柳迫(これって両方とも買ったはいいけど「派手」とか「恥ずかしい」とか言って一度も着てない新品…)
柳迫(まさか…ね)

固法「」プンプンメルメル


返信メール作成
==================
【to】  垣根 帝督
【sub】  Re:3
――――――――――――――――――
  おやすみなさい!

==================

固法「もう寝る!おやすみ!」ガバッ

柳迫「お、おやすみ…」


133 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:49:25.93 ID:loEbJdft0


------------------------------------------------------------

同日  21:02  垣根のマンション


ボクラハーコエガカレルマデー ソンザイシツヅケールジーザース♪


垣根(おーおー、完全に頭に血が上ってるなこれ)

垣根(面白いからいいけど、ちっとやりすぎたか?)

垣根(まあこのくらい煽ればくだらねえこと考えてねえでさっさと寝るだろ)

垣根(…オレのために悩む必要なんて、ないんだからよ)

垣根(にしてもこの感じだと…最後まで読まなかったんだろうなぁ)

ピッ


送信メール
==================
【from】 垣根帝督
【sub】  Re:2
――――――――――――――――――
  はいはい、そういうことに
  しといてやるよ。
  じゃ、おやすみ、お嬢さんzzz









  明日楽しみにしてるぜ
==================


134 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/18(水) 13:51:17.40 ID:loEbJdf


------------------------------------------------------------

同日  22:11  固法・柳迫の部屋

柳迫「はぁ……」

柳迫は不貞寝同然で床についた同居人を見やってため息をついた。

柳迫(それにしても珍しいわね。この子が男に対してこんなにムキになるなんて)

普段風紀委員として冷静に勤めを果たし、
後輩からの信頼も厚い彼女がここまで取り乱すだけでも驚きなのに、
しかもその相手が異性だと分かったら支部の後輩たちはどんな顔をするだろうか。
柳迫には想像もつかない。

柳迫(まあ、別に初めてってわけでもないんだけど)

柳迫は知っている。過去に固法が一度だけ、ある人のそばにいることを願ったことを。
そして、彼女のクローゼットにはまだ、赤い革のライダースジャケットが眠っていることを。
話を聞く限り、今度の彼は『あの人』にそっくりだった。
ぶっきらぼうで、だけどどこか優しくて。そしてなにより強かった『あの人』に。
柳迫は、固法が過去の幻影を追いかけているのではないかと心配になった。
彼を『あの人』に重ねているだけなのではないか、と。

柳迫(ま、私が肝を焼いてもしょうがないか)

こればかりは柳迫にはどうしようもない。固法が自分で向き合うしかない問題である。
しかし、同居人でもある親友には今度こそ幸せになってもらいたい。
忘れるにせよそうでないにせよ、固法には前を向いてほしいと、柳迫は思っていた。

柳迫「がんばりなよ、美偉」

固法「……ン…」ムニャムニャ

彼女のつぶやきがベッドにうずくまる親友に届いたかどうかは、
念話能力者(テレパス)にも分かりそうになかった。

137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/18(水) 22:24:30.61 ID:EBS3mBDy0
固法さん、TM好きなのかww

139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 07:44:20.58 ID:owmFvhF70
今、確認してきたが幻想殺しは直接皮膚がふれなければ効果がないことを確認したから手袋をすれば右手でも風斬に触れられる。
まあ、片手だとおかしいから両手に手袋する必要があるけど・・・・え?ラックスティラー?何のことですか?

144 :◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/19(木) 17:57:46.82 ID:NRifWjyK0
------------------------------------------------------------
オマケ とある家族の仮面談合(マスカレード)


金曜  18:35  第七学区 路上

??「……なーんか面白いこと聞いちゃったね☆ぎゃは」

??「まさかヒーローさんが特定のだれかに積極的にフラグを立てるなんて…
   ってミサカはミサカは驚きを隠しきれなかったり!」

??「チッ、どォやら話が見えてきたぜェ。あのクソメルヘンの様子がおかしかったのはコイツかァ」

??「でもいまどきダブルデートって何?中学生でもしねえっつーの。
   やっぱ第二位はどこまでいってもヘタレってわけね☆アヒャヒャヒャ!」

??「違ェねェ。クカカカ…あのイカレメルヘン、三下を巻き込ンどいてこのオレをのけもンにしようたァいい度胸してンじゃねェか」ニヤニヤ

??「楽しそうだね、ってミサカはミサカは悪い顔してるあなたに便乗してニヤニヤしてみたり!」ニヤニヤ

??「あったり前だろォが。こンな面白そォなこと放っておく手はねェだろォ?」

??「とか言ってホントは自分だけ仲間外れでさびしいだけなんでしょ?
   構ってちゃんの上に素直じゃないなんてお子ちゃまでちゅね〜」ニヤニヤ

??「ぶっ殺すぞ!」


145 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/19(木) 17:59:40.66 ID:NRifWjyK0

??「それで具体的にどうするの?ってミサカはミサカは半分わかりきったことを訊いてみたり!」

??「アイツらの後をつける。ンであとは適当にひっかきまわすンだよ。
   あのメルヘンがコレ以上ウッジウジウジウジしてンのを見るのもウゼェからな」

??「……ホントに素直じゃないね、ってミサカはミサカは番外個体に聞えよがしに耳打ちしてみたり」ボソボソ

??「ねー☆まあ何でミサカがあのメルヘンのためにそんなクソ面倒くせえことしなきゃならないの、って言いたいところだけど、
   慌てふためく第二位が見たいから協力してあ・げ・る(はぁと」

??「ミサカも!ってミサカはミサカは何の脈絡もなくあなたに抱きついてみたり!」ギュッ

??「ウっゼェ!離れろクソガキ!……って言うかよォ」

??×2「ん?」

??「オレら名前伏せてる意味なくねェ?」

??「え?今更?」

??「ミサカ達なんて一人称からバレバレだし!ってミサカはミサカはさらにバレバレの語尾に軽く絶望してみたり!」

??「……どォでもいいか。オラ、早く帰らねェとあの酔っ払いどもがうるせェぞ」

??「ったく、ツマミが切れたから買ってこいなんて人使い荒いよね。マジフザけんじゃねーっての」

??「うん!早く帰ろ!ってミサカはミサカは………」



三人家族は家路をゆく。

とある家族の仮面談合 終わり

146 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/19(木) 18:04:11.69 ID:NRifWjyK0
以上です。読んでくださってありがとうございます。

いつになったらデートが始まるんだよ・・・・

>>139〜>>142
このスレでは、>>1がどこかで聞いたことのある
「右手に直接触れなければ効果ないよ説」を採用しています。
どこで聞いたかは忘れてしまいましたが。

では、明後日ごろまたお会いしましょーノシ

147 :1 [saga sage]:2011/05/19(木) 19:16:50.78 ID:NRifWjyK0
>>137
当方の固法さんはTMというか西川貴教大好きです。
そのほか独自設定として固法さん以外の登場人物にも
「好きなアーティスト」を割り当てています。
一部バレバレですが注意して見ると面白いかも知れません。

150 :◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:06:44.01 ID:SrEEsF5q0
------------------------------------------------------------

土曜  10:48  第十三学区  時計台公園

垣根「よう」

上条「おう、早いな」

垣根「女を待たせるなんざ二流のすることだ」キリッ

上条「…そんないい男っぽいこと言っても説得力無いぞ?」

垣根「……心配するな、自覚はある」ショボーン

上条「ところで、そのコノリさんって人はまだ来てないのか。」

垣根「ああ。っつっても待ち合わせの時間までまだ10分以上あるんだし、そのうちくるだろ」

上条「そっか」

垣根「っていうかシスターちゃんはどうしたんだ?」

上条「小萌先生に預けてきた。なんでも同居してる女の子に料理を教える日だったらしくて
インデックスにも一緒に練習させるってさ」

垣根「ふーん。いい先公じゃねえか」

上条「まあ理由を訊かれて正直に話したらガチ説教の上に補習が決定しましたけどね」

垣根「何で正直に話すんだよ……」

上条「ヘソを曲げたインデックスにあることないこと吹き込まれるよりマシだと思ったんだよ…」

垣根「そうか……なんつーか、悪い」

上条「不幸だ……」



151 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:07:50.24 ID:SrEEsF5q0


垣根「そういやお前の友達は?」

上条「あぁ、多分もうすぐ来ると…」

風斬「お、おはようございます」

上条「おー風斬。おは…」

垣根「上条ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」グイッ

上条「グェッ!?」

上条(いきなり何すんだよ!?)

垣根(うるせえ!いいか上条!確かにオレは適当な女友達を連れて来いと言った。言ったが!!)

垣根(誰がこんな巨乳眼鏡っ娘美少女を連れて来いと言ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

上条(し、しょうがないだろ!全然相手見つからなくて昨日偶然バッタリ会ったのが風斬だったんだから…)

垣根(しかもあの制服霧女じゃねえか!常盤台に飽き足らず霧女の生徒まで……
テメエは学園都市の女子校という女子校を陥落するつもりか!)

上条(い、いや、風斬は転校生っつーかギリギリウチの高校の生徒っつーか…ってか、苦し…)ギリギリ

垣根(転・校・生!!そんなベタなフラグまで網羅してあるたぁ見上げた建築士っぷりだな!
   歯ァ食いしばれや上条ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!)ギリギリギリギリ

上条(し、死ぬ………)



152 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:08:36.40 ID:SrEEsF5q0


風斬「あ、あの……」オロオロ

垣根「ん?…あぁ!申し遅れてすまなかったね。初めまして、お嬢さん。垣根帝督だ」

風斬「はぁ…あの、風斬氷華です。今日はよろしくお願いします」ペコリ

垣根「氷華ちゃんか。こちらこそどうぞよろしく」ニコッ

上条(コイツ本当に女には優しいよな……見た目通りだけど)ボソ

垣根「」ギロッ

上条「」

風斬「?」

風斬(このひとが垣根さん…この人から感じる「ちから」…私と少し似てる…?)

垣根(カザキリヒョウカって読むのか、あの名前。見た目おとなしそうないい子だけど…
なんであのモヤシ野郎と印象がダブるんだ?)

垣根風斬((まあ、いいか))


153 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:09:34.40 ID:SrEEsF5q0


固法「おはようございます」

垣根「よ、よう」

上条(ぶっ!な、なんだあのクールビューティーは!あれが垣根が助けたっていう風紀委員の女の子か!?)

上条(風斬とはまた違った意味で眼鏡が似合いすぎている!「理知的なお姉さん」オーラがほとばしってる!)

上条(そして何あの服!?ショートパンツから伸びたオーバーニーソが色っぽい!
    そんであのセーター!スタイルよすぎだろ!神裂とまではいかなくても五和よりは確実にあるぞ!)

上条(露出は首筋だけなのにそれが逆にエロい!何!?セーターってあんなにエロい衣服だったの?おしえてえろい人!)

固法「今日はよろしくおねがいします」

垣根「お、おぉ」

上条(でも……なんか怒ってる?)

固法「そちらがあなたのお友達ですか?」

垣根「ああ。こっちがダチの上条で、そっちが風斬氷華さんだ」

上条「ど、どうも、上条当麻です」ペコ

風斬「か、風斬氷華です」ペコリ


154 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:10:20.84 ID:SrEEsF5q0

固法「初めまして、固法美偉です。じゃあそちらの彼女が、あなたの……?」

上条「え!えーと、そういうことになるんでせうか……?」

上条(ここは話を合わせとかないと後あと面倒になるよな………)

風斬(はわわわわわわわわ///)

固法(……何で疑問形なのかしら?)

固法「じゃあ今日はよろしくね、上条くん、風斬さん」

上条「は、はい!」

垣根「よし、全員そろったしそろそろ行くか。昼飯にはまだ早いし、ゲーセンでも行こうぜ」




155 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:11:26.19 ID:SrEEsF5q0

------------------------------------------------------------

  11:13  第13学区  ゲームセンター『エンペラー』

垣根たちは第13学区のショッピングモール内にあるゲームセンターに来ていた。
この手のゲームセンターには珍しく、「外」のゲームを中心に設置しているこの店は、
「レトロだが面白いゲームがそろっている」と学生の間でひそかな人気店となっていた。

上条「お前ガンシューティング強すぎだろ!」ガチャガチャ

垣根「ハハハハハ!ちっと前までリアルで現役だったモンでね!ゲームなんざママゴト同然よ!」ガチャガチャ

上条「ウソだ!絶対このゲームやりこんでるよコイツ!」ガチャガチャ

垣根「あっ!上条そこはグレネードだろうが!」ガチャガチャ

上条「え!?二発しかないのにもったいなくないか?」ガチャガチャ

垣根「アホ!この辺は敵がウジャウジャ出てくっから一気に一掃するんだよ!
ゲームの中まで貧乏性もちこむんじゃねえ!」ガチャチャチャ!

上条「おまっ…!言っていいことと悪いことがあるんだぞ!」ガチャチャ!


時空が危機っぽいガンシューティングで盛り上がっている男たちを、
女性陣は呆れ八割、ほほえましさ二割といった微妙な視線でみつめていた。

固法「………楽しそうね」

風斬「ですね」


156 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:12:24.74 ID:SrEEsF5q0

固法「あなたはこういうところよく来るの?」

風斬「いえ、今日で二回目、です」

固法「そう……私は仕事でたまに見回りにくるけど、プライベートで来たのは久しぶりね」

風斬「風紀委員…なんですよね?」

固法「そうよ。言ったかしら?第一七七支部に所属してるの」

風斬「…私、前に風紀委員の人に助けてもらったんです。
   私とあの人と、もう一人のともだちと一緒に地下街に閉じ込められたとき、
   風紀委員の腕章をつけた中学生くらいの女の子が助けにきてくれて…」

風斬「あのときはいろいろあって、結局お礼は言えませんでしたけど…
   代わりに今言わせてくれますか?」

固法「……きかせていただくわ」

風斬「…あのときは、本当にありがとうございました」ペコリ

固法「その風紀委員が誰かは分からないけど、願ってもいない言葉ね。
   その言葉、私がその風紀委員に代わって謹んでお受けします」


垣根「あ〜バカお前なんでそこで一般人撃つんだよ!」

上条「仕方ないだろ!植え込みから急に飛び出してきたんだよ!」

バカ二人がライフを一個無駄にしたその後ろで、ひそかに仲良くなっている女性陣であった。



157 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:13:44.95 ID:SrEEsF5q0


------------------------------------------------------------


上条「あ〜〜〜〜〜〜〜!また落ちた………」

垣根「だぁーーっはっはっは!ダッセェなあ上条!お前もういくら突っ込んでるんだよ!」

上条「うう、どうせ俺にはプライズなんてこの世で一番向いてませんのことよ…」


俗に「プライズゲーム」と呼ばれる、この世でもっとも中毒性の高いゲームに興じる男たちを、
彼女らは全てがどうでもいいといった視線で眺めていた・

固法「……盛り上がってるわね」

風斬「ですね」

固法「この手のゲームにお金を費やす思考が理解できないのよね、私。
   千円も二千円もつぎ込むなら買った方が早いと思わない?」

風斬「でも、こういうゲームでしか手に入らない商品とかたくさんあるみたいですよ。
   コレクションと同じ感覚なんじゃないでしょうか?」

固法「そういうものかしら…」

風斬「そうですよ」


158 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:14:47.05 ID:SrEEsF5q0

固法「…ところで訊きたいことが一つあるんだけど」

風斬「はい、何ですか…?」

ここで固法はある話題を切り出した。
仲良くなった女学生が男の目を忍んですることと言えば、千年の昔から一つだけ。

固法「あのツンツン頭の彼…上条くんとは、その、ど、どこで知り合ったの?///」

恋バナである。

風斬「ふえっ!!?どどどどどどどういう意味ですか!?///」

固法「いや、だからどうやって付き合うことになったのかなって意味で訊いたんだけど…」

風斬「つつつつつつつつつつ付き合ってないでふ!!」

固法「そ、そうなの……?」

固法(さっきと話が違うような……)

風斬「は、はい!あの人は、その、全然そういうのじゃないっていうか……
   私なんかにはもったいなさすぎるっていうか!」

固法「……そうやって自分を下に見るものではないわ」

風斬「…え?」


159 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:15:37.39 ID:SrEEsF5q0

自分を卑下する風斬を見かねたかのように、固法はとうとうと語り始める。
まるで自分に言い聞かせるかの様に。

固法「男の人ってね、目を離すとすぐ遠いところへ行ってしまうの。
  一度見失ったら、もう二度と手が届かなくなってしまうこともあるわ」

固法「だからね、自分が後悔しないように生きなきゃだめよ?」

風斬「自分が………後悔しないように………」

固法「といっても、私が言えた立場じゃないんだけどね。十六にして後悔ばかりの人生よ」クスッ

風斬「………」

そう言って笑った彼女の顔は、風斬には何だかさびしそうに見えた。

固法「なんだか変な空気になっちゃったわね!今のは忘れ………あ………」


160 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:16:23.82 ID:SrEEsF5q0

風斬「どうかしましたか?」

固法「え!?い、いや!何でもないわよ?」

風斬「?そうですか…」キョトン



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   / ヽ::\
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         i:::::::::}           /: : /  Y
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\ ./ ○ ゚ /   ヽ_ノ : :  , ー-、-―'' : : : X   
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: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :〈⌒\/



固法(な、何あのぬいぐるみ!か、カワイイ………///)

固法(でも……さっきあんなこと言った手前、い、言えない!)


161 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:17:41.92 ID:SrEEsF5q0




垣根「あー笑った。さっきので三年分くらい笑ったわ。
上条のヤツ、プレイするたびに賞品がとりだし口から遠ざかるんだぜ?ケッサクだろ?」ケラケラ

固法「そ、そうね」チラッ

垣根「ん?どうした?」

固法「え?な、何でもありません!」チラチラ



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   / ヽ::\
  /     ':,::\
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. ヽ;;;;;;;;;;;;;ン. / : : : : o : : ::i l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;} .i : : V    
: : ` - _-: : : :tイ し : i i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i | : : |   <ちーっす
: : : : /。。\ : : レー-/ : :\ヽ;;;;;;;;;;;;/ / : : /     
\ ./ ○ ゚ /   ヽ_ノ : :  , ー-、-―'' : : : X   
;;;;;;/ : : : : / : : : : : : : : : : / ゚○゚/ : : : : : X  \
;;;/ : : : : /--: : : _: : :- / : : : /__\/ \
./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/;;;;;;;;;;;て\
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/;;;;;;;;;;;(
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :〈⌒\/


垣根「なに?そのぬいぐるみほしいの?んじゃあオレがサクッと…」チャリン

固法「だ、誰もそんなこと言って…」

垣根「いーからいーから。まぁみてろって……コイツはコツがいるんだよ」ウィーンガチャ


162 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:18:23.48 ID:SrEEsF5q0

固法「ちょ、ちょっと…あ」

垣根「……ウシ!一発でとれたぁ!」

固法「うわ、すご…」

垣根「ホレ」



 _
   / ヽ::\
  /     ':,::\
. /      ',:::::ヽ            .  _
/        i:::::::ヽ             く: : :>、
         i:::::::::}           /: : /  Y
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../;;;;;;;;;;;;;;;;;:l  i : : : : : : : : :., -―- 、 : : : : :i  / .      
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. ヽ;;;;;;;;;;;;;ン. / : : : : o : : ::i l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;} .i : : V    
: : ` - _-: : : :tイ し : i i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i | : : |   <とられたにゃ
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固法「えっ?」

垣根「だからやるよ。ほしかったんだろ?」

固法「だから、あの………」

垣根「いらねえの?」

固法「……いただきます。ありがとうございます」

垣根「よろしい」

固法「…………///」


------------------------------------------------------------

163 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:19:15.15 ID:SrEEsF5q0


キーミーガーイタナーツーハー トオイーユーメーノナカーアー♪

固法「え?え??これどうなってるの??」ドンドコドコドン

風斬「ふえええええええええ!??」ドンドンドコドン


垣根「…………………」

上条「……………なあ」

垣根「………何だ」



プルンプルン
プルルンプルン


ソーラーニキエテーエーッタ ウチアーゲーハーナービー♪

固法「何?この黄色いの何!?もうワケわかんない!!」ドコドコドコドンドンドコドンプルンプルン


風斬「くぁwせdrftgyふじこlp」ドンドンドコドンドコドコドンドンドンタユンタユン



上条「………………幸せだ」

垣根「…………………世界一似合わねえセリフだな」

上条「でも本当のことだろ………?」

垣根「あぁ…………」


ノルマクリアシッパーイ ゲームオーバーダドン…



固法「あーもう全然ダメ!」

風斬「ノルマクリアできませんでした……」

垣根上条「「ありがとうございます」」フカブカ

固法風斬「「?」」キョトン



164 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:20:27.74 ID:SrEEsF5q0


固法と風斬はすっかり意気投合し、一緒に写真を撮ると言って二人してプリクラコーナーへ消えてしまった。
一方そのころ2対2の対戦アクションゲームに白熱する垣根と上条(バカ2ひき)
四人とも、今日の趣旨が『デート』であることを完全に忘れていた。

垣根「テメエズサキャンも出来ねえくせにゴッドなんざ使ってんじゃねえよ!」ガチャガチャバンバン

上条「おっかしいなあ、いつもは出来るのに…あっ垣根!そっちにゲロビ行ったぞ!」ガチャバンバン

垣根「オレのゼロカスにそんなしょっぱい攻撃が当たるかぁ!」ガガファサァ

上条「うお!ステップで誘導切って飛翔でかわした!?」

垣根「オレのゼロに常識は通用しねえ!……ん?乱入か?」


165 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:21:54.67 ID:SrEEsF5q0


画面に表示される《WARNING!!》の文字。
それは二人に対人戦を申し込んだ挑戦者が現れたことを意味している。


上条「向こうの筐体みたいだな。機体は……ケルディム?」

垣根「ハッ、そんな産廃機体でオレたちに挑もうなんざ十年…………








……………………………元帥だと?」



元帥。

それは、『最強』の証。
このゲームを極めた者にのみ許される名誉ある称号。
二人に闘いを挑んだのは、この店の『主』だった。


上条「な、なんだコイツ!メチャクチャ上手いぞ!?」ガガガガ

垣根「バカな!ケルディムのメインでゼロの着地に100%合わせるなんぞ不可能…うううぇえ!!?」

上条「しかもビットとピストルで捌かれて……間合いに入れない!」

垣根「うおおおお!負けたぁ!!」

166 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:23:07.18 ID:SrEEsF5q0



上条「強い……強すぎる………」

垣根「バスターライフルがカスりもしねえ……何モンだよコイツ…」


まさに圧倒的。
2対2が基本であるこのゲームで、突然の挑戦者はCPUの力をほとんど借りずに二人をまとめて倒してしまった。



??「どう?少しは身の程ってやつが分かったかしら?」



敗軍の顔を拝みに来たのか、先ほどの対戦相手が上条達に声をかけてきた。


上条「いやー痛いほど……ってこの声…」



それを聞いて上条は不安に襲われた。
その対戦相手の声が、あまりにも聞きなじんだものだったからである。



上条「…………………ビリビリ!!?」

美琴「あ、アンタ!こんなところでなにしてるのよ!!」


その声の主は、御坂美琴(みさか 美琴)。
常盤台中学が誇る序列第3位の超能力者、『超電磁砲』(レールガン)の異名をとる電撃使いにして
上条の「天敵」であった。

167 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:23:53.74 ID:SrEEsF5q0

美琴「調子に乗ってる神と羽がいるっていうからいっぺんシメてやろうと思って来てみれば…何でアンタがこのゲーセンにいるわけ!?」

上条「えーと!上条さんとしてはこっちが訊きたいというか、そのセリフそのままバットで打ち返すというか…」

美琴「あ、アンタに関係ないでしょ!?この店寮から遠くて学校の子たちにバレにくいから便利なのよ!」


垣根(第3位か……面倒なことになったな)

垣根(とりあえず戦線離脱、っと)コソコソ

美琴は対戦相手が上条であったことに驚き、垣根の存在に気づいていない。
それをいいことに垣根はそっと二人から安全な距離を取る。



そのとき、

風斬「またともだちの写真が増えました〜♪」ルンルン


固法とプリクラコーナーへ消えたはずの風斬がなぜか一人ホクホク顔で戻ってきた。
この最悪の修羅場に、まさに最悪のタイミングで



168 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:25:45.64 ID:SrEEsF5q0

美琴「ちょっとその子……この間のテロリスト騒ぎ(垣根「原作6巻参照だぜ!」)の時に地下街にいた……!」

風斬「ひぃ!?」ビクッ

美琴「アンタ!是非とも納得のいく説明をしてもらおうかしら!!?」バチバチ

風斬「はわわわわわ……」ガタガタブルブル


前髪から文字通り火花を散らしながら上条に詰め寄る美琴。
それに怯える風斬をなだめるため上条が放った一言は、


上条「あ!大丈夫だぞ風斬!お前が怖がる必要はどこにもない!
   コイツは何もお前に怒ってるわけじゃないし、自分がいかに理不尽な理由で怒ってるかは重々承知だろうから!な!」



どう贔屓目に見てもこの場で言ってはいけない言葉だった。


美琴「!……ええ、そうよ………私がムカついてるのは……
   ……後にも先にもアンタだけよぉぉぉぉぉぉ!!!!」バリバリバリバリ


ギャーコウアツデンリューガー!

ガメンカラヒバナデター!

オキャクサマーテンナイデノノウリョクノシヨウハオヤメクダサーイ!


169 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:27:13.27 ID:SrEEsF5q0


固法「どうしたの?いったい何の騒ぎ!?」

垣根「おお、アンタか。今までどこにいたんだ?」


美琴の怒りが電撃とともに炸裂したそのとき、固法が写真を小脇に抱えてもどってきた。


固法「風斬さんが自分の分の写真を一枚忘れてて、カウンターでハサミを借りて切り分けてたんです。
それよりこの騒動はいったい………って御坂さん!?」

垣根「何だよ、アンタも第3位と知り合いなのか?」

固法「ええ、以前に風紀委員の仕事でちょっと…それより早く止めないと…」

垣根「待った」


垣根は、事態を収拾するべく人ごみの中心へ向かおうとする固法を呼び止めた。



170 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:27:57.47 ID:SrEEsF5q0


固法「どうして止めるんですか!?風紀委員としてこの場を納めないと…」

垣根「だから落ち着けって。いいか、ケンカの原因が上条である以上ここでアンタが出て行くのはむしろ逆効果だ。
せいぜい第3位の怒りに油を注ぐのがオチだろ」


確かに固法が仕事中ならば、ここで止めに入るのが風紀委員としての義務だ。
美琴の知り合いであることを鑑みても、ここはむしろ固法が出て行くのが限りなく正解だろう。

ただし、それは美琴の相手がタダの不良であれば、の話だ。
だが今の美琴の相手はあの上条当麻であり、
騒ぎの直接の発端は(上条の余計なひと言を除けば)「上条が他の女性と一緒にいた」ことに他ならない。
もしここで固法が出て行って、曲がりなりにも上条と行動を共にしていたことが知れたら………
結果は火を見るよりも明らかである。


垣根「わかったか?ここでアンタが出ていくのはどう考えても得策じゃねえ」

固法「だったらどうすれば……」

垣根「うーん………」



171 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:28:58.24 ID:SrEEsF5q0


垣根は考える。
この修羅場を切り抜ける最善の一手を。
そして一つの結論に到る。


垣根「よし!」

固法「何か思いつきました?」

垣根「」ガシッ

固法「え?」

固法(て、手を…………///)



それはまさに逆転の発想ともいうべき妙案であった。
自分たち二人ではこの状況を打開することは不可能。
   ・・・・・・・・・・・・・
ならば上条たちに丸投げすればいい。
垣根はここで、ある先人の教えに従うことにした。
その教えとは、


172 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:29:52.74 ID:SrEEsF5q0








垣根「バックレるぞ」ダッシュ!

固法「えぇ!!??」


――――「三十六計逃げるに如かず」
垣根はこの局面であっさりと、友人を見捨てることを選んだ。



173 : ◆r4vICyDKLo [saga ]:2011/05/21(土) 00:36:25.45 ID:SrEEsF5q0
ここまでです。
今回はいつにも増して突っ込みどころ満載なので
補足という名の言い訳をさせてください。

・ウチの風斬は超いい子なので、
 あの時にやってきた黒子に「助けてもらった」と思っています。

・にゃ○ぱいあかわいいよね?

・美琴はあれだけゲーセンのコイン持ってるんだから
 それなりにゲーマーなのかなと勝手に思ってます。

これくらいでしょうか…
もっとあったらガンガン突っ込んでください。

読んでくださってありがとうございます。

174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/21(土) 00:48:45.75 ID:AGQsQdj10
乙!風斬がメイン級張れるSSってなかなか無いからありがたい。

179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/21(土) 19:18:51.55 ID:ullWyRmFo
やっぱりにゃんぱいあかwwwwww

182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/21(土) 21:49:02.84 ID:izgQm0m+0
垣根お前第二位だろww
美琴は第三位だし、上条さんは友人なんだから救ってやれよww

183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 06:41:28.03 ID:f+Vp37T3o
女たちの願望が入っている可能性も高いがな

185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:25:04.35 ID:Ujqv/jrC0


オマケ とある少女の臨戦態勢(アサルトモード)

美琴「アンタのせいであの追い出されちゃったじゃないのよ!しかも出禁にされちゃったし、
   これからどこであのゲームやればいいのよ!」

上条「知らねーよ!追い出されたのも出禁にされたのもお前が電撃で筐体ダメにしたからだろ!被害者はこっちなんだよ!」


風斬(どうしてこうなっちゃうのかなぁ)


美琴「アンタがあんなところであのゲームやってるのが悪いんでしょ!」

上条「ふざけんな!…あとさあ、一個訊きたいことがあるんだけど」

美琴「へ!?なななな、何よ?」

上条「お前チート使っただろ」

美琴「……………………は?」


風斬(楽しそうに話してるなぁ…)


186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:25:52.60 ID:Ujqv/jrC0


上条「だってそうだろ!冷静に考えてケルディムがあんな強ぇわけねえじゃん!」

美琴「ふざけないでよ!アンタそれ本気で言ってんの!?そんなことするわけないでしょ!!」

上条「いーや絶対してるね!よく考えたらメインのリロードがやけに早かった気がするし!
   シールドビットの耐久もやたら高かった気がする!」

美琴「全部アンタの思い込みじゃない!チートしてまで勝って何が楽しいのよ!私がそんなセコイ人間だと本気で思ってるワケ!」

上条「だからこそお前はやりかねないんだよ!お前の勝ちへの執念は半端じゃないからな!
   それにお前の能力なら電子回路に直接干渉することだって簡単だろうしな!」

美琴「なっ……そろそろ本気で怒るわよ!」


風斬(やっぱり共通の話題がある相手といる方が楽しいよね)



187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:27:01.49 ID:Ujqv/jrC0


風斬(……このまま帰っちゃおうかな)



固法『男の人ってね、目を離すとすぐ遠いところへ行ってしまうの。
  一度見失ったら、もう二度と手が届かなくなってしまうこともあるわ』



風斬(!!)



固法『だからね、自分が後悔しないように生きなきゃだめよ?』



風斬(固法さん………)

風斬(ようし…!)


美琴「アンタにケルディムの何が分かるのよ!そりゃ、稼働初期は敵なしだったけど自重しないバカのせいで一カ月でゴミみたいな修正くらって、
   それでも勝つためにビットの使い方とか軸合わせと着地取りのタイミングとか必死で研究して、
最近やっと上方修正が入って私たちケルディム使いはようやく日の目を見たのよ!!
アンタにケルディム使いの背負ってきた十字架の重みが分かんの!!?」

上条「ケルディム使いが背負ってるのが十字架なら俺らゴッドがしょってるのは悲しみだ!敵を追えないブーストにカット耐性皆無のN格!
最近は垣根が固定で相方入ってくれるからいいけどシャッフルでやってた頃はゴッドが入っただけで試合を投げる奴までいたんだぞ!」

美琴「そんなのケルディムだって…!」


風斬「あ、あの!」


188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/05/22(日) 23:27:46.82 ID:Ujqv/jrC0

美琴「え?」

上条「ん?ああ悪いどうした風き……」

風斬「わわ、私ちょっと行きたいところがあるので、ちょ、ちょっと付き合ってください!」ムギュ

上条「い、行きたいところってどこ…?」グイッ

上条(な、何だ!この左腕の感触はぁぁぁぁ!)

風斬「ちょ、ちょっと眼鏡のフレーム変えてみようかなー、なんて思って!
   ほら、あそこに眼鏡屋さんがあるので、一緒に選んでください!」ムニュ

上条「え、でもお前の眼鏡は…」

上条(ヤバイ!上条さんの左腕がえらいことになってる!幻想入りしちゃう!)

風斬「ほら!今割引キャンペーン中なんですよ!早く行きましょう!」グイグイ

上条「わ、分かった、分かったから風斬、腕を離して…」

美琴「ちょ、ちょっと!置いていかないでよ!!」


この日、少女はすこしだけ自分に素直になった。

とある少女の臨戦態勢(アサルトモード) 終わり

189 :酉忘れてた ◆r4vICyDKLo [saga]:2011/05/22(日) 23:30:27.36 ID:Ujqv/jrC0
短いですが以上です。
読んでくださってありがとうございます。

風斬にいい意味での積極性がついたら最強だよねってお話です。


固法「あなたが……《未元物質》……?」2




posted by JOY at 20:46| Comment(1) | TrackBack(0) | 禁書SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これだけ理不尽にキレて電撃撒き散らした挙句アンタのせいとか、ここの美琴はどうしようもねぇな。原作もこんなもんだったか?
Posted by at 2012年12月02日 14:50
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